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京都府、兵庫県、滋賀県の工事成績評定における脱炭素の加点について解説!

建設業のCO2削減が必要とされる中、脱炭素の取り組みが工事成績評定における評価ポイントとなっていることが注目されています。

評価ポイントの確認のためのチェックリストが用意されており、このチェックリストの活用や新技術の積極的採用によって、工事成績評定で高得点の獲得も可能です。本記事では、建設業界向けに京都府、兵庫県、滋賀県の工事成績評定における特徴を解説しています。工事成績評定の高得点獲得を狙っている方は参照してみてください。

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工事成績評定実施基準について

工事成績評定とは、公共工事における施工者の技術力、出来映えを評価する制度であり、評定結果が入札や契約に影響を与えるため、建設業にとって重要な指標です。

工事成績評定の実施基準について、仕組みや高得点を獲得するポイントを解説します。

工事成績評定の仕組み

工事成績評定は、標準となる65点を基準として、工事の各側面を総合的に判断し、最終的に100点満点で評価が決定される仕組みです。

評価の基準は自治体ごとに若干の違いがありますが、一般的には80点を超える評価を獲得できれば、質の高い工事として認定されます。高い評価を得た建設業者は優良企業として位置づけられ、今後の入札参加で競争上の優位性を確保できることが特徴です。

評価対象となる項目は幅広く設定されており、工事現場の管理体制から施工プロセス、完成品の精度、独創的な技術の導入、地域社会への配慮まで多角的に審査されます。

工事成績評で高得点を獲得するポイント

工事成績評定で高得点を獲得するポイントは次の通りです。

  • 発注者が公開するチェックリストの活用
  • 書類の正確な作成
  • 基礎的な項目を落とさない
  • 新技術活用による加点

評価に使用されるチェックリストは、考査項目別の運用基準と施工過程における確認事項の二つの評価軸で構成されています。評価基準は国土交通省が定めた標準的な枠組みを基礎としていますが、実際の運用では各自治体が独自の判断で配点調整を行うことがあり、地域特性に応じた対応が必要です。

高評価を実現するための最も重要な戦略は、現場管理体制の構築や作業安全の確保など基本的な要求事項において評価を下げる要因を徹底的に排除することです。また、積極的な加点要素として、新技術情報提供システムに登録された革新的技術の導入が有効であり、最大で3点の追加評価を獲得できます。

工事成績評価加点制度において脱炭素が評価される背景

工事成績評価において脱炭素への取り組みが評価されるようになった背景には、建設業界が直面する環境課題への対応が社会的に重要視されていることがあります。

省エネルギー性能に優れた空調システムの導入や、太陽光発電などの再生可能エネルギーの積極的な活用などが評価対象です。脱炭素への取り組みは、工事期間中の環境負荷削減だけでなく、完成後の建築物の長期的な環境性能向上にも寄与します。

脱炭素への取り組みが評価される動向を示す代表例として、東京都が2023年1月に発表した施策があります。この施策では、総合評価による工事発注で、SBTやエコ・ファースト制度への参加を技術評価の加点要素として組み込むことが明確にされています

出典:東京都交通局/東京都交通局技術力評価型総合評価方式試行要綱

京都府・兵庫県・滋賀県における工事評定の特徴

近畿地方整備局が管轄する京都府・兵庫県・滋賀県の工事評定の特徴は次の通りです。

特徴
京都府 設計業務に特化した評定項目
役割別評価者による多面的な成績評定
兵庫県 工事種別と金額に応じた柔軟な評定対象の設定
点数制度に基づく加点・減点
滋賀県 地域貢献・工夫を反映する加点型評価
中間・完了検査を反映する多段階評価

それぞれの自治体の特徴を、さらに詳しく解説します。

【京都府】工事成績評定の特徴

京都府の工事成績評定の特徴は、次の2つが挙げられます。

  • 設計業務に特化した評定項目と加点・減点の運用
  • 役割別評価者による多面的な成績評定の仕組み

特徴の詳細を解説します。

設計業務に特化した評定項目と加点・減点の運用

京都府の工事成績評定制度は、設計業務に対する独自の評価体系を構築している点が特徴です。設計分野の専門性を重視し、将来の建設工程を見据えた配慮や費用算定の精度といった設計業務特有の能力を評価対象として位置づけています。

京都府の評価制度の特徴は、設計業務のみを対象とした専門的な評点システムを独立して運用していることです。通常の工事評価とは異なる視点から、設計者の専門技術力や実務能力を審査する仕組みが整備されています。

評価は、創造的な提案能力や業務改善への取り組みなどのプラス要素と、品質上の欠陥や損害賠償の発生といったマイナス要素が体系的に分類されています。各評価項目は数値化された基準に基づいて客観的に算出され、評価者の主観に左右されにくい精密な評価システムが確立されていることも特徴です。

役割別評価者による多面的な成績評定の仕組み

京都府の工事成績評定制度では、単一の評価者による判断ではなく、異なる専門性と責任範囲を持つ複数の評価者が関与する評価体系を採用しています。主任監督員や総括監督員、検査員など異なる役職がそれぞれ独立した立場から評価を実施することで、評価の客観性と信頼性を高めていることが特徴です。

各評価者の判断を単純に平均化するのではなく、業務の性質や評価項目の重要度に応じて異なる重要度係数を適用します。最終的な評価は、重み付けされた評価を統合した加重平均値として算出されます。

重み付けの手法により、各評価者の専門分野における知見が適切に反映され、業務の多様な側面に対して総合的な評価が可能です。

京都府の工事評定成績ランキング

京都府の工事評定成績ランキングの上位3社は次の通りです。

  1. 酒井工業株式会社
  2. 株式会社仁木総合建設
  3. 明清建設工業株式会社

最上位にランクされる酒井工業株式会社は、橋梁やコンクリート構造物の維持管理分野に特化した専門技術を有しており、老朽化したインフラの早期診断から適切な補修・補強まで一貫したサービスを提供しています。

仁木総合建設は京都を拠点としながら全国規模でのインフラ整備事業を展開している企業です。公共工事が社会形成に与える影響を深く理解した上で、時代の変化に対応した革新的な取り組みを継続的に実践しています。

明清建設工業株式会社は道路建設を主軸とし、幹線道路から地域密着型の生活道路まで幅広い道路インフラの整備を担当しています。自社プラントでの厳格な品質管理体制により、高品質な建設資材の製造販売も手がけ、工事全体の品質向上に貢献している企業です。

【兵庫県】工事成績評定の特徴

兵庫県の工事成績評定の特徴として、工事種別と金額に応じた柔軟な評定対象の設定があります。また、点数制度に基づく加点・減点項目と実施状況の記録様式も特徴の一つです。

それぞれの内容を解説します。

工事種別と金額に応じた柔軟な評定対象の設定

兵庫県の工事成績評定制度は、画一的な評価基準ではなく、工事の性質と規模に応じた柔軟な運用体制を特徴としています。請負金額500万円以上の工事を評定対象の基本とする一方で、工事の種類によっては評価対象から除外する方針です。

維持修繕工事は、新規建設工事とは異なる技術的要求や工期設定があることを考慮し、特定の条件を満たす場合には評定を実施しません。

また、非常災害復旧工事も同様の配慮がなされており、緊急性や特殊な施工環境を勘案した評価の省略措置が設けられています。通常の施工条件とは異なる状況下で実施される工事に対して、標準的な評価項目での審査が適切でない場合があることを制度的に認識した対応といえます。

点数制度に基づく加点・減点項目と実施状況の記録様式

兵庫県は革新的な技術導入や地域社会への貢献、法規制の適切な遵守など多様な評価要素について、具体的な加点・減点基準を設定し、評価者による判断のばらつきを最小限に抑えていることが特徴です。

評定表には単純な点数だけでなく、詳細な評価コメントや判断根拠を記録する専用欄が設けられている点も注目すべきポイントです。数値による定量的評価と文章による定性的評価が結合され、評価の説明責任と納得性が向上しています。

評価プロセスは、各評価項目に対して設定された配点比率と、段階的評価(S・A・B・C・Dなど)を数値に変換する明確な換算基準が適用されていることも特徴です。

兵庫県の工事評定成績ランキング

兵庫県の工事評定成績ランキングの上位3社は次の通りです。

  1. 株式会社松本組
  2. 株式会社香山組
  3. 株式会社坂本建設

首位に位置する松本組は、1905年の創業から120年近くの歴史を有する老舗建設企業として、長年にわたって蓄積された技術力と顧客からの信頼関係を基盤としています。松本組は近畿地方整備局管内全体での最高評価を獲得する実績を誇り、業界内での技術的優位性を明確に示しています。

香山組は総合建設業として土木・建築の両分野で豊富な施工実績を重ね、道路整備や橋梁建設、トンネル工事などの重要な都市基盤施設の構築を通じて地域住民の生活環境向上に貢献している企業です。

坂本建設は昭和36年の設立以来、地域密着型の事業展開を継続しています。2011年からは全社員参加による環境活動評価システムへの取り組みを開始し、環境負荷削減と資源循環型社会の実現に向けた先進的な企業活動を実践しています。

【滋賀県】工事成績評定の特徴

滋賀県の工事成績評定には、次の特徴があります。

  • 地域貢献・工夫を反映する加点型評価の仕組み
  • 中間・完了検査を反映する多段階評価と透明な評定点通知制度

それぞれの詳細と、滋賀県の成績上位3社を紹介します。

地域貢献・工夫を反映する加点型評価の仕組み

滋賀県では施工技術の優秀さだけでなく、建設事業者が自発的に行う革新的な取り組みや地域社会に対する配慮を数値として反映する評価システムを導入しています。

創意工夫に関する評価は、ICT技術の積極的活用、独創的な施工手法の開発、作業安全性の向上策、環境保全への配慮など、多岐にわたる要素が評価対象です。取り組みは加点評価され、技術革新への意欲を制度的に後押ししています。

社会性の評価は、地域住民との積極的な協働関係の構築や災害時における緊急対応協力などが評価対象です。各工事現場が置かれた固有の地域的条件や社会的要請に応じて柔軟な判断が行われることから、画一的ではない現場密着型の評価アプローチが採用されています。

中間・完了検査を反映する多段階評価と透明な評定点通知制度

滋賀県の工事成績評定制度は、単発的な評価ではなく工事進行の各段階における継続的な評価を通じて、より正確で公正な成績判定を実現しています。監督員や主任監督員、検査職員の異なる専門性を持つ評価者が、工事の中間段階と完了段階で独立した評定を実施し、評価結果を適切な重要度係数で統合して最終的な成績を決定していることが特徴です。

単一時点での判断では見落とされがちな施工過程での改善努力や問題解決能力も適切に評価に反映されます。各評価者の専門的視点を組み合わせることで、技術面、管理面、安全面など多角的な観点からの総合的な評価が実現されています。

受注企業は通知された評定結果の説明を求める権利が保障されており、初回説明で納得できない場合には再説明も可能です。

滋賀県の工事評定成績ランキング

滋賀県の工事評定成績ランキングの上位3社は次の通りです。

  1. 田中シビルテック株式会社
  2. 八田建設株式会社
  3. 株式会社松浦組

滋賀県で首位の田中シビルテック株式会社は、コンクリート構造物の維持管理分野に特化した専門企業として、老朽化したインフラ延命化の社会的課題に取り組んでいます。特に水利施設の補強工事では、靭性モルタルライニング工法という先進的技術の施工と材料供給を一体化したサービスを展開し、技術革新と事業効率化を両立させていることが特徴です。

八田建設株式会社は都市計画の実現を使命とし、快適な生活環境の基盤構築を企業理念として掲げています。時代変化への柔軟な対応力と、建設業をサービス業として捉える独自の経営哲学にあり、顧客満足度の最大化を目指した提案型の事業展開を行っています。

松浦組は県内でも屈指のICT活用企業として位置づけられ、先端技術を駆使した効率的な施工体制により地域のニーズに応じた街づくりを実現しています。

まとめ

本記事では、京都府、兵庫県、滋賀県の工事成績評定の特徴を解説しました。工事成績評定とは、建設業が担う公共工事における施工者の技術力、出来映えを評価する制度であり、評定結果が入札や契約に影響を与える建設業にとって重要な指標です。

脱炭素への取り組みは、工事期間中の環境負荷削減だけでなく、完成後の建築物の長期的な環境性能向上にも寄与します。

近畿地方整備局が管轄する京都府・兵庫県・滋賀県の工事成績評定における特徴や上位3社を紹介していますので、評価向上の施策検討の際に参照してみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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