エコアクション21は、環境省が策定した中小企業向けの環境経営認証制度で、建設業界でも多くの企業が認証を取得しています。環境配慮への取り組みが評価される現在、公共工事の入札での加点や取引先からの信頼獲得につながる重要な制度です。特に建設業界では、公共工事の評価や取引先選定に影響するケースもあり、認証取得の重要性が高まっています。
本記事では、エコアクション21の基本的な概要や特徴、認証取得のメリット、必要な費用、具体的な手続きの流れを解説します。また建設業界における認証取得事例も紹介していますので、環境経営に取り組み競争力強化を目指す建設業の方は参照してみてください。
目次
エコアクション21とは

エコアクション21は、中小事業者でも取り組みやすい環境経営の仕組みとして、環境省が策定した第三者認証・登録制度です。エコアクション21は、事業者が環境への影響に気づき、自主的に改善活動を進められるよう設計されています。
PDCAサイクルの手法を基盤としており、計画・実行・評価・改善のプロセスを繰り返すことで、組織の環境パフォーマンスを段階的に向上させていきます。運営は環境省の要件適合確認を受けたエコアクション21中央事務局が担当し、認証取得から運用まで一貫したサポート体制が整えられていることが特徴です。
2015年のパリ協定やSDGs採択を受けて、国際的な環境経営の重要性が高まる中、2017年4月にガイドラインが改訂されました。ガイドライン改訂により、最新の環境課題にも対応できる内容となり、業種別ガイドラインも同時に見直されています。
エコアクション21の特徴
エコアクション21は、中小事業者にとって実践しやすい環境マネジメントの仕組みです。取り組みやすい環境経営システムとして設計されており、明確なガイドラインに沿って段階的に導入できます。
また、環境報告(環境コミュニケーション)の取り組みを通じて、社会への情報発信も促進されます。エコアクション21の特徴について解説します。
取り組みやすい環境経営システム
エコアクション21は、中小事業者が無理なく実践できる環境経営の仕組みを提供している点が特徴です。エコアクション21では実務に即した形で環境経営システムのあり方が明確に定められています。
システムを導入することで、組織全体で環境活動に取り組む体制が整い、従業員一人ひとりの参加意識が高まります。さらに、具体的な数値目標を設定することで達成への意欲が向上し、目標に届かなかった場合でも課題の原因を分析して次の対策につなげられることも特徴の一つです。
PDCAサイクルを回すことで、環境面だけでなく、業務効率やコスト削減など事業所全体の課題改善にも効果を発揮します。
明確なガイドライン
エコアクション21の強みは、環境省が策定した具体的で分かりやすいガイドラインにあります。環境経営と聞くと難しく感じられがちですが、エコアクション21では取り組むべき内容が明確に示されているため、専門知識が少ない中小企業でも安心して導入できます。
ガイドラインはPDCAサイクルの考え方に基づいて構成されており、計画から実行、評価、改善まで段階的に進められる仕組みです。測定すべき環境負荷の項目も、CO2排出量、廃棄物排出量、水使用量の3つに絞り込まれており、複雑なデータ管理は必要ありません。
具体的な削減行動として省エネルギー、リサイクル、節水など実践しやすい取り組みが提示されています。何から始めればよいか迷うことなく、自社の状況に合わせた環境活動を計画できます。明確な指針があることで、担当者の負担が軽減され、組織全体で環境経営を推進しやすくなっていることが特徴です。
環境法局(環境コミュニケーション)の取り組み
エコアクション21では、環境への取り組み成果を対外的に公表する環境報告が重視されています。報告が義務づけられているだけではなく、企業の信頼性向上と持続的な成長につながる重要な活動として位置づけられています。
日々の環境活動の実績や成果を「環境活動レポート」としてまとめ、ステークホルダーに向けて公開しなければなりません。建設業では、現場での省エネルギー対策や廃棄物削減の取り組み、建設副産物のリサイクル実績などを具体的に示すことで、自社の環境パフォーマンスを客観的に振り返り、次の工事における改善策の検討が促進されます。
さらに、環境活動を積極的に開示することは、発注者や協力会社、地域住民からの信頼獲得にもつながります。建設業界では環境配慮型の施工が求められる場面が増えており、環境への取り組みを明確に示すことで入札時の評価向上や新規受注の機会拡大が期待できることが特徴です。
出典:環境省/環境コミュニケーションで創造する持続可能な社会
エコアクション21に取り組むメリット

エコアクション21の認証取得は、企業にとってもさまざまなメリットをもたらします。環境対策への貢献を通じて社会的責任を果たせるだけでなく、競合優位性の向上により受注機会が拡大します。
さらに、社会からの信頼獲得や有利な条件で融資を受けられる経営面での恩恵も期待できることがメリットです。エコアクション21に取り組むメリットについて解説します。
環境対策への貢献
エコアクション21への取り組みは、環境保全に貢献しながら企業の経営力強化と組織活性化を同時に実現できる仕組みです。建設業では環境負荷の大きい事業活動が避けられないため、自主的な環境配慮の取り組みが社会的責任として求められています。
エコアクション21では、現場での省エネルギーや廃棄物削減など環境活動の成果を「環境経営レポート」としてまとめることで、データに基づいた改善活動が可能です。建設現場では、若手技術者からタブレット端末を活用した施工管理の効率化アイデアが生まれるなど、環境負荷軽減をきっかけとした業務改善が進むケースも見られています。
レポート作成を通じて培われた分析力や課題整理の能力は、入札時の技術提案書や事業計画書の作成にも活かせます。環境への取り組み実績を明確に示すことで他社との差別化が図られ、結果として受注機会の拡大につなげられることがメリットの一つです。
出典:エコアクション21/エコアクション21の活動を通して新しい業態へ挑戦するチカラを得ました
競合優位性の向上
エコアクション21の認証取得は、企業の競合優位性を高める有効な手段です。現在、大手企業を中心にサプライチェーン全体での環境管理が重視される傾向が強まっており、取引先選定の基準として環境対応力が問われる時代です。
エコアクション21では、協力会社の環境認証取得を支援する制度「関係企業グリーン化プログラム」を導入し、業界全体のグリーン化を推進しています。エコアクション21の認証を持つことは、優良な協力会社として選ばれる大きなアドバンテージです。
さらに、自社だけでなく協力業者とともに環境経営に取り組むことで、全体の環境パフォーマンスが向上し、発注者からの評価も高まります。環境配慮型の施工体制を構築できる企業は、公共工事の入札や民間プロジェクトの受注において市場での優位性を確立し、継続的な事業拡大につなげられます。
社会からの信頼獲得
エコアクション21の認証は、企業が社会的信頼を獲得するための有力な証明となり得ます。環境省のガイドラインに基づく第三者機関の審査を経て認証されるため、客観的な評価として広く認知されており、企業の環境への真摯な取り組みを裏付ける根拠となる制度です。
環境経営レポートを作成し公表することで、発注者や協力会社、地域社会に対して具体的な取り組み内容と成果を示せるほか、透明性の高い経営姿勢が評価されます。特に公共工事では、環境への配慮が入札時の総合評価項目に含まれるケースも増えているのが現状です。
環境認証の取得は企業の社会的責任(CSR)を果たす取り組みとしても位置づけられます。持続可能な社会の実現に貢献する企業として認知されることで、ステークホルダーからの信頼が深まり、長期的な取引関係の構築や企業ブランド価値の向上につながります。
有利な条件で融資を受けられる
エコアクション21の認証取得は、資金調達面でもメリットをもたらします。多くの金融機関が環境配慮型企業を支援するため、認証取得企業に対して通常より低い金利での融資制度を設けており、設備投資や運転資金の調達コストを抑えられます。
建設業では重機の購入や現場設備への投資など、まとまった資金需要が頻繁に発生するため、低金利融資を活用できれば財務負担を軽減しながら事業拡大や最新の環境配慮型機械への更新を進められることがメリットです。
また、多くの自治体では認証取得にかかる審査費用の一部を補助する制度を用意しており、初期導入のハードルを下げる支援も受けられます。さらに、公共工事の入札参加資格審査における加点評価もポイントです。
エコアクション21認証取得にかかる費用

エコアクション21の認証を取得するには、一定の費用負担が必要です。主なコストとして、第三者機関による審査費用と、認証・登録料および更新時の認証・登録更新料があります。
認証取得にかかる具体的な費用について解説します。
審査費用
エコアクション21の審査費用は、事業所の規模や業種特性によって変動する仕組みです。審査人1人あたりの日当は50,000円と定められており、必要な審査人数に応じて総額が決まります。
建設業は環境負荷が比較的大きい業種として位置づけられているため、サービス業や流通業と比較して審査に必要な人数が多く設定されています。建設現場での燃料使用、建設副産物の発生、騒音・振動など多様な環境影響を評価する必要があるためです。また、従業員数が多いほど審査範囲が広がるため、企業規模に応じて審査人数も増加します。
建設企業が認証取得を検討する際には、自社の従業員数と業種特性を踏まえた費用を事前に見積もることが重要です。
認証・登録料/認証・登録更新料
エコアクション21の認証取得後は、認証・登録料および更新料の支払いが必要です。審査費用とは別に発生するランニングコストとして、計画的に予算を担保しておかなければなりません。
認証・登録料、更新登録料の2年分は次の通りです。
| 従業員数 | 費用 |
| 10人以下 | 50,000円+消費税 |
| 11人以上300人以下 | 100,000円+消費税 |
| 301人以上500人以下 | 150,000円+消費税 |
| 501人以上1,000人以下 | 200,000円+消費税 |
| 1,001人以上 | 300,000円+消費税 |
審査の結果、判定委員会でガイドラインへの適合が認められた事業者は、中央事務局との認証・登録契約を締結する際に2年分の認証・登録料をまとめて支払います。
さらに、認証の有効期間は2年間であり、継続するには更新審査を受けることが必要です。更新時にも同様に2年分の更新登録料が発生するため、認証を維持する限り隔年で費用負担が続きます。
エコアクション21認証取得の手続き
エコアクション21認証取得の手続きは次の通りです。
- 審査の申込み
- 担当審査員の通知
- 必要書類送付
- 審査の実施
- 審査結果の報告
- 判定結果報告
- 判定結果通知
- 契約の締結/登録料の納付
- 認証・登録証の送付/ロゴマークの使用承認
まず、審査申込書と環境経営レポートの電子ファイルを最寄りの地域事務局にメールの提出が必要です。地域事務局は建設業の環境負荷特性を理解した審査員を選任し、受審事業者に通知します。その後、審査員による書類審査と現地審査が実施され、施工現場での環境管理状況や廃棄物処理の実態などが確認されます。
認証が承認されると、中央事務局から認証・登録証が送付され、同時にエコアクション21のロゴマークの使用が認められることがポイントです。作成した環境経営レポートは中央事務局のホームページで公開され、社会に向けて環境への取り組みを広くアピールできます。
エコアクション21に関する建設業界事例
エコアクション21は、建設業界でも多くの企業が認証を取得し、実際の経営改善につなげています。認証取得によって具体的な成果を上げている建設企業の事例として、小林工業株式会社と有限会社東栄工業の取り組みを紹介します。
小林工業株式会社
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出典:緩やかな連携が人材育成と環境活動をつなげています|エコアクション21
有限会社東栄工業
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出典:個々の環境意識を大切にグループ全体の環境力を高めていきたい|エコアクション21
まとめ

本記事では、環境省が策定したエコアクション21の概要から特徴、認証取得のメリット、必要な費用、手続きの流れまで解説しました。
エコアクション21は、中小の建設企業でも取り組みやすい環境経営システムとして設計されており、明確なガイドラインに沿ってPDCAサイクルを回すことで継続的な改善が可能です。認証取得により、環境対策への貢献はもちろん、公共工事の入札での加点評価や取引先からの信頼獲得、低金利融資の活用など経営面での具体的なメリットが得られます。
建設業は環境負荷が大きい業種として審査基準が厳しく設定されていますが、その分、認証取得による社会的評価は高く、競合他社との差別化につながります。施工現場での環境管理体制を強化し、企業の持続的成長を目指す建設業の方は参照してみてください。
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この記事の監修
リバスタ編集部
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