セミナー情報

時計 2025/7/3 アップデート 2025/7/31

神奈川県の工事成績評定を解説!高得点を取るメリットやポイントについて

神奈川県では、工事成績評定で優秀な成績を出した企業をホームページで公表しています。工事成績評定で高得点を取ることは、建設業者にとって公共工事の受注を受けるためにも重要なポイントです。

本記事では、神奈川県の工事成績評定を解説しています。また、高得点を取るメリットやポイントも解説しているため、工事成績評定で高得点を得ることに取り組んでいる方は参考にしてみてください。

バナー

こんなお悩みを持つ 建設業界の企業様へ

脱炭素対策をこれから強化したい担当者様

CO2排出量管理の仕方を知りたい担当者様

Scope1,2,3まで正確に管理したい担当者様

工事成績評定とは

工事成績評定の概要、および工事成績評定がどのようなランク付けとなるのかをまずは解説します。

工事成績評定について

工事成績評定は、公共工事において広く採用されている評価制度です。工事成績評定では、工事の発注者が竣工時に工事の品質や出来栄え、施工プロセス、安全管理、工程管理など、さまざまな観点から総合的な評価を行います。

評定の目的は大きく2つです。1つは、請負工事の適正かつ効率的な施工を担保し、建設業界全体の技術水準の向上を図ることが挙げられます。もう1つは、請負業者の選定で客観的な指標として活用し、業者の育成・指導に役立てることです。

評価結果は、将来の工事発注での業者選定時に重要な判断材料とされ、優良な施工業者の育成にもつながっていることが特徴です。

また、評定結果は業者にフィードバックされ、技術力向上や品質改善の動機付けとしても活用されています。

工事成績評定点のランク

工事成績評定では、評定者が考査項目ごとに詳細な評価を行い、加点や減点を算出します。採点結果の合計を標準点である65点に加えた点数が、評定者の評定点です。

評定点に基づき、工事はA~Fの6段階にランク分けします。特にAランクは、他の工事の模範となる極めて優秀な施工と評価されるものです。

一般的な評点区分は以下の通りです

ランク 評定点 内容
A 80点以上 他の模範となる優秀な工事
B 75点以上80点未満 Aランクではないが、標準的な工事の中で優秀なもの
C 65点以上75点未満 標準的な工事
D 55点以上65点未満 Eランクではないが、今後改善すべき事項がある工事50点以上55点未満
E 50点以上55点未満 改善すべき事項が多い工事
F 50点未満 改善すべき事項が著しく多い工事

参照:神奈川県請負工事成績評定採点基準

 

企業にとってAランクの獲得は、技術力の高さを証明するとともに、企業イメージの向上や信頼性の担保につながる重要な成果となることが見込まれます。

工事成績評定のポイント

工事成績評定では、評価項目として次の内容が設定されています。

  • 施工体制
  • 施工状況
  • 出来形及び出来ばえ
  • 工事特性
  • 創意工夫
  • 社会性等

それぞれの項目のポイントをみていきましょう。

施工体制

工事成績評定での施工体制の評価は、「施工体制一般」と「配置技術者」の2つの大きな項目で構成されています。

施工体制一般では、工事着手前の施工計画書の提出や、元請業者による下請の作業成果の検査など、基本的な管理体制が適切に機能しているかが評価対象です。緊急時の対応体制も重要な評価ポイントで、災害や事故発生時の連絡体制や対応手順が明確に定められているかどうかが確認されます。

配置技術者の項目では、現場での作業に必要な作業主任者や専門技術者が適切に選任され、実際に配置されているかどうかが確認されるポイントです。また、技術者が現場で適切に指導・監督を行い、安全で質の高い施工を実現しているかも重要な評価対象とされています。

施工状況

工事成績評定での施工状況の評価は、施工管理、工程管理、安全管理、対外関係の項目で構成されています。

施工管理では、事前に提出した施工計画書に沿って工事が適切に実施されているかが重要な評価ポイントです。特に、出来形や品質に関して、計画書に記載された基準値や管理方法に従って随時確認を行うことが求められます。また、騒音・振動対策などの環境対策も適切に実施され、周辺住民への配慮がなされているかどうかも重要な確認項目となっています。

工程管理では、実施工程表の作成とそのフォローアップが不可欠です。計画と実績の差異を把握し、必要に応じて適切な対策を講じることが求められます。対外関係では、関係官公庁との必要な調整や協議が適切に行われているか、地域住民との良好な関係が保たれているか、第三者とのトラブルが発生していないかなどが評価対象です。

出来形及び出来ばえ

工事成績評定での出来形及び出来ばえの評価は、工事の種類によって評価項目が異なり、それぞれの工種に応じた特有の基準が設けられています。

基本的な評価では、設計図書と実際の施工物を照合し、寸法や数量などの出来形が適切であるか、また、規格を満足しているかどうかを確認しなければなりません。また、確認結果を示す書類も、不備なく整理されているかどうかが評価対象となります。

工種ごとの細かい項目として、例えば機械設備工事では、埋設部分など後から確認できない不可視部分について、施工段階での写真による記録が必要です。また、塗装管理基準や溶接管理基準に沿った施工が行われているかどうかも重要な評価ポイントです。

電気・通信設備工事では、測定機器のキャリブレーションが適切に実施されているかどうかも評価されます。測定値の信頼性を担保し、設備の性能を正確に評価するために不可欠な要素です。

工事特性

工事成績評定での工事特性の評価は、困難な状況下での施工に対して、適切に加点する評価項目です。

構造物の特殊性に関する評価では、高度な技術を要する特殊な構造物の施工や、特別な注意が必要な構造物の改修工事などが加点対象です。また、都市部での施工での交通規制や既存施設との調整、狭い作業空間での施工など、作業環境や社会条件への対応も重要な評価ポイントとされます。

自然条件への対応としては、軟弱地盤での施工、急峻な地形での作業、厳しい気象条件下での施工などが評価対象です。困難な条件に対して、適切な対策を講じ、安全かつ確実に工事を完遂したことが評価されます。

さらに、12ヶ月を超える長期の工事で、無事故で工事を完成させた場合も加点対象となり、長期にわたる安全管理の成果が評価ポイントです。

創意工夫

工事成績評定での創意工夫の評価は、施工者の技術力や工夫を積極的に評価し、建設業界全体の技術向上を促進することを目的としています。

施工面での創意工夫では、独自に開発した器具や装置の活用、コンクリート二次製品などの代替材の効果的な利用が評価対象です。特に、ICTを活用した情報化施工は、生産性向上や品質担保への貢献が高く評価され、より高い加点が設定されています。

安全管理面での創意工夫も重要な評価項目です。建設業労働災害防止に関する専門的知識を持つ講師による安全衛生教育の実施は、通常より高い加点ポイントが設定されており、労働安全衛生の向上への取り組みが重視されています。

品質担保に関する創意工夫も評価対象となり、独自の品質管理手法の開発や、効率的な検査方法の導入なども評価対象です。

社会性等

工事成績評定での社会性等の評価は、建設工事が地域社会に与える影響を考慮し、いかに調和のとれた施工を実現できているかを評価するものです。

周辺環境への配慮は重要な評価ポイントの1つです。具体的には、現場事務所や仮設施設の外観を周辺の景観に調和させる工夫、防音・防塵対策の徹底、工事車両の通行時間帯への配慮などが評価されます。また、仮囲いを活用した地域の情報発信や環境美化活動なども、周辺環境との調和を図る取り組みとして評価対象です。

地域とのコミュニケーションも重要な評価要素です。地域が主催する祭りやイベントへの参加、清掃活動への協力、現場見学会の開催など、地域住民との積極的な交流を通じて良好な関係を構築することが評価されます。社会性を高める活動は、建設工事に対する地域の理解を深め、円滑な工事進行にもつながっています。

工事成績評定で高得点を取得するメリット

工事成績評定で高得点を取得することで次のようなメリットが得られます。

  • 翌年度以降の入札に参加できる
  • 神奈川県から表彰される
  • ホームページに掲載される

それぞれの詳しい内容を解説します。

翌年度以降の入札に参加できる

工事成績評定の結果は、公共工事の入札参加資格に影響を与えます。国土交通省では、工事契約の指針として、工事成績評定結果の平均点が一定の基準点に満たない建設業者は、競争入札への参加を制限することを公表しています。参加制限は、品質の担保と技術力の維持向上を図るための重要な施策です。

入札時の格付けは、経営規模や技術者数などの客観的事項と、工事の施工能力や信頼性などの主観的事項を総合的に評価して決定されます。この主観的事項の重要な判断材料として、工事成績評定の結果が活用されています。工事成績評定で高得点を獲得することは、より上位の格付けを得られる可能性を高め、より大規模な工事や重要な案件への入札参加機会の拡大に欠かせない要素です。

神奈川県から表彰される

神奈川県では、県が発注した工事で特に優れた成果を上げた企業や技術者を対象に、さまざまな部門で表彰制度を設けています。高品質な施工や安全管理、地域への貢献などを実現した施工業者の努力を評価し、功績を讃えるための制度です。

表彰部門は多岐にわたり、工事の品質や安全管理を評価する基本的な部門に加え、地域貢献部門、地元活力部門、若手育成奨励部門など、建設業界の持続的な発展に寄与する取り組みも評価対象とされています。

表彰制度は単なる評価に留まらず、公共工事の発注者である県が、優れた施工業者の熱意と技術力に対して感謝の意を表明する重要な機会です。表彰を受けることは、企業の信頼性向上や技術力のアピールにもつながり、建設業界全体の品質向上を促進する効果も期待されています。

参照:神奈川県/神奈川県優良工事等表彰

ホームページに掲載される

公共工事で特に優れた成果を上げた工事は、施工業者が表彰されるとともに、内容が神奈川県のホームページに掲載されます。

掲載内容には、表彰式での礼状交付の写真とともに企業名が明記され、実施した工事名、企業の代表者名、工事を担当した主任技術者の氏名も公表されることが特徴です。単なる情報公開にとどまらず、優良な施工業者として社会的に認知される重要な機会の1つです。

ホームページでの公表は、企業の技術力や信頼性を広く社会にアピールする効果があり、企業価値の向上につながります。特に、新規顧客や取引先からの信頼獲得で、公的機関からの評価として大きな意味を持つことが見込まれます。

また、掲載される主任技術者にとっても、技術者としての実績として評価され、キャリア形成に良い影響を与えることもメリットの1つです。

工事成績評定で高得点を取るポイント

工事成績評定で高得点を取るには次のポイントに気を付けなければなりません。

  • 基礎的な不備をなくす
  • 考査項目別運用表を確認する
  • 加点を取る
  • コミュニケーションをとる

以下にそれぞれのポイントを詳しく解説します。

基礎的な不備をなくす

工事成績評定では、基礎点である65点を起点として、各項目の評価による加点と減点が行われ、最終的な評定点が決定されます。高得点を獲得するためには、まず施工体制の整備や安全管理など基本的な項目での減点を防ぐことが重要です。

発注者が用意している評価項目のチェックリストを事前に確認し、具体的に何が評価対象となるのかを把握しておくことで、必要な対策を計画的に実施できます。書類の不備や安全管理の不足など、基礎的な項目での減点は確実に防がなければなりません。

考査項目別運用表を確認する

工事成績評定の高得点獲得に向けて、発注機関の「考査項目別運用表」は極めて有用なツールです。運用表には細かな評価対象項目と具体的な判断基準が明示されており、活用することで効果的な対策を立てられます。

注意すべき点は、一部の評価項目では比較的少ない労力で加点を獲得できる可能性があることです。項目を見極め、効率的に対策を講じることで、限られたリソースで最大限の効果を得られます。

すでに高得点を獲得している事業者の取り組みを分析し、手法を学ぶことも効果的な戦略です。

加点を取る

工事成績評定で高得点を獲得するためには、評定項目の中で最も配点比率の高い「品質管理」と「施工管理」に特に注力することが重要です。2つの項目は評定点採点表で30%を超える配分となっており、2つの項目での高得点が全体の評価を大きく左右しかねません。

施工計画の綿密な立案とその確実な実施、徹底した品質管理、安全対策の確実な実行など、基本的な事項を完璧に遂行することが求められます。これらの項目は当然実施すべきと思われがちですが、確実な実施と記録の整備が高得点獲得の基盤です。そのため、それぞれの項目を丁寧に実施し、確実に記録を残していくことが重要です。

コミュニケーションをとる

工事成績評定で高得点を獲得するためには、関係者とのコミュニケーションが重要です。特に発注者とは積極的なコンタクトを心がけ、工事の進捗状況や課題に対して常に情報共有を行わなければなりません。仕様や品質に関する解釈の違いを早期に発見し、手戻りや追加コストを防げます。

また、近隣住民との良好な関係構築も重要です。公共工事の場合、実質的な顧客は税金を負担している地域住民であることを認識し、工事による影響を最小限に抑えるよう配慮しなければなりません。

まとめ

本記事では、建設業界の方に向けて神奈川県の工事成績評定を解説しました。工事成績評定は、公共工事において広く採用されている評価制度です。工事成績評定では、工事の発注者が竣工時に工事の品質や出来栄え、施工プロセス、安全管理、工程管理など、さまざまな観点から総合的な評価を行います。

神奈川県では、県が発注した工事で特に優れた成果を上げた企業や技術者を対象に、さまざまな部門で表彰制度を設けています。また、特に優れた成果を上げた工事は、神奈川県のホームページに掲載されることもメリットの1つです。

工事成績評定で高得点を取るポイントを4つ紹介しているため、優良企業としてさまざまな措置を受けるためにも参考にしてみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

タンソミル

お問合せはこちら

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

本ウェブサイトを利用される方は、必ず下記に規定する免責事項をご確認ください。

本サイトご利用の場合には、本免責事項に同意されたものとみなさせていただきます。当社は、当サイトに情報を掲載するにあたり、その内容につき細心の注意を払っておりますが、情報の内容が正確であるかどうか、最新のものであるかどうか、安全なものであるか等について保証をするものではなく、何らの責任を負うものではありません。

また、当サイト並びに当サイトからのリンク等で移動したサイトのご利用により、万一、ご利用者様に何らかの不都合や損害が発生したとしても、当社は何らの責任を負うものではありません。

TansoMiru製品サイトはこちら