カーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Product。製品やサービス単位の温室効果ガス排出量を示す考え方)は、製品やサービスのライフサイクル全体で発生する温室効果ガス排出量を、CO2e(CO2換算量)として示す考え方です。
環境省のCFP解説でも、原材料調達から廃棄・リサイクルまでの排出量をCO2換算量として整理する考え方が示されています。公的な整理を確認しておくと、自社で計算範囲や説明の前提をそろえやすくなります。
建設業でも、低炭素建材の比較や資材調達、Scope3対応、発注者への説明、GHG・CFPデータの提出が要件となる入札・補助事業、開示対応の文脈で、CFPをどう計算するかが重要になっています。一方で、実務では「どこまでを計算範囲に含めるのか」「排出係数は何を使うのか」「外注工程や複数製品への配分をどう扱うのか」でつまずきやすいのが実情です。
ここでは、第三者機関として認証・サステナビリティ関連サービスを提供するDNV ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社(以下、DNV)への取材内容をもとに、カーボンフットプリントの計算方法、企業全体の排出量把握やサプライチェーン排出との違い、建設業で注意すべきポイントを整理します。
DNVは1864年にノルウェーで創業した独立系の第三者認証・保証機関です。認証・検証・保証サービスに加え、ESGやサステナビリティ領域における専門的な支援を提供しています。今回は、公平性・中立性を前提にGHG・CFPの検証を担う同社サステナビリティ統括部 ESGアシュアランス部長の村澤佐保里氏に、CFP計算の実務について伺いました。
こうした制度動向や実務対応は継続的に変化するため、リバスタ編集部では、建設業界の脱炭素・資源循環・サーキュラーエコノミーに関する制度動向、実務対応、企業事例をニュースレターでもお届けしています。自社の取り組みに必要な情報を継続的に確認したい方は、ニュースレターをご活用ください。
カーボンフットプリント(CFP)とは
CFPは、製品やサービスのライフサイクルにおける温室効果ガス排出量をCO2eとして定量化する考え方です。算定範囲は、原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体の場合もあれば、適用ルールに従って特定の工程のみを対象とする場合もあります。
企業全体のGHG排出量算定が「会社としてどれだけ排出しているか」を把握するものだとすれば、CFPは「特定の製品・資材・サービスが、ライフサイクルでどれだけ排出しているか」を把握するものです。
建設業では、建材や設備、施工方法、廃棄物処理、リサイクル材などに伴う温室効果ガス排出量を説明する際に、CFPの考え方が使われます。特定工程だけを見る場合は、まずCFPを構成する工程別排出量として示します。適用する規格や製品別算定ルールに従って算定した場合は、対象範囲を明示した部分CFPとして整理できます。
カーボンフットプリント計算とScope3算定の違い
Scope3は企業全体のバリューチェーン排出量を把握する企業単位の算定であり、CFPは個別の製品やサービスのライフサイクル排出量を把握する製品単位の算定です。両者は、算定単位や対象範囲、排出量の整理方法、参照するルールが異なります。

※「Scope3とCFPの違い|企業単位と製品単位の考え方」について作成
CFPは、Scope3を単純に細分化したものではありません。CFPには、算定企業のScope1・2に相当する工程も含まれ得ます。
ただし、サプライヤーから得た製品別排出量データは、Scope3の対象カテゴリと算定範囲が一致する部分に限って活用できます。カテゴリ1では購入品のcradle-to-gate排出量、カテゴリ11では販売した製品の使用段階排出量を用います。製品ライフサイクル全体のCFP合計値を、各カテゴリにそのまま計上するものではありません。
加えて、サプライヤー提供値であっても、二次データを含む場合は、必ずしも全体を一次データとは呼べません。
補助的な例としては、Scope3はサプライチェーン全体の排出規模を把握するマクロな視点、CFPは個別の製品や資材単位で排出量を把握するミクロな視点と整理できます。ただし、上下関係ではなく、算定対象の違う二つの見方として理解することが重要です。
また、GHG ProtocolのProduct Standardでも、企業レベルのGHG算定とは別に、製品ライフサイクル全体の排出量を把握し、削減機会が大きい領域に注力するための考え方として整理されています。
建設業の場合、特にゼネコンや建設会社では、Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)に含まれるセメントや鉄鋼、建材などがCFPと接続しやすい領域です。
サプライチェーン排出量全体の考え方を整理しておくと、CFPでどの製品・資材から詳細化すべきかを判断しやすくなります。詳しく確認したい方は、下記の関連記事も参考になります。
» サプライチェーン排出量とは|注目の理由や算出方法、メリットや取り組み事例を紹介
カーボンフットプリント計算の基本式
CFPの基本的な考え方は、GHG算定と同じく、多くの排出源について一般的に「活動量×排出係数」で排出量を求めることです。ただし、対象によっては実測値や物質収支など、別の算定方法を用いる場合もあります。
活動量とは、材料・燃料・電力の使用量や輸送量、廃棄物処理量など、排出量のもとになるデータです。排出係数とは、活動量1単位あたりにどれだけ温室効果ガスが発生するかを示す係数です。たとえば、電力使用量に電力の排出係数を掛ける、輸送量に輸送手段別の排出係数を掛ける、といった形で計算します。
たとえば、所定の性能を満たす建材1m²について、原材料調達から製造までを算定する場合を考えます。以下の数値は、計算方法を説明するための架空値です。
- 原材料:10kg × 2.0kgCO2e/kg = 20.00kgCO2e
- 製造電力:5kWh × 0.45kgCO2e/kWh = 2.25kgCO2e
- 原材料輸送:0.01t × 100km × 0.10kgCO2e/tkm = 0.10kgCO2e
- 合計:22.35kgCO2e/建材1m²
実際のCFP算定では、製造工程で発生するスクラップや歩留まり、リサイクル材の利用、副産物の配分方法なども、適用する規格や製品別算定ルールに従って考慮する場合があります。
ただし、実務上の難しさは計算式そのものではありません。どの活動を含めるのか、どの係数を使うのか、複数製品にまたがる工程をどう配分するのかが、CFP計算の難所になります。DNVも、排出量は一般的に活動量と排出係数の掛け合わせで算定されるため、「どのデータを使い、どの係数を適用したかを明確にすることが重要」と指摘しています。
カーボンフットプリント計算の進め方
CFPを計算する際は、次の順番で整理すると進めやすくなります。

※「建設業でCFP計算を進める10ステップ」について作成
- 目的を決める:社内改善、取引先提出、製品比較、開示、調達判断など、何のために計算するのかを明確にする。
- 対象を決める:製品、建材、サービス、施工方法など、何のCFPを計算するのかを決める。特定工程だけを見る場合は、工程別排出量として扱うか、適用ルールに従って部分CFPとして算定する。
- 算定単位を決める:最終製品やサービスでは、提供する性能・機能を定量化した機能単位を設定する。機能が定まりにくい中間製品では、1個、1kg、1m3などの宣言単位を用いる場合がある。
- 算定範囲を決める:算定目的だけでなく、適用する規格、製品別算定ルール、取引先・調達制度の要件を踏まえ、原材料調達、製造、輸送、施工、使用、廃棄・リサイクルのどこまでを含めるかを決める。
- 算定ルールを整理する:適用する規格やPCR、配分方法、データ品質要件、カットオフ基準など、算定の前提条件を文書化する。
- 活動量データを集める:材料投入量や燃料・電力使用量、輸送距離、廃棄物量、外注工程のデータなどを集める。
- 排出係数を選ぶ:対象に近い排出係数を選び、出典と選定理由を記録する。
- 配分ルールを決める:同じ工程から複数の製品が生まれる場合、排出量をどう配分するかを決める。
- 排出量を集計し、ホットスポットを特定する:排出量が大きい材料・工程を把握し、削減策を検討する。
- 外部説明が必要な場合は、第三者検証を検討する:取引先提出や対外開示に使う場合、算定根拠の信頼性を高める。
DNVは、GHG算定・CFP対応全体の進め方として、まず主要な事業や資材に対象を絞って概算し、排出量の大きいホットスポットを特定したうえで、重点領域についてCFPを算定する流れを示しています。
これは、すべての製品を一度に精緻化するのではなく、削減効果や取引先への説明に直結しやすい領域から着手する考え方です。
ただし、この概算は社内でのスクリーニングに適した進め方です。取引先への提出、異なる製品との比較、対外表示、制度開示に使う場合は、適用ルールが求めるデータ品質、算定範囲、証跡、検証水準を満たす必要があります。
機能単位は、単なる数量ではなく、製品が提供する機能まで含めて定める単位です。たとえば断熱材であれば、単に「1m2」ではなく、「一定の熱抵抗を一定期間提供する1m2」のように、性能を含めて比較条件をそろえます。
一方で、建材のような中間製品では、1個、1kg、1m3などの宣言単位を設定する場合があります。
建設業のカーボンフットプリント計算で算定範囲を考えるポイント
建設業のCFP計算では、算定範囲の設定が特に重要です。建設プロジェクトは、資材調達や輸送、施工、外注工程、廃棄物処理、建物の使用段階など、多くのプロセスが関わるためです。

※「建設業のCFP算定範囲|どこまで含めるかで結果が変わる」について作成
DNVは、建設業のCFP算定では、工程が複雑で外注も多く、どのプロセス・資源・エネルギーを含めるのかの判断が難しいと指摘しています。
たとえば、建材メーカーが出荷までのCFPを算定する場合は、原材料調達から工場出荷までを対象とするcradle-to-gateの部分CFPとして整理されることがあります。
一方、建設会社が工法や建築物のライフサイクルでのGHG排出量を評価する場合は、施工時の燃料・電力や廃棄物、場合によっては使用段階まで視野に入ることがあります。
- 建材・資材:セメントや鉄鋼、木材、ガラス、断熱材、設備機器など
- 施工:重機の燃料、仮設電力、現場で使用する資材、施工に伴う廃棄物など
- 輸送:資材輸送、建設発生土や廃棄物の運搬、再資源化施設への輸送など
- 外注工程:協力会社が担う加工、施工、処理、運搬など
- 廃棄・リサイクル:解体、分別、再資源化、最終処分など
算定範囲は、算定目的だけでなく、適用する規格や製品別算定ルール、取引先・調達制度の要件を踏まえて決めます。最終製品ではライフサイクル全体、中間製品では原材料調達から工場出荷までを基本とすることがあります。
特定の工程を除外する場合は、除外した範囲と理由を明示します。取引先に特定資材のCFPを示すのか、建築物のライフサイクル全体のGHG排出量を説明するのか、施工方法の比較に使うのかで、必要な範囲は異なります。
建設業ではEPD・PCR・建築物LCAとの関係も押さえる
建設業でCFPを考える場合、製品単位のCFPだけでなく、EPDやPCR、建築物LCAとの関係も押さえておく必要があります。
EPD(Environmental Product Declaration)は、CFPを含む環境情報をPCRに従って整理・開示する環境製品宣言です。PCR(Product Category Rules)は、同じ製品カテゴリで算定条件をそろえるための製品別算定ルールです。
建築分野では、建材や建築製品の環境情報を扱う際に、建設製品の環境宣言に関する国際規格であるISO 21930との整合も論点になります。
国土交通省の検討でも、建築物LCAで使用する建材データとして、個社・業界のEPDやCFP、製品別算定ルールへの準拠、第三者検証の重要性が示されています。
また、政府は2028年度を目途に建築物LCAの実施を促す制度の開始を目指しており、建材CFPやEPDは建築物全体のライフサイクルカーボン算定に使われるデータとして重要性が高まっています。
国土交通省の検討では、建築物LCAに用いる建材・設備データとして、EPD、第三者検証ありのCFP、第三者検証なしのCFPを当面併用する方向が示されています。そのうえで、個社製品データの第三者検証や、製品別算定ルールの外部レビューを進めることが重視されています。製品データの第三者検証と、製品別算定ルールの外部レビューは、分けて整理する必要があります。
関係性を簡単に整理すると、次の流れです。
- 建材メーカーが建材CFP・EPDを整備する。
- 設計者・ゼネコンが建材数量や施工条件と組み合わせる。
- 建築物全体のライフサイクルカーボンを算定する。
カーボンフットプリント計算は排出係数の選び方で結果が変わる
CFP計算では、排出係数の選び方も重要です。
DNVは、CFP算定で企業がつまずきやすい点を「算定範囲の設定」と「排出係数の選定」の2つだと指摘しています。どの工程や資材、エネルギーを対象に含めるのかを明確にしないと、算定結果の一貫性が取れなくなるためです。
建設資材は種類が多く、排出係数を選ぶ際にはLCA(ライフサイクルアセスメント)で使われるIDEAなどのデータベースを参照することがあります。LCAとは、製品やサービスの原材料調達から製造、使用、廃棄まで、ライフサイクル全体の環境影響を評価する考え方です。
ただし、CFPが扱うのは原則として気候変動という影響領域です。データベース上に自社製品や実際の資材に完全一致する係数がない場合もあります。その場合、類似する係数を選ぶことになりますが、DNVは、どのデータを採用するかによって結果が大きく変わる可能性があり、選定根拠の妥当性が問われると指摘しています。
だからこそ、係数の出典や選定理由、対象との差異を記録しておくことが重要です。
排出原単位やLCAデータは、適用する算定ルールに加え、システム境界、単位、技術・地域・時点の代表性などを確認して選定します。環境省の排出原単位データベースのようなサプライチェーン排出量向けデータベースを参照する場合も、製品CFPへの適用が妥当かを個別に確認する必要があります。外部に説明する場合は、なるべく対象に近いデータを使い、なぜその係数を採用したのかを説明できる状態にしておく必要があります。
ただし、Scope3算定向けの排出原単位が、そのまま製品CFPに利用できるとは限りません。対象範囲や単位、算定年度、地域・技術の代表性、CFPでの利用可否、ライセンス条件を確認する必要があります。
たとえば、環境省の特殊ライセンス版「IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」は、ライセンス上、自組織のサプライチェーン排出量算定に用途が限定され、製品CFPの算定や顧客への製品別データ提示には使用できません。なお、AIST-IDEAには、CFP算定に利用できるライセンス・データベースもあります。
排出係数を選ぶ際は、少なくとも次の観点を確認します。
- 地理的代表性:対象地域や調達地域に合っているか
- 時間的代表性:対象年や算定年度が古すぎないか
- 技術的代表性:対象製品・製法・設備に近いか
- システム境界:どの工程まで含んでいるか
- 一次データか二次データか:実測・サプライヤーデータか、データベース値か
- データベースのバージョン:参照元とバージョンを記録しているか
- CFP利用と外部開示の可否:ライセンスや利用条件に問題がないか
カーボンフットプリント計算でよくあるつまずき
CFP計算では、次のような点でつまずきやすくなります。
- 対象範囲が広がりすぎて、データ収集が進まない
- 外注工程や協力会社の活動量データが取れない
- 建材・資材にぴったり合う排出係数が見つからない
- 複数製品にまたがる工程の排出量配分が決められない
- Scope3算定とCFP算定のデータがつながらず、二重管理になる
- 社外に説明する際、算定前提や証跡が不足している
DNVは、システム境界の設定や複数製品・工程間での排出量の配分など、前提条件を適切に設定しないと、CFPの比較可能性や信頼性が損なわれると指摘しています。
特に、複数の製品や工程が同じ設備・エネルギーを使う場合、排出量をどのように配分するかを事前に決めておく必要があります。
実測値が得られない場合は二次データで補完し、使用・廃棄条件はシナリオとして記録する
CFP計算では、すべての工程で実測値を取得できるとは限りません。実測値や実績値が得られない活動は、対象に近く代表性のある二次データで補完します。
一方、使用期間、輸送条件、廃棄・リサイクル割合など、将来または不確実な条件は、適用ルールに従ってシナリオとして設定します。カットオフは可能な限り避け、ルール上認められ、影響が小さい場合に限って最小限に行います。
データが取れない場合や条件を仮定する場合は、次の順番で対応を検討します。
- 自社やサプライヤーから一次データを取得する
- 取得できない活動は、対象に近く代表性のある二次データで補完する
- 使用期間、輸送条件、廃棄・リサイクル割合などは、適用ルールに従ってシナリオを設定する
- カットオフは可能な限り避け、ルール上認められ、影響が小さい場合に限って最小限に行う
- データ出典、シナリオ、カットオフ基準、算定結果への影響を記録する
カーボンフットプリント計算は何から始めるべきか
CFP計算を始める際は、最初から全製品・全工程を精緻に算定しようとしないことが大切です。
DNVは、一つの進め方として、GHG排出量全体を把握し、その上で高排出な製品・工程・資材を優先してCFP算定に進む流れを示しています。
ただし、取引先から特定製品のCFPを求められ、直接CFP算定から着手するケースもあります。
建設業であれば、まずはセメントや鉄鋼、主要建材、燃料、電力、廃棄物処理など、排出量が大きくなりやすい領域から確認するとよいでしょう。大まかな算定で排出量の偏りを把握し、削減効果が大きい領域や、取引先から説明を求められやすい領域から詳細化していくのが現実的です。
現場単位の燃料・電力使用量を継続的に整理する場合は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化を支援するサービスも、主に施工段階の活動量データを整える入口になり得ます。
TansoMiru(タンソミル)は、建設現場のCO2排出量の算出・可視化を支援するクラウドサービスです。現場ごとの燃料・電力使用量を継続的に集めたい、工事別に排出量を見える化して削減施策の優先順位をつけたい、CFP算定に必要なデータのうち、主に施工段階の燃料・電力・産業廃棄物等に関する活動量データを整えたい建設会社にとって、排出量管理の第一歩として活用できます。
CFP算定そのものを一括で完結させるものではないため、原材料調達、建材製造、使用段階、リサイクル配分など、製品・資材単位で必要な範囲と証跡は別途整理する必要があります。その前段階として、現場データを継続的に蓄積し、施工段階の基礎データを整えたい方はご活用ください。

また、継続的にCFPを計算するには、購買や施工、環境、サステナビリティ、経営企画、協力会社など、部門をまたいだデータ収集ルートが必要になります。単発の計算で終わらせず、毎年・案件ごとに更新できる仕組みを作ることが重要です。
カーボンフットプリント計算の結果はどう使えるのか
CFPの計算結果は、単に数値を出すためだけのものではありません。建設業では、次のような場面で活用できます。
- 低炭素建材や再生材の採用判断に使う
- 発注者や取引先に対して、資材・工法・施工方法のGHG排出量や気候変動への影響を説明する
- Scope3削減の重点領域を特定する
- サプライヤーとの削減協議やデータ提供依頼に使う
- GHG・CFPデータの提出や検証が要件となる入札・補助事業、開示、サステナビリティレポートの説明材料にする
- 第三者検証を受ける際の基礎データとして整理する
ただし、建材同士を比較する場合は、同じ機能単位、算定単位、システム境界、製品別算定ルール、配分方法、データ品質を前提とする必要があります。異なる条件で算定されたCFP値を、数値の大小だけで単純比較することはできません。
特に今後は、サプライヤー固有の一次データを求める流れが強まり、平均的な排出係数だけでは説明しにくい場面が増える可能性があります。
DNVは、GHGプロトコルの改訂動向について、重要度の高い領域ではより具体的なサプライヤーデータの活用が重視される方向に進むと見ています。
なお、2026年3月時点でScope 3 Standardの改訂案は検討中のドラフトであり、確定要件ではありません。現行ガイダンスでも一次・二次データの双方が認められていますが、重要度の高い領域では、より具体的なサプライヤーデータの活用が推奨されています。CFP計算は、その変化に対応するための実務基盤にもなります。
カーボンフットプリントの第三者検証はどのように進むのか
外部にCFPの数値を説明する場合は、算定範囲やデータ、配分、排出係数の根拠を整理しておくことが重要です。ISO 14067は、製品のカーボンフットプリントに関する国際規格として参照されることがあります。
CFPを取引先への提出や対外開示に用いる場合は、算定結果だけでなく、算定プロセスや根拠資料を第三者が確認できる状態にしておくことが重要です。DNVが公開しているカーボンフットプリント検証の流れは、次の図のように整理されています。

図:カーボンフットプリント検証の流れ(出典:DNV)
図のように、検証は事前準備や文書レビュー、現地訪問・ヒアリング、是正措置という段階で進みます。算定プロセスの妥当性確認か、実際の運用状況まで含めた検証かによって成果物や期間の目安が異なるため、CFPの利用目的を決めたうえで、必要な検証範囲やスケジュールを早めに確認しておくとよいでしょう。
カーボンフットプリント計算を実務に生かすために
カーボンフットプリントの計算は、一般的には活動量に排出係数を掛けて排出量を算定するものです。しかし、実務で重要なのは、計算式そのものよりも、算定目的や対象範囲、機能単位・宣言単位、排出係数、配分、証跡を適切に整理することです。
建設業では、資材・施工・輸送・廃棄物処理・外注工程など、排出量に関わる要素が多いため、最初からすべての製品・工程を精緻に算定するのではなく、まずは排出量が大きい領域を把握し、優先順位を付けながら段階的に精度を高めていくことが現実的です。Scope3算定とCFP算定をつなげて考え、社外説明が必要なデータについては第三者検証も視野に入れながら、継続的なデータ収集体制を整えていきましょう。
リバスタ編集部では、建設業界の脱炭素・資源循環・サーキュラーエコノミーに関する制度動向、実務対応、企業事例をニュースレターで継続的にお届けしています。GHG算定やCFP、第三者検証の最新動向を追い、自社の実務対応に生かしたい方は、ニュースレターをご活用ください。
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この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。









