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電気自動車のメリット・デメリットとは?導入のポイントと合わせて解説

電気自動車のメリット・デメリットとは?導入のポイントと合わせて解説

近年は電気自動車(EV)の注目度が高まり、一般家庭でも使用される機会が増えています。電気自動車には従来の自動車にはない独自の魅力があるため、導入することでさまざまな変化を実感できる可能性があります。

本記事では電気自動車の特徴とメリット・デメリット、導入におけるポイントなどを解説します。

電気自動車の特徴について

電気自動車_特徴

電気自動車は、昨今世界規模で普及が進んでいる自動車です。電気を使って走行するという新しい試みは、すでに社会のあらゆる場所で実用されています。以下では、電気自動車の主な特徴を解説します。

電気のエネルギーで走行する自動車

電気自動車とは、その名の通り電気で走る自動車のことです。英語で「Electric Vehicle」と呼ぶことからEV車とも呼称され、現代では社会的に独自の地位を築いています。電気自動車は車に搭載されているバッテリーから電動モーターに電流を流し、モーターの回転力を使って走行するのが特徴です。

電気自動車の一般販売は2010年ごろに始まったため、まだまだ歴史が浅いです。昨今は高性能な機能を備えた電気自動車やバッテリーも増えてきているため、日常使用でも実用レベルに達しています。次世代自動車振興センターの「EV等 保有台数統計」によると、2022年の合計は443,865台となっています。

前年の342,575台から、10万台以上増えていることがわかります。電気自動車は環境にやさしいエコカーの1種として、その注目度を高めています。世界全体で環境問題への関心が高まるなか、個人や企業単位で電気自動車を利用し、CO2の削減に取り組むことが求められています。

参照:EV等 保有台数統計|次世代自動車振興センター

従来の自動車との違い

電気自動車は、従来のガソリンを使った自動車とはさまざまな違いがあります。具体的には電気を使って走行するため、ガソリン車のように排気ガスを外部に放出する必要がありません。ガソリンを燃料とする場合、車のなかでガソリンを燃やしてエネルギーにするため、排ガスをマフラーから外に排出する必要があります。

その結果環境に悪影響がおよび、さまざまな環境問題につながっていると指摘されています。また、EVはガソリンエンジンと電気モーターの両方を積んでいるハイブリットカーとも、さまざまな違いがあります。ハイブリットカーは、走行中の運動エネルギーを使用して充電が可能なため、燃費がよい点が特徴です。

一方で、通常のハイブリットカーは電気自動車のように、外部からの充電ができません。そのため完全に電気のみで走れない点は、電気自動車との大きな違いです。近年は電気自動車と同じように、外部からの充電も行えるプラグインハイブリッド車が販売されています。

電気自動車を利用するメリット

電気自動車_メリット

電気自動車を利用することには、多くのメリットがあります。複数のメリットを活用できれば、環境だけでなく日常生活もより送りやすくなるでしょう。以下では、電気自動車を利用する主なメリットを解説します。

環境に配慮して自動車を利用できる

電気自動車は何よりも、環境に配慮できる点が大きなメリットです。昨今は環境に対する意識が個人単位で向上しているため、日常的な行動から具体的な行動に取り組むことが求められています。電気自動車の利用は環境を考えての行動として、とてもわかりやすくかつ環境改善の効果に期待できるでしょう。

カーボンニュートラルや脱炭素社会を実現するためには、従来の当たり前を変えていく必要があります。電気自動車の導入はその一環であり、多くの人が実践できる手段だと言えます。

騒音問題が起きづらい

電気自動車はモーターで走るためガソリン車のようにエンジンがなく、走行時に大きな音がしません。そのため騒音問題などによって、近隣とトラブルになるリスクが少ない点もメリットになります。一般的なガソリン車の騒音は、路面状態などによって変わりますが、時速60~80キロで約70dBAとされています。

電気自動車は同じ条件でも十数dBAほど低くなると言われているため、走行時が静かで音を気にせず走行できるでしょう。ただし、車の音がしないと歩行者に気づかれず、事故の原因になる恐れもあります。電気自動車に乗りたてのころは特に、周囲に注意を向けて危険を避けるように備えましょう。

ランニングコストが安く抑えられる

電気自動車は、ランニングコストが安いというメリットもあります。基本的に電気自動車の利用に必要なのは、電気のみです。仮にガソリン車と同じ距離を走行したとしても、ガソリンを使うよりも電気代は安く済みます。

そのため普段から自動車に乗って移動する機会が多い場合、電気自動車に乗り換えることで必要コストを抑えられる可能性があるでしょう。また、充電のためのコンセントを自宅に保有する場合、深夜料金が安くなるプランに変更することで、夜中の充電料金を抑えられます。

工夫次第で電気自動車にかかる費用を下げられる点も、メリットに含まれるでしょう。

災害時には蓄電池として有効活用が可能

電気自動車は災害時などには、蓄電池として利用できる点もメリットです。災害によって電気の供給が止まってしまっても、電気自動車があれば一時的にバッテリーを蓄電池として活用できます。電気自動車のバッテリーには、一般家庭の4人全員が1週間暮らせる程度の電力が蓄積されています。

仮に災害によって長期間の停電が続いても、ある程度通常の暮らしを維持できるでしょう。専用のシステムを活用すれば、電気自動車のバッテリーから自宅に直接給電できる可能性もあります。そういった緊急時を想定した電気自動車の導入も考えられます。

補助金の支給対象になる

電気自動車の導入は、国や自治体が支給する補助金の対象になるケースがあります。例えば2024年のCEV(Clean Energy Vehicle)補助金では、「車両」のCEV補助金として電気自動車で上限65万円、軽のEV車で上限45万円が補助されます。

そのほかにも、充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金を使うことで、充電設備の投資にかかるコストも抑えられます。各種補助金は毎年詳細が公表されているので、内容を確認したうえで利用を検討してみましょう。

電気自動車が持つデメリット

電気自動車を使う際には、いくつかのデメリットに注意する必要があります。場合によっては電気自動車を導入してから、さまざまな問題に悩まされる可能性もあるでしょう。以下では、電気自動車が持つ具体的なデメリットを解説します。

充電設備を用意する必要がある

電気自動車を使用する際には、充電設備を利用する必要があります。普段から快適に電気自動車を利用するのなら、自宅に専用のスタンド・コンセントを設置することが求められるでしょう。そのため、電気自動車の購入費用とは別に、充電設備への予算も用意する必要があります。

電気自動車の価格も高く、多くが300万〜400万円代となっています。それに加えて充電設備も準備するとなると、かなりの出費が予想されるでしょう。

充電にある程度の時間が必要

電気自動車を充電する際には、ある程度の時間が必要です。急速充電のスタンドがあれば30分程度で済みますが、通常の充電の場合には10時間以上かけないと満充電にならないケースもあります。そのため夜遅くに帰宅してから充電した場合、早朝の段階で充電しきれていないパターンも想定されるでしょう。

そのほか、緊急で車を使用しなければならないときに、充電が終わっていないため必要な距離を走行できないといったリスクもあります。そもそもガソリン車の場合には、わずか数分で給油が済んでしまうことを考えると、充電で発生する時間の損失は大きなデメリットになり得るでしょう。

電気自動車の価格はまだまだ高い

先にも触れたように、電気自動車の車両価格はまだまだ高い水準にあります。ガソリン車と比較すると一目瞭然で、価格が高いために興味があっても手を出せないという人も多いのが現状です。補助金を活用することで購入価格をカバーできますが、それでも高額な費用になることには変わりありません。

購入時にコストがかかることは電気自動車のデメリットになるでしょう。

充電スタンドが普及していない

電気自動車を屋外で充電する場合には、設置されている充電スタンドを使用することになります。しかし、充電スタンドの数は十分ではなく、日常の利用範囲内で充電できないケースも珍しくありません。全国における電気自動車の充電スタンドは、ガソリンスタンドの約6割程度と言われています。

特に地方ではその数は少なく、旅行で電気自動車を使うと充電できる場所を探すのに苦労する可能性があるでしょう。一方で、充電スタンドの数は少しずつ増えてはいるため、近い将来には外出時にも安定した充電ができるようになると予想されています。

航続距離が短めな傾向にある

電気自動車はガソリン車と比較して、航続距離が短めな傾向にあります。1回の充電で走れる距離が短いため、生活スタイルによっては不便さを感じる可能性もあります。出先の充電スタンドの少なさから、長距離の移動が難しいため、ドライブが趣味の人にとってはデメリットが大きくなるでしょう。

それでも昨今は技術の進化によって、長距離走行が可能な車種が販売されつつあります。今後はテクノロジーの発展に合わせて、電気自動車もさらに利便性が高まると考えられます。

電気自動車を活用する際のポイント

電気自動車_ポイント

電気自動車を導入して日常的に活用するには、いくつかのポイントを踏まえておくことが重要です。電気自動車の機能を有効活用できるように、選び方や導入前の準備について把握しておくとよいでしょう。以下では、電気自動車を活用するためのポイントを解説します。

補助金を使ってコスト負担を軽減する

電気自動車の導入を検討するのなら、補助金の利用がおすすめです。電気自動車の普及を目指す国・自治体から支給される各種補助金を有効活用することで購入時のコストを大幅に削減できます。事前に自分のケースで対象となる補助金の種類と金額を確認し、どの程度のコスト削減につながるのか把握することがポイントです。

航続距離が長い車種を選ぶ

電気自動車の導入時には、なるべく航続距離が長い車種を選ぶことがポイントです。航続距離が長いと充電回数が減少し、日常的に利用しやすくなります。長距離移動が急遽必要になった場合にも対応できるため、自動車としての利用価値が向上します。

自宅に充電設備を整えられるか確認する

自宅に専用の充電設備を整えられるか、事前に確認しておくことも大切です。一軒家であれば、外部に充電スタンドやコンセントを設置することが可能なケースが多いです。しかし、マンションなどの集合住宅の場合には、後から充電設備を導入できない可能性があります。

住宅事情を確認し、状況に合わせて普段の充電方法を考えておくこともポイントです。

自動車を使う周辺にある充電スタンドをチェックしておく

充電スタンドが自宅周辺にどのくらいあるのかを、事前に確認しておくのも重要な準備となります。充電スタンドの数が多いほど、安心して電気自動車を日常的に利用できます。充電スタンドの設置場所は、インターネットの情報サイトで公開されているため、こまめにチェックすることがおすすめです。

電気自動車の導入事例

電気自動車の利用を考えているなら、導入事例を参考にすることも1つの方法です。実際に電気自動車を導入して何が変わったのか、どんなメリットを実感しているのかは事例から参考にできます。以下では、電気自動車の導入事例を解説します。

株式会社白洋舍の事例

今回、会社の環境に対する取組みとして、EVだと分かるようにメーカーオプション「MiEVデカール」を利用しました。これはフロント、サイド、リアに電気コンセントのイラストが入り、しっかりと「電気自動車」と表示されています。当初は貼らない予定でしたが、これを貼ることで、会社の取り組みをアピールすることができると考えました。この車が走っている地域の皆さんにも興味を持って頂けています。

引用:人々へ清潔なサービスを届けるからこそ環境にも配慮したい|三菱自動車

鹿児島県のEV充電器を導入した事例

鹿児島県で実際に導入されてたEV充電器をご紹介します。

鹿児島県薩摩川市内では、今後の電気自動車(EV)の普及拡大に必要となる充電インフラについて、市が主体となって市役所等の公共施設ほか、民間事業者と連携して、商業施設等へのEV充電器の設置を行っています。

具体的には、市役所(本庁・樋脇支所・東郷支所・祁答院支所)、総合運動公園、川内港、
臥竜梅の里「清流館」、 川内駅東口広場の市内8ヵ所に急速充電器を設置。

鹿児島市では、かごしま環境未来館の駐車場内に急速充電器を設置しています。急速充電器は一般開放しており、電気自動車の普及の促進や温室効果ガスの削減を図る取り組みです。

引用:【鹿児島県】自治体の電気自動車(EV)の導入事例をご紹介します|EV充電エネチェンジ

まとめ

電気自動車は、昨今日常的なシーンでも利用されるケースが増えています。将来的には電気自動車の普及はさらに加速し、ガソリン車に代わって利用される時代が来るかもしれません。環境への配慮が必要とされる現代において、毎日利用する自動車の改善は、早急に進められるべき項目です。

この機会に電気自動車の特徴やメリット・デメリットを確認し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。自動車を頻繁に利用する建設業も、積極的に電気自動車を使うことで環境への意識を高めるきっかけになることが期待できます。

社用車の一部でも電気自動車に変えることで、少しずつ脱炭素への取り組みを始めてみましょう。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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