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建設することが環境貢献になる!? 脱炭素社会に向けて進化し続ける木造建築技術 ~「木造高層ビル」ついて~

建設することが環境貢献になる!? 脱炭素社会に向けて進化し続ける木造建築技術 ~「木造高層ビル」ついて~

こんにちは、リバスタ編集部です。編集部の呼びかけに集まってくれたSDGsに興味のある学生たちが「リバスタ学生記者」として興味のあるテーマについて調べてもらいました。記者メンバーは「建設業界の脱炭素」についてはじめて触れるとのことですが、調べるうちに、どんな気づきを得たのでしょうか?

早稲田大学法学部に通う、れいさんが選んだテーマは「木造高層ビル」。建設業×脱炭素の分野では環境に優しい工法として注目されており、木造の高層ビルなども建てられています。そこに興味を持ったとのことで、今回記事にまとめてくれました。ぜひご覧ください。

このテーマを選んだきっかけ

今回「脱炭素」というワードを聞いたとき、最初に連想されたことは二酸化炭素の排出についてです。二酸化炭素の排出量を減少させるためには、毎日のシャワーの利用時間を減らすといったエネルギー量の減少、ガソリン車から電気自動車への移行など日々使用するエネルギー源の変更などが考えられます。私はその中でも、植物に関する脱炭素が建設業界に結び付きやすいのではないかと考えました。エネルギー量の減少やエネルギー源の移行などは、建設する際に用いられる重機の話が中心になるのではないかと思いました。私からすると、その話題は身近な話ではなくなります。ですので、身近に感じられるもので脱炭素について考えられるのかと思ったときに木造建築というキーワードから「木造高層ビル」いうテーマに至りました!(早稲田大学3年 れい)

木造建築のポテンシャル「木造高層ビル」について

「木造高層ビル」この言葉をご存じでしょうか。一見、「木造」と「高層ビル」は結びつきづらい言葉です。

今まで、木造ならではの高さがあまりない建物というイメージとはかけ離れたもののように思えます。また、「高層ビル」といえば木材とは縁遠そうな無機質な見た目ですよね。しかし、この言葉は建設業界の最新技術により実現可能なものとなったのです!特に海外発の

「CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)」と呼ばれる技術は従来の木材の弱点をカバーする飛躍的なきっかけとなり、これにより日本にも大型木造ビルが普及していきました。

「木造高層ビル」とは建設業界において大きな変化をもたらすものとなり、さらには脱炭素社会に貢献するということを可能にした建物でもありました。環境までも変えてゆける未来、そんな未来誰が予想したのでしょうか。近年の建設業界の進化には驚かせられることばかりです。そこで、今回は「木造高層ビル」を可能にした建設業界における最新技術、そして森林が国土の多数を占める日本において脱炭素社会に貢献しているのかを紹介します。

「CLT」建設業界を揺るがす新技術

今回のテーマである「木造高層ビル」に組み込まれている新しい技術のことです。建物の高さが求められる「木造高層ビル」となると、鉄筋コンクリート造より耐震性がなく、地震大国である日本には不向きではないのかという懸念が出てきます。しかしこの懸念に応えるのが「CLT」という技術です。「CLT」とは直行集成板という木材のことを表します。直行集成板とは木の板を繊維方向に直交に貼り合わせたものであり、施工が早い・コンクリートより軽い・断熱性が高いという建設業界においてメリットの多い素材なのです。「CLT」は1994年にオーストリアで開発され、日本では2016年に建築基準法で「CLT」に関する法律が施行され、導入され始めました。このように海外の技術によって日本古来の伝統的な木造建築技術とはまた別の形で「木造高層ビル」を可能にしたというわけです。

参照:内閣府「CLT(直交集成板)とは

木造建築が与える環境へのメリットとは

ここまで木造建築の最新技術を紹介しましたが、「木造建築は限りある資源である森林を伐採することであり環境破壊につながる。そのままにしておいた方が環境のためである」という噂をしばしば耳にします。しかし、木造建築ならではの環境に対する利点があります。建設業界では木造建築のどのような点に利点を見出しているのでしょうか。木造建築が有する脱炭素社会への貢献点を2つ紹介します。

木造建築が有する脱炭素への2つの貢献点

1つ目は森林伐採によるCO2の減少です。木は成長するとCO2の吸収力が低下することから、成熟した木々を伐採し木材として活用し、新たな木を植えて増やす方がCO2を効率よく減らすことができるというのです。

2つ目は製造ラインでのCO2の減少です。コンクリート材や鉄材など木材以外の材料を製造する過程ではCO2が発生します。しかし木材はそのまま加工して使用することで、材料としての製造ラインで発生するCO2を減らすことができます。住宅1棟を建設する際の構法別製造時CO2排出量は木造住宅の場合、5.1トン、鉄筋コンクリート住宅は21.8トンと4分の1と大きく異なります。

このように木造建築はあらゆる場面で脱炭素社会に貢献しています。また、「限りある資源を破壊している」。という批判については、日本国土にある森林の実態を知っていただきたいです。日本の国土の約7割が森林であるのは有名な話ですよね。しかしその半数が人工林であり、木材としての利用期を迎えている木々が増え続けているという状態を知っていますでしょうか。つまり木材として使われるべき木々が余っているということです。そのため木造建築に使われる木材の採取としての森林伐採は森林破壊とは言えないでしょう。このように、木々は森林の一部として地球温暖化に影響を与えるのではなく、木造建築の一部としてサステナブルにこの地球の問題にプラスに貢献しています。「あえて伐採し、木材として有効的に資源を使う」。これが今の木造建築の姿です。

参照:林野庁「よくある質問

参照:林野庁「(2)環境への配慮

参照:林野庁「木材の利用の促進について

※イメージ画像

木造高層ビル」の国内事例を紹介します

実際に「木造高層ビル」として脱炭素社会に貢献している建設物の一例に三井不動産株式会社と株式会社竹中工務店が東京日本橋において2024年1月より国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビルを着工しました。木造建築の弱点となる耐震性や耐火性については最新の技術でカバーしながら、CO2排出量を削減し、訪れる人々がぬくもりを感じられるビルとして注目を集めています。下記にリリース時に発表された内容を引用にてご紹介します。

国内の一例ですが、新たな「木造高層ビル」が日本国内に次々に誕生していることがわかりました。

引用:三井不動産株式会社・株式会社竹中工務店 2024年1月11日
国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工

1. 国内最大・最高層、地上 18 階建・高さ 84m・延床面積約 28,000 ㎡の木造賃貸オフィスビル着工 国内初適用となる木造・耐火技術を多数導入し、三井不動産グループ保有林を含む 1,100 ㎥ 超の国産木材を構造材に使用。 一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、躯体部分において、建築時 CO₂排出量約 30%の削減効果を想定(※1)。

2. 「日本橋に森をつくる」というコンセプトのもと、木造オフィスビルならではの新たな価値創造に挑戦

➢ 三井不動産グループが北海道に保有する森林約 5,000ha の木材の一部を構造材および内装・仕上げ材に使用し、 「植える→育てる→使う」のサイクルによる“終わらない森”創りに貢献

➢ 木ならではのやすらぎとぬくもりを五感で感じられる空間を創出し、生産性の向上等、木造オフィスビルだからこそ実現できる 「行きたくなるオフィス」を目指す

➢ 緑豊かな歩行空間の整備や生物多様性の保全に貢献する環境づくりを通じ、オフィスワーカーや来館者、周辺住民の方が 都心のなかでも憩える新たな緑の拠点を創出

➢ ZEB Ready 認証、いきもの共生事業所®認証(ABINC 認証)等の取得を目指すほか、次世代の環境配慮型オフィスビルとし て、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入や建築廃材のアップサイクル等の先進的な取り組みを実施。

なお、国内の事例をもっと知りたい方は、こちらの資料もご紹介いたします。

参照:内閣官房「高層木造ビル事例集

この記事を書いてみて

今回、脱炭素社会に対して木造建築が有する利点や「木造高層ビル」を実現可能にした最新技術などをリサーチして、私は木造建築に対するイメージが大きく変わりました。こんなにも美しい建物が人々のためになるだけでなく、環境のためにもなっているという事に驚きました。木造建築とは持続可能な世の中をつくっていくという今だからこそ必要とされる手法だと思います。このように建設業界からも脱炭素社会に大きく貢献できていることを私だけでなく皆さんにも知っていただきたいです。

この記事を書いた学生記者

早稲田大学 法学部3年
れい

※記事執筆時の情報です。

 

出典まとめ

内閣府「CLT(直交集成板)とは

林野庁「よくある質問

林野庁「(2)環境への配慮

林野庁「木材の利用の促進について

三井不動産株式会社・株式会社竹中工務店 2024年1月11日「国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工

内閣官房「高層木造ビル事例集

 

<記事リンク:学生記事②

<記事リンク:学生記事③

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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