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東京の工事成績評定で高得点を取得する方法を解説

工事成績評定は建設業にとって、避けられない重要な要素です。工事成績評定で高得点を取ることで公共工事の入札で優遇措置を受けられるほか、自治体のホームページで紹介されることで企業としての価値も向上します。

本記事では、東京の工事成績評定で高得点を目指す方法を解説しています。東京都での加点ポイントとなる部分も解説しているため、工事成績評定で優良企業としての認定を目指している方は参考にしてみてください。

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工事成績評定について

建設業者として気にしなければならない工事成績評定に関して、次の内容で詳しく解説します。

  • 工事成績評定とは
  • 3つの評価軸
  • 基礎点が65点、平均70点?

それぞれのポイントをみていきましょう。

工事成績評定とは

工事成績評定は、公共工事で活用されている品質評価システムです。工事発注者が工事完了時に、施工の出来栄えや技術提案の実施状況など、複数の評価項目で総合的に採点を行います。

工事成績評定は請負金額が500万円以上の公共工事を対象として実施され、発注者が100点満点で評価する仕組みです。さまざまな評価項目を用いて、工事全体の完成度を多角的に判断します。工事成績評定の特徴は、発注者の視点から工事の技術的な品質や施工の適切性が判断される点にあります。

高い評定点を獲得することは、企業の技術力の証明となり、公共工事の入札での総合評価方式などで有利な評価につながります。工事成績評定の制度により、工事の品質向上の促進効果がある中で、受注業者は高い技術力と品質管理能力を維持しなければなりません。

3つの評価軸

工事成績評定は、主に「施工体制」「現場管理状況」「施工管理」の3つが大きな評価軸です。3つの評価軸は工事の品質と安全性を担保する上で重要な要素として位置づけられ、加点ポイントも高く設定されています。

評価は「施工プロセスのチェックリスト」に基づいて実施され、契約締結時から施工期間中、そして工事完成時まで、各段階で詳細に確認されるため注意が必要です。また、創意工夫や地域社会への貢献、コンプライアンスの遵守状況も評価対象です。

具体的には次の項目で詳細にチェックされます。

  1. 施工体制
  2. 施工状況
  3. 出来形および出来ばえ
  4. 高度技術
  5. 創意工夫
  6. 社会性等
  7. 法令遵守等

配点配分は項目によって異なりますが、どの項目も総合的な工事評価で重要な要素として認識されています。審査体制は発注機関によって異なりますが、国土交通省の場合は、主任監督員、総括監督員、技術検査員の3名体制での評価です。各担当者がそれぞれの視点から評価を行い、最終的な評定点が決定されます。

基礎点が65点、平均70点?

工事成績評定では、100点満点の採点システムが採用されており、基準となる基礎点は65点に設定されています。基礎点を起点として、工事の実施状況や成果に応じて加点または減点が行われ、最終的な評定点が算出される仕組みです。

実際の評定点の分布を見ると、江東区が公表した2022年度のデータによれば、土木工事での平均点は70.8点でした。また、より広範なデータとして、2003年度に完成した国土交通省直轄土木工事の工事成績評定では、平均点が73.6点を記録しています。

一般的な工事では基礎点から5〜8点程度の加点が行われ、70点前後の評定点が平均として見込まれます。

参照:令和4年度工事成績評定結果(平均点)の公表について)|江東区

参照:工事成績評定点の分布状況|国土交通省

工事成績評定で高得点を取る理由

工事成績評定で高得点を取ることは、事業にとってさまざまなメリットがあります。工事成績評定で高得点を目指す理由として次の内容が挙げられます。

  • 翌年度の入札で指名または参加資格獲得
  • 表彰される
  • 自治体のホームページで公表される

それぞれの詳細をみていきましょう。

翌年度の入札で指名または参加資格獲得

工事成績評定は入札参加資格の重要な判断基準です。国土交通省の指針によると、過去の成績が基準を満たさない業者は入札から除外されることがあります。

工事成績評定の目的は、建設業者に品質向上への取り組みを促すことです。工事成績評定の結果が一定水準を下回る場合、工事実績を有効な施工経験として認めないなどの措置が取られます。また、高得点は将来の入札で有利な条件を提供し、業者の格付けを向上させます。

表彰される

工事成績評定の評価基準は自治体によって異なりますが、一般的に80点以上の評定点を獲得した工事は優良工事として認められ、施工業者は優良事業者として認定されます。優良な工事成績を収めた建設業者に対しては、発注者によって表彰されます。表彰は単なる名誉以上の意味を持ち、企業の技術力や信頼性を対外的にアピールする重要な実績です。

一方、工事成績が著しく低い事業者に対しては、品質改善を促すための措置が講じられるため注意しなければなりません。改善計画書の提出が求められ、必要に応じて指導や監督が強化されるなど、工事品質の向上に向けた取り組みが要求されます。

工事成績評定制度は、優良事例の表彰と不良事例の改善指導を通じて、建設業界全体の品質向上を促進しています。

自治体のホームページで公表される

工事成績評定の結果は、透明性担保と情報公開の観点から、多くの自治体でホームページを通じて一般に公表されています。公表の対象となるのは、完了検査を実施した土木工事および建築設備工事で、それぞれの工事での評定結果が詳細に開示されます。

公表頻度は自治体によって異なりますが、一般的に四半期ごと、または毎月ごとに更新され、最新の評定結果の確認が可能です。工事名や施工者名、工期、請負金額、評定点などの情報が体系的に整理されて公開されています。

工事成績評定の結果が情報公開されることにより、建設業者の施工実績や技術力が広く周知されることがメリットです。高い評定点を獲得した工事実績は、企業の信頼性や技術力を示す客観的な指標であり、発注者や地域社会に対するアピールポイントとなることが見込まれます。

工事成績評定で高得点を取る方法

工事成績評定で高得点を取る方法として、次の内容が挙げられます。

  • 品質・出来形・施工管理が重要
  • 社内でのバックアップ体制を構築する
  • 報連相を丁寧に行う
  • 発注者と積極的に連絡を取る
  • 近隣住民に対して配慮をする
  • 加点のポイントを把握する

以下にそれぞれの詳細を解説します。

品質・出来形・施工管理が重要

工事成績評定で高得点を獲得するためには、配点比率の高い「品質」「出来形」「施工管理」の3項目に注力することが重要です。特に品質と施工管理の2項目だけで全体の30%以上を占めており、総合点に大きく影響します。

高得点獲得の基本的なアプローチとして、まず施工計画の立案や安全対策など、基本的な要件とされる項目を完璧に実施しなければなりません。できて当たり前の項目ですが、1つでも不備があると減点対象のため、確実な実施が求められます。

その上で、品質管理と施工管理に重点的に取り組むことが効果的です。この際には、品質管理基準の厳密な遵守、出来形管理の高精度な測定と記録、工程管理の徹底的な実施などが重要となることが見込まれます。

社内でのバックアップ体制を構築する

工事成績評定で高得点を獲得するためには、現場担当者個人の努力だけでなく、組織全体でのバックアップ体制が欠かせません。個人に依存した管理体制では、品質管理や書類作成の精度に限界があり、予期せぬ問題が発生した際の対応も困難となる可能性があります。

そのため、会社全体で支援体制を整備することを推奨します。過去の工事における提出書類や報告書のデータベース化を行い、誰でも必要な時に参照できる仕組みを構築することが効果的です。

また、現場担当者が困ったときに気軽に相談できる、あるいは改善提案を自由に行える組織風土づくりも重要です。オープンなコミュニケーション環境を整備し、問題の早期発見・解決や、業務改善のアイデアを積極的に取り入れることで、工事品質の向上と高評価の獲得につながります。

報連相を丁寧に行う

工事の成功と高い評定点の獲得には、基本的なコミュニケーションとなる報告・連絡・相談の徹底が不可欠です。個々の技術者の能力が高く、会社全体のサポート体制が整っていたとしても、基本的なコミュニケーションが機能していなければ、現場運営の効率性は大きく低下します。

小さな問題が報連相の不備により見過ごされ、後になって重大な問題へと発展するリスクとなりかねません。些細な品質上の懸念事項が適切に共有されないことで、手戻りや工期遅延などの深刻な事態を引き起こす可能性があります。

また、工事の完成までには、施工管理者、作業員、協力会社、監理者など、多くの関係者が携わります。そのため、日々の現場での確実な報告やタイムリーな情報連絡、適切な相談の実施が、円滑な工事進行と高品質な成果物の実現に重要な要素です。

発注者と積極的に連絡を取る

工事成績評定での高評価を得るには、発注者との密接なコミュニケーションが大切です。工事の成功は、単なる技術的な完成度だけでなく、発注者の要望や期待を的確に実現することにあり、要望をくみ取ることが高評価につながります。

自己判断や予測だけで工事を進めることは、重大なリスクを伴うため避けなければなりません。発注者と請負者の間で解釈の違いが生じた場合、手戻りや追加作業が発生し、請負者側に大きな負担がかかる可能性があります。

発注者からの指示を待つ受動的な姿勢ではなく、積極的に担当者とコミュニケーションを取ることがポイントです。定期的な進捗報告や相談を通じて、発注者の意図を正確に把握し、要望を確実に実現していくことが、高い工事成績評定の獲得につながります。

近隣住民に対して配慮をする

公共工事の本質的な顧客は、税金を負担する地域住民であると認識しておくことが大切です。特に工事現場の近隣住民は、工事による騒音や振動、粉塵、交通規制などの影響を直接的に受けるにもかかわらず、必ずしも工事完成による直接的な恩恵を受けるとは限りません。

近隣住民への十分な配慮は、工事成績評定での重要な評価項目です。具体的な対策としては、事前の工事説明会の開催、定期的な工事情報の提供、騒音・振動の低減策の実施、作業時間の配慮、清掃活動の徹底などが挙げられます。

近隣への配慮は、単なる評価のためだけでなく、工事をスムーズに進行させる上でも重要なポイントです。地域住民との良好な関係を築くことで、工事への理解と協力が得られ、結果として工期の遵守や品質の担保にもつながり、高い評定点の獲得に寄与します。

加点のポイントを把握する

工事成績評定での高得点獲得には、加点項目を十分に理解し、工事の計画段階から施工完了までの全過程でポイントを意識した取り組みを行うことが重要です。加点の対象となる項目は、品質向上への創意工夫、環境への配慮、安全対策の充実など多岐にわたります。

また、加点ポイントは地域によって異なることにも注意が必要です。例えば、東京都では脱炭素への取り組みが加点対象で、CO2削減に向けた施工方法の採用や環境負荷の少ない建設機械の使用などが評価されます。地域特有の評価基準を把握し、ポイントに応じた対策を講じることが高評価に欠かせません。

東京都における工事成績評定の加点要素

東京都の工事成績評定の加点要素として次の内容を紹介します。

  • 社会的貢献
  • 脱炭素の取り組み

それぞれのポイントを押さえておきましょう。

社会的貢献

東京都の工事成績評定における社会的貢献の評価基準は、細かく規定されており、具体的な加点要素が明確に示されています。社会的貢献の評価項目は、通常の技術的評価とは別枠で評価される付加的な取り組みが対象です。

主な評価対象として、公共事業のイメージアップに寄与する取り組み、地域社会への貢献活動、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムへの対応が含まれます。特に環境面では、地球環境保全への配慮が重視され、環境負荷の低減に向けた具体的な取り組みが評価される傾向です。

このように、社会的貢献の項目は基本的な技術力と成果の評価では対象とならない付加的な活動として位置づけられており、より高い評定点を目指す上で重要な要素です。

脱炭素の取り組み

東京都は2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を目標に掲げており、都の方針に沿って工事成績評定でも脱炭素への取り組みを加点要素として評価しています。具体的な加点方法は明示されていないものの、さまざまな脱炭素の取り組みが評価対象となることが公表されています。

実践的な取り組みとして挙げられるのは、建物の高断熱化によるエネルギー消費の削減、太陽光発電システムと蓄電池の併用による再生可能エネルギーの活用、また低炭素資材の使用などです。施策により、工事完了後の運用段階でCO2排出量削減が期待できます。東京都は工事成績評定を通じて、建設業界で脱炭素の取り組みを積極的に促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。

参照:2030年カーボンハーフに向けた取り組みの加速|東京都環境局

まとめ

本記事では、建設業界の方向けに東京の工事成績評定で高得点を取得する方法を解説しました。工事成績評定は、公共工事で活用されている品質評価システムです。工事発注者が工事完了時に、施工の出来栄えや技術提案の実施状況など、複数の評価項目で総合的に採点を行います。

工事成績評定は、主に「施工体制」「現場管理状況」「施工管理」の3つが大きな評価軸です。3つの評価軸は工事の品質と安全性を担保する上で重要な要素として位置づけられ、加点ポイントも高く設定されています。

高得点を取るためには3つの大きな評価軸に注力するとともに、社内でのバックアップ体制の構築や報連相の徹底など内部統制の力をつけることも重要なポイントです。

本記事では、工事成績評定で高得点を得るポイントや、東京都での加点ポイントも紹介しているため、優良企業としての認定を得るために取り組んでいる方は参考にしてみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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