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建設業に影響を与える2030年問題とは?人手不足への具体的な対策も解説!

建設業に影響を与える2030年問題とは?人手不足への具体的な対策も解説!

建設業界では、2030年問題による深刻な人手不足が懸念されています。高齢化の進行と若年層の入職減少により、就業者数は年々減少し続けており、事業継続が困難になる企業も増加すると予測されているのが現状です。

本記事では、建設業における2030年問題の実態と人手不足が業界に与える影響、効果的な対策について解説します。また、業界イメージの向上や外国人材の活用、GXへの取り組みなど具体的な解決策も解説していますので、建設業の人材確保に悩む経営者や人事担当の方は参照してみてください。

建設業における人手不足の現状

建設業 人手不足

建設業では深刻な人手不足が続いており、背景には構造的な課題が存在します。建設業の2030年問題では就業者の大量退職が予測され、就業者数の推移と今後の予測からも労働力不足の深刻化が懸念されているのが現状です。

建設業における人手不足について解説します。

建設業の2030年問題

建設業における2030年問題とは、急速に進む高齢化と人口減少により、労働力不足がさらに深刻化する課題を指します。現在の日本は既に超高齢社会に突入しており、2030年には人口の約3割が65歳以上となる見通しです。

建設業では若年層の入職者が少ない一方で、熟練技能者の高齢化が進んでおり、2030年以降は大量退職による人手不足の加速が避けられません。また、総人口が減少する中で高齢化率は上昇を続け、2040年には34.8%、2050年には37.1%と労働力確保は一層困難になると予測されています。このため、建設業では早急な人材確保策と生産性向上が必要です。

出典:内閣府/令和6年版高齢社会白書(全体版)

就業者数の推移と今後の予測

建設業の就業者数は過去30年間で約200万人減少し、深刻な人手不足に直面しています。1997年のピーク時には685万人だった就業者が、2022年には479万人まで減少した背景には、バブル崩壊後の建設投資縮小と公共事業削減による業界全体の停滞があります。

多くの建設会社が倒産や事業縮小を余儀なくされ、雇用の受け皿が失われたことも就業者減少に拍車をかけました。さらに深刻なのは今後の見通しです。

団塊世代の大量退職が始まる2025年以降、建設業では熟練技能者の流出が加速すると予測されており、新規入職者の確保が進まなければ、2030年には就業者数が400万人、2040年には300万人を下回る可能性が指摘されています。労働力減少は、建設業の事業継続そのものを脅かす重大なリスクとなりかねません。

出典:国土交通省/最近の建設業を巡る状況について

離職率が高い

建設業では若手人材の離職率の高さが、慢性的な人手不足を加速させています。国土交通省のデータによると、建設業界の新卒入職者の3年以内離職率は大卒で約3割、高卒で約4~5割に達しており、製造業と比較すると高卒者で約15ポイント、大卒者で約10ポイントも高い水準です。

建設業の高い離職率は、せっかく採用した若手が現場に定着する前に辞めてしまうことを意味しており、企業にとっては採用コストや育成コストが回収できない経営上の問題にもつながっています。

建設業における人手不足の解消には、新規採用の強化だけでなく、若手が長く働き続けられる職場環境の整備や、キャリア形成支援など定着率向上に向けた取り組みが不可欠です。

出典:国土交通省/建設業(技術者制度)をとりまく現状

2030年問題の人手不足が建設業に与える影響

2030年問題による人手不足は、建設業に深刻な影響を及ぼすことが予想されています。大量退職と技術継承の課題では、熟練技能者の引退により長年培われた技術やノウハウが失われる危機に直面します。

また、人手不足倒産の増加も懸念されており、労働力確保ができない企業の経営破綻が相次ぐ可能性もあるのが現状です。ここでは、2030年問題の人手不足が建設業に与える影響について解説します。

大量退職と技術継承の課題

建設業における技術継承の課題は、2030年問題による人手不足の中でも深刻な問題です。現在、建設業で働く人の4人に1人が55歳以上のベテラン技能工であり、2025年以降現在のベテラン世代が一斉に退職を迎えることで、長年培われた技術やノウハウが失われる危機に直面しています。

特に問題なのは、若手への技術継承が時間的に間に合わない点です。熟練工が持つ技能の多くは現場での経験を通じて習得されるもので、コンクリートの状態を見極める技術、天候や季節に応じた作業効率の最適化、安全な足場の組み方、災害時の対応技術など、マニュアル化が難しい現場特有のノウハウが数多く存在します。

デジタル技術による記録や教育も進められていますが十分ではなく、ベテラン技能工から若手への直接指導の時間を確保することが、建設業の技術水準を維持する上で不可欠です。

人手不足倒産の増加

建設業では人手不足による倒産が急増しており、業界の存続を脅かす深刻な事態となっています。帝国データバンクの資料によると、令和7年に発生した427件の人手不足倒産のうち、建設業が初めて100件を超えて113件を占め、全業種の中で最も多い状況です。

人手不足倒産が増加している背景には、建設需要と労働力供給の深刻なミスマッチがあります。国策として進められる半導体工場の建設ラッシュや、高度経済成長期に建設され老朽化が進むインフラ整備など、建設業への需要は旺盛です。

一方で、十分な人手を担保できない企業は受注機会を逃すだけでなく、既存プロジェクトの遅延による違約金や、人材獲得競争による人件費高騰によりキャッシュフローが破綻する事例が相次いでいます。

出典:帝国データバンク/人手不足倒産の動向調査(2025年)

建設業における人手不足の対策

建設業 人手不足

建設業の深刻な人手不足を解消するには、次に示す多角的なアプローチが必要です。

  • 業界のイメージ向上
  • 採用の見直し
  • 外国人材の活用
  • GXへの取り組み

ここでは、建設業における人手不足の対策について解説します。

業界のイメージ向上

建設業における人手不足の解消には、業界全体のイメージ向上が不可欠です。若年層の多くは建設業に対して、危険な作業や過酷な労働環境の印象を持っており、体力的・精神的に厳しい仕事として敬遠する傾向があります。

ネガティブなイメージを払拭するため、国土交通省は「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」を発足させ、官民一体となった取り組みを推進してきました。建設現場の仮囲いをデザイン性の高いものにして街の景観に配慮したり、子どもたちを対象に重機の体験イベントを開催したりするなど、建設業の魅力を伝える活動が各地で展開されています。

また、SNSや動画配信を活用して働きやすい環境やICT技術の導入事例を発信する企業も増えており、「きつい・汚い・危険」という古いイメージから脱却し、新しい建設業の姿を若者に届ける努力が続けられています。

出典:国土交通省/「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」の設置

採用の見直し

建設業における人手不足の解消には、従来の採用手法を抜本的に見直すことが求められています。現在、建設業界では就業者数の減少が続き、求人を出しても思うように人材を確保できない深刻な状況です。

若年層の入職者が限られる中、多くの企業が募集対象の幅を広げる取り組みを始めています。募集する従業員年齢の引き上げに加え、参入が少なかった高齢者や女性の積極的な採用を進めています。

また、採用活動においては透明性の担保も重要です。仕事の魅力だけでなく大変さも募集段階で正直に伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎ、定着率の向上につなげる企業が増えています。

外国人材の活用

建設業における人手不足の対策として、外国人材の活用が新たな解決策として注目を集めています。従来の人材確保策だけでは限界がある中、例えば施工管理職などの専門職では「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を活用することで、即戦力となる外国人材を雇用できます。

該当の在留資格の対象となるのは、大学で建築学、土木工学、建設工学等を専攻した外国人や、海外で施工管理の実務経験を持つ外国人であり、学歴要件または実務経験要件を満たさなければなりません。

単純労働ではなく専門的・技術的な業務に従事することが前提となっているため、建設業の技術水準を維持しながら人材確保が可能です。近年では、アジア諸国の建設系大学で質の高い教育が行われており、中国、韓国、ベトナム、タイ、インドなどから優秀な人材が数多く輩出されています。

GXへの取り組み

建設業における人手不足の対策として、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みが企業の競争力強化と人材確保の両面で重要性を増しています。2026年度からはGX推進法による排出量取引制度が本格稼働するなど、法制度面での対応が不可欠となっており、建設業界全体で脱炭素への取り組みが加速しています。

国土交通省ではCO2排出量の見える化や削減対策の整備を進めており、技術提案や過去のGX実績に応じた加点評価を行う発注者も増加しているのが現状です。スマート建機・AI・BIM/CIM・LCA(ライフサイクルアセスメント)を組み合わせたリアルタイム監視や環境性能評価が普及し、設計段階から脱炭素を組み込む動きが進んでいます。

環境配慮型企業としての評価が高まることで、若年層を中心とした求職者からも選ばれやすくなり、建設業の人手不足解消にも貢献する取り組みとして期待されています。

建設業における人手不足対策の事例

建設業の人手不足対策は、理論だけでなく実践が重要です。実際に多くの建設企業が独自の工夫や先進的な取り組みを通じて、人材確保や定着率向上に成果を上げています。

ここでは、建設業における人手不足対策の具体的な事例について紹介します。

鹿島建設株式会社

鹿島(社長:天野裕正)は、画像AIと独自の解析アルゴリズムを用いて、指定した作業エリア内における技能者の人数と作業時間を、リアルタイムかつ正確に、自動で把握できるシステム※1を開発しました。今般、本システムを橋梁の建設現場に導入し、その効果を実証しました。また、技能者の人数と作業時間を工事出来高と連携させることで、正確な歩掛ぶがかり※2とその変動を瞬時に算出できることを確認しました。

建設業は慢性的な人手不足および技能者の高齢化という課題を抱えています。さらに2024年4月からは時間外労働時間の上限規制が適用されることもあり、建設現場の生産性向上は急務となっています。生産性向上のためには、一つひとつの作業にかかる歩掛を正確に把握することが重要です。従来、詳細な歩掛調査は、複数名の調査担当者が作業エリアで、作業ごとに技能者の人数と作業時間を記録する手法を採っていました。しかしながら、膨大な労力と時間を要するため担当者の負担が大きく、調査できる現場数には限りがありました。また、近年はICTの進化により人、資材、建設機械の位置や稼働状況を常時把握できるようになるなど「現場の見える化」が進んでいるものの、歩掛については正確なデータを自動で取得するには至っていません。

本システムは、建設現場に常設している固定カメラの映像を画像AIを活用した当社独自のシステムで解析することで、作業に関わる技能者の人数と作業時間を把握するものです。解析は分単位で行えるため、指定した作業エリア内の技能者の延べ作業時間を正確に計測できます。また、作業期間を指定し、工事出来高と連携させることで、正確な歩掛を自動的に算出することが可能です。

※1 特許出願済
※2 作業を行う場合の作業手間を数値化したもの

出典:画像AIを用いて技能者の人数と作業時間をリアルタイムかつ正確に、自動で把握するシステムを開発|2024.2.29|鹿島建設株式会社

清水建設株式会社

清水建設(株)<社長 井上和幸>が新大阪駅前で施工中の新大阪第5ドイビル建設工事(発注者:ドイ不動産(株))において、自社開発の双腕多機能ロボット「Robo-Buddy」がこのほど始動、職人とのコラボによりOAフロア(2重床)の施工を進めています。始動早々、施工精度・効率とも職人の技の域に達しています。大手建設各社はロボット開発に注力していますが、OAフロア施工ロボットの開発は今回が初めてです。

建設業では、技能工(職人)の高齢化が進み、深刻な人手不足時代の到来が懸念されています。このため、大手建設会社は協力会社を支援し新規入職者の確保に努めるとともに、生産性向上に向けロボットやICT技術の開発に注力しています。当社の開発方針は、「ロボットと職人のコラボ」であり、ロボットが苦渋作業や繰り返し作業を代替し、職人がロボットの対応できない部分を補います。

Robo-Buddyは4輪駆動の作業台車と台車から伸び出た2本のロボットアームから構成される双腕多機能ロボットです。OAフロアの施工では、片方のアームがOAフロアの床パネルを支える支持脚の据え付け、もう一方が床パネルの敷設を担い、材料供給ロボットとセットで稼働し自律的に作業と移動を繰り返します。職人の手作業によるOAフロアの施工は、中腰で行う繰り返し作業であり、1枚10数㎏のパネルの敷設は苦渋を伴うことから、Robo-Buddyの新たな機能としてOAフロアの施工機能を開発したものです。なお、これに併せて建材メーカーのニチアス(株)と共同で、施工法を簡素化したOAフロアを開発、今後、広く建築工事に適用していく考えです。

出典:OAフロア施工もロボットで|2021.9.21|清水建設株式会社

戸田建設株式会社

脱炭素社会に向けた取り組みや建設業界における人手不足の解消を自社新工場の建替えを機に実践していくプロジェクト。老朽化した建物や生産施設(クレーン等の搬送設備やプラント設備)を全面的な建替えにより最新に更新、生産能力を現状の2倍に引き上げることを目的としている。それにより作業所からの様々な要望に応えられるPCa工場となることを目指している。

目的、目標を達成するために、RFIDシステムを活用した生産管理システムをはじめとしたICT、IoTを活用したスマート化、生産効率を追求した合理的な生産ライン計画を実現。生産性向上と共に、従業員が誇りを持って働きたくなる施設づくりを付属の事務棟も含めて念頭に置くこととした。

大屋根上部に太陽光発電パネルを設置し当社が進めるRE100を達成した、環境配慮の取組みをアピールできる工場とした。大きな1枚屋根のシンプルな形態とし、屋根面には成田空港を発着する飛行機から見えるTODAロゴを配置。TODAロゴカラー(赤、青、グレー)をクレーンや外壁に配色し全体イメージをまとめている。

出典:戸田建設が考える、未来をカタチにするPCaスマートファクトリー|戸田建設株式会社

まとめ

建設業 人手不足

本記事では、建設業における2030年問題による人手不足の現状と対策について解説しました。建設業では就業者数の減少と高齢化が進み、2030年以降は大量退職による技術継承の断絶や人手不足倒産の増加が懸念されています。

状況を打開するには、業界のイメージ向上や採用手法の見直し、外国人材の活用、GXへの取り組みなど、多角的なアプローチが不可欠です。特に、若年層への魅力発信や多様な人材の受け入れ体制整備は、建設業の持続的な発展のポイントです。

人手不足に悩む建設業の経営者や人事担当の方は、紹介した対策を参照してみてください。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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