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産業廃棄物の中間処理とは?その目的から方法、流れを徹底解説

産業廃棄物の中間処理とは?その目的から方法、流れを徹底解説

産業廃棄物の中間処理は、環境への負担を減らすためには欠かせないものです。この中間処理によって、廃棄物の量を減少させるだけでなく、再利用やリサイクルすることも可能となります。

本記事では、産業廃棄物の中間処理の目的や役割、具体的な処理方法、必要な許可などの詳細をわかりやすく解説します。さらに、産業廃棄物の中間処理における脱炭素の取り組み事例も紹介します。

今回の記事が、産業廃棄物における中間処理に関する疑問や悩みを解消する参考となれば幸いです。

産業廃棄物の中間処理とは?

そもそも、なぜ産業廃棄物は中間処理をする必要があるのでしょうか。また、「中間」とは、一体どういうことなのでしょうか。これらの疑問を解消するために、中間処理の目的と役割、そして中間処理と最終処分の違いについて説明します。

中間処理の目的と役割

中間処理の主な目的は、産業廃棄物の量を削減し、廃棄物を再利用やリサイクルすることです。具体的には、廃棄物を分別し、再び利用できそうなものは回収します。そして、再利用やリサイクルを行うために、回収したものを再処理します。こうして、資源を有効活用しつつ、処分する廃棄物を最小限に抑える役割を果たしているのです。

もう一つ、中間処理には重要な役割があります。それは、廃棄物が持っている有害物質の除去や無害化です。産業廃棄物には、環境や人々の健康に悪影響を及ぼす可能性がある物質(水銀など)が含まれている場合があります。中間処理を適切に行うことで、有害物質を取り除いたり、無害な状態に変えたりすることができるのです。

中間処理と最終処分の違い

それでは、中間処理と最終処分は一体何が違うのでしょうか。簡単に説明すると、この二つの処理方法は、それぞれ異なる目的と手法を持っています。

中間処理は、廃棄物の量を減少させたり、有害物質を無害化したり、再利用やリサイクルしたりする過程のことです。一方、最終処分は、廃棄物を環境に配慮した形で完全に処分することを意味します。廃棄物の埋立や海洋投入が、最終処分の一例です。

まとめると、中間処理は廃棄物の「再評価と再利用」が目的で、最終処分は廃棄物の「完全な処分」が目的です。中間処理をしっかりと行うことで、最終処分で取り扱う廃棄物の量を大きく減らすことができるので、環境保護に貢献できます。しかし、どれだけ中間処理を行っても、廃棄物を完全にゼロにはできません。そのため、最終処分も欠かせない処理なのです。

産業廃棄物の中間処理には許可が必要?

産業廃棄物における特定の中間処理を行うには、許可が必要です。ここからは、どのような許可が必要になるのかを具体的に解説します。

中間処理業の許可について

産業廃棄物の適切な取り扱いは、環境や人々の健康を守るために重要な役割を果たしています。そのため、産業廃棄物の中間処理を行う際には特定の許可が必要です。これは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第14条には、中間処理業として収集運搬や処理処分などの事業を運営するときに必要な許可についての記載があります。この許可は、他社の産業廃棄物を取り扱う場合に必要となりますが、自社での運搬や処分の場合は不要です。

第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

引用:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十四条 | e-Gov法令検索

一方、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第15条には、産業廃棄物処理施設、つまり、中間処理を行う施設を設置するときに必要な許可について明文化されています。この許可は、施設の取り扱い内容や規模に関わらず産業廃棄物の処理施設を設置する際に必要です。

第十五条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

引用:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第十五条 | e-Gov法令検索

産業廃棄物の中間処理方法とは?

ここからは、代表的な産業廃棄物の中間処理方法である、以下の五つについて説明します。

  • 焼却
  • 破砕
  • 溶融
  • 脱水
  • 選別

焼却

焼却は産業廃棄物を高温で燃やし、質量を大幅に減少させる方法です。焼却時には大量の煙や二酸化炭素などの有害物質を排出するため、環境への影響が不安に思う方も多いでしょう。しかし、現代の焼却施設は、煙やガスに対する適切なフィルタリングや処理を行っているため、大気汚染の心配はありません。

また、焼却の過程で発生する熱は、発電や暖房に利用されることもあり、エネルギーの再利用も可能です。焼却により生み出される有害物質への適切な対応が求められるものの、代表的な中間処理の一種です。

破砕

破砕は、廃棄物を細かく砕く処理方法です。廃棄物の大きさや形を均一化することで、その後の処理やリサイクルがしやすくなります。例えば、プラスチックやガラスなどの硬い材料を破砕することで、リサイクルのために必要な溶融を効率的に行えます。また、破砕された廃棄物は、適切に分類や選別され、新しい製品の原料として再利用されることもあります。

溶融

溶融は、廃棄物を高温にさらして溶ける状態にする処理方法です。特に金属やガラスの廃棄物に適用され、これにより不純物を取り除くことができます。溶融した後の材料は、新しい製品の生産に再利用されることが多いです。この方法は、資源の有効活用を図るための重要な手段となっています。

脱水

脱水は、液体を含む廃棄物から水分を絞り出す処理方法です。この方法は、特に汚泥を処理するときに使用されます。脱水された廃棄物は、非常に軽くなるので、輸送や処分が楽になります。

選別

選別は、廃棄物を種類や特性に応じて分類する処理方法です。リサイクルができるものは再利用され、有害な物質は無害化されます。これにより、廃棄物の総量を減らしつつ、資源を再利用することが可能です。

産業廃棄物の中間処理の流れとは?

ここまで、具体的な中間処理の方法について解説してきました。ここからは、産業廃棄物が処理場に運び込まれてから、最終処分されるまでの大まかな流れを五つの段階に分けてわかりやすく説明します。

  • 計量
  • 受入検査
  • 選別
  • 焼却と圧縮
  • 最終処分

計量

産業廃棄物の中間処理は、計量から始まります。処理場に運ばれた廃棄物の重量を知るために、廃棄物を計測します。廃棄物の重量に応じて、料金を支払うため、計量は欠かせない作業となっています。

受入検査

計量の後、受入検査が実施されます。ここではマニフェストに基づき、廃棄物の種類や特性、有害物質の有無などを詳しく調査します。この検査を通じて、記載内容に誤りはないか、どのような中間処理が最適なのかを判断します。

選別

次に、選別作業が行われます。選別には、粗選別と手選別の二種類あります。まず、粗選別では、廃棄物の大きさや長さ、重量で分類します。その後、手選別で、プラスチックや金属、ガラスなどを細かく分けていきます。手間のかかる作業ですが、適切な選別によって、再利用やリサイクルが容易になり、資源の無駄を防げるのです。

焼却と圧縮

選別された廃棄物は、焼却や圧縮などの処理を受けます。焼却は、有機物質の多い廃棄物に適しており、高温で燃焼させることで体積を小さくします。圧縮は、容積は大きいが密度が低い廃棄物を小さくするために行われます。空気を含んでおり容積が大きくなってしまう紙くずや段ボール、PETや廃プラスチックは圧縮に適している素材です。これらの処理を適切に行うことで、最終処分場に運ぶ手間やコストを削減できます。

最終処分

中間処理が完了した廃棄物は、最終処分されます。再利用やリサイクルができない廃棄物は、埋め立てや海へと捨てられます。ただ、海に捨てることは環境への影響が大きいとされているため、近年はあまり行われていません。このように、最終処分は、廃棄物が環境や人々の健康に悪影響を及ぼさないよう、細心の注意を払って行われています。

まとめ

産業廃棄物の中間処理は、私たちの環境を守るために欠かせません。中間処理の目的は、廃棄物の量を減らし、再利用やリサイクルすることです。これにより、廃棄物が環境へ与える影響を抑えることができます。

具体的な中間処理の方法としては、焼却、破砕、溶融、脱水、選別などがあり、性質の異なる産業廃棄物に対して適切な方法を用いて廃棄処理が行われています。

産業廃棄物の中間処理の流れは、計量から始まり、受入検査、選別、焼却・圧縮と進み、再利用できる素材を取り除き最後に残った残渣物は最終処分として埋め立てたり、海へ捨てられたりします。産業廃棄物は、このようにして安全に処理されているのです。

さらに、近年では環境への配慮から、脱炭素を目指す企業が増えてきました。ENEOSやトヨタ紡織株式会社など、先進的な企業が産業廃棄物の中間処理における脱炭素の取り組みを行っています。

具体的には、廃プラスチックを油化して新しいプラスチック製品を作り出したり、食べ残しを利用してバイオガスを生成したり、不要となった自動車のシートカバーから別の商品を製造したりなどの取り組みです。

このように、産業廃棄物の中間処理によって廃棄物を新しい製品へと生まれ変わらせることで、環境への影響を抑えつつ、持続可能な社会の実現を目指しているのです。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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