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LEED認証をわかりやすく解説!日本の事例も紹介

LEED認証をわかりやすく解説!日本の事例も紹介

地球環境への配慮が企業経営の重要課題となる中、建設業界においても持続可能な建築物の設計・建設・運営が強く求められています。現在注目されているのが、世界的に認知されたグリーンビルディング評価制度「LEED認証」です。

本記事では、LEED認証の基本概念から6つの認証カテゴリー、評価システム、企業が得られるメリットまで詳しく解説します。

また、スターバックスや日本郵政グループなどの成功事例も解説していますので、建設業界で環境配慮型プロジェクトを検討されている方は参照してみてください。

グリーンビルディング認証のLEED認証とは

グリーンビルディング認証のLEED認証とは

LEED認証は、アメリカ発祥の国際的なグリーンビルディング評価制度として、世界中で広く採用されています。グリーンビルディング評価制度は、地球環境への負荷を最小限に抑えながら、人々の健康と快適性を重視した建物の設計・建設・運営を総合的に評価します。

評価対象となるのは、エネルギー効率の向上や水資源の有効活用、持続可能な建材の使用、室内環境の質向上、立地条件の最適化など、多岐にわたる環境配慮要素です。

LEED認証を取得した建物は、温室効果ガスの削減、再生可能エネルギーの積極的な導入、資源の効率的な活用が実現されており、従来の建築物と比較して環境負荷が大幅に軽減されていることが特徴です。

出典:GBCI

LEED認証の種類

LEED認証には、次の種類があります。

  • BD+C(Building Design and Construction)
  • ID+C(Interior Design and Construction)
  • O+M(Building Operations and Maintenance)
  • ND(Neighborhood Development)
  • Homes
  • LEED for Cities and Communities

それぞれの種類を詳しく解説します。

BD+C(Building Design and Construction)

LEED認証は複数の評価カテゴリーに分類されており、その中でもBD+C(Building Design and Construction)は新築および大規模改修プロジェクトを対象とした認証分野です。

BD+Cの対象となる建物種別は非常に幅広く、商業施設から教育機関、宿泊施設まで多様な用途の建築物が含まれます。

新築プロジェクトにおいては、将来の運用段階での環境負荷削減効果も考慮され、長期的な持続可能性が担保されます。

ID+C(Interior Design and Construction)

LEED認証のID+C(Interior Design and Construction)は、建物の内装工事および室内環境整備に特化した評価システムとして、ワークスペースや商業空間の持続可能性向上に重要な役割を果たしています。

ID+Cは、既存建物の内部空間を対象としており、宿泊業界や小売業界での活用が特に進んでいます。ホテルの客室やロビー空間では、宿泊客の快適性を担保しながら環境負荷を最小化する設計が求められ、商業施設では顧客体験の質向上と環境配慮の両立が評価対象です。

対象は接客スペースだけでなく、従業員が使用するバックヤードエリアや商品展示用のショールーム、顧客サービス提供エリアまで含まれます。

O+M(Building Operations and Maintenance)

LEED認証のO+M(Building Operations and Maintenance)は、既存建物の継続的な運営管理における環境性能向上を評価する制度として、持続可能な建築物管理の新しい指針を提供しています。

O+Mの最大の特徴は、大規模な建設工事や構造変更を伴わず、日常的な運営方法や保守管理手法の改善を通じて環境負荷削減を実現する点です。対象となる建物は多岐にわたり、オフィスビルや商業施設、教育機関、宿泊施設、物流倉庫など、さまざまな用途の既存建築物が含まれます。

参考:LOGI FLAG|賃貸型冷凍冷蔵倉庫をはじめとする、環境に配慮した冷却設備や自動化設備を導入した先進的な物流施設を提供

ND(Neighborhood Development)

LEED認証のND(Neighborhood Development)は、個別の建物から発展した地域全体の持続可能性を評価する先進的な認証制度として、都市計画分野における環境配慮の新たな基準を示しています。

LEED認証のNDは、地域コミュニティ全体の環境負荷削減と住民の生活品質向上を総合的に判定します。

評価対象となるのは、歩行者にとって快適で安全な道路環境の整備、住居と職場の地理的な近接性による通勤負荷の軽減、商業・住宅・公共施設が調和した多機能な土地利用、都市機能を集約した効率的な空間構成、既存の自然環境や生態系の保全などです。

Homes

LEED認証のHomesは、居住用建築物の環境性能を評価する認証システムです。個人住宅から集合住宅まで、住居用途に特化した幅広い建物形態を対象としています。

戸建住宅から低層集合住宅、中層住宅まで建物規模に応じたエネルギー管理システムや共用部分の環境配慮が重要な要素です。

LEED認証のHomesによって、住宅分野における環境配慮の標準化により、将来世代に配慮した責任ある住宅開発が推進されています。

LEED for Cities and Communities

LEED for Cities and Communitiesは、都市全体やコミュニティレベルでの持続可能性を評価する認証制度として、現代の都市問題解決に向けた新たなアプローチを提示しています。

認証プログラムは柔軟性に富んでおり、新規開発計画の設計段階から既存都市の改善まで、また大都市から小規模コミュニティまで、対象地域の規模や発展段階に応じて4通りの認証プログラムから最適な評価フレームワークを選択できる点が特徴です。

この制度により、地域特性を活かしながら環境負荷を削減し、経済発展と社会的公正を両立した持続可能な都市づくりが促進されています。

LEED認証のレベル

LEED認証のレベル

LEED認証の評価制度は、基本点数とボーナス加点を組み合わせた総合110点満点の構成となっており、各環境配慮項目の達成度に応じて段階的に点数が積み重ねられます。特徴的なのは、単純な点数累計だけでなく、建築物として最低限満たすべき必須基準項目が設定されている点です。

基準項目を一つでも満たさない場合、総得点が認証レベルに達していても認証取得は不可能となり、環境性能の底上げが確実に図られています。

認証レベルの詳細は次の通りです。

認証レベル ポイント
プラチナ 80ポイント以上
ゴールド 60~79ポイント
シルバー 50~59ポイント
標準認証 40~49ポイント

認証取得の最低ラインは40点と設定されており、一定水準以上の環境配慮が担保された建物のみが認証対象です。効率的な認証取得を目指すためには、まず必須基準項目の完全クリアを確認し、その後で目標とする認証レベルに応じた加点項目を計画的に選択する戦略的なアプローチが求められます。

LEED認証のメリット

LEED認証は、競争優位性の担保と長期的な事業成長を支える有効な手段です。認証取得により得られる具体的なメリットは、企業価値の向上、運営コストの削減、優秀な人材の確保の3点です。

それぞれのメリットを解説します。

企業価値の向上

LEED認証の取得は、企業の環境配慮への姿勢を明確に示すツールとして、現代のビジネス環境において重要な意味を持っています。

近年の持続可能な開発目標や脱炭素社会実現への関心の高まりを背景として、多くの企業が環境負荷削減や気候変動対策への取り組みを積極的に発信しています。一方で、単なる宣言や方針表明だけでは、取り組みの実効性や信頼性を外部に証明することは困難です。

LEED認証は、第三者機関による厳格な審査を経た国際的な基準に基づく評価であるため、企業の環境配慮活動が具体的かつ客観的な成果として可視化されます。

認証取得により、投資判断において環境・社会・ガバナンス要素を重視するESG投資の拡大傾向にも対応できます。

コスト削減

LEED認証の取得メリットの一つはコスト削減です。認証取得のプロセスでは、エネルギー効率や水資源利用に関する厳格な基準をクリアする必要があり、要件を満たすために高性能な設備機器や革新的な環境技術の導入が求められます。

具体的には、LED照明システムや高効率空調設備、節水型衛生器具、雨水利用システム、自然光活用システムなどの導入により、建物全体のリソース消費効率が大幅に改善されます。

LEED認証を取得した建物では、従来の建築物と比較して、電力使用量の大幅な削減、上下水道料金の節約、空調・照明関連費用の低減などが実現されることがメリットです。

初期投資として環境配慮設備の導入コストは発生しますが、長期的な運営費削減効果により投資回収が可能となり、建物のライフサイクル全体で見ると経済的メリットが大きくなります。

人材不足の解消

LEED認証は、建物の環境性能だけでなく、そこで働く人々の健康と快適性を重視した認証制度として、現代の人材確保課題に対する効果的な解決策を提供します。

LEED認証取得のために導入される優れた職場環境は、従業員の身体的健康、精神的安定、社会的満足感を包括したウェルビーイングの向上に直結し、結果として企業の魅力度が大幅に向上することがメリットです。

特に優秀な人材ほど職場環境の質を重視する傾向が強いため、LEED認証取得企業には質の高い人材が集まりやすくなり、人材獲得競争における優位性確保と離職率の低減が同時に実現されることが期待されます。

LEED認証の日本の事例

LEED認証の日本の事例

LEED認証の日本の事例として、次の3つの例を紹介します。

  • スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
  • クロスゲート金沢
  • 日本郵政グループ

それぞれの事例を自社の取り組みにあたって参照してみてください。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

スターバックス コーヒー ジャパンは、神戸メリケンパーク店において2019年にLEED標準認証を取得し、地域貢献と環境配慮を両立した店舗運営の先進事例を示しています。

神戸市の甲山から調達した間伐材をバーカウンターに活用することで、地域の森林保全に貢献しながら持続可能な木材利用を実現しました。さらに、店舗で発生するコーヒー豆の残渣を建築材料として再利用する循環型システムを導入し、廃棄物削減と資源の有効活用を同時に達成しています。

また、屋上部分には緑化システムを設置し、都市部のヒートアイランド現象緩和と生物多様性保全に貢献しています。

出典:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社/西日本最大級の店舗面積、関西エリア初の公園内店舗 神戸港から市内の街並みまで360度に景色が見渡せる贅沢な空間『スターバックス コーヒー 神戸メリケンパーク店』 2017年4月21日(金)オープン

クロスゲート金沢

クロスゲート金沢は、金沢駅前の立地を活かした複合施設として、地域の魅力向上と環境配慮を統合した開発プロジェクトの事例です。

クロスゲート金沢の特徴は、金沢の伝統的な美意識と現代的な機能性を融合させたデザインコンセプトにあり、駅前エリアに新しい景観的魅力を創出しています。建物単体の環境性能向上だけでなく、金沢市が推進する都市基盤整備事業との連携により、前面道路の歩行者専用化を実現し、人中心の快適な都市空間を形成しました。

フルサービスホテルとしては日本で初めてとなるLEED SILVER認証を取得したことも、注目すべきポイントです。

出典:竹中工務店/クロスゲート金沢

日本郵政グループ

日本郵政グループは、大手町本社移転プロジェクトにおいて、世界水準の環境配慮型オフィス空間の構築を実現し、ゴールド認証を取得しました。

持続可能な立地選択、節水システムの導入、エネルギー効率化、環境配慮材料の使用、室内環境品質の向上、革新的技術の採用、地域貢献といった多面的な評価項目において総合62ポイントを獲得し、商業用内装分野としては日本最大級の認証取得を達成しています。

特に注目すべきは、オフィス全フロアへの最新LED照明システムの全面導入により、従来の照明設備と比較して大幅な電力消費削減を実現した点です。

この取り組みにより、米国空調衛生学会が定める省エネルギー基準を30%以上上回る優秀な性能を達成し、大規模オフィスビルにおける環境負荷削減の可能性を具体的に示しました。

出典:日本郵政/日本郵政本社における LEED-CI(2009年版)ゴールド認証の取得

まとめ

まとめ

本記事では、アメリカ発祥の国際的なグリーンビルディング認証制度であるLEED認証について解説しました。

LEED認証は、新築から既存建物の運営、個別建物から都市全体まで、多様な対象に応じた6つの認証カテゴリーを設けており、110点満点の加点積み上げ方式による客観的評価システムを採用しています。

建設業界にとっては、企業価値向上、運営コスト削減、優秀な人材確保という3つの重要なメリットをもたらす重要な制度です。

建設業界全体が持続可能性を重視する現代において、LEED認証は競争力強化と社会的責任の両立を実現する有効な手段として、今後さらなる普及が期待されています。

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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