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FSC認証とは?仕組みやメリット、建設業界での資材調達・導入手順を徹底解説

FSC認証とは?仕組みやメリット、建設業界での資材調達・導入手順を徹底解説

FSC認証は、持続可能な森林管理を証明する国際認証制度として、建設業界でも注目が高まっています。脱炭素経営やESG対応が求められるなか、認証材の活用は企業の競争力を左右する重要な要素となりつつあるのが現状です。

本記事ではFSC認証の基礎知識や建設業界における活用メリット、認証材の調達ポイントを解説します。また、実際の建設プロジェクトにおける認証取得事例も紹介していますので、FSC認証材の導入を検討されている方は参照してみてください。

FSC認証の基礎知識と仕組み

fsc認証とは

FSC認証とは、適切に管理された森林資源の利用を促進するための国際的な認証制度です。FSC認証の仕組みを正しく理解するには、制度の定義や目的に加え、森林管理を対象とするFM認証と加工・流通過程を対象とするCoC認証の違い、さらに用途に応じて分類される3種類のFSCラベルについて把握することが重要です。

ここではFSC認証の基礎知識と仕組みについて解説します。

FSC認証の定義と目的

FSC認証とは、環境保全への配慮と地域社会への貢献、経済的な持続可能性を両立させた木材生産を証明する国際的な認証制度です。FSC認証の制度は、世界規模で責任ある森林管理の普及を目指す独立した非営利団体によって運営されています。

消費者がFSC認証を取得した製品を選ぶことは、適正に管理された森林から生まれた資源を支持する行動となり、結果として世界各地の森林保全に貢献することにつながります。つまりFSC認証は、単なる品質の保証にとどまらず、持続可能な社会の実現に向けた重要な仕組みとして機能しています。

出典:環境省/環境ラベル等データベース

FSC認証におけるFM認証とCoC認証の違い

FSC認証には、2つの認証が存在します。

FSC認証の種類 特徴
FM認証 森林管理そのものが環境や社会に配慮した適切な方法で行われているかを審査・認証する仕組み
CoC認証 認証を受けた森林から産出された木材が、加工や流通の各段階で未認証の木材と混ざることなく管理されているかを保証するもの

重要なのは、最終的な製品にFSCラベルを表示するためには、原材料の調達から消費者の手元に届くまでに関わるすべての組織がCoC認証を取得していなければならない点です。

FSC認証は、森林の入口から製品の出口まで、森林管理とサプライチェーンの双方を厳格に管理することで、認証製品としての信頼性を一貫して担保する仕組みです。

3種類のFSCラベル

FSC認証の製品に付与されるラベルは、使用される原材料の構成によって3種類に分類されます。

FSC認証のラベル 内容
FSC 100% 認証を受けた森林から調達された原料のみで作られた製品
FSCミックス 認証材に加えてリサイクル材や管理木材を適切な基準のもとで組み合わせた製品
FSCリサイクル 使用済みの木材や紙などの回収原材料を全量活用した製品

建設業界では、構造材にFSC 100%の木材を採用したり、内装仕上げにFSCミックス製品を使用したりと、用途に応じたラベルの使い分けが進んでいます。FSC認証では、ラベルの違いを正しく理解することが、目的に合った持続可能な資材選定の第一歩です。

建設業界がFSC認証を取得・活用するメリット

fsc認証とは

建設業界がFSC認証を取得・活用することで、Scope3の削減をはじめとする脱炭素経営の推進や、LEEDやCASBEEなど環境認証の評価向上が期待できます。さらに企業価値の向上やESG投資への対応にもつながるなど、多面的なメリットがあることが特徴です。

ここでは建設業界がFSC認証を取得・活用するメリットについて解説します。

Scope3の削減と脱炭素経営

FSC認証材の活用は、建設業界における脱炭素経営を推進するうえで有効な手段の一つです。認証材を調達に組み込むことで、サプライチェーン全体の環境負荷を可視化でき、Scope3管理の高度化に役立ちます。特に木材利用は炭素固定の観点でも注目されており、脱炭素戦略の一環として位置付けられます。

とりわけ国産のFSC認証材を選択すれば、海外からの輸送にかかる排出量を大幅に抑えられるだけでなく、国内の森林資源を守ることにもつながります。加えて、木材は成長過程で大気中のCO2を吸収・固定する特性を持つため、鉄やコンクリートに代わる建材として注目が高まっており、木材利用はライフサイクル全体の排出量低減にも寄与します。

脱炭素社会の実現が求められるなか、炭素固定能力の高い木材を戦略的に活用することは、企業にとって不可欠な取り組みです。

LEED・CASBEEの評価向上

FSC認証材の使用は、LEEDやCASBEEなど建築物の環境性能評価制度において加点要素として認められており、建物の資産価値を高める効果があります。実際に官公庁や大手企業が関わる建築プロジェクトでは、グリーン購入法への適合が求められる場面が増えており、FSC認証を取得した紙製品や建設資材の採用が標準的な対応となりつつあるのが現状です。

持続可能な資材を積極的に導入することは、サステナブル建築としての客観的な裏付けを得るための有力な手段です。つまりFSC認証材の活用は、単なる環境配慮にとどまらず、建築物の競争力を高め、市場における評価向上を実現する戦略的な選択肢となり得ます。

企業価値とESG投資への対応

FSC認証の取得は、企業価値の向上とESG投資への対応においても大きな強みです。国際的に広く認知されたFSCマークを製品や資材に表示することで、環境に配慮した事業運営を行っている姿勢をステークホルダーに対して明確に示せます。

ESG投資の拡大が進む現在、認証の取得は財務情報だけでは伝えきれない企業の取り組みを可視化する手段として、非財務情報の開示における重要な評価項目の一つです。さらにFSC認証は、SDGsが掲げる17の目標のうち14の目標に対して貢献できる仕組みとして国際的に認められており、幅広い社会課題への対応力を裏付ける根拠としても活用できます。

FSC認証は、投資家や取引先からの信頼獲得と持続的な企業成長を両立させるための有効な手段といえます。

FSC認証材の調達ルートと選定のポイント

FSC認証材を実際に導入するためには、サプライチェーン上で認証の連鎖が途切れていないかを確認することが不可欠です。また国内における認証材の供給状況を把握したうえで、信頼できる認証機関を適切に選定することが、スムーズな調達のポイントです。

ここではFSC認証材の調達ルートと選定のポイントについて解説します。

認証サプライチェーンの確認

FSC認証材の調達において最も注意すべき点は、サプライチェーン全体で認証の連鎖が維持されているかどうかです。製品が消費者や施工現場に届くまでの流通過程で、認証を取得していない事業者が一社でも介在すると、最終製品にFSCマークを表示する資格が失われます。

調達先となる各企業が有効な認証を保持しているかを、FSCが提供する国際データベース上で認証番号を照合し、確認することが必要です。建設業界では、個別資材の認証管理に加えて、プロジェクト認証の仕組みを活用する動きも広がっています。

建築物全体、あるいは一部を認証の対象とできる制度であり、大規模な建設案件においてFSC認証の価値を最大限に発揮する手段として注目されています。

国内の認証材供給状況

国内におけるFSC認証材の供給体制は、近年着実に充実してきています。三重県の尾鷲ヒノキや高知県の四万十材、岡山県西粟倉の地域材など、各地の特色を活かした認証林の運営が進み、多様な樹種や品質の認証材の調達が可能です。

供給側の体制も整備が進んでおり、大手建材メーカーだけでなく地域の工務店に至るまで、CoC認証を取得した流通ネットワークが全国的に広がりを見せています。さらに近年では、CLTやLVLなど構造用の木質建材にもFSC認証を取得した製品が登場しており、中大規模の木造建築にも対応できる選択肢が増えているのが現状です。

供給環境の拡大により、FSC認証材の導入は以前に比べてより現実的かつ実行しやすいものになっています。

出典:尾鷲市/尾鷲市有林FSC森林管理認証について
出典:四万十町森林組合/FSC森林認証について
出典:FSC/西粟倉村

適切な認証機関の選び方

FSC認証を取得する際には、自社に適した認証機関を選ぶことが成功への重要なステップです。認証の取得プロセスは、事前の予備評価から始まり、本格的な審査を経て取得後も毎年の定期監査を受け続ける必要があるため、長期的なパートナーとして信頼できる審査機関を見極めることが大切です。

また、費用面についても、審査にかかるコストだけでなく、社内の管理体制を整備するための人件費や教育コストも含めて総合的に見積もらなければなりません。建設業界では、取り扱う資材の種類や調達ルートが多岐にわたるケースが一般的なため、自社の事業規模や流通構造に合った認証範囲をあらかじめ審査機関と十分に協議しておくことが、無理のない運用と確実なFSC認証の維持につながります。

建設業界におけるFSC認証に関する事例

建設業界ではFSC認証の活用が具体的に進んでおり、官公庁との木材利用促進協定の締結や、ボルネオ島での木材調達トレーサビリティ調査、さらにプロジェクト認証の取得といった先進的な取り組みが見られます。

ここでは建設業界におけるFSC認証に関する事例について紹介します。

株式会社大林組

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)と株式会社内外テクノス(本社:東京都千代田区、社長:矢納正人)、大林新星和不動産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:蛭間基夫)は、2023年2月3日、農林水産省、経済産業省、環境省と6者連名で「建築物木材利用促進協定」を締結しました。

本協定は、2021年10月1日の「脱炭素社会の実現に資する等のために建築物等における木材の利用の促進に関する法律」施行に伴い締結が可能になったもので、大林グループと3省庁は、建築物における木材利用促進にとどまらず、森林の循環利用に貢献し、幅広く脱炭素社会・持続可能な社会の実現を目指します。

大林グループは本協定を通じて、2050年の脱炭素社会の実現、カーボンニュートラルの達成、循環型社会の形成に向け、「OBAYASHI WOOD VISION」に掲げる大規模木造建築への取り組みとして、国産材を中心とした木材の利用や、木造を含む建築物などの省エネ化の促進に努めます。

また、2022年に完成した日本初の高層純木造耐火建築物 Port Plus(大林組研修施設)などで培った技術を活用し、大規模・高層建築における木材の利用範囲を広げることで、国産材を中心とした木材利用を促進します。

さらに、大林グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウを活かして、国産材のサプライチェーンを整備し、循環型の森林利用を促進するとともに、木材の循環利用に資する木質バイオマスをはじめとする再生可能エネルギーの開発、利用に取り組みます。

出典:農林水産省、経済産業省、環境省と大林グループ3社で「建築物木材利用促進協定」を締結|2023.2.3|株式会社大林組

大成建設株式会社

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、本年3月、グループ長期環境目標「TAISEI Green  Target 2050」を改定し、新たに個別課題の一つとして森林資源・森林環境の課題解決の目標に「森林破壊ゼロを前提とした木材調達により森林資源・森林環境への負の影響を最小化」を掲げました。

そして今般、その課題解決に向け「持続可能な木材調達」の実現を目指す取り組みとして国内の木材サプライヤーと協働し、マレーシア・ボルネオ島における森林伐採地や植林地等を日本のゼネコンとして初めて視察しました。現地視察では地域に暮らす先住民(イヴァン族)と対話を行うなど、森林伐採の現状確認と将来の木材調達に向けた調査を実施しました。

当社では、工事で使用する木材の一部をボルネオ島から調達しています。しかし、これまで同島産の木材調達における森林伐採・植林・製造・加工の状況については、国内サプライヤーを通じて間接的に確認するだけにとどまっていました。

そのような現状において、今般「持続可能な木材調達」の実現の観点から、国内サプライヤーと協働してボルネオ島で木材伐採・植林・製造・加工を行う現地企業(TA ANNグループ、以下「同社」)を訪問し、現地での木材調達に関する一連の実施工程やトレーサビリティが適正に確保されているかを調査するとともに、木材伐採地に居住する先住民との対話を行いました。

出典:森林資源・森林環境の課題解決に向けボルネオ島における木材調達トレーサビリティを調査|2023.11.28|大成建設株式会社

戸田建設株式会社

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、新本社ビルとなるTODA BUILDINGの施工に際し、ゼネコン本社ビルとしては国内初のFSCプロジェクト認証(FSC-P002014)を取得しました。トレーサビリティを確保した木材を、超高層ビルで不燃化処理をした内装材として大量使用した希少な事例として、2024年10月25日にFSCジャパン及びSGSジャパンが立ち合いのもと、授与式を開催しました。

森林は、生態系のバランスを保ち、酸素供給、動植物の生息地として大切な役割を果たしています。私たちは、森林を守る必要があります。

FSC認証は、持続可能な森林管理を促進するための国際的な認証制度です。

その認証を取得していることで有名な北海道下川町は、「循環する林業」と「持続可能な資源管理」を目指し、先人たちの森林への思いや苦労により成熟しつつある森林を次の世代に引き継ぎ、FSC認証の理念を基に循環型の森林経営を続けていけるよう森林整備計画を定めています。

当社は2023年7月18日に北海道下川町との包括連携協定締結を契機に、下川町の林業の活性化と下川町木材の付加価値向上に取り組んでまいりました。その取組の一環として、「森を忘れないプロジェクトTM」の理念を実現するために、TODA BUILDINGでの下川町木材の活用にあたり、FSCプロジェクト認証の取得を検討いたしました。

出典:トレーサビリティを確保した木材を使用し、FSC®プロジェクト認証を取得|2024.10.25|戸田建設株式会社

まとめ

fsc認証とは

本記事では、FSC認証の基礎知識としてFM認証とCoC認証の違いや3種類のFSCラベルの特徴を解説しました。また、建設業界がFSC認証を活用することで得られるScope3削減や脱炭素経営の推進、LEEDやCASBEEの評価向上、さらにはESG投資への対応といった多面的なメリットについても紹介しています。

国内では認証材の供給体制が拡大しており、CLTなどの構造用建材にも認証製品が登場するなど、建設業界におけるFSC認証材の導入環境は年々整いつつあります。認証材の調達や認証機関の選定を検討されている方は参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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