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仮設機材の総合プラットフォーマー 「タカミヤ」 脱炭素社会実現に向けた取り組み

仮設機材の総合プラットフォーマー 「タカミヤ」 脱炭素社会実現に向けた取り組み

足場など仮設機材の製造・リースなどを手がけるタカミヤ。仮設機材における総合プラットフォーマーとしてDXを推進し建設業界が持つ課題を解決すべく、ユーザーに高付加価値サービスを提供する「Takamiya Platform 以下(タカミヤプラットフォーム)」を展開しています。「タカミヤプラットフォーム」における脱炭素の環境価値実現に向けた取り組みについて同社営業本部 事業開発部長 浅井 敏夫 氏にお話をお聞きしました。

仮設機材の環境配慮・脱炭素の現状

建設現場には欠かせない仮設機材(足場)については、業界内において低稼働機材の廃棄やリサイクルの促進が課題の一つとなっています。浅井氏は「鉄やアルミなどの金属を使った足場の部材は、廃棄時に適切に処理されなければ環境に負荷を与えます。 リサイクル率を高めるためには、効率的な廃棄物管理が求められますが、実際に各企業の経営者は廃棄、リサイクル等に慎重なケースが多く、低稼働にもかかわらず、そのまま放置されたり、全く運用されていなかったりするケースが多くみられます」と指摘。続けて「こうした状況は、品質の低下と各企業の収益にも影響を及ぼすと考えられます」と話します。

こうした背景を踏まえ、タカミヤは循環型社会の実現に向け、温室効果ガスの排出削減に向けたさまざまな施策を打ち出しています。

その一つが、次世代足場「Iqシステム」です。階高1,900mm、作業支柱間隔1,107mmで従来の足場製品と比較して、作業スペースにゆとりがあり、組み上げ段数の減少で省力化を図りました。支柱の素材には軽量高張力鋼管を使用することで、一本当たりで最大2kgの重量低減が可能になり、収納面積の50%の省スペース化を実現しました。こうした改良により、従来品に比べ、トラックへの積載容量が大幅に増加。運搬車両の台数は約30%削減され、温室効果ガスの排出量の削減に寄与しています。

次世代足場「Iqシステム」

画像提供:タカミヤ

機材リサイクル工程の変化

タカミヤでは、仮設機材の安全基準を可視化するために、実大試験器による強度試験を行っており、安全基準が可視化されると、経年化により、基準に抵触して廃棄される機材が発生します。仮設機材は安全性を確保できなくなった時点で、廃棄が必要になり、従来はそれらの廃棄物はスクラップとして高炉でリサイクルされ、新たな製品の原材料となっていました。「従来用いていた高炉から、現在は電炉に切り替えてリサイクルを進めています。電炉は高炉と比較して、温室効果ガスの排出量を4分の1程度に抑えることができます。また、電炉で生成された原材料を用いて、新たな製品の製造を行うことで、廃棄されることになった仮設機材が環境に配慮した形で、別の製品に生まれ変わるサイクルを構築しています」(浅井氏)

流通工程の効率化と再生エネルギー使用

製品を車両に積み込む際に発生するCO2排出量削減に寄与しているのが機材Baseという倉庫兼流通拠点です。浅井氏は「従来の機材置場では積み込みの完了までに、長い場合で2時間ほどの時間を要していましたが、一部の機材Baseでは優先的に積み込みが可能なファストレーンの設置やトラックスケールの導入により、積み込み時間を30分程に短縮することができます」と話します。これにより積み込み待機中の車両から排出されるCO2量の削減につながっています。さらに機材Baseでは化石燃料に頼らない電動のフォークリフトを導入しており、フォークリフトの導入数全体の約20%を占めています。また、同施設内に設置した太陽光発電により、電力の自産自消も行っています。

全国各地にある倉庫兼流通拠点「機材Base」

画像提供:タカミヤ

タカミヤでは再生可能エネルギーである太陽光発電システムにいち早く着目し、多様な設置手法に対応する太陽電池架台の設計・製造・工事のサービスにも取り組んでいます。「自社開発の代表例としては、2012年に固定価格買取制度(FIT)が開始され、地上設置型メガソーラー建設の需要拡大に対し、施工性が優れた『H-2システム』を開発し、全国各地に累計300MW超の供給を行ってきました。近年では、FITから自家消費向けに市場がシフトして来ており、新製品     としてソーラーカーポートや垂直設置型架台「H-V system」を開発し、変化する建設需要に応えています」(浅井氏)

「H-V system」

画像提供:タカミヤ

さまざまな施策を打ち出すタカミヤですが、カーボンニュートラル社会の実現に向けたポイントとして、再生可能エネルギーの積極的な活用と、業界内全体におけるリサイクル促進の2点を挙げます。「当社は仮設機材メーカーですので、年間4万トン以上の鉄を使用して製品製造を行っております。現状では、高炉材85%、電炉材15%となっており、環境負荷の低い電炉材の使用比率の向上が不可欠です。そのためには、単に電炉材を導入するだけでなく、業界課題である“眠った資源”の循環を促すことで、そこで回収した不稼働材を電炉に持ち込み、それを溶かし、再度素材にし、それを活用することで、新たな仮設材を製造するサイクルの構築が必要です。この一連のサイクルが、業界のサステナブルにもつながるよう、当社が培ってきた国内ネットワークを活用して貢献していきたいと考えています」(浅井氏)

営業本部 事業開発部長 浅井 敏夫(あさい・としお)氏

建設業界全体での取り組みが必要

カーボンニュートラル社会の構築には、足場業界のみならず建設業界全体での取り組みが欠かせません。浅井氏は「当社の取り組みを広く知っていただくことで、環境配慮、CO2削減への興味を持っていただき、一緒に課題を解決しようという“仲間”を増やしていくことが、長期的にみて業界の脱炭素の機運を高めることになると思います」と話します。「そのためには、環境配慮の考え方の押し付けだけでは難しく、それぞれの企業が、いかに経営効率を上げて、利益を追求できるかが同時に遂行されなければ夢物語となってしまいます。当社のタカミヤプラットフォーム     はその課題に正面から向き合う取り組みであり、顧客の経営課題の解決と、脱炭素の環境価値を同時に実現する仕組みを持っています」

 タカミヤプラットフォームの概要

出典:タカミヤWebサイト

※組織名・役職などの情報は取材当時(2025年4月)のものです。

 

この記事の監修

リバスタ編集部

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