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企業の節電の取り組みとは?脱炭素・省エネ・SDGsに向けて

企業の節電の取り組みとは?脱炭素・省エネ・SDGsに向けて

近年、気候変動対策への意識の高まりに伴い、建設業界でも多くの企業が節電に取り組んでいます。建設現場では、高効率の機械や省エネルギー建材の使用によりエネルギー消費を削減することが求められています。また節電は、コスト削減だけでなく、環境保護や社会的責任を果たすための重要なステップです。

そこで、本記事では建設業界の方向けに企業が実施している具体的な節電対策とその効果について紹介していきます。

今企業でも節電の取り組みが必要な理由

節電の取り組み

現在、省エネの取り組みは環境問題からコスト削減、ブランディングなど様々な視点で必要とされています。

それぞれについてなぜ必要なのか解説します。

環境への影響と持続可能性

人類の科学技術が発展し、経済活動によってこれまで環境への悪影響を及ぼしてきました。しかし、人類が生きていくためにも経済活動を止めるわけにはいきません。このため、環境対策が求められています。

その代表的な取り組みにSDGsがあります。SDGsでは現在人類が抱えているさまざまな課題を明確にし、17の目標としてまとめています。その中でも特に環境問題に関する部分を意識し、対策を行うことが企業に求められておりこれらの目標に沿った経営がなされているかどうかは投資判断などにも大きな影響を及ぼしています。

コスト削減の重要性

省エネは環境問題だけではなく、節電により電気代を下げたり、プラグインハイブリッド車を使用することによりエネルギー効率を向上させガソリン使用量を抑えたりと、コスト削減やCO2排出量削減にも繋がります

企業によってはこれらのコストを半分ほど削減している場合もあり、コスト削減のインパクトだけでも大きな価値があると思えるでしょう。

エネルギーリソースの有限性

石油や天然ガスなど、化石燃料と呼ばれるエネルギー資源のほとんどは日本で採取ができないため輸入に頼っており世界情勢によってはいつ入手困難になるか分かりません。

限りある資源であるため無限に採り続けることはできず、これらのエネルギー資源は年々減少しています

化石燃料に頼らない、節電をし、エネルギーを枯渇させないことが地球全体の課題とされています。

法的および規制上の要件

省エネ法では一部の例外があるものの、原油換算の消費エネルギーが一定値を超える企業はネルギーの使用状況の報告義務があります。

ただ報告して終わりではなく、そこからランク付けをされてその高低によりさまざまなメリットやデメリットを受けることになります。

そのため、法的な電力制限の観点からも企業は節電に取り組まなければなりません。

企業の社会的責任(CSR)

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業は利潤のみを追うのではなく社会に貢献することも求められており、企業が背負うべき責任を表す言葉です。

例えば、莫大な利益を生みしていたとしても、公害をまき散らしている企業ではステークホルダーから支持を得ることはできず、株主からも良い評価を受けることは難しいでしょう。

企業が社会的な責任を果たす一環としても、節電などを通じて脱炭素や持続可能な経済目標を実現していく必要があります。

企業の節電取り組み事例一覧

節電の取り組み

各企業では具体的にどういった節電を実施しているのでしょうか?こでは具体的な節電の成功事例を紹介します。

建設業界の取り組み事例

オフィスビルのエネルギー効率化

・タカラベルモント株式会社の事例

「タカラベルモント株式会社様が運営する理美容総合ショールーム「TB-SQUARE osaka」では、日により来客数の差が大きく、来客数が

多い日に合わせた設備を運用していましたが、その結果、換気や空調設備の適切な運用管理ができていないことが課題となっていました。

そこで、CO2センサーと連動した換気制御とエネルギー管理を導入。来客者数が多いときや少ないときなどのCO2濃度に応じて、

風量を自動で制御するようにすることで省エネを実現しました。

また、遠隔監視システムを用いた運転実績に基づく継続的な運用改善により、エネルギー使用量の削減も可能にし、

こうした取組により2021年度省エネ対象を受賞しています。」

引用:ショールームにおけるCO2センサーと連動した換気量の自動制御と継続的な運用改善により「省エネ大賞」を受賞

・あなぶきセントラルビルの事例

「あなぶきセントラルビル様は、ビルの老朽化をきっかけに省エネ化に向けた設備改修を実施しました。ZEBを目指し、省エネ診断を行い、その結果をもとに空調機の配置見直しや照明のLEDへの変更などをして、省エネ化を実現しています。

また、改修工事と同時に空調機器の集中制御・遠隔監視の装置を導入し、使用状況の可視化を行うことで、一次エネルギーの大幅な削減を実現。省エネ診断を起点に実現した既築テナントビルの普及型ZEBにおいて、2020年度省エネ大賞を受賞しました。」

引用:既築テナントビルの設備改修でZEB Readyを達成し「省エネ大賞」受賞

製造業におけるエネルギー管理

「三菱電機株式会社 三田製作所様

<導入前の課題>

元々、変電所や一部製造ラインで、一部製造ラインでエネルギー計測を実施していたものの、空調やFANの運転/停止や温湿度の管理は現場に一任されており、工場全体での管理ができていなかったことが課題でした。

<導入後の効果>

「SA1-Ⅲ」導入後はエネルギーの「見える化」によって省エネ活動が活性化し、工場全体の消費電力量削減に繋がりました。また、全熱交換器を使ったCO2制御も実施し、必要な時に必要な分だけ必要な換気を行うといった対策も取られています。」

引用:【2024年最新】工場の省エネアイデア集|実際の取り組み事例もご紹介|三菱電機システムサービス

IT業界のデータセンター節電対策

ファーストライディングテクノロジー株式会社は、空気の流れを利用して消費電力の25%削減に成功しています。空調効率を大幅に改善することで、企業による節電を実現しています。

・ファーストライディングテクノロジー株式会社の事例

CTCのIT Facility Management導入で空調効率を大幅に改善

長期化する電力不足を背景に、電力消費量を削減する省エネへの取り組みは、全ての企業にとって共通の課題となっている。とりわけ、大量の電力を使用するデータセンターにおいては、安定した電力の確保と省エネへの取り組みは喫緊の課題である。そうした中、沖縄でデータセンターを運営するファーストライディングテクノロジーは、サーバルームの冷気と熱気を区切って空気の流れを見直すことで、25%もの消費電力の削減に成功した。そこには、長年のデータセンター運営とシステム構築のノウハウを持つCTCの技術があった。

引用:ファーストライディングテクノロジー株式会社 様の事例 | CTC – 伊藤忠テクノソリューションズ

小売業の店舗節電施策

・ソフトバンク表参道の事例

ガラス張りの路面店であるこちらでは、従来光源(蛍光灯)からLEDへの変更で24%の節電に成功。加えて、店舗・商品を目立たせることや居心地の良い空間を目指して、時間帯やお客様の混雑状況等に応じた調光調色などの照明運用で結果的に46%節電。【リプレイス】【調光調色】

引用:ソフトバンク表参道

・NewDays 秋葉原の事例

駅改札口に位置するこちらのNewDaysでは、24 時間の営業中の適切な照明運用のため、時間帯に合わせた24時間スケジュールによるLED照明の自動調光・調色で 31%の節電を可能に。【調光調色】

引用:NewDays秋葉原

物流業界の効率的エネルギー使用

株式会社キョーワ流通サービスの事例

埼玉県で物流倉庫を利用している株式会社キョーワ流通サービスは、倉庫内で2,000本以上の蛍光灯を使用しており、照明代は年間で約540万円かかっていました。

その中で使用頻度が高い蛍光灯をLED照明に変えたことで、年間300万円以上の電気代削減に繋がっています。

さらに電気代削減だけでなく、従来の蛍光灯では年間に数百本単位で交換が必要だったが、それが解消されたことで交換の手間や修繕コストの無駄を省くことに成功しています。

引用:【事例あり】物流倉庫で効果的な省エネ方法5選! – 省エネ対策のエネトク

資源エネルギー庁の事業者クラス分け評価制度とは?

節電の取り組み

資源エネルギー庁では、企業の省エネ度合いを評価することで更なる省エネを推進する事業者クラス分け評価制度という制度実施しています。

制度の概要と目的

この制度の概要を端的にまとめると、企業に対しSからCまでのランク分けをし、ランクに応じて優良事業者として公開したり、ランクが低い場合には注意をしたりする制度です。

外部から評価をすることによって客観的な認識を促し、優良企業を公表することで省エネに対する意識を高めることを目的としています。

評価基準とクラス分け方法

事業者クラス分け評価制度では、努力目標やベンチマークと呼ばれる条件達成や、前年度比で省エネが進んでいるかをチェックされ、クラス分けがされます。以下に各クラスの達成条件を書き出しました。

努力目標:5年度間、単位量の製品などの生産をするのに必要なエネルギー消費量である平均エネルギー消費原単位又は5年度間、エネルギー使用量の主に電気の部分の原単位である平均電気需用最適化評価原単位を年1%以上低減すること。

ベンチマーク目標:ベンチマーク制度の対象業種・分野において、事業者が中長期的に目指すべき水準。

  • Sクラス:努力目標またはベンチマーク目標達成
  • Aクラス:Bクラスよりは省エネできているがSクラスの水準に達しない事業者
  • Bクラス:努力目標が未達成かつ2年連続で原単位が前年度比増加、もしくは5年平均電気需用最適化評価原単位が5%超増加
  • Cクラス:Bクラスの中で特に省エネが不十分な事業者

参照:事業者クラス分け評価制度(SABC評価制度)

制度の導入プロセス

省エネ法では、特定の条件を満たす事業者は定期報告書を提出する必要があります。この省エネ法に基づき定期報告書を提出している事業者が事業者クラス分け評価制度の対象となっています。

評価結果の活用方法

事業者クラス分け評価制度での評価は客観的に見た企業の省エネに対する姿勢を表していると言えます。SやAクラスの高クラスと評価された場合は変わらず省エネに努力します・

その一方で、BやCの低いクラスとなってしまった場合は省エネに向き合うことが求められるでしょう。単に評価を得ることができるだけでなく、省エネを実現することでその分の費用を抑えることができるのもポイントです。

企業へのメリットと影響

事業者クラス分け評価制度で高クラスに認定された場合いくつかメリットがあります。SやAクラスに認定された場合は、政府から省エネ支援策の情報提供をメールで受けられ、省エネ関連の補助金申請も通りやすくなります。

さらにSクラスであれば経産省により公表されるため、環境問題に対する意識が高い企業としてのブランディングが可能です。しかし、低クラスの場合は、調査や注意、計画作成の指示などが行われます。

これらの対応に時間を取られるだけでなく、政府の指示に従わない場合には罰金が課される場合もあるためデメリットとなりますこのため、目標を達成できず低クラスとなってしまった場合は改善点を洗い出し、Aクラスを目指すことが望まれます。

まとめ

本記事では、企業が節電に取り組むべき理由や事例、資源エネルギー庁の事業者クラス評価制度について紹介してきました。企業による節電の取り組みは、環境保護とコスト削減の両面で重要な役割を果たします。

特に建設業界では、再生可能エネルギーの活用、現場の電力管理の最適化などを通じて、節電に取り組むことが求められています。これらの取り組みは、環境への負荷を軽減し、同時に運営コストの削減にも寄与します。

そのため、建設業界や各企業がこれからも積極的に節電を推進し、環境への負荷を減らしながら成長を続けることは、より重要になってくるでしょう。本記事で紹介した企業の節電事例を参考に貴社でも節電の取り組みを再考してみてはいかがでしょうか。

  • 建設業界向けの電力契約による脱炭素の取り組みについて詳しく知りたい方は、下記URLよりチェックしてみてください。

電力契約からアプローチする!建設業界の脱炭素取り組みガイドブック

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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