業界事例

令和5年度まとめ 舗装業界大手の脱炭素の取り組み先進事例4選!

令和5年度まとめ 舗装業界大手の脱炭素の取り組み先進事例4選!

日本におけるCO2排出量のうち建設構造物から排出されている割合は約3割です。排出量の内訳では、現場における施工段階の排出量(Scope1)よりも原材料の製造過程および運用段階(Scope2またはScope3)の割合が多くを占めています。

舗装工事で使用される材料は主にコンクリートアスファルト混合物(アスファルト合材)の二種類があります。これまでのところ、価格の優位性や石油精製残渣の有効活用の観点から、日本ではアスファルト舗装が主流であり、一般的に舗装とはアスファルト舗装を指すことが共通認識となっています

ここでは、舗装業界が脱炭素に向けてどのような取り組みを進めているのか、アスファルト混合物(アスファルト合材)生産会社やプラントメーカーを含めた最新事例について大手4社と注目すべき中小1社についても事例をご紹介します。

舗装業界大手による脱炭素への取り組み事例

舗装業界が排出するCO2の多くは、アスファルト合材の生産過程で発生します。舗装業界における脱炭素については、アスファルトに砕石などを混合加熱する生産過程での取り組みが重要です。施工段階におけるCO2削減は工事車両が使用する燃料の脱炭素など、期待できる範囲に限りがあります。

(イメージ画像)

①前田道路、水素燃料でアスファルト混合物の製造・試験施工を実施

前田道路株式会社(以下、前田道路)は2023年4月、アスファルト製造プラントにおける水素燃料を使ったバーナーによる、アスファルト混合物の製造および試験施工に関する情報を公開。2023年4月12日付けの日刊建設工業新聞のブログに下記のように掲載されました。

前田道路は、日工と東京ガスが共同開発した水素バーナーをテクノセンター技術研究所(茨城県土浦市)の試験プラントに設置し、3月27日から実証試験を進めている。骨材の乾燥・加熱工程で使うバーナー燃料を従来の重油、都市ガスから水素に転換することで二酸化炭素(CO2)排出量ゼロを実現する。11日に水素専焼で製造した合材を使った舗装の試験施工などを報道陣に公開した。

日工と東京ガスが共同開発した水素バーナーは熱量の出力が500キロワットの小型タイプ。都市ガスや水素の専焼に加え、自由な混合比率で混焼することも可能だ。水素は燃焼時に窒素酸化物(NOX)が発生する特性があるが、バーナー内部のノズルを最適化することで低NOX化と安定燃焼を実現した。既存のプラントでもバーナー部分だけを交換すれば設置が可能。 2023年3月に販売を開始する。

前田道路の試験プラントを活用した実証試験の実施期間は13日まで。水素燃焼に伴うプラント設備への影響やアスファルト合材の物理性状の確認などを行う。日工は試験で得たデータを基にアスファルトプラントへの水素バーナー実装に向けてスケールアップや設備の改良を図っていく。

前田道路の清水泰成技術研究所長は「水素の実用化に向けた準備はしっかりしていく。水素の供給体制や低コスト化など環境が整えばプラントへ順次導入していきたい」としている。

前田道路はこれまでにも低炭素アスファルト合材の製造・販売を積極的に取り組んでおり、水素燃料プラントの導入により舗装業界における低炭素・脱炭素への貢献が期待されます。

②大成ロテック、バイオアスファルトによる実証を進める

大成ロテック株式会社(以下、大成ロテック)が進めるリグニンを使用した『バイオアスファルト混合物』に関する共用性実証について、2022年10月11日付けの日刊建設工業新聞でこのように報じられました。

大成ロテックは、樹木の主要成分(リグニン)を使った環境配慮型の道路舗装材料「バイオアスファルト混合物」が施工後も良好な共用性を維持していることを確認した。共同研究を行う日本製紙の石巻工場構内で2020年3月に試験施工し、共用15カ月後の追跡調査を実施。わだち掘れやひび割れなどは発見されなかった。

バイオアスファルト混合物は、大気中の二酸化炭素(CO²)を吸収し成長した樹木の主要成分のリグニンを石油アスファルトの一部と置き換え、舗装内に炭素を固定する。

試験施工では主に重交通道路に適用する密粒度アスファルト混合物(20)のアスファルトと、クラフト製法で木材チップから得た副産物「クラフトリグニン」を容積で10%置き換えた。大成ロテックは混合物の素材から製造までのCO²収支が約30%削減できると算出する。

現在は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムで開発を継続中。今後リグニン使用料の増加やアスファルト混合物製造方法でCO²削減に務め、カーボンネガティブな舗装材料の開発につなげる考えだ。

舗装業界への普及が進めば、業界全体でのCO²排出を大きく削減できる取り組みとして今後も注目されます。

③昭和瀝青工業、双日と組んでCNアスファルトの供給開始

昭和瀝青工業株式会社(以下、昭和瀝青)は、2023年4月から脱炭素アスファルト(CNアスファルト)の供給を開始しました。

大手商社の双日株式会社(以下、双日)が調達するカーボンクレジットと、昭和瀝青が韓国から輸入・販売しているストレートアスファルトのCO2排出量をオフセットすることにより脱炭素を実現するものです。昭和瀝青による今年度のCNアスファルト販売量は2万トンを予定しています。

両社はこの取り組みを通じ、日本全国の道路工事で利用されているアスファルトの脱炭素を推進する方針です。

④三和興産、アスファルト合材や現場施工の品質向上に向け、岐阜大学などと研究開発

三和興産株式会社(以下、三和興産)は従業員40名未満の中小企業ですが、脱炭素に関する先進的な取り組みで注目されています。

もともと自社でアスファルト合材の製造から施工管理、リサイクルまでワンストップで提供していますが、2019年度・2020年度には環境省の事業に参加して、自社事業におけるCO2排出量の可視化と中長期での削減目標計画の策定に取り組みました。アスファルト製造工程における加熱燃料の削減、効率化、カスケード利用等を用いて、2025年度までにCO2排出量を30%削減する目標を掲げ、2022年9月にはSBT認証を取得しています。

アスファルト合材や現場施工の品質向上に向け、岐阜大学などと継続的に研究開発も行っています。開発した再生加熱アスファルト合材は、愛知県のリサイクル資材評価制度「あいくる材」に認定されました。また、アスファルト舗装の簡易補修延命工法(ピタホール工法)も開発。路上の小さな破砕を直ちに補修することで道路の寿命が延び、新たなアスファルト材料を使わずに済みます。2022年5月にはこの工法で、国土強靭化に貢献する団体として「第8回ジャパン・レジリエンス・アワード 優秀賞」を受賞しています。

三和興産株式会社のインタビュー記事はこちら

「中小企業と脱炭素」-三和興産が取り組んできたScope3につながるエコシステムへの道

まとめ

舗装業界における脱炭素への取り組みでは、アスファルト混合物(合材)の生産過程における技術開発がカギとなります。合材の脱炭素は施工会社のScope3における脱炭素に寄与するものです。

業界で期待される、水素燃料やアンモニア燃料を利用するアスファルト合材の生産設備の普及においては、バーナーなどの技術開発の進展もさることながら、燃料となる水素やアンモニアの安定的な供給体制の確立も重要なテーマとなります。

化石燃料を代替する新燃料について、舗装業界だけでなく社会全体での導入が加速的に進むか否かは、こうした新燃料の生産・供給体制の整備しだいとも言えます。こうした社会インフラの整備は、特定の業界だけで取り組めるものではなく、政府や関連機関によるバックアップがなによりも重要となってくるでしょう。

今回は舗装業界の最新動向をご紹介しました。以下の記事では業界ごとに先進事例をご紹介しています。

建築業界編はこちら:「令和5年度まとめ 建築業界大手の脱炭素の取り組み先進事例5選!

土木業界編はこちら:「令和5年度まとめ 土木業界大手の脱炭素の取り組み先進事例4選!

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出典まとめ:

(一社)日本建設業連合会「2021 年度 CO2排出量調査報告書

日刊建設工業新聞社「前田道路/水素バーナーで混合物製造、CO2排出ゼロへ試験施工で検証

日刊建設工業新聞社「供用15ヵ月後も良好 バイオアス混合物追跡調査 大成ロテック

昭和瀝青工業株式会社「昭和瀝青工業、双日、脱炭素社会の実現に向けてカーボンニュートラルアスファルトの販売を開始

三和興産株式会社「SBT認定の取得

三和興産株式会社「ピタホール工法が『第8回ジャパン・レジリエンス・アワード MEMORIAL BOOK』に掲載。内閣官房国土強靱化推進室の公式ツイッターでも紹介されました

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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