建設業界各社のプレスリリースやニュースリリースをもとに、リバスタ編集部が脱炭素に関する取り組みをテーマ別に整理してご紹介します。
8月は、建設資材の水平リサイクルやCO2固定型コンクリートなど、資源循環と脱炭素を組み合わせた取り組みが相次ぎました。また、浮体式洋上風力発電の実用化に向けた技術開発や、建物のエネルギーマネジメント、自然共生を意識した実証施設など、建設業界の環境技術が幅広い分野で進展しています。
資源循環・水平リサイクル
竹中工務店【建設現場で使用済みの防災シートを再資源化する水平リサイクルの実証を開始】
鹿島建設株式会社(代表取締役社長 桐生雅之、以下「鹿島」)、株式会社竹中工務店(取締役社長 丁野成人、以下「竹中工務店」)、萩原工業株式会社(代表取締役社長 浅野和志、以下「萩原工業」)の3社は、建設現場で使用する防炎シートの水平リサイクルに関する実証事業を開始しました。
水平リサイクルとはマテリアルリサイクルの一種で、使用済み製品を回収、再原料化して、再び同じ種類の製品を製造するリサイクルのことです。これは、廃プラスチックなどを燃焼させて熱回収するサーマルリサイクルなどに比べCO₂排出量が少ないため、環境負荷の小さい先進的なリサイクル手法です。
引用:2026年8月6日 株式会社竹中工務店「建設現場で使用した防災シートの水平リサイクルに関する実証事業を開始」
大林組【使用済み窓ガラスを建築用板ガラスとして再資源化】
株式会社大林組(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:佐藤俊美、以下、大林組)とAGC株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平井良典、以下、AGC)は、大林組が請け負う解体工事で発生する廃棄窓ガラスを、建築用フロート板ガラス製造原料の一部として使用し、建築用途で循環利用するとともに、大林組が施工する建設現場での活用を進める水平リサイクル(※1)フローを構築しました。
本フローの適用第一弾として、株式会社三菱UFJ銀行(本社:東京都千代田区、取締役頭取執行役員:大澤正和、以下、三菱UFJ銀行)の本館解体工事で発生した廃棄窓ガラスを回収し、リサイクル工程へ供給しています。
解体現場由来の廃棄窓ガラスを原料の一部として使用し、フロート法(※2)で板ガラスを製造する事例は国内初(※3)であり、本フローを通じて、建設資材における資源循環の高度化および脱炭素社会の実現に貢献します。
引用:2026年8月19日 株式会社大林組「国内初、建物解体現場の廃棄窓ガラスをフロート板ガラスの原料に活用」
環境配慮型コンクリート・建設材料
大林組【福島・中間貯蔵施設工事にCO2固定吸収型コンクリート「クリーンクリートN®」を導入】
大林組は、二酸化炭素(CO2)吸収・固定化材料の混和によりCO2排出量を実質ゼロ以下(カーボンネガティブ)にすることも可能なコンクリート「クリーンクリートN」を、環境省発注の「中間貯蔵双葉地区受入分別処理・貯蔵工事」(福島県双葉郡双葉町)の仮設建物基礎に適用しました。土木工事における現場打設コンクリートへの適用は初となります。また、クリーンクリートN の原料となるCO2吸収・固定化材料については、アサヒ飲料が展開する「CO2を食べる自販機」で大気中のCO2を吸収した材料を新たな調達先に加えました。これにより、原料調達の多様化を図るとともに、全国展開を見据えた調達体制の拡充を進めています。
引用:2026年8月5日 株式会社大林組「CO2固定吸収型コンクリート「クリーンクリートN®」を福島・中間貯蔵施設工事に適用」
浮体式洋上風力・再生可能エネルギー
大林組【浮体式洋上風力発電の実用化に向けTLP型ハイブリッド浮体の技術開発を推進】
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」事業(以下、本事業)に「TLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型(※1)ハイブリッド浮体式洋上風車支持構造物の実用化検証」(以下、本開発テーマ)を提案し、採択されました。本開発テーマでは、株式会社ユーラスエナジーホールディングスと共同で、実用化に向けた新たな技術課題の解決に取り組むとともに、将来的な風車搭載実海域実証に向けた検討を本格化します。
引用:2026年8月17日 株式会社大林組「浮体式洋上風力発電向けTLP型ハイブリッド浮体の実海域実証に向けた技術開発を加速」
大成建設【NEDOの次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究に採択】
大成建設株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、北海道電力株式会社の 3 社は、国立
研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した委託事業「次世代浮体式
洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」
(以下、本事業)において、「コンクリート製浮体の設計・製造・維持管理を通じた低コスト化
に資する技術開発」を提案し、この度採択されましたので、お知らせします。
引用:2026年8月17日 大成建設株式会社「NEDO「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」に採択」
清水建設【浮体式洋上風力発電の次世代技術開発がNEDO事業に採択】
JFEエンジニアリング株式会社、清水建設株式会社、東京電力リニューアブルパワー株式会社、株式会社ユーラスエナジーホールディングス、一般財団法人日本海事協会の5者は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」※1において、「モジュール型浮体に導入するピン結合技術およびグラウト接合技術の開発」を提案し、このたび採択されました。
引用:2026年8月17日 清水建設株式会社「NEDO「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発)」に採択」
エネルギーマネジメント・建物運用
鹿島建設【デマンドレスポンスに対応した建物の電力消費最適化システムを開発】
鹿島(社長:桐生雅文)と三菱電機(執行役社長:漆間啓)は、デマンドレスポンス※1要請に応じて、建物の電力消費を自動で最適制御するシステム(以下、本システム)※2を開発しました。電力を供給する電力会社等のインフラ側と、電力を消費する建物側の電力需給情報に基づくリアルタイムな演算により、建物利用者の「快適性」と建物の「節電量」のバランスを最適にコントロールし、電力消費量を削減します。また、電力会社等からの節電要請時だけでなく、本システムを平常時にも活用することで、電力需要が集中する時間帯の消費電力が抑えられ(ピークカット)、電気料金の低減に貢献します。
引用:2026年8月26日 鹿島建設株式会社「デマンドレスポンス要請に応じて建物の電力消費を最適制御するシステムを開発」
自然共生・環境技術
大成建設【GREEN×EXPO 2027「TAISEI GREEN TERRACE」で12の環境技術を実装へ】
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、2027年3月19日から9月26日まで神奈川県横浜市の旧上瀬谷通信施設で開催される「2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」において、ダイヤモンドパートナーとして参画しています。このたび同博覧会で、当社グループが建設する「TAISEI GREEN TERRACE」に解体・再利用を可能としたボルト・ビス接合の木フレームなど、実装する12の環境技術を公開しました。
「TAISEI GREEN TERRACE」は、会場の中心に位置する同博覧会のランドマークとなる施設で、来場者が会場全体の花と緑を圧倒的な眺望で見渡すことができる空間です。
本施設では、博覧会終了後の活用まで見据え、解体・再利用を可能としたボルト・ビス接合の木フレームを採用するとともに、雨水・潅水の植栽などへの再利用をはじめ、自然との共生を重視した設計思想のもと、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーを体現する12の環境技術を実装します。
引用:2026年8月20日 大成建設株式会社「GREEN×EXPO 2027「TAISEI GREEN TERRACE」に実装する、脱炭素・資源循環・自然共生を実現するための12の環境技術を公開」
大成ロテック【大成建設グループの次世代技術実証拠点「T-FIELD/TAMURA」が本格始動】
大成建設株式会社(社長:相川善郎)と大成ロテック株式会社(社長:加賀田健司)は、
福島県田村市に整備 し た 『 大成建設グループ次世代技術実証センター / 田村
「T-FIELD/TAMURA」(たむラボ)』※1 の本格運用を開始しました。(写真 1 参照)
本施設は、雨水を活用した水循環の自立化、生物多様性の保全・再生、次世代舗装技術の早
期実用化など将来の自然共生社会と道路インフラに関わる社会課題の解決を目指す実証拠
点です。社会実装を前提に技術を検証・評価する “実証フィールド”として構築しました。
引用:2026年8月4日 大成ロテック株式会社「大成建設グループ次世代技術実証センター/田村「T-FIELD/ TAMURA」が本格運用を開始-ゼロウォータービル(ZWB)を中核に、自然共生と次世代舗装技術を実証-」
環境・インフラ関連の受賞・事業
戸田建設【「五島洋上ウィンドファーム」など4件が「日建連表彰2026」を受賞】
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)が設計または施工等に携わった以下のプロジェクト・作品が、日建連表彰2026において土木賞・BCS賞を受賞しました。
引用:2026年8月19日 戸田建設株式会社「「五島洋上ウィンドファーム」「TODA BUILDING」など計4件が「日建連表彰2026」を受賞」
日鉄エンジニアリング【エコクリーン松江の基幹設備改良・長期運営業務を受注】
日鉄エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:石倭行人、本社:東京都品川区、以下「当社」)は、このたび松江市(松江市長:上定 昭仁)より「エコクリーン松江基幹的設備改良工事」および「エコクリーン松江長期包括的運営業務委託」「(以下「本事業」)を受注し、契約を締結しましたのでお知らせいたします。
エコクリーン松江(以下「本施設」)は、2007年に松江市より当社が建設を受注し、2011年4月の稼働開始以降、当社グループが運営・維持管理を担っています。多様な廃棄物を処理することができるシャフト炉式ガス化溶融炉の特徴を生かし、安全で安定的なごみ処理に貢献するとともに、最終処分量の低減を図り、市の資源循環を促進してきました。
引用:2026年8月6日 日鉄エンジニアリング株式会社「【受注】エコクリーン松江基幹的設備改良工事および長期包括的運営業務委託」
8月のまとめ
8月は、防炎シートや廃棄窓ガラスの水平リサイクルなど、建設現場から発生する資材を再び建設用途へ循環させる取り組みが目立った月となりました。資源循環とCO2排出削減を同時に実現する技術や仕組みが、実証段階から実際の建設プロジェクトへと広がっています。
また、浮体式洋上風力発電では複数の企業がNEDO事業に採択され、浮体構造や施工・接合技術など実用化に向けた研究開発が進展しました。建物の電力消費を最適化するシステムや、脱炭素・資源循環・自然共生を組み合わせた建築・実証施設の取り組みも進んでおり、建設業界の環境対応がより複合的なテーマへ広がっていることがうかがえます。
※各社プレスリリース・ニュースリリースより引用しております。

この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。









