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プラスチックリサイクル率の現状は?建設業におけるリサイクル事例も紹介!

プラスチックリサイクル率の現状は?建設業におけるリサイクル事例も紹介!

プラスチック廃棄物の適切な処理とリサイクル推進は、建設業界においても 重要な環境課題です。現場から発生する廃プラスチックを資源として有効活用するには、リサイクルの仕組みや現状を正しく理解することが欠かせません。

本記事では、プラスチックのリサイクル方法の種類や日本と世界のリサイクル率、建設業が直面する課題について解説します。また、大手建設会社によるリサイクル率向上の先進事例も解説していますので、環境配慮型の施工を推進される方は参照してみてください。

プラスチックのリサイクル(再利用)方法

プラスチックリサイクル率

プラスチック廃棄物の適切な処理は、環境負荷軽減と資源循環の観点から建設業界でも重要な課題です。プラスチックの再利用には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つの主要な手法があり、それぞれ特性や用途が異なります。

各リサイクル方法の仕組みについて解説します。

出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会/プラスチックの3つのリサイクル

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを原材料として再加工し、新しい製品に生まれ変わらせる手法です。マテリアルリサイクルが特に有効なのは、建設現場や工場から排出される産業系プラスチック廃棄物で、素材の種類が明確で不純物の混入が少ない特徴があります。

このため、以前は再生材の品質低下が課題とされていましたが、厳格な品質管理体制の構築と製造技術の進歩により、問題は大きく改善されました。現在ではリサイクルされたプラスチックは建設資材や各種部材として幅広く活用されています。

素材の性質を保ったまま循環利用できるため、リサイクル率向上と環境負荷削減を同時に実現できる、持続可能な社会づくりに大きく貢献するリサイクル方式です。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学反応によって分子レベルまで分解し、再び原料として活用する技術です。ケミカルリサイクルの特徴は、汚れや劣化したプラスチックでも化学的処理により元の原料状態に戻せる点にあります。

石油を原料とするプラスチックを分解処理し、油やガスなど化学原料に転換します。回収された原料は、新たなプラスチック製品の製造に使われるほか、燃料油やコークス炉での化学燃料としても利用可能です。

建設現場で発生する複合材料や汚れた廃材など、マテリアルリサイクルでは処理が難しい廃棄物にも対応できるため、リサイクル率の向上に貢献します。分子レベルでの再生により、品質面でも優れた循環システムを構築できる先進的な手法です。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃焼させて得られる熱エネルギーを回収・利用する手法です。サーマルリサイクルの利点は、他のリサイクル手法では処理が困難な混合廃棄物や汚染された材料にも対応できることにあります。

建設現場から排出される複合材や分別が難しい廃材を焼却し、その際に発生する熱を発電や地域の熱供給に活用します。プラスチックは石油由来の素材であるため発熱量が高く、効率的なエネルギー源として機能することも特徴です。

特に廃棄物発電施設では、特性を生かした電力供給が実現しており、今後さらなる活用拡大が期待されています。マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを補完する位置づけとして、エネルギー回収による資源のリサイクル率を促進する現実的な選択肢です。

プラスチックにおけるリサイクル率の現状

環境問題への関心が高まる中、プラスチック廃棄物の適切な処理とリサイクル率向上は国際的な課題です。各国でリサイクル体制の整備が進められていますが、その取り組み状況や達成率には大きな差が見られます。

世界と日本におけるリサイクル率の現状を比較しながら、プラスチックリサイクルの課題について解説します。

世界の現状

世界のプラスチックリサイクル率は依然として低水準にとどまっています。年間4億トンを超える生産量に対し、実際に再資源化されているのは全体の14〜18%程度で、約4分の1が焼却処理され、残りの大半は適切に処理されないまま投棄されているのが実態です。

背景には、新興国における収集・分別システムの未整備があります。さらに近年では、中国やトルコなどが相次いで廃プラスチックの輸入を禁止したため、先進国でも処理先の担保が課題となっている状況です。

焼却や埋立処理はCO2を発生させ、気候変動を加速させる要因となりかねません。建設業界においても、世界的な処理能力の限界を認識し、発生抑制と適切なリサイクルルートの担保が求められています。

出典:環境省/プラスチックを取り巻く国内外の状況

日本の現状

日本のプラスチックリサイクル率は86.9%と高水準に見えますが、内訳に課題があります。全体の約62%を熱回収によるサーマルリサイクルが占めており、素材として再利用するマテリアルリサイクルと化学的に原料化するケミカルリサイクルの合計は25%程度にとどまっているのが実情です。

欧州連合では技術革新と政策強化により、マテリアルとケミカルを合わせたリサイクル率が35%に達しており、日本は10ポイント低い水準です。サーマルリサイクルは大量の廃棄物を迅速に処理できる利点がある一方、燃焼時のCO2が環境負荷となることが課題です。

建設業界でも、発生する廃プラスチックを熱回収だけに頼らず、素材や原料として循環させる仕組みづくりが求められており、技術開発と分別体制の強化が今後の重要課題です。

出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会/プラスチックリサイクルの基礎知識

プラスチックのリサイクル率における課題

プラスチックリサイクル率

プラスチックのリサイクル推進には、技術面・経済面・社会システム面でさまざまな障壁が存在しています。廃プラスチックの輸入規制、コストの高さ、解体系廃棄物のリサイクルが困難といった構造的な問題に加え、海洋汚染問題や焼却処理が主流である現状など、複合的な課題への対応が必要です。

リサイクル率向上を阻む主要な要因について解説します。

廃プラスチックの輸入規制

廃プラスチックの輸入規制強化は、日本のリサイクル率に大きな影響を与えています。かつて日本は、廃プラスチックを再生資源として中国や東南アジア諸国へ輸出していましたが、現地での不法投棄や環境汚染が国際問題化したことで状況が一変しました。

2018年に中国が輸入を全面禁止すると、日本は輸出先を東南アジアにシフトしましたが、タイやマレーシアなども相次いで規制を強化し、禁止措置も検討されています。結果、国内で処理すべき廃プラスチック量が急増し、処理施設の能力不足が顕在化しました。

建設業界でも、現場から発生する廃材を海外に依存できなくなったことで、国内循環システムの構築が急務です。自国完結型のリサイクル体制整備が、今後の重要課題といえます。

出典:日本経済団体連合会/外国政府による廃プラスチック類輸入禁止と国内資源循環への影響について聞く

コストの高さ

プラスチックリサイクル率の向上を妨げる要因の一つが、経済的な採算性の問題です。再生プラスチックの製造コストが、新規に石油から生産する場合を上回るケースが多く、企業にとって導入のハードルとなりかねません。

廃材を再利用可能な状態にするまでの工程負担が、要因の一つです。収集した廃プラスチックは、汚れの除去や異物の選別、種類ごとの分類など多くの手間と経費を要します。特に化学的処理によって原料レベルまで分解するケミカルリサイクルでは、専用の大型設備が不可欠で、初期投資額が膨大です。

リサイクル率向上には、技術革新によるコスト削減とともに、補助制度の充実や再生材利用を促す政策的支援が欠かせません。

解体系廃棄物のリサイクルが困難

建設廃棄物のリサイクル率において、解体系廃棄物の処理が課題です。新築工事で発生する廃材は再資源化率が高く、多くが再生材として活用されていますが、リフォームや解体工事から出る廃棄物は熱回収や埋立処分に頼らざるを得ない状況です。

リサイクル率の差が生じる理由は、解体系廃棄物特有の複雑さにあります。長期間使用された建材は劣化や汚れが進んでおり、異なる素材が組み合わされた複合材料の分離も困難です。さらに現場での分別作業や運搬の効率が悪く、処理コストも膨らみます。

ただし、建設資材そのものの環境負荷は必ずしも大きくないため、リサイクルによる利点と総合的に比較評価することが重要です。ストック期間を考慮した長期的視点での資源循環システム構築が求められています。

海洋汚染問題

プラスチック廃棄物の不適切な処理は、深刻な海洋汚染を引き起こしています。管理体制が不十分な地域から流出したプラスチックごみが海に漂着し、海洋環境を破壊する事態が世界規模で発生しているのが現状です。

特に問題となっているのが、紫外線や波の作用で細かく砕けたマイクロプラスチックの存在です。5ミリメートル以下の微細な粒子となったプラスチックは、海洋生物が誤って摂取しやすく食物連鎖を通じて濃縮されていきます。

魚介類を介して人体に取り込まれる可能性も指摘されており、健康への影響が懸念されています。根本的な解決には、陸上での適切な廃棄物管理とリサイクル体制の強化が不可欠です。

発生源での流出防止と回収システムの整備を進め、海へ流れ出るプラスチック量を削減する取り組みが求められています。

焼却処理が主流

日本のプラスチックのリサイクル率向上において、焼却に依存する体制も課題の一つです。廃棄物の焼却率は約80%に達し、欧州全体の25%と比較して圧倒的に高い水準です。理由として、限られた国土面積と高度に発達した焼却施設の存在があります。

焼却処理は大量の廃棄物を短時間で減容できるメリットがある一方、CO2排出量の増加や資源の喪失の問題を抱えているのが現状です。欧州では埋立削減と資源循環を重視し、素材リサイクルや堆肥化などの有機物の再生利用を優先する政策が定着しています。

日本でも熱回収効率の向上は進んでいるものの、プラスチックを燃やして終わりではなく、素材として循環させる仕組みへの転換が必要です。焼却主体の処理体系から脱却し、リサイクル率を高めることが、持続可能な社会実現への重要なステップです。

出典:世界のごみ焼却ランキング 3位はデンマーク、2位はノルウェー、日本は?

建設業におけるプラスチックのリサイクル率を向上させた事例

建設業界では、環境負荷削減と資源循環の実現に向けて、プラスチック廃棄物のリサイクル率向上に積極的に取り組む企業が増えています。

大手建設会社では、独自の技術開発や管理体制の構築により、具体的な成果を上げています。鹿島建設株式会社、清水建設株式会社、株式会社竹中工務店における先進的な取り組みについて解説します。

鹿島建設株式会社

鹿島(社長:天野裕正)は、株式会社八木熊(社長:八木信二郎、以下「八木熊」)、大栄環境株式会社(社長:金子文雄、以下「大栄環境」)、資源循環システムズ株式会社(代表取締役:林孝昌、以下「資源循環システムズ」)と共同で、建設現場から排出された廃プラスチックを再資源化して工事用バリケードを製造できることを実証し、実際の建設現場に導入しました。

建設現場など様々な場で利用されるバリケードは、リサイクル材ではないバージン材や、プレコンシューマ材料※1を用いて製造されることが一般的です。本実証ではバリケードの原料のうち30%を、鹿島などの建設現場から回収されたポストコンシューマ材料※2に置き換え、リサイクルバリケードを5,000個製造することに成功しました。このリサイクルバリケードは鹿島の建設現場で導入されており、建設現場から排出された廃プラスチックが別のプラスチック製品として再資源化されることで、建設現場内での資源循環を実現しています。

※1 プラスチック製品の製造工程における廃棄物・端材等を再資源化した材料
※2 製品として使用された後に、廃棄された材料又は製品を再資源化した材料

出典:建設現場で発生する廃プラスチックを工事用バリケードに再資源化|2025.1.24|鹿島建設株式会社

清水建設株式会社

清水建設(株)<社長 新村達也>は、建設現場における資源循環の取り組みの一環として、現場で発生したプラスチック廃棄物を同じ現場で使用する新築建材の原材料として再生利用する取り組みを開始します。取り組みの初弾として、「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の建設現場を対象に、現場由来の再資源化材で製造したOAフロア部材を新築建材として活用する「Site to Site」型のマテリアルリサイクルを実践します。

建設現場由来の廃プラスチックはこれまで、焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルに供されることが多く、再資源化材としてマテリアルリサイクルされる割合は約15%に留まります。また、マテリアルリサイクルされた再資源化材の70%以上は海外に輸出されており、同一現場内で再利用される事例はほとんどないのが現状です。

日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の建設現場では従前から、廃棄物として回収したプラスチックを樹脂種類ごとに現場内で高度分別し、再資源化材としてリサイクラー(再資源化事業者)に有価売却する取り組みを進めています。今回の新たな取り組みでは、OAフロアの製作・施工を担当するニチアス(株)が、リサイクラーが材料化した現場由来の廃プラスチックを引き取り、OAフロアの床パネルを支える支持脚頂部のプラスチック部材(ロックセット)の原材料(ポリプロピレン)として再利用します。リサイクル部材の製造は、同社の国内製造拠点で行います。廃プラスチックを同一現場内で循環利用するマテリアルリサイクルスキームに基づき、本年10月から約4万個のリサイクル部材を現場に順次搬入し、2フロア・1万m2分のOAフロアの施工に活用する計画です。

出典:建設現場で発生した廃プラスチックを新築建材として再生利用|2025.10.08|清水建設株式会社

株式会社竹中工務店

株式会社竹中工務店(以下「竹中工務店」)と出光興産株式会社(以下「出光興産」)は共同で、建設系使用済みプラスチックの再資源化(油化ケミカルリサイクル)に向けた実証実験を開始します。

当実証実験では、建設現場で発生した使用済みプラスチックの原料化に向けて、竹中工務店が徹底的に分別し、出光興産の子会社であるケミカルリサイクル・ジャパン株式会社が油化ケミカルリサイクル技術を用いて生成油を生産します。出光興産はこの生成油を石油化学製品や燃料油の原料として利用できるかを確認するとともに、再資源化の可能性についても検証します。

将来的には、出光興産の石油精製・石油化学装置を活用し、建設系使用済みプラスチック由来の生成油を原料とした「リニューアブル化学品」や「リニューアブル燃料油」の生産を目指します。

出典:竹中工務店と出光興産が建設系使用済みプラスチックの再資源化に向けた実証実験を開始|2023.10.31|株式会社竹中工務店

まとめ

プラスチックリサイクル率

本記事では、プラスチックのリサイクル率と現状、課題について解説しました。マテリアル、ケミカル、サーマルのリサイクル手法にはそれぞれ特徴があり、用途に応じた使い分けが重要です。

日本のリサイクル率は高く見えますが、熱回収が大半を占め、素材として再生する割合は欧州より低い水準にあります。輸入規制の強化やコスト負担、特に建設現場で発生する解体系廃棄物の処理難易度の高さなど、多くの課題が残されているのが実情です。

建設業界では、 現場での分別徹底や再生材の積極活用、処理業者との連携強化により、資源循環型の施工体制を構築することが求められています。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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