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GX-ETSとは?GX-ETSの第1フェーズの流れやいつから開始となるのかを解説!

GX-ETSとは?GX-ETSの第1フェーズの流れやいつから開始となるのかを解説!

脱炭素社会の実現に向けて、日本政府が推進するGX-ETSへの注目が高まっています。2026年度から本格稼働が予定される排出量取引制度は、企業のCO2削減を市場メカニズムで促す画期的な仕組みです。

本記事では、GX-ETSの基本的な概念から、排出量取引の具体的なプロセス、企業への影響、そして第1フェーズと第2フェーズの詳細について解説します。また、大成建設や栗田工業など建設業界における 先進的な取り組み事例も紹介していますので、脱炭素への対応を検討されている建設業の方は参照してみてください。

GX-ETSとは

GX-ETS

GX-ETSは、日本政府が推進する新たな排出量取引制度です。GX-ETSを理解するには、まず背景となるGXリーグの枠組みを把握する必要があります。

また、排出量取引制度としての具体的な仕組みや、企業活動に与える影響も知っておくことが重要です。GX-ETSとは何か、GXリーグとの関係性、排出量取引制度の概要、企業への影響について解説します。

GXリーグとは

GXリーグは、脱炭素社会の実現に向けて企業が協働する新しい枠組みです。GXとはGreen Transformation(グリーントランスフォーメーション)を意味し、環境配慮と経済成長を両立させる変革を指します。

GXリーグの構想は2022年2月に経済産業省により発表されました。持続可能な成長を目指す企業が中心となり、官公庁や大学などと連携しながら、経済社会システム全体の変革を推進することが目的です。単なる環境対策ではなく、新たな市場創出や国際競争力の強化を視野に入れた取り組みといえます。

GXリーグでは次の取り組みが実施されています。

  1. GX-ETS
  2. ルール形成
  3. ビジネス機会の創発
  4. GXスタジオ

GXリーグに参画する企業は、CO2の削減目標を設定し、達成に向けた実践を行います。同時に、他の参加企業や研究機関との協働を通じて、革新的な技術開発やビジネスモデルの構築を目指さなければなりません。

出典:経済産業省/GX リーグ基本構想

GX-ETSは排出量取引制度

GX-ETSは、市場メカニズムを活用してCO2削減を促進する排出量取引制度です。一定規模以上の排出量を持つ企業に排出枠が割り当てられ、過不足分を企業間で取引する仕組みです。

GX-ETSにより、企業は排出削減へのインセンティブを獲得します。効率的に削減目標を達成できれば、余剰となった排出枠を市場で売却し収益を得られます。一方、削減が不十分で割り当て枠を超過した場合には、不足分を市場から購入しなければなりません。

取引市場では排出枠やカーボンクレジットが日々売買され、需給バランスに応じて価格が変動します。価格変動が、企業に対して削減技術への投資や事業プロセスの見直しを促す経済的な動機付けとなる制度です。企業の自主的な削減努力を、経済合理性の観点から後押しする制度設計といえます。

GX-ETSが企業に与える影響

GX-ETSへの参加は、企業に国際競争力強化とビジネス機会拡大の可能性をもたらします。特に注目すべきは、欧州で導入が進む炭素国境調整措置(CBAM)への対応です。

CBAMは、製造拠点の海外移転によるCO2排出の域外流出を防ぐ制度であり、グローバル展開する日本企業にとって無視できない規制です。GX-ETSに参加し排出削減の実績を積むことで、この国際的な環境規制に対する防御策として機能する可能性があります。

さらに、GX-ETSは企業の脱炭素への取り組みを可視化するプラットフォームとしても有効です。参加企業の削減目標や達成状況が一覧できるため、投資家や取引先に対する効果的なコミュニケーションツールとなり得ます。

環境対応の姿勢を明確に示すことで、企業価値の向上や新規取引の創出につながることが期待されています。

出典:経済産業省/貿易と環境:炭素国境調整措置の概要と WTO ルール整合性

GX-ETSの第1フェーズ

GX-ETSは段階的に運用が進められており、第1フェーズでは4つのプロセスが設定されています。参加企業はプレッジとして削減目標を宣言し、実績報告を通じて達成状況を開示します。

さらに排出枠やクレジットの取引実施を経て、最終的なレビューで評価を受ける流れです。第1フェーズにおけるプレッジ、実績報告、取引実施、レビューの各段階について解説します。

プレッジ

プレッジとは、GX-ETSにおいて企業が自主的に設定する排出削減目標のことです。参加企業は、国内の直接排出量と間接排出量のそれぞれについて、具体的な削減目標を定め達成状況をGXダッシュボード上で公開します。

目標設定では、2025年度と2030年度それぞれの時点における削減目標に加え、第1フェーズ全体での削減量総計も明示しなければなりません。基準年度は2013年度の選択が推奨されていますが、企業の事業状況や排出実績に応じて2014年度から2021年度の間で柔軟に設定することも認められています。ただし、一度決定した基準年度は第1フェーズ期間中に変更できません。

排出量の算定方法は選択した基準年度によって異なります。2013年度を基準とした場合はその年度単独の排出量を用いますが、2014年度以降を選んだ場合は基準年度を含む連続3年度の平均値を使用する仕組みです。

実績報告

実績報告は、企業が設定したプレッジに対する実際の排出削減状況を明らかにするプロセスです。参加企業は国内における直接排出量と間接排出量の実績値を算定し、定期的に報告する義務を負います。

算定方法は、温対法に基づくCO2排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)の基準が採用されています。既存の制度を活用することで、企業の負担軽減と報告データの信頼性担保を両立させる設計です。

報告の信頼性を担保するため、一定規模以上の排出企業には第三者検証が求められます。具体的には、2021年度における直接排出量が10万t-CO2e以上の企業が対象です。第三者検証により、報告データの透明性と市場全体の信頼性が高まり、排出量取引の公正な運営が実現される仕組みです。

取引実施

取引実施は、プレッジと実績報告を経て、実際に排出枠の売買を行う段階です。GX-ETSでは、削減目標を上回る成果を達成した企業に経済的なメリットが与えられる仕組みが採用されています。

直近年度と比較して直接排出量と間接排出量の総量が減少し、かつ直接排出量において国が定める削減目標を下回った場合、差分を「超過削減枠」として創出できます。削減枠は市場で売却可能であり、削減努力への直接的な報酬です。

ただし、取引対象は直接排出分に限定されており、直接排出量が10万t-CO2e未満の企業群である「Group X」は超過削減枠を創出できません。

一方、目標未達成の企業は、市場から超過削減枠やカーボンクレジットを購入して帳尻を合わせるか、あるいは未達成の理由を詳細に説明し公表するいずれかの対応が求められます。

レビュー

レビューは、GX-ETS第1フェーズにおける最終段階として、企業の取り組み全体を評価・公表するプロセスです。透明性の担保と企業努力の可視化を目的としています。

参加企業は、設定したプレッジに対する目標達成状況と、超過削減枠やカーボンクレジットの取引実績について、GXダッシュボード上での公表が必要です。情報公開により、投資家や取引先、消費者などのステークホルダーが各企業の脱炭素への姿勢や実績を客観的に評価できる環境が整います。

多排出産業であっても削減努力と事業成長を両立させる企業に対しては、各種支援策との連動が検討されています。単なる評価にとどまらず、積極的に取り組む企業を後押しする仕組みにより、産業競争力を維持しながら脱炭素を推進することが狙いです。

GX-ETS制度はいつから開始となるのか

GX-ETS

GX-ETS制度の開始時期は、企業の準備期間や制度の円滑な運用を考慮して設定されています。制度の実施時期は企業規模によって段階的に異なり、排出量の規模に応じた対応が必要です。

GX-ETS制度の実施時期と企業規模、対象となる排出量について解説します。

実施時期と企業規模

GX-ETS制度は2026年度からの本格稼働が予定されており、段階的な導入により企業の準備期間が担保されています。実施時期の設定は、参加企業が排出量の算定体制や削減計画を整備するために必要な猶予を考慮したものです。

制度の対象となるのは一定規模以上の排出量を持つ法人に限定されます。基準設定は、欧州や北米などの諸外国における排出量取引制度と同程度の規模の排出源を捕捉する観点から決定されており、国際的な整合性が図られていることも特徴です。

製造業や化学業など、生産活動において大量のエネルギーを消費する業種は、排出量が多い一方で削減余地も大きいため、エネルギー集約型産業が重点対象となる可能性が高いとされています。

出典:経済産業省/排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針

対象となる排出量

GX-ETSの対象企業を決定する基準は、CO2の直接排出量が明確に定められています。前年度までの3カ年平均で10万トンの閾値が設定されており、基準を超える企業が制度への参加対象です。

直接排出量とは、省エネ法において燃料由来の排出量と定義される部分を指します。つまり、事業活動で使用する石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させた際に発生するCO2が対象です。購入電力の使用による間接的な排出は含まれず、自社が直接管理できる排出源に焦点を当てた基準設計となっています。

排出量の基準により、電力会社や鉄鋼会社を中心に、約300から400社が対象となる見込みです。日本の産業部門におけるCO2排出量の大部分を占めており、限られた企業数で効率的に国全体の排出削減を推進できることが見込まれています。

出典:内閣官房/GX実現に資する排出量取引制度の検討の方向性

GX-ETS第2フェーズに向けた動き

GX-ETS第2フェーズに向けた制度設計は、2025年7月に経済産業省から公開された検討方針に基づき、具体的な議論が進められています。第1フェーズの運用実績を踏まえ、より実効性の高い制度への進化が目指されています。

主要な論点として、制度対象者の範囲や排出実績量の算定方法に関する詳細なルール作りが審議されました。特に注目されるのは、カーボンクレジットの取り扱いです。削減への直接的なインセンティブを担保するため、クレジット使用に上限を設ける方向で検討が進んでいます。

諸外国の事例を参照し、各年度の実排出量(クレジット控除前)の10%を上限とする案が提示されており、企業の自主的な削減努力を促す仕組みが重視されています。また、基準期間中における事業所の新設や廃止への対応も重要な議論事項です。

企業の事業再編や設備投資の実態に即した柔軟な制度運用が求められており、公平性と実効性のバランスを取った制度設計が進められています。

出典:経済産業省/排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針

建設業におけるGX-ETSの事例

GX-ETSには建設業界からも多くの企業が参加しており、脱炭素に向けた取り組みが進められています。大成建設株式会社、栗田工業株式会社、インフロニア・ホールディングス株式会社の取り組みについて紹介します。

大成建設株式会社

大成建設グループは「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、自然との調和の中で、建設事業を中核とした企業活動を通じて良質な社会資本の形成に取り組んでいます。

2050年に向けてグループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、「3つの社会(①脱炭素社会、②循環型社会、③自然共生社会)」の実現と、「2つの個別課題(森林資源・森林環境、水資源・水環境)」の解決を目指しています。

①脱炭素社会の実現に向けては、2050年目標を「CN カーボンニュートラルの実現・深化」とし、削減目標は、スコープ1+2、スコープ3のいずれも0としています。2030年目標のCO2排出量削減目標は、2019年度比で、スコープ1+2を▲40%、スコープ3を▲20%です。

②循環型社会の実現に向けては、2050年目標を「CE サーキュラーエコノミーの実現・深化」とし、グリーン調達率100%と建設副産物の最終処分0%を目指します。

③自然共生社会の実現に向けては、建設事業に伴う負の影響の最小化と自然と共生する事業による正の影響の最大化により、2050年の「NP ネイチャーポジティブの実現・深化」を目指しています。

出典:大成建設株式会社|2024.3.1|GX League

栗田工業株式会社

クリタグループは、サステナビリティへの取り組みを推進するため、2023年度から新たに重点的に取り組む8つのテーマを「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。気候変動問題の取り組みとなるテーマ「脱炭素社会実現への貢献」においては、パリ協定に沿った取り組みとするため、SBTiが示す手法に沿い、2019年を基準年として2030年にScope1+2の100%削減、Scope3の30%削減。2050年ではScope1+2+3でNet-Zeroを目標に掲げ取り組んでいます。また、後述するCSVビジネスによるGHG削減貢献量目標も設定しています。その他のクリタグループのマテリアリティに紐づく指標・目標については、関連リンクよりご確認ください。

指標の基準年となる2019年度におけるクリタグループのCO2排出量は、Scope1+2が約2%、Scope3が約98%となっています。Scope1+2は、その大半はScope2の電力由来のCO2排出であるため再生可能エネルギーの採用を進めるとともに、ガソリン車から電気自動車等に順次切り替えていきます。Scope3は、約70%がカテゴリ11「販売した製品の使用(主に水を送るために用いられるポンプなどの回転機)」によるCO2排出であり、クリタグループの競争優位性向上との両立を図るため後述するCSVビジネスの仕組みを活用して、お客様に提供するソリューションの低炭素化を推進していきます。

出典:栗田工業株式会社|2024.3.15|GX League

インフロニア・ホールディングス株式会社

当社グループの2023年度の実績は、ecole(エコール)※1 導入推進や再生可能エネルギー積極活用(非化石証書含む)等の取り組みにより、約284万t-CO2※2 (前年度より19万t-CO2減少)となりました。また、目標に対しては、2018年度比 スコープ1+2 21.2%削減、スコープ3(カテゴリー1+11) 45.5%削減となりました。

当社グループの前田道路では、スコープ2削減の取り組みとして、2024年4月より全拠点でRE100に対応したCO2フリー電力を導入しました。

また、アスファルト舗装工事におけるCO2排出量の約8割は、アスファルト混合物の製造段階で使用している燃料に起因しているため、スコープ1削減の取り組みとして、運営子会社 日本バイオフューエル株式会社(Japan BioFuel)を設立、2023年度よりバイオ重油の製造を開始しています。バイオ重油とは、動植物性油脂を原料とする重油の代替燃料です。現在、このバイオ重油は前田道路の合材工場でA重油と混合させることで、CO2排出量削減につなげています。

そのほか効率よく製造するために、高効率バーナーの利用、インバーター制御による電気量削減機器の使用など、機械設備の改善を行っています。

※1 ecole(エコール):機械式フォームド技術を利用した低炭素(中温化)アスファルト混合物
※2 スコープ1、スコープ2、スコープ3(カテゴリー1+11)の合計値

出典:インフロニア・ホールディングス株式会社|2025.1.23|GX League

まとめ

GX-ETS

本記事では、日本政府が推進するGX-ETSの仕組みと企業への影響について解説しました。GX-ETSは排出量取引制度として、企業の自主的なCO2削減を市場メカニズムで促進する仕組みです。

2026年度から本格稼働が予定されており、直接排出量が3カ年平均で10万トンを超える企業が対象です。第1フェーズではプレッジ、実績報告、取引実施、レビューの4段階のプロセスを通じて、企業の削減努力が評価されます。

建設業界においても 、大成建設や栗田工業、インフロニア・ホールディングスなど、多くの企業がGX-ETSに参加し、脱炭素に向けた目標を設定しています。建設現場でのエネルギー消費削減や環境配慮型施工の推進は、業界全体の競争力強化にもつながります。GX-ETSへの対応を検討されている建設業の方は、参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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