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サーキュラーエコノミーとは?建設業界における企業の取り組み事例を紹介

サーキュラーエコノミーとは?建設業界における企業の取り組み事例を紹介

サーキュラーエコノミーとは何か、サーキュラーエコノミーについてまだ正確に把握できていない建設事業者は少なくありません。建設業界では、資材調達から解体までのライフサイクル全体で資源循環への対応が求められつつあります。本記事では、サーキュラーエコノミーについて大手ゼネコン各社の公式情報に基づく事例を交え詳細に解説するとともに、実務で確認したい観点を整理します。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、資源の投入量と消費量を抑えながら、ストックを有効活用して付加価値を生み出す経済システムです。従来の3Rを包含しつつ、経済活動として資源循環を捉える点に特徴があります。

 

サーキュラーエコノミーの定義と3Rとの違い

サーキュラーエコノミーは、経済産業省が公表した循環経済ビジョン2020において、環境活動としての3Rから、経済活動としての循環経済への転換を図る戦略として位置づけられています。

 

3Rはリデュース、リユース、リサイクルの3つの行動を指す概念で、廃棄物の発生抑制や再使用・再資源化を通じて環境負荷を低減する考え方です。一方でサーキュラーエコノミーは、製品の設計段階から廃棄物を出さないことを前提に組み立てられる点が異なります。

 

概念を図式化したものとして、資源の流れを循環的に描く図が知られており、ものを長く使い続けることに加え、シェアリングや再製造といった事業活動そのものが循環の一部として位置づけられている点も特徴です。建設業界では、資材の選定や施工方法の段階から資源循環を意識することが、サーキュラーエコノミーへの対応につながります。

 

参照:経済産業省「循環経済ビジョン2020」

 

リニアエコノミーからの転換が求められる理由

従来型の経済活動は、資源の採取、製造、使用、廃棄という一方通行の流れで進められてきました。これはリニアエコノミーと呼ばれます。環境省によれば、一般廃棄物最終処分場の残余年数は令和4年度末時点で23.4年、産業廃棄物最終処分場の残余年数は令和4年度実績で20.0年です。

建設業界では主に産業廃棄物最終処分場の動向が重要な指標となり、資源を一方通行で消費し続ける経済活動には限界が見え始めています。建設業界においても、資材投入量と廃棄物排出量が大きいことから、リニアエコノミーからの転換は実務上の検討事項です。

社会資本の維持管理や更新が今後増えていくことも踏まえると、解体や改修に伴う建設副産物の発生量は中長期的に増加していく見通しです。こうした見通しを踏まえ、建設会社にとっては、廃棄物の発生を前提とした対応だけでなく、発生量そのものを抑制する視点も求められています。

参照:環境省「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和4年度実績等)について」

 

サーキュラーエコノミーが注目される背景

サーキュラーエコノミーは、日本国内でも政府主導での取り組みが進められています。政策の方向性を把握しておくことは、建設会社が自社の対応方針を検討するうえで重要です。

 

政府による循環経済政策の動向

経済産業省は、2020年に循環経済ビジョン2020を公表しました。この中で、資源循環関連ビジネスの市場規模を2030年までに拡大させる目標が掲げられています。環境省も、2022年9月に循環経済工程表を取りまとめ、循環経済への移行に向けた道筋と分野ごとの取り組み方針を示しました。

 

複数の省庁が政策として循環経済への移行を推進している点は、建設業界においても対応の優先度を検討する材料になります。自治体レベルでも、循環経済ビジョン推進協議会の設立など、産学官が連携した取り組みが広がりつつある状況です。

 

国も、サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップの枠組みを設けており、自治体や企業の取り組み事例を集約する動きも進んでいます。こうした動きは、個社の努力だけでなく、地域や業界全体での連携によって資源循環を進めていく方向性を示すものといえるでしょう。

 

国内外の動向

欧州連合は、2015年にサーキュラー・エコノミー・パッケージを発表し、2020年にはサーキュラー・エコノミー・アクションプランを公表しました。これらの計画には、一般廃棄物のリサイクル率に関する数値目標や、法規制による廃棄物削減の方針が含まれています。

 

日本国内では法規制による強制力よりも、企業の自主的な取り組みを促す形で施策が進められている点が特徴です。建設業界としても、国際的な政策動向を把握しておくことは、今後の取引先からの要請を見通すうえで参考になります。

 

海外の建築事例では、釘を使わない工法や解体を前提としたプレハブ設計など、建築のライフサイクル全体で循環を意識した手法が取り入れられている例もあります。こうした事例は、国内の建設業界が今後の設計や施工方法を検討するうえでの参考材料となるでしょう。

 

建設業界でサーキュラーエコノミーが求められる理由

建設業界は、資材投入量と廃棄物発生量がともに大きい産業の一つです。産業廃棄物全体に占める建設廃棄物の割合も高く、資源循環への対応は業界共通の課題となっています。

 

建設副産物、建設廃棄物の課題

国土交通省の定義によれば、建設副産物とは、建設工事に伴い副次的に得られたすべての物品を指します。このうち廃棄物処理法上の廃棄物に該当するものが建設廃棄物です。

 

国土交通省が公表した平成30年度建設副産物実態調査結果によれば、建設廃棄物の再資源化・縮減率は約97.2パーセントとなり、平成24年度の調査より1.2ポイント上昇しています。品目別に見ると、アスファルト・コンクリート塊やコンクリート塊は高い再資源化率を維持している一方、建設混合廃棄物などの再資源化には課題が残ります。

 

同調査では、建設発生土の有効利用率についても、平成30年度時点で約79.8パーセントとなり、平成24年度より2.0ポイント向上したことが示されました。一方で、最終処分量は減少しているものの、建設廃棄物の搬出量自体は前回調査より増加しており、発生量の抑制と再資源化の質の向上を両立させることが課題として残っています。

 

建設業界特有の資源循環の特徴

建設業界における資源循環は、資材メーカー、元請企業、協力会社、発注者など、複数の関係者が携わります。一社の取り組みだけでなく、サプライチェーン全体での連携が資源循環の実効性を左右します。解体を前提とした分解可能設計や、建設発生土の現場内・現場間での再利用など、建設業界特有のアプローチも進められている状況です。

 

石膏ボードのように、現場から回収した資材をメーカーの工場に戻し、新たな製品の原料として再利用する仕組みも一部で構築されており、業界全体での資源循環の基盤づくりが進みつつあります。建設会社が対応を検討する際は、自社単独での取り組みに加え、取引先や業界団体との連携も視野に入れる必要があります。

 

建設業界における企業のサーキュラーエコノミー事例

建設業界の大手各社は、公式情報を通じてサーキュラーエコノミーに関する取り組みを公表しています。ここでは、清水建設株式会社、鹿島建設株式会社、株式会社大林組の事例を紹介します。

 

清水建設株式会社の取り組み事例

“シミズグループは、これまで建設副産物の最終処分ゼロを目指し、4R活動(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)を精力的に推進し、一定の成果を得てきました。

今後は、従来の4Rに加えて、資源投入量・消費量を抑えつつストックを有効活用しながら価値最大化を図る「サーキュラーエコノミー」への貢献を目指します。

すべての自社活動において資源の循環を指向することにより、脱炭素や自然共生にも貢献していきます。“

 

出典:清水建設株式会社「環境経営」

 

鹿島建設株式会社の取り組み事例

“資源循環ではこれまで、ゼロエミッション、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3Rを徹底することで最終的に廃棄物ゼロを目指していましたが、今後は、従来の3Rの取組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用して付加価値を生み出すサーキュラーエコノミーをめざします。“

 

出典:鹿島建設株式会社「資源循環」

 

株式会社大林組の取り組み事例

“建設業界は、資源消費量と廃棄物発生量が非常に多い産業の一つといわれています。産業廃棄物全体における建設廃棄物の割合も高いため、資源の有効活用や廃棄物削減を通じた環境負荷の軽減は建設業界が取り組むべき喫緊の課題です。

大林組では、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるとともに、資源をできるだけ長く使い続け、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミーの考え方に基づく循環型社会の実現を目指しています。さらに大林組は建設独自の取り組みとして「サーキュラーコンストラクション®」を掲げています。“

 

出典:株式会社大林組「資源は都市にあふれている、大林組は資源循環の鍵となるリユース・リサイクルでサステナブルな世界をつくる」

 

サーキュラーエコノミーに取り組むメリットと注意点

建設会社がサーキュラーエコノミーに取り組む際は、メリットと注意点の両方を把握したうえで方針を検討することが実務上重要です。

 

建設会社にとってのメリット

資源循環への対応を進めることで、廃棄物処理コストの削減につながるケースがあります。また、発注者や取引先から環境配慮への対応を求められる場面が増えており、対応状況が企業評価に影響する場合もあります。

 

資材価格の変動リスクに備える観点からも、再生資材の活用や資源循環への対応は経営上の判断材料です。公共工事においては、環境配慮への取り組みが評価項目に含まれるケースも見られます。さらに、資源循環への取り組みを対外的に公表することは、取引先や金融機関からの評価、採用活動における企業イメージの向上にもつながる要素です。

 

近年は発注者側が入札や契約の条件として、環境配慮への取り組み状況の開示を求めるケースも見られるようになっており、資源循環への対応状況を整理しておくこと自体が実務上の備えになります。

 

取り組む際の注意点や課題

資材の分別や再資源化には、現場での作業負担やコストが発生します。特に建設混合廃棄物のように、複数の素材が混在する廃棄物は、分別や再資源化にコストがかかる傾向があります。サプライチェーン内での情報共有や連携体制が整っていない場合、資源循環の取り組みが一部の工程にとどまってしまう点に注意が必要です。

 

また、再生資材の品質や供給量が安定しない場合、設計段階での採用が難しくなることもあり、資材メーカーとの継続的な情報交換が必要になります。建設会社は、自社の現状を把握したうえで、無理のない範囲から取り組みを進めることが、実務での優先順位づけに直結します。

 

建設会社がサーキュラーエコノミーに対応するためのステップ

サーキュラーエコノミーへの対応は、一度に全体を変えるのではなく、以下のステップを通して段階的に進めることが現実的です。

 

現状把握と資源循環フローの整理

まずは自社の資材調達量や廃棄物排出量を把握し、資源循環フローを整理することから始めます。現状把握の段階では、施工管理や現場担当者からの情報収集が欠かせません。現場ごとの廃棄物の内訳や排出量を可視化することで、優先的に対応すべき品目が見えてくるでしょう。

 

国土交通省が公表している建設副産物実態調査の結果は、自社の状況と業界平均を比較する際の参考材料になります。品目ごとの再資源化率を業界平均と比較することで、自社が優先的に取り組むべき領域を絞り込みやすくなります。

 

社内体制、取引先との連携体制の構築

資源循環への対応を進めるには、社内での担当部署や責任者を明確にすることが重要です。元請企業だけでなく、協力会社や発注者との情報共有できる体制を構築することで、サプライチェーン全体での資源循環が進みやすくなります。

 

自社の規模や工事内容に応じて、業界団体の公開資料や他社の公式情報を参照しながら、実行可能な範囲で取り組みを検討することが現実的な進め方です。段階的な取り組みを社内外に共有していくことで、取引先や発注者との信頼関係を築きながら、資源循環への対応を継続的に進めていくことができます。

まとめ

サーキュラーエコノミーは、資源投入量と消費量を抑えながら価値を生み出す経済システムであり、建設業界においても資材調達から解体までの各段階での対応が求められています。建設会社が対応を検討する際は、自社の資材調達や廃棄物排出の現状を把握したうえで、社内体制や取引先との連携体制を段階的に整えていくことが実務上のポイントです。

 

国土交通省や環境省が公表する統計や政策資料を参照しながら、自社の取り組みを継続的に見直していく姿勢も欠かせません。制度対応や資源循環の状況を整理する際は、早い段階で現状を把握しておくことが大切です。

 

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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