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今からでも間に合う!建設業界向け脱炭素経営のトレンド

今からでも間に合う!建設業界向け脱炭素経営のトレンド

今回は、建設会社が脱炭素経営に取り組む際に知っておきたい基本的知識と、脱炭素経営の始め方を解説します。

「脱炭素経営に取り組むことになったものの、何から手をつければいいかわからない」という企業は、ぜひ参考にしてみてください。

建設業界における脱炭素経営の基本

建設業の脱炭素化において、日本政府が目指しているのは住宅・建築物の省エネルギー化や再生エネルギーの活用、木材利用の促進です。

とはいえ、すべての建築物において省エネ化や再エネ活用を進めることは容易ではありません。建設会社自らが対応できる現実的な省エネ対策として、国土交通省などで推奨されているのは建設現場や事務所でのCO2排出量を減らすことです。

【建設現場や事務所のCO2排出量削減対策】

  • 省エネ型・ハイブリッド型の建設機械を使用する
  • 移動の際は安定速度で走行し、急発進・急加速を避ける
  • 建設現場および事務所の照明はLED照明を使用する
  • 節電効果の高い空調機器を導入する

まずは、自社にできる取り組みから始めていきましょう。

一方で、大手建設会社の脱炭素経営では、自社の事業活動だけではなく取引先の事業活動も含めてCO2排出量を減らすことが求められています。このような大企業の動向・指針は中小企業や零細企業に波及する可能性があるため、押さえておくことが大切です。

ここでは、CO2を含む温室効果ガス排出量の算定・報告の国際的基準であるGHGプロトコルを元に、企業が責任を負うべき排出量の範囲を解説します。

GHGプロトコルとは

この指針の背景にあるのは「GHGプロトコル」という国際基準です。GHGプロトコルとは、CO2を含む温室効果ガス(GHG)全体の排出量を算定・報告する際の指標のこと。多くのプライム上場企業が、国際基準であるGHGプロトコルに基づいて算定した排出量を公開しています。

【GHGプロトコルの基準】

  • Scope1:自社における直接排出
  • Scope2:外部から購入して利用したエネルギー起源の間接排出
  • Scope3:Scope2以外で、自社事業の活動に関連する他社の排出をふまえた間接排出

画像出典:日本建設業連合会「建設業にとってのScope1/2/3と、顧客から見たScope1/2/3の関係」より

GHGプロトコルによると、自社の建設現場や事業所のCO2排出量削減はScope1に該当します。日本建設業連合会でも、同様の範囲で算定したCO2排出量を経団連に報告しています。

しかしGHGプロトコルでは、Scope1だけではなく、上流および下流工程のScope3まで含めたサプライチェーン全体における排出量が重視されます。建設業界においても、まずはScope1からCO2の削減対策に取り組み、徐々に削減範囲を広げて対応していく必要があるでしょう。

関連記事:GHGプロトコルとは?Scope1~3の算定方法など分かりやすく解説

脱炭素経営を始めるときの手順

脱炭素経営を始めるとき、環境省が推奨している手順は以下のとおりです。すべてを同じように行う必要はありませんが、何から始めればいいか悩んでいる際は参考にしてみるといいでしょう。

【脱炭素経営を始めるときのステップ】

手順 実施時のポイント
1.    気候変動が自社の事業や経営に与える影響・リスクを把握する すでに自社で行われている事業環境分析があれば、そこに気候変動という要素を加えて整理してみよう
2.    温室効果ガス排出量の算定 国際基準では自社以外のサプライヤーも含めた排出量算定が求められるが、まずはScope1の算定から始めよう
3.    温室効果ガス排出量削減目標の設定 国際的な削減目標であるSBT認定を取得すると、社外にアピールできる。中小企業向けSBTもあるため、取得を目指そう
4.    排出量削減計画の策定 中長期の削減計画策定を支援するサービスもあるため、積極的に利用しよう
5.    削減計画の実行と脱炭素を前提とした事業の遂行 削減計画だけではなく、脱炭素を前提とした事業計画の立案・実行も重要

必ずしも上記の流れどおりにする必要はなく、自社でできそうなことから取り組む方法もあります。たとえば、2の温室効果ガス排出量の算定・把握は、比較的取り組みやすい対策です。自社の事業活動において、どの段階でどれほどの温室効果ガスが発生しているのか。現状を把握すればできることが見えてくるかもしれません。

大手建設会社だと、サプライヤーの排出量も含めて削減目標に入れています。排出量を把握しておけば、取引先からのヒアリングや情報公開要請にも、即座に応えられるでしょう。まずは、温室効果ガスの大半を占めるCO2の算定から始めてみてはいかがでしょうか。

CO2排出量の算定方法

CO2排出量は、以下の計算式を用いて算出します。

・活動量(ガソリン・ガス・電気などのエネルギー使用量)×排出係数=CO2排出量

日本では、業界別に排出実態に見合った係数が使用されています。

たとえば日本建設業連合会の場合、エネルギー使用量を実際の使用量もしくは重機などの稼働状況に基づく算出によって把握します。把握した使用量に、経団連の指示値であるCO2排出係数を乗じて排出量を算定しています。

なお、実際の算定にあたっては排出量算定支援ツールやサービスを使うという方法もあります。

排出量算定支援ツール・サービスを使うという方法も

最近は、自社活動だけではなくサプライチェーンのCO2排出量までを算定できるツールや算定代行サービス、算定を支援するコンサルティングサービスが登場しています。

CO2排出量の算定はあくまで脱炭素経営における最初の一歩で、重要なのは算定した後に自社でどのような削減プランを立て、実行するかです。そう考えると、算定にかかる人的リソースや時間を圧縮するため、こうしたツールやサービスを活用して、自社のリソースは削減プラン策定に使うという方法もあります。CO2排出量の算定はあくまで脱炭素経営の始まりに過ぎません。そのうえで、便利な算定ツールやサービスを利用することも検討しましょう。

関連記事:建設業界の脱炭素経営の実践~中小企業の事例から学ぶ 3つの手順と実践事例~

まとめ

建設業における脱炭素の柱は、建築物の省エネ化、再エネ導入や木材活用です。

また、国際基準では自社の事業活動だけではなく、自社と関わるサプライチェーン全体を含めた脱炭素の対応が求められます。実際、大手建設会社ではサプライチェーン全体のCO2排出量削減も視野に入れて削減計画を立てています。

とはいえ、建設会社の事業形態や規模により、できることには限りがあるはずです。

今できる現実的な取り組みは、建設現場や事業所のエネルギー使用によるCO2を減らすこと。まずは建設現場の使用重機をハイブリッド型に見直す、事業所の照明をLEDに変える、空調を省エネ対応のものにするなど、できることから始めてみてください。

脱炭素経営を進める際は、上記の対応とあわせてCO2排出量を把握しましょう。せっかく使用重機をハイブリッド型に変えても、その効果を具体的な数値で把握できなければ外部にアピールできません。

排出量の算定は自社で行うこともできますが、社内のリソースが限られている場合は算定支援ツールや代行サービスなどを使う方法もあります。算定した後の削減プランや戦略を考えるため、自社のリソースを何にどう使うべきか検討してはいかがでしょうか。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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