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ZEB Readyとは?省エネ率100%を達成できなくても取得できる!4段階のZEB評価

ZEB Readyとは?省エネ率100%を達成できなくても取得できる!4段階のZEB評価

脱炭素社会への対応が進む中、建設業界ではZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への取り組みが進んでおり、その入門段階として、ZEB Ready(ゼブレディ)が設けられています。この制度は、省エネ率が100%に達しなくても一定の基準を満たせば認定可能で、完全なZEBを目指す初歩的なステップとされています。

本記事では省エネを促進するために設定されたZEBの段階的な評価についてZEB Readyを中心にして解説します。

ZEB Readyとは?

ZEB Readyとは?

ZEB Readyとは、エネルギー消費削減の設計がされている建物であるZEBの一種です。ZEBはエネルギー消費の削減とエネルギー創出の割合によっていくつかに分類されます。

では、下記よりZEBの具体的な定義、ZEBの種類について説明しましょう。

そもそもZEBとは

ZEBとは、省エネ・創エネという2つの軸により、年間の一次エネルギー消費量を100%削減する建物のことです。

ZEBの定義はこちらです。

引用:平成30 年度ZEB ロードマップフォローアップ委員会とりまとめ|平成30 年度ZEB ロードマップフォローアップ委員会

一般的に、建物の状態や土地の環境によって省エネ及び創エネが難しいケースがあります。そのため建物自身建物周囲の環境によってエネルギー削減とエネルギー創出の割合が異なり、その割合によって4段階のZEB評価が設けられています

ZEBの種類

ZEBの種類は下記のように4つに分類されます。

引用:環境省「ZEBの定義

下記より4つの種類について、それぞれの特徴を説明しましょう。

ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

ZEBは、省エネと創エネによって年間の一次消費エネルギー量100%削減を目指した建築物です。省エネ・創エネによって室内環境を維持しながら、年間の一次エネルギー消費量ゼロを実現します。

Nearly ZEB(ニアリーゼブ)

Nearly ZEBは、ZEBに限りなく近い建築物として定義されています。再生可能エネルギーを除く基準一次消費エネルギー量から50%以上削減を目指しているのが特徴です。温室効果ガス排出をしない再生可能エネルギーを含む基準一次消費エネルギー量から、75%以上100%未満を削減することで、年間の消費エネルギー量ゼロを実現します。

ZEB Ready(ゼブレディ)

ZEB ReadyはZEBを見据えた先進建築物です。外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備え、省エネによって年間の消費エネルギー量を50%以上削減を目指します。

ZEB Readyとして認証されるための定義・判断基準は、下記のようになっています。

再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物

引用:ZEBの定義|環境省

この条件を満たしていればZEB Readyに認証されます。

ZEB Oriented(ゼブオリエンテッド)

ZEB Orientedは、年間の一次エネルギー消費量に関して30〜40%削減を実現した建築物です。延べ面積10,000㎡以上の建築物が対象となっており、ZEB Readyを見据えた建築物として定義されています。

つまり、ZEB Orientedの認証を受ける場合には、延べ面積が10,000㎡以上の事務所、学校、工場などは40%以上、ホテル、病院、百貨店、飲食店などは30%以上一次エネルギー消費量削減を実現しなくてはいけません。さらに現時点でWEBPRO(建築物のエネルギー消費性能計算プログラム)での未評価技術を導入することが要件となっている点が、他のZEBとは異なる点です。

関連記事:ZEBとは? ZEBの種類と定義・基準などの基礎知識を解説

ZEBにも関連する「建築物省エネ法」とは

建築物省エネ法は、正式名称を「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」といい、平成27年7月に公布され、平成29年4月に全面施行されました。法律が制定された背景には、社会経済情勢の変化に伴い、住宅・建築物におけるエネルギー消費量が著しく増加していることがあります。このため、将来的な温暖化対策を見据えて、建物の省エネを促進する目的で制定されています。

建築物省エネ法は、「誘導措置」と「規制措置」の2つのアプローチを採用しています。誘導措置は建築主等の自発的な省エネ性能の向上を促すもので、以下の要素が含まれています。

  • エネルギー消費性能向上計画認定・容積率特例
  • 基準適合認定・表示制度

誘導措置により、省エネ性能の高い建築物に対しては容積率の特例が認められたり、その性能を表示できる制度が設けられたりしています。

一方、規制措置は主に以下3つの施策で構成されています。

住宅基準 規制措置
延べ面積が2,000m²以上の建築物 「建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)」への適合
延べ面積が300m²以上の住宅・建築物の新築等 省エネ措置の届出
住宅事業建築主が新築する一戸建て住宅 省エネ性能向上の取り組み

建築物省エネ法の基準適合認定や表示制度は、ZEB認証と連携して運用されることで、より高い省エネ性能を持つ建築物の普及を後押ししています。

建築物省エネ法で活用される「BEI(Building Energy Index)」について

BEI(Building Energy Index)とは、建築物省エネ法において活用される指標で、基準建築物と比較した設計建築物の一次エネルギー消費量の比率です。新築建築物では、BEIが設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量以下を示す1.0以下であれば省エネ基準に適合していると判断されます。

ZEBの認定では、再生可能エネルギーを除いた状態でBEIが0.50以下であることが条件です。このBEIの指標を用いることにより、建築物のエネルギー性能を客観的かつ定量的に評価することが可能となるため、省エネ基準適合の判定やZEB認定に活用されています。BEIは環境負荷の低減やエネルギーコスト削減に貢献する仕組みで、日本の建築物の省エネルギー化を推進します。

ZEB Readyを目指すメリット

ZEB Readyを目指すメリット

ZEB Readyの達成にはどのようなメリットがあるのか、下記より紹介します。

「ZEB Oriented」よりも実現しやすい

ZEB Readyのメリットは、ZEB Oriented​​より実現しやすい点です。ZEB Orientedはエネルギー削除基準がZEB Readyより少ないですが、延べ床面積や未評価技術の導入が基準の中に含まれている特徴があります。

そのような基準がなく1次エネルギー消費量の基準が50%以上削減のZEB Readyは、実現しやすいといえるでしょう。

ZEB認証によるイメージ向上

イメージアップにつながることも、ZEB Readyのメリットです。認証を受ければエネルギー削減の基準をクリアした証拠となるため、環境問題に配慮した建物という社会的な評価を得られます。多大な信頼性を獲得できるのも、ZEB Readyのメリットです。

不動産価値が上がる

従来の建物より不動産価値が上がるのも、ZEB Readyのメリットです。今の時代に対応した先進的な建物という評価を受けられるため、不動産所有者は資産価値が上がります。またZEB Ready認証の建物があるエリアは、街のイメージアップにもつながる効果が期待できます。

補助金が受けられる

ZEB Readyは国や自治体の補助金の対象であるため、財政的な負担の軽減が可能です。補助金には以下のような種類があります。

それぞれ、延べ面積などの条件によって受給できる金額が変化するので、事前に受給条件などを確認しておきましょう。

関連記事:ZEBに使える3つの補助金制度の比較と事例紹介

関連記事:【2024年】建築業界に関する補助金制度が大きく変わる!ZEB・脱炭素達成への大幅な支援を公表、環境省による建設業界の補助金とは?

ZEB Readyへの改修手順

ZEB Readyの認証は既存の建物を改修することでも得られます。ZEB Ready認証のための改修は次の手順によって進められます。

  1. 業者を選ぶ
  2. ZEB Ready化が可能か検証する
  3. 認証手続きをする
  4. 補助事業を申請する
  5. 施行・竣工調査が行われる
  6. 補助事業の実績に関する報告書を提出する

それぞれの工程を詳しくみていきましょう。

1.業者を選ぶ

ZEB Readyへの改修を検討する際、最初のステップとして適切な業者選びが重要です。一般的には、ZEBプランナーへ依頼します。ZEBプランナーは、ZEB設計ガイドラインに精通しているか、または独自の経験や設計知見を持ち、ZEB実現に向けた相談窓口の設置や業務支援を行う専門業者です。

ZEB Readyへの改修においてZEBプランナーへの依頼は必須ではありません。必要な技術や知識を持つ他の建築・設計事務所への依頼も可能です。一方で、ZEBに関する補助金申請を行う場合には、ZEBプランナーの関与が必要となることがあります。このため、補助金制度を活用して改修コストを抑えたい場合は、ZEBプランナーとの連携が欠かせません。

2.ZEB Ready化が可能か検証する

次に、対象建物が実際にZEB Ready基準を達成できるかどうかの検証が必要です。全ての建物がZEB Ready化に適しているわけではないため、ZEB Readyに該当するかどうかの事前検討は欠かせません。

ZEB Ready化の検証は基本設計レベルで行うことが推奨されます。基本設計の検証結果をもとに、ZEB Ready基準を達成するための具体的な設計仕様書や詳細設計を作成します。どの部分をどのように改修するか、どの設備を導入するかなど詳細設計において具体的な計画が必要です。

3.認証手続きをする

ZEB Ready改修の次の段階は、実際に認証を取得する手続きです。ZEB Readyの認証を受けるためには、建築物省エネ法第7条に基づく第三者認証制度を活用しなければなりません。

第三者認証制度には次のものがあります。

  • BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
  • eマーク
  • CASBEE(キャスビー)

認証によって、改修後の建物がZEB Ready基準を達成していることを、公的な第三者機関によって客観的に評価・証明してもらいます。認証機関は、提出された設計図書や計算書類、エネルギー消費性能に関する資料を詳細に審査し、基準適合性を判断します。

認証取得は単なる形式的な手続きではなく、建物の省エネ性能が向上したことの公的な証明となるため、建物の資産価値向上や企業のCSR活動としても重要な要素です。また、各種補助金の申請にも必要な手続きとなる場合があります。

4.補助事業を申請する

ZEB Ready改修による高額な初期投資を軽減するために、補助事業を通して支給される補助金が活用できます。補助事業を利用するためには、正式な申請手続きが必要です。多くの補助金制度は申請期間が限られているため、前もって申請スケジュールを確認し、計画的に準備を進めることが重要です。申請時期を逃すと、次の機会まで待たなければなりません。

また、補助金は申請すれば必ず受けられるものではなく、予算枠や審査基準によっては不採択となる可能性もあるため、補助金に頼りすぎない資金計画も検討しておくべきです。

ただし、ZEBの補助申請では、BELSの取得後に設計変更が生じ、竣工時にBEI値が当初の計画よりも上がってしまった場合、補助金返還を求められるため注意が必要です。

5.施行・竣工調査が行われる

ZEB Ready改修で補助事業を利用する場合、基本的に年度単位で工事を完了させなければなりません。これは、多くの公的補助金が会計年度に基づいて予算管理されているためです。

一方で、一定規模以上の建築物は、改修の複雑さや規模を考慮して、複数年度にわたる工事が認められる場合があります。複数年度にわたる場合は、各年度の工事計画と実績を明確に区分したうえで報告が必要です。

工事が完了し竣工を迎えた後は、補助事業の執行団体による検査が行われます。検査は、申請時の計画通りに工事が実施されているか、省エネ性能が計画値を達成しているかなどが厳密に確認されます。特にBEI値などの数値目標が達成されているかどうかが重要な判断基準です。

6.補助事業の実績に関する報告書を提出する

ZEB Ready改修の最終段階として、補助事業の実績報告書を作成し執行団体に提出する必要があります。正確な報告書の提出により補助金交付の最終確定がなされるため、工事内容と計画の整合性を示す資料を丁寧に準備することが求められます。

ZEB Readyの事例

次に、ZEB Readyの事例を紹介します。

滋賀県高島市役所庁舎

滋賀県高島市にある市役所庁舎は、市役所の増改築にあたりZEB Ready認証を獲得し、環境問題に対応した建設を実践しました。

この市役所庁舎は、ZEB Readyによる最新の省エネルギー技術と自然エネルギーを積極的に導入しているのが特徴です。それによりCO₂​​​​​削減および快適性・機能性の向上が実現しました。​​

参照:改修ZEB事例|環境省

北海道網走郡美幌町役場新庁舎

北海道網走郡美幌町にある役場新庁舎は、環境問題に対応した建設をコンセプトに掲げ、ZEB Ready認証を受けた庁舎です。

消費エネルギー削除に加えて、災害発生時による停電などライフラインの不具合に対処できることを目的としています。再生可能エネルギー活用による最低限の電力確保により、停電が起きても業務を継続できる体勢を整えているのが特徴です。

参照:公共建築物(庁舎)における ZEB 事例集|国土交通省

ZEBの設計や建築に関わる事業者はZEBプランナーの登録を検討する

設計や建築に関わる事業者は、ZEBプランナーの登録をおすすめします。その理由は、オーナーがZEBの補助事業を実施する場合、ZEBプランナーの関与が必要になるためです。

ZEBプランナーは、建築設計やコンサルティング等を行う事業者のことです。ZEB設計ガイドライン・プランナーが保有するZEBの設計知見を活用して、ZEB実現に向けた相談窓口を設置し、オーナーをサポートします。

ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業調査発表会 2022」によると、2021年度にZEBプランナーが受注した実積数は1049棟のうち10%(106棟)がZEBです。そのうちZEBプランナーが受注した実積数で最も多かったのは72%(760棟)のZEB Readyという結果となっています。

ZEB Readyに関するよくある質問

ZEB Readyに関するよくある質問

ZEB Readyに関する質問をまとめました。よく挙がる質問とその回答を紹介します。

ZEBとZEB Readyの違いは?

ZEBとZEB Readyの違いは、一次エネルギーの消費削減量です。

  • ZEB:省エネ+創エネでエネルギー消費削減率100%以上
  • ZEB Ready:省エネでエネルギー消費削減率50%以上

ZEB Readyは「ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物」いう定義になっています。 ​​

ZEB Ready認証とは何ですか?

ZEB Ready認証とは、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS/ベルス)において、国土交通省が主導する建築物の省エネルギー性能に特化した認証制度を指します。省エネルギー性能に優れた建築物は、ZEB Readyとして認証されます。

ZEB Readyの基準値はいくつですか?

ZEB Readyの場合、次の計算法で基準値を算出します。

  • 設計エネルギー消費量 ÷ 基準エネルギー消費量

この計算で0.25以上0.5以下という数値が出れば、ZEB Ready達成となります。

ZEB Readyになるのはいつから?

先述したとおり、0.25以上0.5以下という数値でZEB Readyとして認められます。政府の施策では、2030年度までに新築建築物の平均はZEB Readyクラスを目指すという方針が発表されています。

参照:政府実行計画(概要)

まとめ

ZEB Readyとは省エネによって年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減している建築物のことです。なお、ZEB Readyの認証基準は、太陽光発電を導入した創エネを行わなくとも、省エネのみで満たせます。また、2030年度までに、新築建築物の平均でZEB Ready相当となることを目指すことが発表されました。

このため、建設業界においては、まず、設計段階からエネルギー効率の高い材料の選定、建物の方位や構造を工夫することで自然光の利用を最大化し、冷暖房負荷を低減する設計が求められます。また、高性能の断熱材の使用や、エネルギー効率の高い設備の導入も求められます。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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