土壌汚染に関するコンサルティングから調査・処理までワンストップで対応するダイセキ環境ソリューション(本社・名古屋市)。土壌汚染対策を主業にしながら、バイオディーゼル燃料(以下、BDF)の製造・販売も手掛ける同社は、廃棄物等に再び価値をつける新しい仕組みを創造して成長する企業を未来像として掲げ、BDF利用促進に向けた新たなスキームづくりに乗り出しています。同社環境事業本部資源循環事業部専門部長の水野氏に、BDF普及に向けた新たな事業スキームとその構築に向けた実証事業の概要、建設業界におけるBDF利用促進の展望などについてお話を伺いました。
廃棄物が資源として循環する仕組みづくり
ダイセキ環境ソリューションは土壌汚染対策を主業に、PC廃棄物処理、廃石膏ボードリサイクルなども手掛けています。水野氏は同社の強みについて「廃棄物や汚染土壌を単純に埋め立てたり焼却処理したりするのではなく、より価値の高いリサイクルの方法を考え、常にサーキュラーエコノミーへの寄与を目指している点です。個々の処理の技術的な解決策だけでなく、排出者とリサイクル品利用者のニーズをつなぎ、最適なリサイクルスキームを構築することに重きを置いております」と話します。
同社では、こうした社会的に不要になったものに再び価値をつける新しい仕組みを「環境リバリューストラクチャー」と呼んでいます。「廃棄物を廃棄物として終わらせるのではなく資源として循環させていきたい。循環のスキームをうまく組むことで、経済的にも成り立つ循環型社会を形成し、それが安定的に継続する社会的な仕組みを作るところまで踏み込んで、廃棄物をどう生かしていくかを考えていきたい」(水野氏)
BDFの製造・販売もこの「環境リバリューストラクチャー」の取り組みの一つです。
ダイセキ環境ソリューションのBDFは100%廃食用油を利用。EN14214、JIS K2390に適合した製品を大量かつ安定的に供給できる点に特長があります。「量産の秘訣は、2023年に導入したバイオ燃料精製では他に例を見ない膜分離施設によるものです。この施設はBDF精製で一般的に普及している蒸留施設を置き換えるもので、従来型の蒸留施設に比べて投下エネルギーが極めて小さく生産量1Lあたりで1/10以下と、LCAの面で極めて高い優位性があります」(水野氏)
▼BDFを製造するバイオエナジーセンター(愛知県東海市)

建機リースとメンテをセットで提供
BDFの製造・販売と併せて取り組んでいるのが、BDF普及に向けた事業スキームの構築です。水野氏は「B100の利用についてはこれまで建機のメーカー保証が得られず、利用者のいわば自己責任となっていました。当社が考えているスキームでは、B100を安心してお使いいただくために、BDF利用に特化した建機のメンテナンス付きリースを行い、利用後の二次利用や二次市場での流通の流動性も損なわないよう、エンジンの修理やリビルド技術を活用しようとするものです」と説明します。
本事業では、ダイセキ環境ソリューションを含むダイセキグループがBDF燃料の供給を担い、建機販売の販売を行う住友建機販売、重機のリースを行う三井住友トラストパナソニックファイナンス、リースした重機をメンテナンスし必要なタイミングで修理やオーバーホールをかける日本エンジンと3社とアライアンスを組んでいます。
このうち、ダイセキグループと日本エンジンが共同で検討しているBDF利用促進に向けた実証実験と事業体制の構築への取り組みは、2024-2025年度の愛知県循環型社会形成推進事業に採択されました。
24年度はダイセキ工場内で使用する重機へのBDF使用によるCO2排出量削減に向けた実証実験を核に、BDF使用に伴う重機の故障や不具合発生に備え、日本エンジンがエンジンメンテナンスサービスとデータ取得・分析を担当。25年度は、BDFメーカー、建機メーカー、メンテナンス会社、リース会社の各役割をパッケージ化するビジネスモデルの構築に着手しています。
「重機でのBDF使用は2025年10月現在で通算9カ月となりますが、今のところ全く不具合は生じていません。今後は、愛知県の実証事業を完了させるとともに、利用条件の違ういくつかの実利用のフィールドでの実証事例を増やしていきたいと考えています。また実現場で発生するニーズや問題点を汲み取り、これをフィードバックすることで、顧客の業態や利用地の条件に応じた最適なスキームやパッケージ内容にブラッシュアップさせていきたいと考えています」(水野氏)
▼実証実験でリースされている重機

バイオディーゼル燃料を安心して使える燃料に
ダイセキグループがこうしたスキーム作りを目指す背景には、建設業界におけるBDF利用の停滞があります。水野氏は、建設業界とBDFの関係性について「安心して日常的に使えるCO2削減ツールとしての燃料が求められているのは間違いありません」と話します。「10年ほど前は国土交通省やNEXCO各社発注工事で入札の環境側面でのポイントがインセンティブとなり建設業界でBDFが盛んに使われた時期がありました。しかし、その後メーカー保証の問題や実際の不具合の多発により需要がシュリンクしてしまいました。もともと建設業界はCO2削減意欲の高い業界であり、業界としてベンチマークを定め果敢な取り組みがなされており、GTLやHVOの導入検討もよく知られています。ただ、価格や調達その他の問題により利用が進まない現状があります」
次世代へのトランジット燃料としての優位性
現在資源エネルギー庁では、B7及びB20/B30の規格化が進められています。水野氏は「これが実現すれば規格に合致した燃料の利用についてはメーカー保証が得られることとなり、利用の拡大が期待されます。弊社グループとしては、よりCO2排出量削減効果の高いB100の普及に努めたいという思いがあり、そのための新しい仕組みを作り、メーカー保証に頼らずとも安心して使っていただけるサービスを提供していきたいと考えています」と意気込みを見せます。
水野氏は、BDF事業について「これからの10年〜数10年は、次世代燃料へのトランジットの燃料として十分活躍の場があると確信している」と話します。「BDFがカーボンニュートラル社会の実現に向けた最終手段ではないことはよく理解しています。ただし、BDFはシンプルな施設での製造が可能で、コストも比較的安価で、HVOなどと比べて価格競争力もあります。しっかりメンテナンスをすれば軽油代替燃料としてドロップインで利用することができるという点も大きな魅力です。次世代燃料の技術的課題やインフラが整うまではこの既存技術を最大限活用して2050年カーボンゼロに向けた初期~中期段階における有効手段となるよう、必要なサービスを提供していきたいと考えております」

株式会社ダイセキ環境ソリューション
環境事業本部 資源循環事業部 専門部長 水野 雅庸(みずの・まさのぶ) 氏
※組織名・役職などの情報は取材当時(2025年11月)のものです。

この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。








