業界事例

フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(前編)

フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(前編)

「“高”環境づくり」というスローガンを掲げ、建設業界内でもいち早く環境に配慮した企業理念を示してきたフジタ。カーボンニュートラルの実現に向けたGX戦略基本方針では、“脱炭素”“自然共生”“資源循環”の3つを基本の柱としています。フジタの目指す『“高”環境』とカーボンニュートラルへの取り組みはどのような効果を生むのか。経営改革統括部GX戦略部長の菅原玲子氏と品質・環境本部環境部長の古澤富貴氏にお話を伺いました。

社内で受け継がれる『“高”環境』への想い

フジタの企業理念は「自然を 社会を 街を そして人の心を 豊かにするために フジタは たゆまず働く」です。この理念に基づき、1990年に「“高”環境づくり」というスローガンが定められました。「“高”環境づくり」には、「自然に、社会に、街に、そして人の心に、より高い価値を創造し提供し続けること」という意味が込められています。

菅原氏は「企業理念が制定されたのが1986年。一番頭に『自然』という言葉を掲げたのは、当時にしては先進的だったのではないでしょうか。『“高”環境』という言葉も弊社がずっと使い続けている言葉です。弊社の造語で、文字通り高い環境づくりという意味ですが、字面を見るだけでも、環境への高い価値を与える取り組みを示せているスローガンだと思っています」と話します。

こうした環境への想いは、当時から現在まで脈々と受け継がれてきたといいます。古澤氏は「過去には経営的に厳しい時期もありましたが、そのような中でも、1997年8月には業界で初めてISO14001の認証を取得(東京支店)するなど、環境への取り組みとしては先進企業だったと聞いています。当然、我々元請会社にとってはお客様の要望に沿った建設をすることが本業なのですが、よりよい環境を提供していく『“高”環境』というスローガンはいつの時代も忘れていないと思います」と話します。

フジタの“高”環境づくり

出典:フジタ ”高”環境レポート SUSTAINABILITY 2024

脱炭素”“自然共生”“資源循環”の一体となったGX戦略

カーボンニュートラルの実現に向けた中長期的な課題への取り組みを推進する上で、中心となるのがGX戦略部です。GX戦略基本方針は“脱炭素”“自然共生”“資源循環”の3つの分野を包括して定めています。菅原氏は「カーボンニュートラルはもちろん注力すべき重要課題ですが、それだけでなく、建設業が環境に及ぼす影響を考えると、生態系への影響がとても大きい。さらに建設業は取り扱う資材の種類・量が多いので、資源循環という視点も外せません」と3本柱の意図を説明します。「GX戦略部の発足が2022年。当初はカーボンニュートラル実現に向けたグリーントランスフォーメーション戦略という話で始まりましたが、現在は、自然共生、資源循環も、お互いが切っても切り離せないものとして位置付けています。生物多様性や資源循環にとって有用な施策が、脱炭素にも良い効果をもたらすという場面も多いのではないでしょうか」(菅原氏)

CO2排出量「見える化」への取り組み

カーボンニュートラル実現に向け、最も排出量の多い施工分野で推進しているのがCO2削減を確実に進めるための「CO2削減状況の見える化施策」です。

古澤氏は、稼働中の工事現場で簡単にCO2排出量の現状を把握できることが、CO2削減につながると話します。「国が掲げるCO2排出量削減目標を実現するためにも、まずは我々のCO2排出量を明確に捉えることが肝要です。そこでまずは、社内システムで重機稼働台数をより詳細に記録する仕組みを構築しました。さらにリバスタが提供する建設現場のCO2算定サービス「TansoMiru(タンソミル)」を導入し「TansoMiru」と社内システムを連携させることで、弊社が直接排出するCO2排出量(Scope1)※1を確実に捉えていく取り組みを進めているところです」

また、Scope3についても、リバスタの電子マニフェストサービス「e-reverse.com(イーリバースドットコム)」のデータを、社内の副産物管理システムに連携し、そこから得られるデータに基づいて算出するという方法をとっています。

「施工CO2削減施策」としては、重機の軽油使用量の削減として、軽油代替燃料の活用や電動重機の導入も進めています。古澤氏は「軽油よりCO2排出量の少ない軽油代替燃料の導入には、協力会社さんの理解が欠かせません。あまりいいイメージを持たれていない部分もあるので、どうやって働きかけていくかという課題は非常に大きいです」と指摘します。「軽油代替燃料の高品質化に取り組んでいる企業もありますので、いろんな現場で協力会社さんに理解していただいた上で、弊社としてもどのような燃料が使えるのか動向をしっかりとウォッチして、軽油の使用を減らす努力を続けていきたいと考えています」(古澤氏)

また、フジタはCO2 排出量削減に向けた技術開発にも取り組んでいます。2024年には、株式会社トクヤマ(本店:山口県周南市)と共同で、環境配慮型の歩道用舗装材「バイオ炭インターロッキングブロック」を開発しました。バイオ炭の一種である木質バイオマスガス化発電の副産物である炭を活用し、コンクリート製品と混合することによって炭素を貯留し、カーボンニュートラルを実現しています。

※1:
Scope1-事業者自らが直接排出する温室効果ガス
Scope2-他社から供給された電力や熱、蒸気の使用に伴う間接的な排出のこと
Scope3-Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他事業者による排出

環境配慮型の歩道用舗装材「バイオ炭インターロッキングブロック」

出典:https://www.fujita.co.jp/_wp/wp-content/uploads/2024/11/release_20241127.pdf

経営改革統括部 GX戦略部長 菅原 玲子(すがわら・れいこ)氏

品質・環境本部 環境部長 古澤 富貴(ふるさわ・とみたか)氏

前編では、「“高”環境づくり」というスローガンに込められた想い、カーボンニュートラル実現に向けた「施工CO2削減施策」と「CO2削減状況の見える化施策」などについてお話しいただきました。

後編では、ZEB※2を推進する上での課題、フジタの持つグリーンインフラ技術、資源循環への取り組みなどについてお聞きしていきます。

※2:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼ぶ。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。

※組織名・役職などの情報は取材当時(2025年1月)のものです。

後編はこちら:フジタのGX戦略 “高”環境づくり 地球と未来に必要とされる会社に(後編)

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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