建設業界各社のプレスリリースやニュースリリースをもとに、リバスタ編集部が脱炭素に関する取り組みをテーマ別に整理してご紹介します。
7月は、環境配慮型コンクリートの開発・実証・海外展開が進展したほか、水素や木質バイオマスを活用したエネルギー事業、浮体式洋上風力発電に関する技術開発など、多様な脱炭素の取り組みが公表されました。
また、CO2固定技術を活用した建築構造部材の実装や、低環境負荷な土壌・地下水対策サービスの提供など、技術開発を実際の建設現場や社会インフラへ展開する動きも目立っています。
水素・代替エネルギー
大林組【NEDO「水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業」に協力企業として参画】
大林組は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業」に採択された、札幌と大分を対象地域とする2件の採択事業に協力企業として参画します。今回は実証に先立つ調査フェーズとして、将来の事業性・経済性などの検証、実証フェーズへの移行判断に必要なデータ取得などを行います。
引用:2026年7月30日 株式会社大林組「札幌・大分でのNEDO「水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業」に協力企業として参画」
環境配慮型コンクリート・建設材料
大林組【海外初、「クリーンクリート®」の供給体制をインドネシアで確立】
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」(※1)について、インドネシア国内の供給体制を確立し、試験施工に成功しました。クリーンクリートの海外展開については、今回の取り組みが初めての事例となります。
引用:2026年7月15日 株式会社大林組「海外初、「クリーンクリート®」の供給体制をインドネシアで確立し、試験施工を実施」
長谷工コーポレーション【CELBIC(環境配慮型BFコンクリート)建設材料技術性能証明改定のお知らせ】
CELBIC研究会(長谷工コーポレーション(幹事)、青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、熊谷組、鴻池組、五洋建設、錢高組、鉄建建設、東急建設、東洋建設、矢作建設工業の13社で構成)は、普通ポルトランドセメントに対して10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートとする「CELBIC-環境配慮型BFコンクリート-」について、一般財団法人 日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明を2026年5月20日付けで改定しました。
引用:2026年7月21日 株式会社長谷工コーポレーション「CELBIC(環境配慮型 BF コンクリート) 建設材料技術性能証明の改定のお知らせ」
大成建設【グリーンイノベーション基金事業で人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリートを実証】
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典)とのNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」※1において、排ガスから回収したCO2を原料とした人工石灰石(合成炭酸カルシウム)を用いたCO2固定コンクリート製品の製造・生産性、品質・耐久性の実証を完了しました。公共工事に適用し、約3年間のモニタリングにより、CO2固定とコンクリート実用性の両立を確認しました。
引用:2026年7月23日 大成建設株式会社「グリーンイノベーション基金事業において人工石灰石を用いたCO2固定コンクリートを実証」
清水建設【環境負荷を低減するコンクリート「SUSMICS®-Ca」|CO₂削減・アンモニア放散抑制を実現】
SUSMICS-Caは、木質バイオマスを炭化して作られたバイオ炭を混合する環境配慮型コンクリートSUSMICS-Cのシリーズ技術で、優れたアンモニア放散抑制効果により、CO2固定によるカーボンネガティブへの貢献と、美術館・博物館や半導体製造施設等における清浄な空気環境の維持という、相反しがちな二つの要件を高いレベルで両立する国内初のソリューションです。
引用:2026年7月21日 清水建設株式会社「CO2削減とアンモニア放散抑制を実現するコンクリート「SUSMICS®-Ca」」
鹿島建設【CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版を建築構造部材として国内初採用】
NEDO※1のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクト(以下、本事業)の一環として、鹿島建設株式会社(社長:桐生雅文 以下、鹿島)は、デンカ株式会社、株式会社竹中工務店とともに、本事業を実施するコンソーシアムであるCUCO®(クーコ)の幹事会社として、コンクリートの製造過程で排出される二酸化炭素(CO2)の排出量が実質ゼロ以下となるカーボンネガティブコンクリート※2の開発を進めています。
今般、鹿島と本事業の共同実施先であるタカムラ建設株式会社(社長:高村彰一郎 以下、タカムラ建設)は、鹿島が保有する低炭素コンクリート技術とCO2を吸収・固定するコンクリート「CO2-SUICOM®」の技術を組み合わせ、普通異形鉄筋(以下、鉄筋)を用いてカーボンネガティブを実現する「CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版」を開発しました。工場で製造したハーフプレキャスト床版(以下、ハーフPCa床版)を現場に敷設し、その上にコンクリートを打設して床を構築するものです。
「CUCO-SUICOMハーフPCa床版」は、建築基準法上の構造部材※3として第三者機関の技術証明を取得しました。この床版を国内で初めて、一般建築物の構造部材として東京都港区で鹿島が施工中のコマツ新本社新築工事の一部に適用しました。
引用:2026年7月6日 鹿島建設株式会社「CUCO-SUICOMハーフプレキャスト床版を建築構造部材として国内初適用」
再生可能エネルギー・洋上風力
五洋建設【浮体式洋上風力発電の海上施工技術確立に向けた技術開発に参画】
五洋建設株式会社(社長 清水琢三)は、国土交通省港湾局の「令和8年度 浮体式洋上風力発電の最適な海上施工方法の確立に向けた技術開発制度」において、当社が関係する技術開発案件2件が採択されましたのでお知らせします。
引用:2026年7月27日 五洋建設株式会社「浮体式洋上風力発電の海上施工方法の確立に向けた技術開発に参画」
木質バイオマス・地域エネルギー
熊谷組【地域の森林資源を地域のエネルギーへ 脱炭素社会に貢献する「ブラックバークペレット」国内初の製造工場が愛媛県西条市で竣工】
株式会社熊谷組(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:上田真)、神鋼商事株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:髙下拡展)および清本鉄工株式会社(本社:宮崎県延岡市/代表取締役社長:清本邦夫)が共同出資する「ローカルエナジーシステム株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:小泉亨)」が愛媛県西条市で建設を進めていた国内初のブラックバークペレット(以下、BBP)製造工場が竣工しました。本工場は、木材加工時に発生するバーク(木の皮)を原料とした木質ペレットを製造し、炭化装置で熱処理することで、高付加価値な脱炭素社会に貢献する新エネルギー「BBP」を製造する生産拠点です。商業運転を行うブラックペレット工場としては国内最大規模の製造能力を誇り、バークを原料とする工場としては国内初の事例となります。
引用:2026年7月15日 株式会社熊谷組「地域の森林資源を地域のエネルギーに脱炭素社会に貢献する新エネルギー「ブラックバークペレット」国内初の製造工場が愛媛県西条市で竣工」
環境技術・汚染対策
竹中土木【PFAS汚染調査から除去対策までワンストップで提供】
竹中工務店(社長:丁野成人)と竹中土木(社長:竹中祥悟)は、PFAS(有機フッ素化合物)※1 に汚染された土壌や地下水について、低コストかつ低環境負荷な対策を可能にする4つの新技術の開発を進めています。このたび、実用化した技術をいち早く導入し、お客様の所有地の PFAS 汚染リスク低減や周辺環境の保全に貢献する環境ソリューションとして、PFAS 汚染調査・対策計画、新規技術も活用した対策工事からモニタリングまでを一貫して請け負うワンストップサービス「PFASsure(ピーファシュア)」の提供を開始します。今後、現在実証中の技術も順次追加し、サービスの拡充を図ってまいります。
引用:2026年7月27日 株式会社竹中土木「PFAS 汚染調査から除去対策までをワンストップで提供 独自の 4 技術+で低コスト・低環境負荷を実現」
環境技術に関する表彰
大成建設【環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」が第53回「環境賞」で優良賞を受賞】
大成建設株式会社(社長:相川善郎)が開発・社会実装を進めている環境配慮コンクリート「T-eConcrete」が第53回「環境賞」(主催:国立環境研究所・日刊工業新聞社、後援:環境省)※1の優良賞を受賞しました。
「環境賞」は1974年に創設された、環境分野で伝統ある表彰制度です。環境保全や環境の質の向上への貢献が認められる成果、または貢献が期待される成果をあげた個人、法人、団体・グループ等を表彰することにより、広く環境意識の啓発を図ることを目的としています。
受賞の対象となった「環境配慮コンクリートでCO2削減」の取り組みは、街づくりや社会インフラの構築にかかせないコンクリートの脱炭素化と資源の有効利用を推進しています。今般の受賞では、セメントを使わないコンクリートと炭酸カルシウム(CCU材料※2)を用いたコンクリートを国内で初めて開発、実用化した点について、その先駆性と環境負荷の軽減効果、普及を促進するシステムの整備を進めている実績が高く評価されました。
引用:2026年7月13日 大成建設株式会社「国立環境研究所・日刊工業新聞社主催 第53回「環境賞」 において環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」が優良賞を受賞」
7月のまとめ
7月は、低炭素・カーボンネガティブコンクリートの実証や構造部材への適用、海外での供給体制構築など、環境配慮型コンクリートの社会実装が幅広く進展した月となりました。材料開発にとどまらず、建築物や公共工事への適用、技術証明の取得、海外展開など、普及に向けた具体的な動きが目立っています。
また、水素社会の構築に向けた調査事業や、浮体式洋上風力発電の施工技術開発、森林資源を活用した新エネルギーの製造など、次世代エネルギーに関する取り組みも進みました。低環境負荷なPFAS汚染対策サービスの提供も含め、建設業界の環境対応が、脱炭素だけでなく資源循環や環境保全へと広がっていることがうかがえます。
※各社プレスリリース・ニュースリリースより引用しております。

この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。









