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工事成績ランキングとは?工事成績優秀企業の平均点や各エリアごとの調べ方について

建設業界の方で、工事成績評定企業ランキングの制度概要や工事成績優秀企業になる条件などが気になっている方は多いのではないでしょうか。工事成績優秀企業となることで、さまざまなメリットを享受できます。

本記事では、工事成績評定企業ランキングについて解説しています。また、工事成績優秀企業の条件や優遇措置の内容も解説しているため、どのような企業が選定されるのかなど、情報として参考にしてみてください。

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工事成績評定企業ランキングとは

工事成績評定企業ランキングは、国土交通省が発注する公共工事の成績評定結果を基に、過去2年間に完成した土木工事の成績評定の平均点を算出し、企業を順位付けしたものです。

公共工事の品質を確保し、建設業界の健全な発展を促す制度で平成17年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」により、工事の品質向上の取り組みが強化されました。

工事成績評定企業ランキングは、工事の品質確保・向上を目指す中で、工事成績評定の透明性を担保し、民間事業者の技術力向上を図ることを目的としています。また、工事成績評定は、発注者が完成した工事の品質、出来栄え、施工体制、安全対策などを総合的に評価します。

この工事成績評定の評価結果に基づき、特に優れた成績を収めた企業を工事成績優秀企業として認定する制度が工事成績優秀企業認定です。工事成績優秀企業の認定は、企業の技術力を適切に評価し、その結果を積極的に活用することで、公共工事の品質担保を図ることが目的です。

ランキングの公表では、企業名、本社所在地、平均点を高い順に順位付けして公表します。透明性の高い評価・公表システムにより、建設企業の技術力向上や競争力強化が促進され、結果として公共工事の品質向上につながっています。

対象期間

工事成績評定企業ランキングは、地方整備局が発注した直轄土木工事を対象とし、過去2年間に完成した工事の成績を評価基準としています。評価対象となる企業には一定の実績要件が設けられていることが特徴です。

過去2年間に3件以上の工事を完成させた企業のみが対象で、これにより一定の施工実績と技術力を持つ企業が適切に評価されます。

ランキングの作成では、過去2年間に完成した土木工事それぞれの工事成績評定を実施し、その結果を基に企業ごとの平均点を算出します。平均点で算出することで、個々の工事の成績だけでなく、企業としての総合的な技術力や施工能力の評価が可能です。

対象工種

公共工事には様々な種類がありますが、工事成績評定では国土交通省によって定められている工事請負業者選定事務処理要領に規定された22工事種別のうち、下記の11工種が対象とされています。

  • 一般土木工事
  • アスファルト舗装工事
  • 鋼橋上部工事
  • セメント・コンクリート舗装工事
  • プレストレスト・コンクリート工事
  • 法面処理工事
  • 河川しゅんせつ工事
  • グラウト工事
  • 杭打工事
  • 橋梁補修工事
  • 維持修繕工事

また、地方整備局によっては港湾空港関係も含めている場合もあり、例えば中国地方整備局では次の工種を対象としています。

  • 空港等土木工事
  • 港湾土木工事
  • 港湾等しゅんせつ工事
  • 空港等舗装工事
  • 港湾等鋼構造物工事

九州地方整備局では、港湾空港関係は含めていないなど、それぞれの整備局によって対象が異なるため注意しなければなりません。

工事成績優秀企業とは

特に優れた成績を収めた企業は、工事成績優秀企業として認定されます。工事成績優秀企業と認定されるための各種条件は以下の通りです。

  • 工事成績評定の平均80.0点以上
  • 認定対象外となる事案
  • 工事成績優秀企業への措置

それぞれの内容を具体的に見ていきましょう。

工事成績評定の平均80.0点以上

多くの地方整備局では、平均80点以上の基準を工事成績優秀企業の認定条件として採用し、該当する企業を公表しています。平均80.0点以上を獲得できる企業は極めて高い技術水準を持っていると言えます

実際に江東区が開示した2022年度の土木工事平均点は70.8点、2003年度に完成した国土交通省直轄の土木工事平均点は73.6点でした。これは、80点以上の基準がいかに高いかを示しています。

実際の平均点の数値と比較すると、平均80点以上の基準は、一般的な工事成績評定の平均点を上回っており、工事成績優秀企業として認定されるためには、通常の施工水準を超える高い技術力と品質管理能力が求められていることが分かります。

出典:江東区/令和4年度工事成績評定結果(平均点)の公表について

出典:国土交通省/工事成績評定点の分布状況

認定対象外となる事案

過去2年の対象期間内に次の事案に該当した場合、認定対象外とみなされます。

  • 請負工事成績評定で65点未満となった場合
  • 文書注意もしくは指名停止の措置を受けた場合
  • 法令遵守違反、民事再生法の申請その他不適切な行為により無効とするべきと判断した場合

また、工事成績優秀企業の認定には1年間の適用期間が設定されており、管理と運用には厳格なルールが適用されます。認定された企業の有効期限は、優秀企業として認定された日から1年間です。

期間中、企業は工事成績優秀企業としての資格を保持し、名刺などへの表示が可能ですが、表示は1年間の適用期間内に限って認められています。主任技術者や監理技術者の名札、および工事現場への標示は、有効期限内に契約を締結した工事が完成するまでの期間、表示の継続が可能です。

この適用期間中であっても、認定対象外となる事案が発生した場合には、即時に工事成績優秀企業としての資格は失効します。資格失効は、優秀企業としての高い技術水準を維持するための厳格な措置です。

工事成績評定で低い評価を受けることや、文書注意を受けた企業を認定対象外とする厳しい措置は、建設業界にとって品質管理がいかに重要かを示している事案と言えます。

工事成績優秀企業への措置

工事成績優秀企業に認定された企業には、多くの優遇措置や特典が与えられます。1つ目の特典として、工事成績優秀企業認定ロゴマークの使用が可能となります。ロゴマークは、主任技術者や監理技術者の名札、企業の名刺などに表示でき、優秀企業としての証となります。

また、実務面での特典として、地方整備局および事務所が発注する土木工事で、原則として中間技術検査が減免されます。ただし、低入札価格調査制度の対象となった工事や監督強化価格対象工事は、減免措置の対象外です。

さらに、地方整備局および事務所が発注する土木工事の総合評価落札方式で、企業能力の評価項目として活用されます。このため、新規工事の入札での優位性が期待できます。ただし、評価の適用は対象工種に限定されており、全ての工事に適用されるわけではありません。

工事成績優秀企業の措置は、優れた技術力を持つ企業を評価・支援するとともに、建設業界全体の品質向上を促進する効果があります。

各エリアごとの工事成績ランキングの調べ方

ここでは、北海道から沖縄までのそれぞれのエリアを管轄する局の解説をすると共に、各局の工事成績優秀企業をご紹介します。

エリアごとに対象となる都道府県や上位企業の紹介、工事成績優秀企業への措置と期間、資格失効の条件などを解説するため、自社の該当するエリアの条件を参考にしてみてください。

北海道開発局

北海道開発局では、年に1度、他の模範となるような優秀な工事や業務を施工・実施した企業と技術者を表彰する制度を設けています。表彰は局長や開発建設部長などによって行われ、優れた実績を持つ企業を公式に認定するものです。

工事成績が優秀と認められた企業には、総合評価方式の入札での加点や中間技術検査の減免など優遇措置が与えられ、今後の受注機会拡大につながるメリットがあります。

実績が顕著な企業として、4年連続で選ばれている企業は次の10社があります。

  • 株式会社土屋工業
  • 株式会社森川組
  • 株式会社田中組
  • 坂野建設株式会社
  • 新谷建設株式会社
  • 市橋建設株式会社
  • 小針土建株式会社
  • 日本高圧コンクリート株式会社
  • 阿部建設株式会社
  • 一二三北路株式会社

このように、多くの企業が選出されているということは、北海道の建設業界の高い技術力と信頼性を示していると言えます。

関東地方整備局

関東地方整備局は、茨城県や栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県の広範な地域が管轄対象です。工事成績の上位企業として、阿部建設株式会社と株式会社小池組がともに82点の高得点で選出されています。他にも多くの優秀企業が選ばれており、関東地方の建設業界における技術力の高さを示しています。

関東地方整備局での工事成績優秀企業は、中間技術検査の省略が認められるほか、総合評価方式の入札において企業評価が優位になることなどが特典です。優秀企業はその後の事業展開でも有利な立場を得られます。

中部地方整備局

中部地方整備局は、岐阜県、富士川流域を除く静岡県、愛知県、木津川および熊野川流域を除く三重県、長野県が管轄です。中部地方整備局管轄の地域の工事成績評価では、株式会社加藤建設と株式会社塩谷組など81点の高得点で上位企業として認定されている企業が多くあります。

中部地方整備局において工事成績が優秀と評価された企業には、認定ロゴマークの使用が許可されるほか、総合評価落札方式における資格審査の評価項目として加点措置などの優遇措置が設けられています。認定により、企業の信頼性や評価が高まり、今後の入札でも有利に働くことが特徴です。

一方、資格の失効条件も明確に定められており、工事成績評定で65点未満の評価となった場合や、中部地方整備局発注工事で事故等で文書注意以上の措置を受けた場合、その他法令順守違反などの不適切な行為があった場合には資格失効の対象です。

北陸地方整備局

北陸地方整備局は、新潟県や富山県、石川県、山形県、福島県、長野県、岐阜県、福井県の地域を管轄しています。北陸地方整備局の工事成績評価では、会津土建株式会社と相村建設株式会社がともに81点の高得点で上位企業に選出されています。

北陸地方整備局において優秀企業として認定された場合、次のような様々な特典が与えられます。

  • 工事成績優秀企業認定シール(ヘルメット用)
  • ピンバッジの使用
  • 工事成績優秀企業認定ロゴマークを主任(監理)技術者の名札への使用
  • 企業の名刺、建設現場への標示などに使用
  • 中間技術検査の減免措置

有効期間は1年間に限定されており、北陸地方整備局等発注工事の工事成績評定点が65点未満、法令遵守違反などの不適切な行為があった場合などには資格が失効するため注意が必要です。

近畿地方整備局

近畿地方整備局は、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県・福井県の全域と三重県の一部地域が管轄です。八田建設株式会社が84点、株式会社長村組が83点と特に高い評価を獲得し、上位企業として認定されています。

近畿地方整備局において工事成績優秀企業として認定された企業には、3つの主要な優遇措置が適用されます。まず「認定ロゴマークの使用」が許可され、企業のブランド価値向上に寄与します。次に「総合評価における評価点の加算」により、今後の入札で有利な立場を得られます。さらに「中間技術検査の減免」によって、検査の負担が軽減されます。

一方で、この認定の有効期限は1年間に限られており、適用期間内に欠格要件に該当する事案が発生した場合には、それ以降、工事成績優秀企業としての資格が失効します。

中国地方整備局

中国地方整備局は、中国地方の5県を管轄区域としています。ただし港湾・空港関係のうち下関市は九州地方整備局の管轄です。工事成績評価で、株式会社荒木組と占部建設工業株式会社がともに82点の高得点で上位企業として認定されています。

工事成績優秀企業の認定条件は、中国地方整備局発注工事で過去2カ年度に完成した直轄土木工事の実績を3件以上有し、かつその対象工事の平均点が80点以上となる企業と明確に定められています。

認定された企業には、中間技術検査の実施回数の減免、総合評価方式の評価基準としての活用、企業の名刺や建設現場等へのロゴマークの使用など様々な優遇措置が1年間与えられることが特徴です。

他の地域の整備局同様に、請負工事成績評定で65点未満となった場合、文書注意もしくは指名停止の措置を受けた場合、その他法令遵守違反があった場合には認定資格が失効します。

四国地方整備局

四国地方整備局は、四国4県の河川や道路、港湾・空港、まちづくりなどを担当しています。災害に強く、持続可能な活力ある地域づくりを行うための重要な役割を担っており、質の高い社会インフラ整備に貢献しています。

四国地方整備局では、青葉工業株式会社と株式会社愛橋がともに82点の高得点で上位企業として認定されています。四国地域のインフラ整備で優れた技術力と実績を持っていることが評価されています。また、四国地方整備局では、工事成績優秀企業として認定された企業には、認定日から次の内容で1年間の特典が与えられます。

  • 中間技術検査の減免が1回認められる
  • 認定ロゴマークの使用

これらの得点により企業の信頼性や評価が高まり、ブランド価値の向上にもつながります。一方で、対象期間内および認定授与式までの間に、文書注意若しくは指名停止等を受けるなど認定するにふさわしくない行為があった企業は認定の対象外です。

九州地方整備局

九州地方整備局は、沖縄県を除く九州地方7県を管轄しています。また、港湾事業では山口県下関市も管轄区域に含まれています。広範な地域のインフラ整備を担う重要な機関です。九州地方整備局の地域の工事成績評価では、株式会社荻島組と木原建設株式会社がともに83点の高い評価を獲得し、上位企業として認定されています。

九州地方整備局において工事成績優秀企業として認定された企業には、認定ロゴマークの使用許可、中間技術検査の減免、九州地方整備局および事務所が発注する土木工事における総合評価落札方式の企業能力の評価項目として活用される優遇措置が与えられます。特典は優秀企業と認定された後の1年間有効です。

一方で、九州地方整備局発注工事の請負工事成績評定で65点未満となった場合や、文書注意もしくは指名停止の措置を受けた場合、その他法令遵守違反などの不適切な行為があった場合には資格が失効します。

沖縄総合事務局

沖縄総合事務局では企業のランキング形式ではなく、それぞれの公共工事に対して成績評定点通知書の形で個別に評価が通知される方式を取っています。評価制度は沖縄県内の地域を対象としており、地域の特性に合わせた公共工事の品質担保を目的としています。

成績評定点通知書の内容は、その後の総合評価方式の運用に大きな影響を与える重要な指標です。

成績評定点通知書の内容が総合評価方式の加点に影響を与えると同時に、65点以下の評価を受けた企業は以降の入札に参加できないなど厳格な基準が設けられていることが特徴です。一定水準以上の技術力と品質を持つ企業のみが公共工事に携われる仕組みとなっており、沖縄における公共工事の品質担保につながっています。

まとめ

本記事では、建設業界の方向けに工事成績評定企業ランキングを解説しました。工事成績評定企業ランキングは、公共工事の品質担保と建設業界の健全な発展を促進することを目的とした制度です。

工事成績評定の評価結果に基づき、特に優れた成績を収めた企業を工事成績優秀企業として認定する制度が設けられています。工事成績優秀企業に認定された企業には、複数の優遇措置や特典が与えられ、中間技術検査の減免や企業能力の評価項目としての活用などさまざまなメリットがあることが特徴です。

また、北海道から沖縄までそれぞれの地域を管轄する地方整備局の工事成績優秀企業をご紹介すると共に、各地域の上位企業や失効要件なども紹介しているため参考にしてみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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