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福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の工事成績評定における脱炭素の加点について解説!

福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の工事成績評定は、地域ごとに特徴があり、特徴を押さえた対策を取ることで高得点獲得を狙えます。また、近年は脱炭素に対する対策も評価対象となるように変更されてきました。

本記事では、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の工事成績評定の特徴を詳しく解説しています。また、それぞれの地域のランキング上位3社も紹介しているため、自社の取り組みとあわせて参照してみてください。

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工事成績評定実施基準とは

まずは、工事成績評定がどのような仕組みかを知っておく必要があります。工事成績評定の評価結果は公共工事の入札参加資格や落札者の決定に大きく影響を与えます。高得点獲得のコツもあわせて紹介していますので参照してみてください。

工事成績評定はどんな仕組みか

工事成績評定は、公共工事における事業者の施工品質や技術力を客観的に測定する評価制度です。平成21年度の制度改革により総合評価落札方式が導入されたことで、従来の価格競争から脱却し、技術提案力や環境配慮などの多面的な要素を重視する総合評価システムへと発展しました。

評価範囲は環境保全への取り組みや資源の有効活用まで拡大され、社会的責任を果たす企業が適切に評価される仕組みです。評定基準は詳細な項目設定により公正性を担保し、優秀な実績を持つ事業者には優遇制度が設けられています。

工事成績評における高得点獲得のコツ

工事成績評定で高得点を獲得するには、評価項目の中でも点数の割合が高い、施工の基本要素である品質管理と出来形精度、そして適切な施工管理が最重要です。特に優秀な評価を目指す際は、基礎工事などの根幹部分を確実に仕上げることが評点向上のポイントです。

仮に期待した成果が得られなかった場合でも、原因を徹底的に検証し、同様の問題の再発防止策を講じる継続的改善の姿勢が求められます。

また、現場責任者のみに依存するのではなく、組織全体で技術支援や情報共有を行う体制整備も欠かせません。

工事成績評定にも関連する脱炭素

工事成績評定制度における脱炭素の取り組みは、建設業界の環境対応を促進する重要な仕組みとして位置づけられています。国は、企業による環境配慮材料の技術革新を後押しするため、経済的インセンティブと明確な目標設定を組み合わせた制度設計が進められており、技術開発から普及までの好循環を目指しています。

2027年からは新たな表彰制度と評定優遇措置が導入される予定で、脱炭素への取り組みがより具体的に評価されます。また、排出量取引制度の価格水準を参考とした基準設定により、グリーンスチールや低炭素アスファルトなどの環境配慮型建材の段階的な標準化が推進される予定です。

工事成績評定制度により建設現場全体の脱炭素化が加速し、持続可能な建設業界の実現が期待されています。

出典:国土交通省/国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン

福岡県・佐賀県・長崎県・大分県における工事評定の特徴

九州地方整備局が管轄する福岡県・佐賀県・長崎県・大分県における工事評定の特徴は次の通りです。

特徴
福岡県 工事特性や創意工夫に対する加点制度
法令違反項目の厳格な設定
佐賀県 独自性と地域連携を評価
技術的難易度を6段階で評価
長崎県 創意と社会貢献を重視
細分化された評価基準による多面的な施工評価
大分県 バランス型評定方式
大分県型評価フレーム

各地域の特徴を抑えることで、高得点を狙えます。それぞれの地域の特徴を詳しく解説します。

【福岡県】工事成績評定の特徴

福岡県の工事成績評定は、工事特性や創意工夫に対する加点制度の明確化が特徴として挙げられます。また、法令違反に対する減点が厳格な設定により運用されていることにも注意しなければなりません。

それぞれの特徴と、ランキングの上位3社を紹介します。

工事特性や創意工夫に対する加点制度の明確化

福岡県の工事成績評定制度は、工事特性や創意工夫の両面を重視した評価体系を構築しています。施工難易度、企業独自の技術革新、地域社会への貢献それぞれの加点要素を明確に分離し、それぞれの特性に応じた評価基準を設定している点が特徴的です。

特に企業のノウハウや創意工夫は、工事の複雑さに依存しない技術提案力を評価する仕組みとなっており、中小企業でも独創的なアイデアで高評価を獲得できる機会を提供しています。

地域貢献項目では減点要素を排除し、積極的な社会活動のみを評価対象とすることで、建設企業の地域密着型経営を促進しています。

減点対象としての法令違反項目の厳格な設定

福岡県の工事成績評定制度では、法令遵守を重要課題として位置づけ、違反行為に対する厳しい減点システムを導入しています。建設業界における法的義務の履行や労働環境の適正化、安全対策の徹底など、基本的なコンプライアンス違反に対しては最大20点の大幅な減点措置が科せられる仕組みです。

技術力や施工効率だけでなく、企業の社会的責任と倫理観が評価の中核要素として扱われています。法令違反による減点幅の大きさは、建設企業に対して適切な企業統治と法的責任の重要性を強く意識させる効果があります。

法令遵守の厳格な運用により、福岡県では技術力と倫理性を兼ね備えた優良な建設企業の育成と、建設業界全体の信頼性向上を目指しています。

福岡県の工事評定成績ランキング

福岡県の工事評定成績ランキング上位3社は次の通りです。

  1. (株)荻島組
  2. 木原建設(株)
  3. 松山建設(株)

荻島組は持続可能な開発目標の推進と地域社会への貢献を重視し、建築部材の標準化と軽量化技術により経済性と品質の両立を実現している点が特徴的です。木原建設は築後地方を基盤とした公共インフラ整備の専門企業として、国や地方自治体からの信頼を築き上げてきました。

松山建設は長年培った技術力を基盤に、再生可能エネルギー分野への展開を図り、太陽光発電やバイオマス発電といった環境配慮型事業も手がけています。

上位3社の企業は技術力向上だけでなく、地域密着型経営と環境への配慮を実践することで、福岡県の評定制度が重視する総合的な企業価値を体現しています。

【佐賀県】工事成績評定の特徴

佐賀県の工事成績評定の特徴は次の通りです。

  • 独自性と地域連携を評価する加点方式の導入
  • 技術的難易度を6段階で評価する独自の補正制度

それぞれの特徴を詳しく解説します。

独自性と地域連携を評価する加点方式の導入

佐賀県の工事成績評定制度は、従来の技術評価に加えて企業の創造性と地域協調性を重視した評価システムを構築しています。施工における革新的な取り組みや先進技術の活用といった創意工夫と、地域行事への参画や安全啓発活動などの社会貢献活動を、明確な基準で数値化して評価する仕組みが特徴的です。

工事の完成度だけでなく、施工プロセス全体における企業の姿勢や地域社会との関係性が評価されます。建設企業に対して技術力向上と同時に地域密着型の経営戦略を促進し、工事現場が地域コミュニティと調和した存在となることを目指しています。

技術的難易度を6段階で評価する独自の補正制度

佐賀県の工事成績評定制度では、工事現場の複雑さを客観的に測定する補正制度が導入されています。構造物の技術的複雑性、自然環境による制約、社会的条件への対応という多角的な視点から、6段階の詳細な評価基準を設定し、現場監督者に要求されるマネジメント能力を評価している点が特徴です。

地下水処理や周辺住民との協議、各種関係機関との調整業務など、工事遂行において発生する様々な課題要素が体系的に整理され、チェックリスト形式で定量化されている点もポイントです。

補正制度により、同一の成績評定であっても工事条件の違いによる施工難易度の差異が適切に考慮され、より公正で精緻な事業者評価が実現されています。

佐賀県の工事評定成績ランキング

佐賀県の工事評定成績ランキング上位3社は次の通りです。

  1. (株)大同工務店
  2. (株)上滝建設
  3. (株)大和建設

佐賀県首位の大同工務店は、半世紀以上にわたる基礎工事の専門技術を核とした企業です。超高周波バイブロなどの先進機械を活用した杭打ち工事から事業を発展させ、総合建設業としての地位を確立しています。

上滝建設は土木・建築の両分野における総合的な施工能力と最新技術の導入により、地域住民の安全で快適な生活環境の実現を使命として取り組んでいます。大和建設は建設業を自然災害から国民を守る社会的防衛システムとして位置づけ、強い使命感を持って事業に取り組んでいる点が特徴的です。

【長崎県】工事成績評定の特徴

長崎県の工事成績評定の特徴は、創意と社会貢献を重視している点と細分化された評価基準の二つが挙げられます。

長崎県の成績上位3社の特徴も紹介していますので、取り組みの内容なども参照してみてください。

創意と社会貢献を重視した独立加点の評価軸

長崎県の工事成績評定制度は、創意工夫と社会貢献を明確に分離した二軸評価システムにより、建設企業の総合的な価値創造能力を測定しています。創意工夫の評価は技術改良や効率化提案、安全対策の独自性などが重視され、社会性評価は地域活動への参加や周辺住民との良好な関係構築が加点対象です。

各評価軸に設定された最大5.7点(創意工夫)、5.2点(社会性等)の具体的な点数配分により、企業が持つ技術開発力と地域協調性の両面が数値化され、従来の完成品質評価だけでは見えない企業の潜在能力が適切に評価される仕組みとなっている特徴があります。

工事の施工プロセス全体における企業の取り組み姿勢と地域社会への貢献度が可視化され、長期的な地域発展に寄与する建設企業の育成が促進されています。

細分化された評価基準による多面的な施工評価

長崎県の工事成績評定制度は、建設工事における多面的な要素を細分化した評価システムを構築しています。施工体制の整備から社会貢献まで7つの主要評価項目を設定し、さらに各項目を詳細な下位基準に分割することで、建設企業の総合的な能力を精密に測定しています。

特に施工状況の評価では、技術的な管理能力だけでなく工程調整力や安全配慮、関係者との協調性といった現場監督者のソフトスキルまでが数値化される点が特徴的です。

また、法令違反に対する減点制度を導入することで、企業のコンプライアンス意識と倫理観を評価の根幹に据えています。

長崎県の工事評定成績ランキング

長崎県の工事評定成績ランキング上位3社は次の通りです。

  1. (株)大島造船所
  2. 本田建設(株)
  3. (株)荒木組

大島造船所は中小型貨物船建造における卓越した技術水準を基盤とし、挑戦的な姿勢で新たな視点を追求する企業文化と、造船業から農産事業への多角化展開が特徴的です。本田建設は国土交通省からの優良施工業者表彰実績とエコアクション21認証取得により、技術力と環境配慮の両面での評価を確立しています。

荒木組は半世紀以上の歴史を持つ地域密着型企業として、公共事業を幅広く手がけています。建設業界のデジタル変革にも積極的に対応し、最新技術の導入により施工品質と安全性の向上を図っていることも特徴的です。

上位3社の企業は伝統的な技術基盤を維持しながらも革新的な取り組みを継続することで、長崎県の評定制度が重視する技術力、環境配慮、地域貢献の全領域において優秀な評価を実現しています。

【大分県】工事成績評定の特徴

大分県の工事成績評定特徴は次の通りです。

  • 複数評価者と配点比率で構成されるバランス型評定方式
  • 創意と地域対応を“加点で拾う”大分県型評価フレーム

それぞれの内容を解説します。

複数評価者と配点比率で構成されるバランス型評定方式

大分県の工事成績評定制度は、複数の評価者による多角的な視点と科学的な重み付けシステムを組み合わせた客観性重視の評価方式を採用しています。監督員と各種検査員の異なる立場の専門家が独立して評価を行い、それぞれの評価結果に適切な配点比率を設定することで、単一視点による評価の偏りを効果的に排除していることが特徴です。

加重平均による総合評価方式により、工事の各段階における多面的な観点からの公正な評定が実現されています。さらに、法令違反に対する別途減点制度を導入することで、技術的な優秀さだけでなく企業の倫理観とコンプライアンス意識も評価の重要要素として位置づけています。

創意と地域対応を“加点で拾う”大分県型評価フレーム

大分県の工事成績評定制度は、企業の創造性と地域貢献を積極的に評価するポジティブな加点システムを核とした評価精度も特徴の一つです。創意工夫と社会性において、創意工夫(最大+7点)」および「社会性等(最大+10点)とそれぞれ異なる配点を設定し、技術革新への挑戦と地域社会との協調を数値的に可視化する仕組みです。

大分県の工事成績評定制度は全ての項目が加点方式で運用されているため、企業の積極的な取り組みが直接評価結果に反映され、継続的な改善意欲と地域密着型経営の推進が促進されています。

大分県の工事評定成績ランキング

大分県の工事評定成績ランキング上位3社は次の通りです。

  1. 朝日工業テクノス(株)
  2. (株)風戸工務店
  3. (株)菅組

朝日工業テクノスは創業から半世紀以上にわたり道路インフラ整備を専門とした企業です。国民共有資産である道路の維持管理を使命として地域に根ざした施工体制を構築しています。

風戸工務店は昭和30年代からの歴史を持ち、土木・建築の設計施工を基盤として造園や上下水道まで幅広い分野に事業領域を拡大し、総合的な社会基盤整備を担っています。菅組は昭和初期の創業と長い歴史を持ち、時代変化に対応した事業多角化により総合建設業としての実績を積み重ねています。地域材を活用した木造建築分野でも優秀な評価を獲得している企業です。

まとめ

本記事では、建設業界向けに福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の工事成績評定の特徴を解説しました。工事成績評定は、公共工事における事業者の施工品質や技術力を客観的に測定する評価制度です。

国は、企業による環境配慮材料の技術革新を後押しするため、経済的インセンティブと明確な目標設定を組み合わせた制度設計が進められており、技術開発から普及までの好循環を目指しています。

福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の工事成績評定の特徴のほか、各地域のランキング上位3社も紹介しているため、工事成績評定で高得点を目指している方は参照してみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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