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次世代コンクリートとして注目されるジオポリマーとは? ──低炭素コンクリートとの違いも解説

次世代コンクリートとして注目されるジオポリマーとは? ──低炭素コンクリートとの違いも解説

はじめに:コンクリートとCO₂──建設業に迫る脱炭素化の課題

世界的に脱炭素の必要性が高まる中、建設業界にとってCO₂排出の主要源であるコンクリートの見直しが重要なテーマとなっています。実際、世界のCO₂排出量の約8%がコンクリート由来とも言われており、建設材料の転換が待ったなしの状況です。

こうした中、注目を集めているのが環境負荷の低い「ジオポリマー」です。従来のポルトランドセメントを使わず、産業副産物を活用してCO₂排出を抑えた新しい無機材料として、ジオポリマーは次世代型コンクリートの有力候補とされています。本記事では、ジオポリマーの基本特性、製造方法、従来材との違いや国内の動向を整理します。

ジオポリマーとは?──定義と背景

ジオポリマーとは、アルミノケイ酸塩(AlとSi)を含む無機物をアルカリ活性剤で重合させた無機高分子を指します。これを結合剤として用いたコンクリートが「ジオポリマーコンクリート」です。

1970年代にフランスの化学者ジョセフ・ダヴィドヴィッツ氏が提唱し、以来世界中で研究開発が進められてきました。焼成工程や石灰石を使わないため、製造時のCO₂排出を大幅に抑制できることが特徴です。

原材料と製造プロセス:廃棄物の活用が鍵に

ジオポリマーは以下の原料で構成されます: – アルカリ活性剤:ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなど – アルミノケイ酸塩:フライアッシュ、高炉スラグ、メタカオリン等(産業副産物)

ジオポリマーの高分子の模式図

これらを常温で混合・重合・硬化することで高強度なコンクリートを製造できます。さらに、水ガラスを用いる一般法やシリカフュームを使う溶解法など、製法も用途に応じて複数存在します。

CO₂排出削減に加え、副産物活用による資源循環型建設材料としての期待も高まっています。

メリット・デメリット・主な用途

メリット

  1. 製造時のCO₂排出量の大幅削減(50%以上)
    ジオポリマー原料の多くは発電所や製鉄所などで発生する廃棄物であるため、50%以上のCO2削減が可能です。本来であれば処分される廃棄物を活用することで、資源循環型社会の実現にも貢献できます。
  2. 高い耐火性・耐酸性に優れる
    ジオポリマーは1000℃程度の高温にも耐えられますので、耐火材として注目されています。また、耐酸性が非常に優れており、従来のコンクリートではすぐに腐食してしまう酸性度が高い温泉の排水路など、過酷な環境下でも劣化しにくい特性を持っています。
  3. 放射性廃棄物の封じ込め効果
    ジオポリマーは放射性廃棄物を閉じ込めても劣化しにくく、放射性物質の閉じ込め効果が高いため、放射性廃棄物の処理にも用いることができます。

デメリット

  1. コストが高い(アルカリ水溶液が高価)
    ジオポリマーの固化剤であるアルカリ水溶液の価格が高く、コストを押し上げています。
  2. 施工性に課題あり(硬化が早く、養生が必要)
    ジオポリマーは硬化時間が早く、十分な強度を得るための養生時間が長いため、施工性に難があります。

主な用途
ジオポリマーは以下の分野で応用が進んでいます。

  • 建築資材:ブロック、モルタル、プレキャスト部材など
  • インフラ補修:下水道やトンネル、橋梁の補修材
  • 耐火構造物:高温環境下にあるプラントや鉄道構造物
  • 放射性廃棄物処理:放射性物質の封じ込め材

ジオポリマーと 従来のコンクリート及び低炭素コンクリートとの違い

項目 従来コンクリート 低炭素コンクリート ジオポリマー
主原料 石灰石・骨材・水 高炉スラグ・フライアッシュ等 高炉スラグ・アルカリ活性剤
セメント使用量 100% ~40% 0%
CO₂削減効果 なし ~60% ~70%
耐火性・耐酸性
普及度 圧倒的 社会実装中 一部実用化
コスト

ジオポリマーは環境性能に優れる一方、施工や供給体制の課題が残ります。そのため、現在は低炭素コンクリートとの併用が現実的とされています。低炭素コンクリートはすでに社会実装が始まっており、ゼネコン各社が競って開発をしています。鹿島建設の「ECMコンクリート®」、大成建設の「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」、三井住友建設の「サスティンクリート®」、東急建設の「ハイプロダクリート」、安藤ハザマのLHC®(ローカーボンハイパフォーマンスコンクリート)、西松建設の「スラグリート®」などがあります。

関連リンク:低炭素コンクリートとは?脱炭素に向けて注目される理由を紹介

国内のジオポリマー動向と実用化企業

国内でも以下のような企業・団体がジオポリマーの研究開発に取り組んでいます。

実用化に成功

  • 清水建設株式会社、神戸製鋼所、シーカ・ジャパン株式会社

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2024/2024041.html

清水建設株式会社、神戸製鋼所、シーカ・ジャパン株式会社もグループも実用化に成功しています。廃棄物を96%使用しており、高い廃棄物使用率が特徴です。原料中の副産物利用率が95%超のものをAll-ByPro-OneTM、95%以下のものをByPro-OneTMと称しています。

  • 株式会社IHIと株式会社IHI建材工業、アドバンエンジ株式会社

https://www.ihi.co.jp/technology/techinfo/contents_no/__icsFiles/afieldfile/2025/06/23/08.pdf

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000089117.html 

株式会社IHIと株式会社IHI建材工業、アドバンエンジ株式会社の3社で開発が行われており、セメノン®として実用化に成功しています。トンネルのセグメントなどにすでに使用されており、特に放射性物質の閉じ込め効果の高さを利用して原子力発電所での使用も見据えています。

  • 中川ヒューム管工業株式会社

https://www.eetafcon.com/ 

中川ヒューム管工業株式会社はEeTAFCON®(イータフコン)として実用化しており、EeTAFCON研究会を通してコンクリート製品会社に水平展開し、普及を進めています。

研究開発段階

その他にもジオポリマーの研究開発を行っている企業を調べてリストアップしました。

  • 大成建設株式会社
  • 株式会社大林組
  • 株式会社竹中工務店
  • UBE三菱セメント株式会社
  • 大和ハウス工業株式会社

これらの動向を見ると、脱炭素建材の主戦場が「低炭素コンクリート→ジオポリマー」へと移行する可能性が読み取れます。

まとめ:ジオポリマーは“次の主役”となるか?

ジオポリマーは、産業副産物を活用しながら高性能を実現する次世代型の低炭素建材です。CO₂排出削減効果に加え、耐火・耐酸性、放射性物質封じ込め性能など独自の強みを持ちます。各コンクリートの排出源及び排出量の違いを従来のコンクリートを100%として比較してみましたので参考にしてみて下さい。

一方、施工性・コスト・供給体制など課題も残るため、短期的には低炭素コンクリートとの併用が現実解です。

中長期的には、建設業界の脱炭素ロードマップにおいて、ジオポリマーが標準的材料のひとつとなる可能性は高く、今後の社会実装に注目です。

 

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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