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建設現場の脱炭素は“燃料転換”から始められる ―ユーグレナの次世代バイオ燃料「サステオ」と導入事例

建設現場の脱炭素は“燃料転換”から始められる ―ユーグレナの次世代バイオ燃料「サステオ」と導入事例

建設現場での脱炭素に向けたソリューションとして、重機の電動化や水素エンジンなどが注目を集めています。もっとも、電動化や水素化は将来性が有望と言われる半面、コストやインフラ整備の面で実際の導入には課題が残ります。

そうした現状に即した切り札の一つとしてユーグレナが提案するのが、重機などに用いる燃料の転換です。ユーグレナが販売する次世代バイオ燃料「サステオ」の概要、建設業との相性の良さ、ゼネコンと協業で進める実証実験などについて、ユーグレナ エネルギーカンパニーの田澤則人氏にお聞きしました。

なぜ燃料転換なのか:建設現場の脱炭素を悩ます「燃料問題」

建設現場での脱炭素に向けたソリューションとして、重機の電動化や水素エンジンなどが注目を集めています。もっとも、電動化や水素化は将来性が有望と言われる半面、コストやインフラ整備の面で実際の導入には課題が残ります。田澤氏は「専用機の調達、充電・水素ステーションなどのインフラ整備、オペレーションの大幅な変更が必要になり、全ての現場に一気に展開するには時間と投資必要です」と指摘します。

そうした現状に即した切り札の一つとしてユーグレナが提案するのが、重機などに用いる燃料の転換です。田澤氏は「既存のディーゼル重機・車両はそのまま活かし、中身の燃料だけを替えるというアプローチであれば、即座にCO2削減に踏み出すことができます」と話します。

次世代バイオ燃料「サステオ」とは

ユーグレナが製造・販売する「サステオ」は、HVO(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化処理植物油)をベースとする次世代バイオ燃料です。

▼ユーグレナ社のバイオ燃料「サステオ」

サステオの最大の強みは、ドロップイン燃料のため、現行の軽油とほぼ同じ運用で使用できる点にあります。HVOは使用済み食用油などを主原料としており、分子構造のレベルから石油系軽油と同等の炭化水素に作り直している点が大きな特徴で、酸化安定性や低温流動性、性状などの面で品質が安定しやすく、使い勝手や信頼性の面で既存の軽油に極めて近い特性を持っています。既存のディーゼルエンジンや給油設備、運用オペレーションをそのまま活かしながらCO2排出量を削減できるのです。

「建設現場の重機にはパワーが必要なため、エネルギー出力が高い燃料が求められます。その点、バイオ燃料であれば、今あるアセットをそのまま使えますし、運用を大きく変える必要もないので、現場でも導入しやすいというメリットがあります。やはり工事現場にとってはいかに効率よく現場を回すかというところが工程管理の一番の肝になっている以上、現場の負担感なく、今までと全く同じように使うことができるという点は欠かせないポイントになると思います」(田澤氏)

建設現場で使いやすい理由:サステオ100/51の使い分け

サステオには、次世代バイオ燃料「HVO」の割合が異なる複数の種類があります。

HVO100%からなる「サステオ100」と、HVO51%、通常の軽油を49%混合した「サステオ51」です。なお、用途や導入段階に応じて「サステオ20」も用意されています。

サステオ100は最大限のCO2排出量削減効果を実現でき、公道を走らない「オフロード重機」を中心に、活用が拡がっております。一方、、サステオ100は、地方税法上軽油に非該当なため、公道走行を含む用途では、税制や各種制度面でのハードルがあり、制度解釈や運用の整理に時間を要するという課題があります。こうした課題に対応するため、JIS規格や品確法に基づく強制規格、消防法、地方税法のいずれにおいても“軽油相当”として取り扱われるよう設計したのがサステオ51です。公道走行用の車両でも通常の軽油と同様に使用でき、継ぎ足し給油や既存の給油インフラ・運用ルールを基本的に変更することなく導入できるのが特徴です。

ユーグレナは、建設現場へのパトロール給油などを行う企業とのパートナーシップを活用し、通常の運用を大きく変えることなくサステオを供給しています。そのため、現場単位の判断でトライアルしやすいことが、燃料転換との相性の良さにつながっています。

また、燃料転換は1台・1現場からでも始められるため、トライアルから全社展開まで段階的にスケールしやすいことも、実務面での大きな利点です。

用途(例) サステオの選び方(推奨) ポイント
オフロード重機/構内車両/発電機(公道走行なし) 100(主)/51(代替)/20(入口) 削減効果重視なら100。運用・供給条件により51/20で段階導入も可能
公道走行を含む車両(トラック等) 51(主)/20(入口) 既存運用に近い形で導入しやすい。制度・運用の整理が前提

※実際の適用可否は、対象機種・供給体制・運用条件により異なります。

導入事例・実証:どの現場で、どう使われているか

田澤氏は「特に都市部の案件や象徴性の高いプロジェクトでは、建設段階における低炭素燃料の活用は、プロジェクト全体のGX姿勢を分かりやすく示す取り組みとして位置づけることができます」と話します。実際にサステオは、CO2排出量削減への取り組みとして、さまざまな現場で導入が進んでいます。

浜松町エリアで進行中の大規模複合開発「BLUE FRONT SHIBAURA(芝浦プロジェクト)」では、清水建設が2023年からサステオ20(HVO20%混合)を導入しました。(現在は終了)。

2024年には、清水建設、三菱地所、三菱地所設計とともに、ユーグレナは、東京都が公募する「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」の事業者に採択されました。同支援事業のひとつとして、完成時点で約385㍍と日本一の高さとなる「Torch Tower」(東京都千代田区大手町)の建設現場で、施工段階からのCO2削減のため、サステオが導入されています。

▼芝浦プロジェクト現場でクレーンにサステオを給油する様子

▼Torch Towerの建設現場(清水建設提供)

2025年4月には、大成建設が手がける「東京経済大学国分寺キャンパス第2期整備事業建設工事」において、サステオ51が建設機械や車両用の燃料として導入されました。

また、同年6月に竹中工務店が、江戸川清掃工場建替工事において、サステオを建設重機に用いた実証実験を開始しています。

▼東京経済大学建設工事作業所での導入掲示

▼江戸川清掃工場建替工事の現場

出典元:竹中工務店プレスリリース

さらに、ユーグレナを代表企業とする9社共同プロジェクト「新規HVO混合燃料の開発及びサプライチェーン構築とその社会実装」は東京都の令和6年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択されています。

こうしたプロジェクトの狙いについて、田澤氏は、サステオの認知度向上に加え、販売価格の引き下げと、使用に際しての現場の不安感の払拭を挙げます。「国内での使用量が増えれば、需要に応じて供給網が広がり、その結果HVOの販売価格を下げることが可能になります。使用実績を積み重ねることで、手の届きやすい燃料にしたいというところがまず一つです。二つ目は、現場で使っても問題が起きない燃料だということを認知してもらうことです。実際に、現場の方から出力面でも問題なく使えるし、軽油と同じ感覚で違和感なく使用できるという声もいただいているので、そうした声をさらに広げていきたいと考えています」

 

燃料転換がもたらす建設GXの未来

田澤氏は「例えるならば、建設業界と我々サプライヤーは脱炭素推進に向けた車の両輪」と位置付けます。「これまでもいろいろな実証実験を進めてきましたが、我々だけで燃料をサプライしても脱炭素はなかなか前に進まないですし、建設業界の方だけでも恐らく進まないと思います。両者がバイオ燃料を軸にしてうまく回転させることで、日本の脱炭素というものが一気に前に進むはずだと感じています。うまく連携、情報交換をしながら、現場で使ってみたいという話をどんどんいただければ大変ありがたいなと思っています」(田澤氏)

ユーグレナが目指すのは、多様な現場で「当たり前」に低炭素燃料が使われる社会だといいます。

「低炭素燃料が身近にあって、簡単に選択できる社会に向けた環境整備が我々の責務だと考えています。脱炭素に資する燃料を簡単に手に取ることができて、いろいろ試せる環境を整えていきたいです。日本は石油の大部分を中東に依存しており、地政学リスクが高まる中で、エネルギーの地域分散も大きな課題となっています。建設業は、日本の社会インフラを支える極めて重要な産業であり、その現場から生まれる脱炭素のインパクトは非常に大きいと考えています。サステオを通じて、まずは一つひとつの現場で「明日からでも始められる脱炭素」の選択肢を増やし、やがてそれが業界全体のスタンダードになっていくことを目指していきたいと思います」(田澤氏)

ユーグレナ エネルギーカンパニー 事業創出部 事業企画課 兼 バイオリファイナリー推進室

営業開発エキスパート ユーグレナマイスター
田澤 則人(たざわ のりと)氏

※組織名・役職などの情報は取材当時(2026年4月)のものです。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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