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公共工事で受注を得るために必要な工事成績評定とは?高得点を得るポイントを解説!

公共工事で受注を得るために必要な工事成績評定とは?高得点を得るポイントを解説!

公共工事の入札において、総合評価落札方式が主流となる中、加点対象となる工事成績評定の重要性が高まっています。建設企業にとって高評価の獲得は、入札での優位性維持や優良事業者認定につながる重要な要素です。

本記事では、工事成績評定が重視される理由、評価の仕組みを解説します。また高得点を獲得するための具体的なポイントも紹介していますので、公共工事の受注拡大を目指す建設業の方は参照してみてください。

総合評価落札方式で工事成績評定が重要な理由

入札加点

公共工事の受注において、総合評価落札方式が広く採用される中、工事成績評定の重要性が高まっています。総合評価落札方式とは何か、そして工事成績評定が重要な理由について解説します。

総合評価落札方式とは

総合評価落札方式は、単純な価格競争ではなく、施工技術や提案内容も含めて総合的に判断する仕組みです。最も安い金額を提示した企業が必ずしも落札できるわけではなく、技術力や過去の施工実績が加点対象となり高く評価される企業ほど優位に立てる特徴があります。

入札時に価格と併せて技術提案書の提出が求められ、過去の施工実績や企業の技術力が総合的に審査されます。優れた施工体制や創意工夫を提案できる企業は、多少価格が高くても高得点を獲得し、落札の可能性が高まることが特徴です。

つまり総合評価落札方式では、安さだけでなく確かな技術力を持つ企業が評価される仕組みとなっており、公共工事の品質向上を目指す制度といえます。

工事成績評定が重要な理由

工事成績評定で優れた結果を残すことは、建設企業の事業展開において多くのメリットをもたらします。最も重要な点は、入札参加資格そのものに影響することです。

国土交通省が定める基準では、過去の施工成績が一定水準に達していない企業は入札への参加自体が認められません。つまり、評価が低ければ受注機会そのものを失うリスクがあるのが現状です。

さらに高評価を獲得した企業は、その後の入札において優遇措置を受けられます。企業の格付けランクが向上することで、より規模の大きな工事案件への参加が可能となり、ビジネスチャンスが拡大します。

80点以上の高得点を獲得した場合、その工事は優良工事として公式に認定される対象です。施工を担当した企業も優良事業者として評価され、業界内での信頼性と競争力が大きく高まるため、入札加点も含めて継続的な受注拡大につながります。

入札加点につながる工事成績評定の仕組み

総合評価落札方式において、工事成績評定は入札時の加点対象となる重要な指標です。評定は3つの評価軸で構成され、点数は企業の技術力を示します。

入札加点につながる工事成績評定の仕組みについて解説します。

3つの評価軸

工事成績評定では、施工体制・施工状況・出来形および出来ばえの3つの評価軸が中心です。工事の品質担保と安全性維持において欠かせない要素として重視されており、評価配点も高く設定されています。各項目の配点比率は異なりますが、いずれも総合評価を左右する重要なポイントです。

施工体制では、現場の管理組織や技術者配置の適切性が審査されます。施工状況では、工程管理や安全対策の実施状況が評価対象です。出来形および出来ばえでは、完成した構造物の精度や仕上がりの美しさが確認されます。

国土交通省発注工事の場合、主任監督員・総括監督員・検査員の三者が異なる視点から評価を行う体制が取られています。複数人で評価者による審査により、公平性と客観性が担保される仕組みです。

工事成績評定の平均点

各地方整備局が公表するデータによれば、工事成績評定の平均点は概ね80点程度です。多くの建設企業が高得点を目指す背景には、優秀企業としての認定獲得があります。認定を受けることで入札時の優遇措置が適用されるため、受注競争において大きなアドバンテージとなります。

平均点を上回る評価を得るためには、創意工夫の項目で高得点を獲得することが欠かせません。創意工夫では施工上の技術的改善や効率化への取り組みが評価されます。

令和6年度からは提出可能な創意工夫が最大10項目に制限されたことで、戦略的な選定が求められます。施工・新技術活用・品質向上・安全衛生・その他の各カテゴリーからバランスよく選び、特定分野に偏らない総合的な取り組みを示すことが、高評価獲得のポイントです。

90点の難易度

工事成績評定において90点の高得点を獲得することは、極めて高い難易度です。90点の水準に到達するには、発注者が重視する品質担保の観点から、出来形および出来ばえにおける品質評価で最高ランクの「a」判定を取得することが必要です。完成した構造物の精度と仕上がりが卓越していなければ、この評価は得られません。

加えて、工事期間中に事故を一切発生させないことが大前提です。労働災害や公衆災害が起きれば大幅な減点対象となり、90点到達は達成できません。評定では施工プロセス全体が詳細に審査され、各段階でのチェックリストが参照されます。

計画段階から完成まで一貫して高品質を維持し、創意工夫による改善提案も積極的に実施する必要もあります。多面的な努力が求められるため、90点獲得は建設企業にとって大きな目標となっているのが現状です。

工事成績評定で高得点を取るポイント

入札加点

工事成績評定で高得点を獲得するには、戦略的な取り組みが不可欠です。チェックリストを事前に入手して評価基準を把握し、品質・出来形・施工管理の重点項目で確実に得点することが求められます。また事故による減点を防ぎ、新技術で加点を狙う工夫も重要です。

工事成績評定で高得点を取るポイントについて解説します。

チェックリストを事前に入手する

工事成績評定で高得点を得る第一歩は、発注者が用意するチェックリストを早期に入手することです。評価基準を事前に把握することで、どの項目が重視されるかを理解し、的確な対策を講じられます。

チェックリストには次の2つがあります。

チェックリスト 内容
考査項目別運用表 各評価項目の具体的な採点基準が記載
施工プロセスチェックリスト 工事の各段階で求められる管理内容が明示

多くの自治体では、工事成績評定に用いられる考査項目別運用表や施工プロセスチェックリストを公式ホームページで公開しています。入札参加を検討する工事案件が見つかった時点で、加点を得るためにも速やかに該当自治体のサイトから資料を入手することが必要です。評価基準を理解した上で施工計画を立てることが、高評価への確実な道筋となります。

品質・出来形・施工管理が特に重要

高評価を得て入札加点につなげるには、配点割合の大きい品質・出来形・施工管理の3項目で確実に得点することが最優先です。特に品質と施工管理の2項目だけで評定全体の30%以上を占めるため、この領域での失点は総合点に致命的な影響を及ぼします。一方で、高得点を獲得できれば、他項目での多少の不足をカバーできます。

まず施工計画の綿密な立案や安全対策など基本要件を確実に実施することが土台です。その上で高得点を狙うには、品質管理基準の厳格な遵守、出来形測定における高精度なデータ取得と詳細な記録、工程管理表に基づく進捗管理の徹底が求められます。日常的な管理業務を丁寧に積み重ね、記録として残すことが評価向上、および結果として入札時の加点につながります。

事故による減点を防ぐ

工事成績評定において、事故を防止することは高得点獲得の絶対条件です。どれほど他の項目で優れた評価を得ていても、一度でも事故や法令違反が発生すれば評定合計点から大幅に減点されます。安全管理の不備は致命的であり、高得点どころか平均点の維持さえ困難になる可能性があります。

事故防止には、徹底した安全対策の実施が欠かせません。現場で発生するヒヤリハット事例を積極的に収集し、作業員からの意見を丁寧に吸い上げる体制を構築することが求められます。小さな危険の兆候を見逃さず、事故につながる前に対策を講じることが重要です。

朝礼での安全確認、定期的な設備点検、危険箇所の可視化など、日常的な安全活動を継続することで事故リスクを最小限に抑えられます。減点を防ぐ守りの姿勢こそが、結果的に高評価、加点への道を開きます。

新技術で加点を狙う

工事成績評定において、減点回避と並んで重要な戦略が積極的な加点獲得です。個別の加点項目は数点程度と小さく見えますが、高得点を実現するには、加点項目を着実に積み上げること欠かせません。複数の加点要素を組み合わせることで、総合評価を大きく引き上げられます。

特に効果的なのがNETIS登録技術の活用です。新技術情報提供システムに登録された技術を工事に導入すると、最大3点の加点対象です。さらに新技術の採用によって作業効率が向上し、週休2日制が実現できれば追加の加点も期待できます。工程管理の評価項目では、週休2日の実施が明確な加点基準として定められているためです。

新技術導入は、施工の効率化と働き方改革の両面で評価され、複合的な加点効果をもたらす有力な手段です。

出典:NETIS( 新技術情報提供システム)

出典:国土交通省/働き方改革及び週休2日に係る工事成績評定の取扱いについて

総合評価落札方式における工事成績評定以外の加点ポイント

公共工事の入札評価では、工事成績評定以外にも重要な加点ポイントが存在します。総合評価では、経営事項審査による総合評定値(客観点)と発注者別評価点(主観点)を合算した総合点数で判断されます。

客観点は企業の経営規模や財務状況など数値で測れる要素、主観点は発注者が独自に設定する評価基準に基づいて算出されます。総合評価落札方式における、工事成績評定以外の加点ポイントは次の通りです。

加点ポイント 内容
ISO9001 「品質マネジメントシステム(QMS)」に関する国際規格
ISO14001 「環境マネジメントシステム(EMS)」に関する国際規格
エコアクション21 環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)
くるみん・えるぼし・ユースエール 厚生労働省が認定する企業の「働きやすさ」や「人材育成」の優良マーク
健康経営優良法人 日本健康会議から認定された法人
賃上げ 令和4年度(2022年度)から導入され、国土交通省などが推進
建設キャリアップシステム(CCUS) 建設技能者の資格・就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する仕組み

評価項目の内容を見ると、単なる施工能力だけでなく多面的な企業努力が求められていることがわかります。工事品質の継続的な向上はもちろん、技術者の育成体制や資格取得支援といった人材投資も評価対象です。

工事成績評定で加点につながる建設業の事例

工事成績評定での加点獲得には、先進的な取り組みを実践する企業の事例が役立ちます。鹿島建設株式会社による脱炭素への取り組みや、清水建設株式会社によるICT活用事例は、創意工夫や新技術導入の好例です。

工事成績評定で加点につながる建設業の事例について紹介します。

鹿島建設株式会社による脱炭素の事例

鹿島(社長:天野裕正)は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050 を見直し、CO2排出量削減の新たな目標を設定しました。具体的には、基準年を従来の2013年度から2021年度に見直した上で、2030年度の中間目標を自社排出(スコープ1・2)で40%削減とし、サプライチェーン排出(スコープ3)についても中間目標25%削減を設定しました。2050年度には自社排出およびサプライチェーン排出の双方でカーボンニュートラル(100%削減)を目指します。

当社では、自社開発した環境データ評価システム(edes)を2020年度から国内の全現場に導入し、工事中に発生するCO2排出量の実態把握に注力してきました。加えて2021年度からは、海外グループ会社を含むグループ全体のCO2排出量(スコープ1・2)の把握を開始しました。これを基に、2021年度実績を基準年として、2030年度、2050年度のグループ全体のCO2排出量を予測し、CO2排出量削減の新たな目標を設定しました。

自社での削減のほか、不足分はカーボン・オフセットを活用するなど、2050年カーボンニュートラルの達成を目指し諸施策に取り組んでいきます。

出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向け、サプライチェーン排出量削減を加速|2022.10.25|鹿島建設株式会社

清水建設株式会社によるICT活用事例

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下 KDDI総合研究所)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:博野 雅文、以下 KDDIスマートドローン)、清水建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:井上 和幸、以下 清水建設)は2024年8月6日、清水建設が建設中の北海道新幹線、渡島トンネル上二股工区(以下 渡島トンネル)において、Starlinkによるauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を活用し、トンネル建設現場からの3D点群データのリアルタイム伝送実証に成功しました(以下 本実証)。

本実証で検証した技術を活用することで、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を、遠隔からリアルタイムで確認できるため、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮することが可能になります。今後も人手がかかる作業のDXを目指し、実用化に向けた取り組みを進めていきます。

3D点群データは、映像と比較し、奥行き情報も含めて立体的な情報を取得できることから、測量用途など建設現場での活用が進んでいます。一方で、現場で測量した3D点群のデータ量は非常に多く、遠隔地と共有するためには3D点群データを保存した記録媒体そのものを事務所に持ち運んだり、膨大な時間をかけてクラウドに伝送したりする必要があるなど、即時共有が困難でした。

今回、渡島トンネル坑内外にSatellite Mobile Linkで構築したau通信エリア網を活用し(注1)、四足歩行ロボットやドローンに搭載したLiDAR 3Dスキャナーで撮影した3D点群データを、清水建設のイノベーション創出拠点「温故創新の森NOVARE(東京都江東区)」へ伝送する実証を行いました。四足歩行ロボットやドローンなどに搭載可能な小型コンピューター上でも動作する、KDDI総合研究所が開発した3D点群データのリアルタイムエンコーダー(注2)でデータを圧縮することで、伝送に必要な帯域を約1/20にすることを可能にしています。これにより、従来は遠隔での撮影からデータ確認まで数時間かかっていたものが、10秒以内まで大幅に短縮されます。

出典:Starlink活用によるトンネル建設現場からの3D点群データのリアルタイム伝送に成功|2024.9.2|清水建設株式会社

まとめ

入札加点

本記事では、総合評価落札方式における入札加点の対象となる工事成績評定の重要性と、高得点を獲得するための具体的なポイントについて解説しました。

総合評価落札方式では、価格だけでなく技術力も評価されるため、工事成績評定が入札時の重要な判断材料です。特に80点以上の高評価を獲得すれば優良事業者として認定され、その後の受注機会が大きく広がります。

継続的に優れた工事成績評定を維持することが、建設業における競争力強化と持続的な事業成長につながります。公共工事の受注拡大を目指す建設企業の方は参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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