ニュース

時計 2025/7/30 アップデート 2025/8/4

大阪府、奈良県、和歌山県の工事成績評定における脱炭素の加点について解説!

大阪府、奈良県、和歌山県の工事成績評定には、脱炭素など環境対策に対する加点が設けられています。加点ポイントを把握することは、工事成績評定で高得点を獲得するために必要なことの一つです。

本記事では、建設業界の方向けに、大阪府、奈良県、和歌山県の工事成績評定それぞれの特徴を解説しています。また、高得点を実際に獲得している上位3社も紹介しているため、工事成績評定の対策を検討している方は参照してください。

バナー

こんなお悩みを持つ 建設業界の企業様へ

脱炭素対策をこれから強化したい担当者様

CO2排出量管理の仕方を知りたい担当者様

Scope1,2,3まで正確に管理したい担当者様

工事成績評定の環境対策に対する加点について

公共工事の出来形や施工状況などを評価する工事成績評定には、環境対策に対する加点ポイントが設けられています。加点ポイントを意識した取り組みを行うことで、より高得点を狙える可能性があり、企業価値向上にもつなげられます。

また、工事成績評定実施基準や工事成績評定の仕組み、高得点を狙う方法を解説いたします。

そもそも「工事成績評定実施基準」とは

工事成績評定実施基準とは、請負工事成績評定基準に基づいて成績評定の方法を定めたものです。工事成績評定実施基準は、地方整備局が担当する請負工事の適正かつ効率的な施工を担保し、工事技術水準の向上に貢献することを目的としています。同時に、請負業者の適切な選定や指導育成を図ることも工事成績評定実施基準の役割です。

実際の評定は、評定者が「工事成績採点表」に示された考査項目に対して、考査項目別運用表に従って評価を実施します。評価結果は工事成績評定表に記録されることで工事の品質や施工技術を客観的に判断する重要な指標となるため、将来の工事発注における業者選定の判断材料としても活用されます。

参照:国土交通省/請負工事成績評定基準

参照:国土交通省/工事成績評定実施基準

工事成績評定の仕組みとは

工事成績評定の評価は基礎点65点を起点として、各評価項目に応じた加点・減点が行われ、最終的に100点満点で数値化される仕組みです。下記の項目が、主な評価対象として挙げられます。

  • 施工体制や施工状況
  • 出来形(完成した工事の寸法精度など)
  • 工事における創意工夫
  • 地域への貢献度

単に工事を完成させるだけでなく、効率的な施工方法の採用や環境への配慮、地域社会との協調など多角的な視点から業者の能力を評価できることが特徴です。

また、高い点数を獲得した業者は優良業者として認められ、入札参加資格の審査や総合評価方式による入札で有利に働きます。優れた工事成績を残すことは、請負業者にとって将来の受注機会の拡大につながる重要な要素です。

高得点獲得に必要なこと

工事成績評定で高得点を獲得するためには、次の4つのポイントに注意しなければなりません。

  • チェックリストの入手
  • 書類の正確さ
  • 減点をできるだけ防ぐ
  • 新技術の積極的な導入

まずは評価の具体的な基準となるチェックリストを事前にクライアントである自治体から入手することが大切です。事前に確認することにより、どの項目がどのように評価されるのかを正確に把握し、効率的に対策を講じられます。

書類の不備や提出遅延は減点要因となるため、綿密なチェック体制を構築することも重要です。また、工事における創意工夫点を獲得するために、新しい技術や工法を積極的に取り入れることも効果的な方法として挙げられます。従来の方法にとらわれず、効率性や安全性を高める革新的なアプローチは追加点につながる要素です。

近年では、環境配慮の観点から脱炭素に向けた取り組みも加点対象となることが増えてきました。CO2削減に貢献する資材の使用や省エネルギー設計の採用など、環境負荷低減への努力は、工事成績評定でも高く評価される傾向にあります

関連記事:工事成績評定とは?高得点になるポイントも解説

関西地方における工事評定の特徴

関西地方における工事評定の特徴として、大阪府・奈良県・和歌山県の特徴を次の表に示します。

府県 特徴
大阪府 成績に対する説明請求や再説明請求が可能
奈良県 手直し前の状態で成績を確定
和歌山県 創意工夫や県産品の活用に加点評価が加わる

大阪府は、評定結果に対する透明性と公平性を重視し、請負業者が成績に納得できない場合に異議申し立ての機会が設けられています。

一方、奈良県では工事の質を根本から高めるアプローチとして、後から修正して成績を上げる「帳尻合わせ」を防止する仕組みを整備しています。奈良県の施策は、工事全体のプロセス管理の徹底を促していることが特徴です。

和歌山県の評定は、創意工夫に対する評価が充実しています。独自技術の活用やICT技術の導入など技術面での革新に加え、週休2日制の実施や安全衛生教育の充実のような労働環境・安全面の取り組みも加点対象です。

【大阪府】工事成績評定の特徴

大阪府の工事成績評定の特徴として、ホームページで公開し透明性を担保することと、成績に対する再説明請求が可能な仕組みの2点を解説します。

成績評定結果をホームページで公開し透明性を確保

大阪府は成績評定結果を毎月ホームページに公開することで、評価プロセスの公平性を確保するとともに、府民に対する説明責任を果たしています。積極的な情報公開姿勢は、工事成績が不明瞭な形で終わることを防ぎ、受注者である建設業者の施工品質や信頼性を社会に広く示す効果を生み出すことにつながります。

公表された評定結果は、検査を行った年度末から起算して原則5年間にわたり閲覧可能です。長期的な透明性確保の取り組みは、建設業界全体の健全な競争環境を促進する効果も期待できます。公開された評定結果は発注者側にとっては業者選定の重要な判断材料となり、受注者側にとっては自社の技術力や施工実績を客観的に証明する指標の一つです。

成績に対する説明請求や再説明請求が可能な仕組み

大阪府の工事成績評定制度は、評価の公平性と透明性を担保するため、受注者が評定結果に対して異議を申し立てる仕組みを整備している点が特徴です。成績評定に納得できない場合、受注者は「説明請求書」を提出することで評定内容の説明を受けられます。

つまり、脱炭素の加点ポイントなども含めて、説明で納得できない場合には「再説明請求書」を提出することで、再検討を要請できます。説明請求の制度により、発注者からの一方的な評価で終わることなく、受注者の意見や実情も反映される機会が保障されていることも特徴です。

再説明請求された案件は、外部の専門家で構成される入札監視等委員会によって公正に審議され、最終的には再回答書が交付されます。異議申立制度があることによって、評価者側の説明責任を明確にするとともに、評価の客観性と公正性を高めることが期待されます。

また、受注者と発注者の間での建設的な対話を促進し、将来的な工事品質の向上にもつながるため、重要な仕組みと言えます。

大阪府の工事評定成績ランキング

大阪府の工事評定成績ランキングの上位3社は次のとおりです。

  1. 安積建設株式会社
  2. 株式会社鴻池組
  3. 株式会社駒井ハルテック

安積建設株式会社は、土木・建築分野を通じて環境に優しい都市づくりに貢献している企業です。安積建設はピタコラム工法やFFT-S工法などの先進技術を積極的に活用し、工事の効率性と品質向上を実現しています。

株式会社鴻池組は1871年に大阪で創業した歴史ある建設会社で、150年以上にわたる豊富な経験と技術力を持っています。鴻池組は地球環境に配慮した社会資本整備や街づくりを重視し、持続可能な社会への貢献を企業理念としている企業です。

株式会社駒井ハルテックは、鋼構造事業を主軸に社会資本整備で重要な役割を担っています。橋梁や鉄骨構造物の設計・施工に優れた技術を有するほか、環境事業にも注力し、再生可能エネルギー関連施設の建設も手掛けています。

【奈良県】工事成績評定の特徴

奈良県の工事成績評定の特徴として、手直し後の再評定を行わない帳尻合わせを防ぐ仕組みや行政資料コーナーでの公表などがあり、それぞれ解説します。

手直し後の再評定は行わず手直し前の状態で成績を確定

多くの自治体は修正完了後に再評価が行われることがありますが、奈良市は手直し後の再評定は一切行わず、手直し前の状態で評定を確定するルールを採用しています。奈良市の評価は、工事完了時点での品質を厳密に評価することが特徴です。

このように、後から修正して成績を上げる帳尻合わせを根本的に防止することで、受注者に対して初回からの確実な施工管理を強く促す効果が見込めます。最初から高品質な施工を行わなければ高評価は得られません。つまり、脱炭素の取り組みを実施する場合は、計画の初期段階から盛り込むことが求められます

厳格な評価制度は、短期的には受注者にとって厳しい面もありますが、長期的には奈良県の公共工事全体の品質向上につながっています。施工プロセス全体での品質管理意識を高め、計画段階からの入念な準備と実行を促すことで、結果として県内の建設技術水準の底上げにつながっている仕組みです。

成績評定結果は行政資料コーナーで1年間のみ公表

奈良市の評定結果は通知月の翌月から情報公開課内に設置された行政資料コーナーで閲覧可能ですが、閲覧期間に制約が設けられています。工事成績評定の一覧表は設置から1年間のみ閲覧可能で、1年経過後は撤去されることが特徴です。

奈良市の限定的な公開方式は、大阪府など他の自治体がWebサイト上で長期間にわたって評定結果を公開している方針とは対照的です。奈良市の場合、住民が評定結果を確認できる機会は一定期間に限定されます。

奈良県の工事評定成績ランキング

奈良県の工事評定成績ランキングの上位3社は次のとおりです。

  1. 中村建設株式会社
  2. 檜尾建設株式会社
  3. 松塚建設株式会社

中村建設株式会社は「経営とは人材の育成なり」の理念を掲げ、人材開発を経営の中心に据えています。2001年にはISO9001認証を取得するなど品質管理体制も充実しており、単なる建設業にとどまらず、人々の生活や文化に新たな価値を提案できることを目指している企業です。

檜尾建設は、橋梁や道路改良工事などの土木事業で高い技術力を有しています。工事の迅速性と高品質を両立させることで、利用者の生活の質向上に貢献していることが特徴です。また河川整備事業なども手掛け、環境保全と品質担保の両立を実現しながら、地域社会の安全担保に寄与しています。

松塚建設株式会社は「年輪を重ね 技を重ねて 心を尽くす」をモットーに1951年に創業した歴史ある企業です。社内には一級建築士5名をはじめとする多数の資格保持者が在籍しており、高度な技術力と豊富な経験を活かした施工能力が評価されています。

【和歌山県】工事成績評定の特徴

和歌山県の工事成績評定の特徴である、県産品活用で加点評価が加わる制度や、加重平均で施行状況に合わせて成績に反映する仕組みについて解説します。

創意工夫や県産品の活用に加点評価が加わる制度を導入

和歌山県は、従来の施工品質や出来形などの基本的評価項目に加え、創意工夫や地域性を重視した取り組みに対して積極的に加点を行う仕組みが導入されています。創意工夫に関する項目では最大7点、県産品やリサイクル製品の活用では最大6点の大幅な加点が可能です。

加点によるポイントは100点満点の評定で比較的大きめの比重を占めており、受注者にとって魅力的なインセンティブです。創意工夫も考慮した多面的な評価制度は、単に工事の完成度を判断するだけでなく、脱炭素の工夫や地域貢献を奨励する効果が見込めます

受注者は新技術の導入や環境配慮型工法の採用、地元資材の積極活用など、従来の枠を超えた取り組みを行うことで高評価を得る機会が増えます。和歌山県の加点評価制度は、公共工事を通じた地域活性化と技術革新の両立を図る先進的な取り組みです。

中間・完成・一部完成の評定を加重平均で総合成績に反映

和歌山県は、以下の各段階での評価結果を加重平均して総合評価点を導き出す方式を採用しています。

  • 完成検査
  • 中間検査
  • 一部完成検査

工事の進行状況を段階的に評価することで、最終的な評定として、単一時点の評価だけに依存しない均衡の取れた評価が可能です。工事は長期間にわたるプロジェクトであり、施工過程でさまざまな局面や課題が発生します。各段階での評価を総合的に反映させることで、工事全体の品質や管理状況をより公正かつ正確に把握できることが評価結果を加重平均して総合評価点を導き出す方式メリットです。

この段階的な評価制度は、受注者にとって工事の全過程で高い品質と管理水準を維持することを促します。得点を得やすい工程に注力することで高得点に繋げるのではなく、工事全体で一貫して優れた施工を行うことが高評価につながる仕組みは、公共工事の品質向上と受注者の技術力・管理能力の向上に寄与する効果的な取り組みです。

和歌山県の工事評定成績ランキング

和歌山県の工事評定成績ランキングの上位3社は、次のとおりです。

  1. 株式会社東組
  2. 株式会社池田土木
  3. 株式会社尾花組

株式会社東組は、創業地が雑賀崎漁港であったことから海上工事を強みとして発展した企業です。現在では海上工事にとどまらず、トンネルや橋梁など一般土木工事全般を手掛ける総合力を持ち、地域のインフラ整備に貢献しています。

株式会社池田土木は、国土交通省や県、市町村の公共工事を中心に、道路、河川、港湾、下水道工事など多岐にわたるインフラ整備を担っています。池田土木は人々の生活向上と災害からの安全確保を使命とした企業です。ISO9001認証を取得して品質管理体制の強化をし、顧客満足のための継続的改善を経営理念に掲げています。

株式会社尾花組は、和歌山県内の総合建設業界でトップクラスの事業規模と技術評価を誇る企業です。高い施工技術と品質管理は国土交通省からも認められ、2023年には近畿地方整備局より「工事成績優秀企業認定書」を授与されています。

関連記事:工事成績評定の加点ポイントを調査!東海地方の最新動向は?

まとめ

本記事では、建設業界の方向けに大阪府、奈良県、和歌山県の工事成績評定における脱炭素の加点に関わるポイントを解説しました。公共工事の出来形や施工状況などを評価する工事成績評定には、環境対策に対する加点ポイントが設けられています。加点ポイントを意識した取り組みを行うことで、より高得点を狙える可能性があり、企業価値向上にもつなげられます。

近年では、環境配慮の観点から脱炭素に向けた取り組みも加点対象となることが増えてきました。CO2削減に貢献する資材の使用や省エネルギー設計の採用など、環境負荷低減への努力は、工事成績評定でも高く評価される傾向にあります。

関西地方における工事評定の特徴や、大阪府、奈良県、和歌山県それぞれの工事成績評定の特徴も解説しているため、工事成績評定で高得点獲得するためにも、今回紹介した内容を参照してみてください。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

タンソミル

お問合せはこちら

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

本ウェブサイトを利用される方は、必ず下記に規定する免責事項をご確認ください。

本サイトご利用の場合には、本免責事項に同意されたものとみなさせていただきます。当社は、当サイトに情報を掲載するにあたり、その内容につき細心の注意を払っておりますが、情報の内容が正確であるかどうか、最新のものであるかどうか、安全なものであるか等について保証をするものではなく、何らの責任を負うものではありません。

また、当サイト並びに当サイトからのリンク等で移動したサイトのご利用により、万一、ご利用者様に何らかの不都合や損害が発生したとしても、当社は何らの責任を負うものではありません。

TansoMiru製品サイトはこちら