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「廃棄物処理業のイメージを変えリサイクルエネルギーとしてCO2も活用できる未来へ」 クリーンな廃棄物処理業者として時代の一歩先を行く加山興業のサステナビリティ経営

「廃棄物処理業のイメージを変えリサイクルエネルギーとしてCO2も活用できる未来へ」 クリーンな廃棄物処理業者として時代の一歩先を行く加山興業のサステナビリティ経営

はじめに

1961年の創業以来、廃棄物処理業者として廃棄物の適正処理、リサイクルを行う加山興業株式会社。

時代に先駆けて10年以上前から環境ソリューション事業を展開し、CO2削減に取り組んでいます。
環境問題に注力することになった背景や、未来に向けて現在どんな取り組みを行っているのかを伺いました。

廃棄物処理業の負のイメージを払拭すべく環境問題に注力。長年の積み重ねが評価され数々のアワードを受賞

―早い時期から環境問題に注力してきた理由を教えてください。

廃棄物処理業者は迷惑施設に該当し、クサい、汚い、環境を汚すものという漠然とした負のイメージを外部の方たちからは持たれています
それを払拭するために、機会あるごとに廃棄物処理についての出前授業を近隣の学校で行ったり、工場設備を拡大する時には必ず工場見学を開催したり、地域やステークホルダーに受け入れられるクリーンな廃棄物処理業者であることを証明すべく努力してきました。
その一環として2000年代からCO2削減にも取り組んでおり、エネルギー燃料を灯油や軽油から都市ガス、GTL燃料や電気へと切り替えています。

切り替え当初は「なぜそんなに費用がかかる燃料を使うのか?」と、かさむコストに反対の声を上げる社員もいました。
しかし時代が追い風となってくれ、年を追うごとに環境保護の重要性が説かれていき、反対意見もなくなりました。
環境問題に取り組む企業を表彰するさまざまなアワードも発足し、当社でも2021年度愛知環境賞銀賞や第13回経営者「環境力」大賞など、数々のアワードをいただけるようになりました。

環境アワードは単年で評価されるものではありません。何年も地道にコツコツ続けてきた取り組みがようやく評価されるようになってきて、感無量です。
「きちんとやっていれば評価は後から付いてくる」と、改めて感じました。今後も手を抜くことなく取り組み続け、環境保全を第一に考えたリサイクルに注力する企業としてのブランドを確立していきたいと思っています。

(出典:「KAYAMAサステナビリティレポート2022」P7~8)

RPF燃料の供給や再エネ化で脱炭素を推進

―現在行っている具体的な取り組みを教えてください。

産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙および廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料である、RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)によるCO2削減推進プロジェクトを進めています。
RPFはCO2削減だけでなく、枯渇性資源の節減や埋立て処分場の延命にも効果を表しており、当社ではボイラーを稼働させる製紙工場などにRPFを燃料として提供しています。

また当社では、電力会社に100%依存しないシステムを確立すべく、全ての工場の屋根にソーラー発電機を載せるなど、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー(以下 再エネ)由来の電力を主電源としています。2022年度の再エネ比率は89%でしたが、2023年度は100%を達成できる見込みです。

販売代理店事業についても、自社のスコープ3にあたる取引先の再エネ利用の理解を促すことで、CO2の削減に努めています。

(出典:「KAYAMAサステナビリティレポート2022」P47)

CO2削減の取り組みが外部評価や受注につながると実感

―取引先からの評価はどうですか。また受発注に変化はありましたか。

2021年に「ユニフォームのリサイクルルートをつくりたい」と、大手のユニフォーム会社からオファーがあり、そこのルートのとりまとめ役を引き受けさせてもらうことになりました。
環境問題に取り組んでいなければ、ユニフォーム業界とお付き合いすることなんてなかったでしょうから、思わぬご縁に驚きましたね。

また、本業のオペレーションではなく、環境問題がきっかけになっての新規取引先が最近増えつつあります
当社の大口取引先には大手自動車メーカーの協力会社さんがいらっしゃるんですが、CO2削減にあたって原単位を出してほしいとその自動車メーカーさんから依頼されたそうなんですね。
当社では排出量計算は昔からやっていますから、すぐに計算させていただいたところ、その自動車メーカーさんから高く評価されたとのことで、かなり喜んでいただけました。
それが評判になったのか、他の協力業者さんたちからも問い合わせをもらうようになり、仕事が増えましたね。

環境問題は他社からの評価が大切です。各社のScope1、2の取り組みが、取引先のScope3サプライチェーン全体の把握につながりますから、今後は町工場などの小規模事業者であっても、大手取引先との関係を維持していくためにはCO2削減経営に注力していかなければならないでしょう。
「大企業が取引している会社」という実績は、私たちのような廃棄物処理業者や中小に分類される企業にとってはとても大切な、かけがえのない価値評価になります。
中小企業がこの先も生き残っていくためには、大手の取引先から評価されることが必要ですから、今後ますます環境問題に注力していくことが求められていくでしょう。

2018年ごろよりSDGs実装支援サービスを開始

―そういった考えから顧客へのSDGs実装サービスの提供を始められたのですね。

SDGsは、あらゆるステークホルダーが対応していかないと実現できませんから、当社で蓄積されたノウハウを提供できるのではないかと思い、2018年ごろから普及啓発サービスを展開し始めました。企業がサステナビリティ戦略を経営へ落とし込む際のサポート、SDGsレポート作成支援から監修業務まで、幅広いサービスを提供しています

ニーズが多いのは、社員の方々がSDGsをきちんと理解できるようにするためのワークショップの開催ですね。社員の方々がしっかり理解できていないとSDGs戦略はできませんから。

中小企業では、社内の取り組み状況のモニタリングなどを行うことはなかなか難しいですから、効率的にSDGs情報を開示できるツールサービスなどの需要が、今後は出てくるのではないかと予想しています。

(出典:「SDGs実装支援サービス」)

CO2自体もリサイクルエネルギーとして活用できる未来に

―現在一番注力していることを教えてください。

おかげさまでステークホルダーからの評価が上がるに伴い、仕事も増えてきましたので、2022年に焼却炉を増設し、従来の6倍の焼却業務ができるように設備を補強しました。

当社で焼却処理しているものは、病院からの医療廃棄物や工場からの廃油など多種多様です。
どうしても焼却処理をしなければならないもので、焼却を怠れば住環境に悪影響を及ぼしてしまいます。
快適な社会生活を支える電気や水道などと同じ基盤設備であり、人間の血流に例えるなら電気や水道は動脈インフラ、廃棄物処理は静脈インフラにあたります

社会・生産活動を維持していくためには焼却処理は欠かすことのできないものですから、焼却すること自体をなくしてCO2を削減するのではなく、焼却しながらCO2を削減していく方法を考えていかなければなりません
現在、名古屋大学などと協力しながら研究を進めている最中であり、「ゆくゆくはCO2自体もリサイクルエネルギーとして活用できるようになったら」と夢をふくらませています。

加山興業株式会社
代表取締役
加山順一郎(かやまじゅんいちろう)氏

  • 同志社大学工学部を卒業後、化学メーカーに就職、その後加山興業へ入社。
  • 2010年に代表取締役就任。
  • 愛知県産業廃棄物協会青年部会会長、全国産業廃棄物連合会青年部協議会副会長、統括幹事の後、第5代会長を歴任。
  • 一般社団法人日本RPF工業会常務理事、一般社団法人PCB全量廃棄促進協会理事等も務める。

終わりに

廃棄物処理業者が持つ負のイメージを払拭し、地域から受け入れられる企業であるために時代に先駆けて環境問題に取り組んできた加山興業。
「企業として生き残っていくためには、人々から必要とされ、支持される業務を行っていかなければならない」という加山氏の言葉が印象的でした。

地球全体で脱炭素に向けた取り組みが推進される現在、今後は中小企業であっても脱炭素対策が必要とされることは確実であり、CO2削減に取り組むことが未来に存続できる企業としての足がかりになっていくことは間違いないでしょう。

リバスタは、建設業界のCO2対策や企業の脱炭素対策の支援を行っております。
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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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