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RE100とは?メリットや日本企業の取り組みをわかりやすく解説

RE100とは?メリットや日本企業の取り組みをわかりやすく解説

RE100は、国際NGO団体であるTCGがCDPとのパートナーシップの下で運営する環境イニシアチブです。RE100には、国内の多くの大手企業が参加しており、2050年のカーボンニュートラル達成をサポートすることを期待されている団体です。

本記事では建設業界の方向けに、RE100の概要やRE100への具体的な参加要件、参加企業が掲げる公約などについて詳しく解説します。

RE100とは

RE100とは、「Renewable Energy 100%」の頭文字を取った言葉で、The Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで運営する環境イニシアチブです。事業活動によって生じる環境負荷を低減させるために設立されました。

RE100の最終的な目標は、100%再生可能エネルギーの調達であり、持続可能な事業活動を可能にすることです。SBT(Science Based Targets)や、SDGs(Sustainable Development Goals)等の包括的な達成目標とは異なり、再生可能エネルギーの利用に特化した指標であることが特徴です。

RE100には、情報技術や自動車製造などのグローバル企業500社を含む多様な分野から企業が参加しており、参加企業全ての売上の合計は6兆6,000億米ドルを超えています。

RE100が設立された背景

RE100設立のきっかけは、2016年に発効された「パリ協定」です。

パリ協定は2015年11月から12月にかけて、フランス・パリで開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で採択された、2020年以降の温室効果ガス排出量削減等のための新たな国際枠組みです。

地球温暖化は年々加速しており、温室効果ガスの排出量削減は喫緊の課題となっています。このような状況下でパリ協定が締結され、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求する趣旨の目標が新たに掲げられました。

これにより、再生可能エネルギー普及の重要性が認識されると共に気候変動対策を強化し、温室効果ガスの排出量削減を進めるために、100%の再生可能エネルギー調達を目的として活動する国際企業 イニシアチブである「RE100」が設立されました。

RE100の参加条件

RE100の加盟対象は、年間の消費電力量が100GWh以上(日本企業は50GWh以上)の企業です。また、以下の条件も満たす必要があります。

  • 事業を100%再生可能エネルギー化に向けて、期限を決めた目標を設定し公表すること
  • グループ会社の場合、グループ全体でRE100に参加し、100%を再エネ化に取り組むこと

なお、RE100における再生可能エネルギーとは、水力・太陽光・風力・地熱・バイオマスの5種類のエネルギーのことであり、原子力発電は含まれていない点に注意が必要です。

また、RE100へ参加するには、RE100の運営元であるThe Climate Group(TCG)の承認を受ける必要があります。

TCGは、2003年に設立されたオープンでベンダーニュートラルな国際的業界仕様標準を開発・策定し、それらの普及活動を行う気候変動の改善に特化した非営利団体です。世界中の企業や政府のリーダーと協力しながら、RE100をはじめとした様々な活動を行っています。またTCGでは、RE100の他にも、EP100やEV100などの気候変動にアプローチする枠組みを設けています。

RE100・EP100・EV100 参加に付随して、 JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)はTCGの日本専用の窓口として関心のある企業の支援を行っています。

RE100に加盟している日本の企業

また2024年10月現在、RE100へ加盟している日本企業は88社です。

先の項で説明した通り、企業が加盟するためにはRE100の参加条件を全て満たしており、TCGの承認を受ける必要があります。

RE100のさらに詳細な参加条件や、具体的な参加へのプロセスについては、日本地域パートナーであるJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)の公式サイトを確認してみましょう。

参照:ホーム | JCLP | 日本気候リーダーズ・パートナーシップ (japan-clp.jp)

なお、2024年6月時点においては、全世界で432の企業がRE100へ加盟しています。加盟国の大半を占めているのは、アメリカや日本、イギリスなどの主要先進国であり、国際的な気候変動に対する枠組みであることがわかります。一方で、世界で最もCO2排出量が多い中国の企業は加盟していません。今後は、このような新興国との連携も重要になることが予想されます。

RE100における日本企業の取り組み事例

本項では、RE100における日本企業の取り組み事例について、2社ご紹介いたします。

戸田建設株式会社

RE100イニシアチブへ加盟
当社は、2019年1月に再エネ電力使用目標を設定し、RE100イニシアチブへ加盟しました。

戸田建設グループの目標
戸田建設グループは、事業活動に使用する電力を2040年度までに50% 2050年度までに100%再生可能エネルギー電力とします
当社が使用する電力の約90%は、建設施工に用いられます。作業所では軽油等の燃料を多く使用しますが、CO2排出量の約30%は電力の使用が占めています。今後、建設機械の電動化の進展により、この電力使用の割合は増加していくことが想定されます。
RE100イニシアチブへの加盟は、当社のCO2排出量削減目標の達成、さらには、再エネ電力の社会全体での利用推進に貢献することを目的としています。

当社のRE100達成によるCO2排出量削減のロードマップ
当社は、エコ・ファーストの約束※3、SBT※4で事業活動によるCO2排出量の削減目標を設定し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
当社のCO2排出量(スコープ1+2※5,6)の内、電力使用に伴うスコープ2は再エネ電力の使用によりゼロとみなされます。当社では、RE100達成に向けて再エネ電力利用を増加させると同時に、 CO2排出量削減を目指します。
※3エコ・ファースト制度:企業が環境大臣に対し、自らの環境保全に関する取組みを約束し、その企業が、環境の分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」を行っている企業であることを、環境大臣が認定する制度。
※4SBT(Science Based Targets):「科学的根拠に基づく目標設定」のこと。企業がSBTを設定したということは、その企業が、産業革命時期比の気温上昇を2℃未満に抑制するため、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の温室効果ガス削減シナリオと整合した削減目標を設定していることを意味する。
※5スコープ1:当社が建設現場等で使用した軽油等、燃料使用に伴う直接排出のこと。
※6スコープ2:当社が購入した電力の使用に伴う発電所での間接排出のこと。
再エネ利用率(RE率)の過去推移は、環境パフォーマンスデータを参照してください。

引用:RE100達成への取り組み | 環境 | 戸田建設

西松建設株式会社

当社は2021年9月17日、事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー化100%を目指す国際イニシアチブ『RE100(※1)』に参加しましたのでお知らせします。

当社は現在、「脱炭素社会の形成」を長期事業戦略の最重要課題ととらえ、CO2削減の取り組みを強化しています。とりわけ2030年までを“脱炭素”活動の重要な期間と位置づけ、2019年に「事業活動から発生するすべてのCO2排出量を2030年度にネットゼロにする(=ZERO30(※2))」ことを長期ビジョンに掲げ、環境大臣が認定する「エコ・ファーストの約束」を更新しました。

当社は、ビジョン達成にむけた「ZERO30ロードマップ」を策定し、現場におけるCO2削減策のさらなる強化とともに、再エネ発電事業による創エネなど、ネットゼロに向けた具体的な取り組みを進めております。

その中の重要施策のひとつが事業活動で使用する「電力の再生可能エネルギー化」です。工事やオフィス等で使用する電力を、電力会社が提供する再エネプラン(トラッキング付きの再エネ電力)に順次切り替えることにより、再エネ電力導入率を2030年までに60%、2050年までに100%とすることを目指しています。

『RE100』への参加を契機に、より一層CO2削減の取り組みを加速し、『RE100』に参加する環境の先進企業とともに、引き続き脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

なお『RE100』への参加にあたり、持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループである、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP※3)の支援を受けています。

※1:RE100(Renewable Energy 100%):世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアチブ。RE100 には、情報技術から自動車製造までフォーチュン・グローバル500 企業を含む多様な分野から企業が参加し、その売上合計は6 兆6000 億米ドルを超える。企業が結集することで、政策立案者および投資家に対してエネルギー移行を加速させるためのシグナルを送ることを意図。RE100 はThe Climate Group がCDP とのパートナーシップのもとで主催。

※2:ZERO30:当社はCO2排出量を2030年度にネットゼロにする計画を”ZERO30(ぜろさんじゅう)“と呼称。これまでの「施工における省エネ活動等の更なる強化」とともに、新たな取り組みとして、「再生エネ電力(RE100対応)の導入」や「脱炭素技術の積極導入や研究・開発の推進」等により、事業活動における脱炭素化を推進。そして、これら脱炭素活動をもってしてもなお排出されるCO2については、環境・エネルギー事業部門にて実施する「再生可能エネルギー事業」において、自社のCO2排出量に相当するグリーン電力(発電事業)を創出し、社会全体としてのCO2削減に寄与(環境貢献)することで、“ネットゼロ”を実現する考え。

※3:日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP(Japan Climate Leaders’ Partnership)):持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に2009年に発足した、日本独自の企業グループ。持続可能な脱炭素社会への移行に先陣を切る事を自社にとってのビジネスチャンス、また次なる発展の機会と捉え、政策立案者、産業界、市民などとの対話の場を設け、日本やアジアを中心とした活動の展開を目指す。RE100への参加における日本の窓口。

引用:「RE100」イニシアチブに参加 | 西松建設株式会社

RE100に企業が参加するメリット

RE100へ企業が積極的に参加するメリットには、以下の項目があります。

  • ESG投資を呼び込みやすくなる
  • 高騰リスクの回避

ここからは、上記のメリットについて詳しく解説します。

ESG投資を呼び込みやすくなる

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)Governance(ガバナンス)の単語の頭文字を取ったものです。環境や社会に配慮して事業を行っており、適切な企業統治がなされている会社であると認められた上で行われる投資が、ESC投資となります。

この投資スタイルは、企業価値の長期的な向上を目指すものであり、長期にわたって株価が上昇することや安定した資産形成が期待できるため、企業にとっても大きなメリットがあります。

特に、日本ではこれまで長期投資家が少なかったため、ESG投資の普及が遅れていましたが、早期に投資を呼び込むことで、企業としてのアドバンテージを高めていくことができるようになるでしょう。

高騰リスクの回避

多くの企業がRE100に加盟し再生可能エネルギーの割合が高まることで、国内でのエネルギー自給率が高まります。これにより エネルギーコストの安定化や低価格化が見込め、海外の情勢が不安定になった際のエネルギー価格の高騰リスクを回避できるようになります。

RE100に取り組む注意点

ここからは、RE100へ参加する際の注意点について解説します。

対象の企業は限られている

RE100へ参加できる企業は、年間の発電量が50GWh以上の企業です。(海外では100GWh以上)

この時点で参加できる企業は、規模の大きな中小企業や大企業に限られます。

参加基準に満たないが、環境保護についてより多くのESG投資を得たい場合や、環境や社会に貢献できる企業としてのアドバンテージの証明となるものをお求めの場合は、ISO 14001やCDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)のコミュニティへの参加を検討してみましょう。

コストが発生する可能性もある

エネルギー価格の安定化など、長期的に見ると、コストの削減に貢献できるRE100の取り組みですが、短期的に見ると設備投資や再生可能エネルギーへのシフトにおけるコストが多く発生する可能性があります。経営圧迫の原因につながりかねないため、導入する際は細心の注意が必要です。

まとめ

本記事では建設業界に関わる方に向けて、国際的な環境イニシアチブである「RE100」の概要 や、RE100参入への要件、RE100へ加盟した企業の具体的な施策についてご紹介しました。

RE100への加盟ハードルは高く設定されており、現時点で参入を果たしている国内の企業は90社前後に限られています。しかし、年々加盟企業数は増加しており、様々な層の企業において、参入の余地があると言える国際的な枠組みです。

要件が満たされていれば、ぜひRE100への参入を検討してみましょう。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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