業界事例

フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(後編)

フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(後編)

前編では、「“高”環境づくり」というスローガンに込められた想い、カーボンニュートラル実現に向けた「施工CO2削減施策」と「CO2削減状況の見える化施策」などについてお話しいただきました。 後編では、ZEB※1を推進する上での課題、新たな環境価値創出に向けた中長期的なGX戦略の推進、資源循環への取り組みなどについてお聞きしていきます。  ※1:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼ぶ。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。

ZEB化推進に欠かせないお客様との対話

脱炭素を進めるうえで、建設業にとって外せないのがZEBに関する取り組みです。 フジタが所属する大和ハウスグループでは、2022年度から始まった第7次中期経営計画において「すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラルの実現」を重点テーマのひとつに設定しています。CO2排出量(Scope1・2・3)※2を2030年までに15年度比で40%削減するという共通目標を掲げています。フジタは、国内のオフィス、施工現場ともに再生可能エネルギー使用率100%を達成しており、国内のScope2についてはCO2排出量ゼロという状況になっています。 Scope3についての取り組みのひとつが、設計・施工建物のZEB化です。建築物の使用段階でのCO2排出量削減を進めるために、2030年までに原則、全棟ZEB化を達成するとともに、全ての建物に太陽光発電システムを搭載するという目標を掲げています。 ここで欠かせないのが「施主であるお客様の理解」と古澤氏は指摘します。「会社の中での教育も含めたZEBへの理解、また、早い段階でのお客様への説明という部分に関しては、現在非常に難しい課題になってきています。コスト面も含めて、お客様にご理解いただくのはなかなか難しいと思うのですが、そのあたりの働きかけが今後重要になってくるのではないでしょうか。ここに手をつけない以上は目標達成が難しいですから、お客様としっかり話し合いながら努力する姿勢が求められるのではないかと思います」(古澤氏) ※2: Scope1-事業者自らが直接排出する温室効果ガス Scope2-他社から供給された電力や熱、蒸気の使用に伴う間接的な排出のこと Scope3-Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他事業者による排出)

GX戦略3つの柱

GX戦略では環境課題の解決に向け、「事業活動からのCO2排出ゼロ」「脱炭素に貢献する事業の推進」「新たな環境価値の創出」を3つの柱として定めています。 菅原氏は「 GX戦略では“脱炭素”と“自然共生”“資源循環”の3つの分野を包括的に扱いたいと考えていますが、それぞれの段階には差があります」と指摘します。「『事業活動からのCO2排出ゼロ』は必須の取り組みで作業所、事業所ごとに目標を設定して削減を進めています。“自然共生”と“資源循環”については、今まで行ってきた取り組みを改めて評価し、多面的に環境負荷低減につながる『脱炭素に貢献する事業の推進や新たな環境価値の創出の一部』として位置づけています」と続けます。 “自然共生”を進めるうえでの取り組みの一つがグリーンインフラです。「言葉の通り、自然の多様な機能を活用して自分たちの生活に反映していくという意味があります。最近の取り組みでは高浸透性の外構緑地であるレインテックガーデン®があげられます。緑地に降った雨水の『浸透』と『保水』を両立し、敷地外への雨水の流出を抑制します。使用する緑化資材にはリサイクル材を利用するなど、資源循環の取り組みともなっています。フジタのオリジナル技術としてお客様にも採用いただいております」(菅原氏)

レインテックガーデン®の特長

出典:フジタ

資源循環の意識付け

建設廃棄物の適正処理は従前からの取り組みを強化し、目標を定めて現場ごとに工夫をしながら排出量の削減やリサイクル率向上を進めているといいます。一方、オフィスのごみは分別ボックスがあるからそのとおりに分けていますが、資源循環を強く意識するような取り組みはありませんでした。そこで2023年から力をいれている取り組みが、使い捨てプラスチックの削減活動です。海洋プラスチックごみ問題への対策として、事務用品やノベルティの包装など使い捨てプラスチック製品13品目の社外向け無償配布・使用を全面的に禁止しました。さらにガイドライン遵守を徹底するため、全従業員を対象にしたeラーニングも実施しています。「我々としては小さな取り組みだと思っていたのですが、“高”環境レポートにおいて外部からいただく第三者意見で、想定以上に高く評価いただき、社内全体の意識改革という意味でも、この活動をやってよかったと思っています」(菅原氏)

新たな環境価値創出を宣言

フジタの環境施策を牽引すべくGX戦略部はどのような方向を目指すのでしょうか。菅原氏は「再エネ事業や技術センターでの技術開発など、会社としてできることをいろいろと進めてきてはいますが、フジタとして目指す方向を明確に打ち出すことがこれまでできていなかったのではないかという反省点があります。それを整えていくのが、ここ1、2年のGX戦略部の取り組みでした」と振り返ります。「『事業活動におけるCO2排出量ゼロ』と『脱炭素に貢献する事業の推進』だけでなく、中長期的な視点での技術開発やカーボンクレジットといった新たな環境価値の創出を今後の取り組みの柱としてやっていくと宣言しています。ここから実行に移していくうえで、さらに突き詰めていくべき課題は多いと思いますが、全力で取り組んでいきたいと思います」

経営改革統括部 GX戦略部長 菅原 玲子(すがわら・れいこ)氏

品質・環境本部 環境部長 古澤 富貴(ふるさわ・とみたか)氏

まとめ

大学時代、環境を専門分野としていたという菅原氏は「環境に大きなインパクトを与える元請会社にいるからこそ、環境に対して貢献できる部分も大きい。まさに自分たちの事業そのものをどうするかという立ち位置で関われる点は、困難も多いがやりがいもある」と話していました。まさに当事者としてカーボンニュートラルの実現や環境共生のために何ができるのか。フジタの掲げる「“高”環境づくり」の根底には、建設業に携わるからこその想いが込められているのではないでしょうか。

※組織名・役職などの情報は取材当時(2025年1月)のものです。

前編はこちら:フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(前編)

この記事の監修

リバスタ編集部

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