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GHG排出量とは?計算方法や対象となる温室効果ガス一覧を解説!

GHG排出量とは?計算方法や対象となる温室効果ガス一覧を解説!

脱炭素社会の実現に向けて、企業によるGHG排出量の管理がますます重要になっています。建設業界でも重機の稼働や資材調達など多様な工程でGHGが発生するため、正確な測定と削減対策が求められているのが現状です。

本記事ではGHG排出量の基本概念や計算方法、Scope1から4までの分類基準、企業が取り組むメリットについて解説しています。また、鹿島建設や清水建設など先進事例も紹介していますので、環境負荷低減に取り組む建設業の方は参照してみてください。

GHG排出量とは

ghg排出量

GHG排出量は、事業活動が気候変動に与える影響を定量化する重要な指標です。GHGは温室効果ガスを指し、CO2だけでなくメタンやフロンガスなども含まれるため、CO2排出量とは測定範囲が異なります。

また、国際的な脱炭素の流れや法規制の強化により、GHG排出量の計算が企業に求められているのが現状です。GHGの基本概念からCO2排出量との違い、計算が必要となる背景について解説します。

GHGは温室効果ガス

GHG排出量を理解するには、まずGHGが温室効果ガスを意味する環境用語であることを知る必要があります。GHGとはGreenhouse Gasの略称で、地球温暖化の主要な原因物質として世界的に問題視されています。

GHGの特徴は、地表から放射される熱を宇宙空間へ逃がさず、大気中に吸収して留める働きです。大気に留める性質により、地球全体の気温上昇が進行し、気候変動による自然災害や生態系への影響が深刻化します。

建設業界においても、工事現場での重機稼働や建材製造過程でGHGが排出されるため、環境負荷の低減が重要な課題です。GHG排出量の正確な把握と削減対策は、持続可能な社会実現に向けた企業の責務といえます。

GHG排出量とCO2排出量の違い

GHG排出量とCO2排出量は同義ではなく、測定対象となるガスの範囲に違いがあります。CO2排出量が二酸化炭素のみを対象とするのに対し、GHG排出量はより包括的な概念です。

GHG排出量は二酸化炭素に加えて、メタン、一酸化二窒素、さらに代替フロン類など複数の温室効果ガスを含みます。温室効果の強さがそれぞれ異なるため、GHG排出量の算出では各ガスをCO2換算値に統一して合計します。

CO2への換算により、異なる種類のガスによる環境影響を統一的な指標で比較評価できることが特徴です。企業が自社の気候変動への影響を正確に把握するには、CO2だけでなくGHG排出量全体を測定することが欠かせません。

GHG排出量の計算が必要となる背景

GHG排出量の計算が企業に求められるようになった背景には、国際的な気候変動対策の枠組みと国内法規制の整備があります。1997年に京都議定書が採択されたことを受け、日本では翌年に地球温暖化対策推進法(温対法)が制定されました。

温対法では、地球温暖化が人為的なGHG排出に起因すると明確に位置づけられています。さらに2021年3月の法改正により、企業によるGHG排出量の算定・報告・公表が電子システムを通じて義務化され、透明性と効率性が大幅に向上しました。

GHG排出量の正確な計算は、法令遵守と企業の社会的責任を果たすための基盤となっているのが現状です。

出典:e-GOV/地球温暖化対策の推進に関する法律

GHG排出量の計算方法

GHG排出量の正確な計算には、体系的な手法と適切な範囲設定が不可欠です。基本的な計算式に加えて、排出源をScope1から3に分類する国際基準が確立されており、近年ではScope4の新たな概念も登場しています。

GHG排出量計算の基本から、各Scopeの定義、そして新基準のScope4について解説します。

GHG排出量計算の基本

GHG排出量を正確に算定するには、体系的なプロセスに沿った計算が求められます。計算の第1段階は排出源の特定で、企業活動のどの工程や設備が温室効果ガスを発生させているかを明らかにしなければなりません。

次に、特定した排出源ごとに活動量データを収集します。活動量データは、燃料使用量や電力消費量など実測値を指します。収集した各活動量データに対応する排出係数を乗じて個別の排出量を求め、合算することでGHG排出量全体の算出が可能です。排出係数とは、活動量の単位あたりに発生するGHG量を示す数値です。

一連の計算手法により、企業は自社の環境負荷を定量的に把握でき、削減目標の設定や対策の優先順位付けが可能です。

GHG排出量計算の範囲(Scope1、Scope2、Scope3)

GHG排出量の計算では、企業活動の影響範囲を正確に捉えるため、国際基準であるGHGプロトコルに基づく範囲設定が重要です。GHGプロトコルに基づく基準では、自社の直接的な排出だけでなく、サプライチェーン全体における間接的な排出まで包括的に評価します。

具体的には、排出源をScope1、Scope2、Scope3の3つに区分して管理します。Scopeそれぞれの定義は次の通りです。

Scope 内容
Scope1(スコープ1) 事業者自らの温室効果ガスの排出量
Scope2(スコープ2) 他社から供給されたエネルギー使用に伴う排出量
Scope3(スコープ3) Scope1・2以外の間接排出量

建設業界では、現場での重機稼働がScope1、事務所の電力使用がScope2、資材調達や廃棄物処理がScope3に該当します。

出典:環境省/サプライチェーン排出量の算定と削減に向けて

新基準のScope4

GHG排出量の測定において、従来のScope1から3では捉えきれない企業貢献を評価するため、Scope4の新たな概念が登場しています。Scope4の基準は排出量ではなく、企業が製品やサービスを通じて社会全体のGHG削減に貢献した量を示す点が特徴です。

Scope4が注目される要因は、例えば、エネルギー効率に優れた製品を開発する過程で、新技術の研究開発や製造設備の導入により、自社のScope1から3の排出量が一時的に増加してしまうケースが生じるためです。一方で、製品が市場で使用されることで、社会全体では大幅な排出削減が実現します。

Scope4は正式な報告区分ではありませんが、間接的な貢献を定量化することで、企業の真の環境価値を適切に評価する指標として期待されています。

GHG排出量を計算するメリット

ghg排出量

GHG排出量の計算は法令遵守だけでなく、企業の競争力強化にも貢献します。排出量の定量的な把握により、長期的な経営戦略の策定が可能となり、企業のブランドイメージ向上や取引先との協働関係強化にもつながることがメリットです。

GHG排出量計算がもたらす具体的なメリットについて解説します。

長期的な戦略策定

GHG排出量の計算は、企業が持続可能な成長を実現するための戦略的基盤となる要素です。サプライチェーン全体における排出量を定量的に可視化することで、どの工程や活動が最も環境負荷が高いかが明確になり、削減対策の優先順位を科学的根拠に基づいて決定できます。

建設業界では、資材調達から施工、竣工後の維持管理まで幅広い工程があるため、各段階の排出量を把握することで効果的な改善ポイントが特定できます。数値データは、環境負荷を低減しながら事業を成長させる道筋を示し、中長期的な経営戦略の策定に不可欠な情報です。

また、削減目標の設定や進捗管理も客観的に行えるため、PDCAサイクルを回しながら継続的な改善が可能です。

ブランドイメージの向上

GHG排出量の計算と削減への取り組みは、企業のブランド価値を高める要素にもなり得ます。SDGsやESG経営が重視される現代において、自社の利益だけでなく環境問題に真摯に向き合う企業は、社会的に信頼できる存在として認識されることがメリットです。

特に、年間のCO2削減量など具体的な数値で環境貢献を示すことは、顧客や投資家の関心を集め、市場における競争優位性を確立します。また、近年は財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスといった非財務情報の重要性も急速に高まっています。

環境配慮型の施工技術や省エネ建材の採用実績を定量的に示すことで、発注者からの評価向上につながることもメリットの1つです。GHG排出量への積極的な対策は、短期的な企業イメージの改善にとどまらず、長期的な企業価値の向上と持続的成長を実現する重要な経営戦略といえます。

サプライヤーとの協働

GHG排出量の計算は、サプライチェーン全体での環境対策を推進します。排出量データの客観的な数値を共有することで、取引先との建設的な協議が可能になり、具体的な削減策について深い議論ができることがメリットです。

どの工程で排出が集中しているかを明確にすれば、サプライヤーと協力して製造方法の見直しや輸送効率の改善など実効性の高い対策を講じられます。協働の取り組みは、単独では達成困難な大幅なGHG削減を実現する可能性を生み出します。

さらに、サプライチェーン全体で脱炭素に取り組む企業姿勢は、ステークホルダーや消費者に対する強力なアピールポイントです。GHG排出量の透明性ある管理は、取引先との信頼関係を深め、企業価値を高める戦略的な意義を持ちます。

GHG排出量削減対象となる温室効果ガス一覧

GHG排出量の削減対象となる温室効果ガスは複数存在し、それぞれ算定対象となる条件が異なります。GHG排出量削減対象となる温室効果ガス一覧は次の通りです。

温室効果ガス 化学式
二酸化炭素 CO2
メタン CH4
一酸化二窒素 N2O
ハイドロフルオロカーボン類 HFC
パーフルオロカーボン類 PFC
六ふっ化硫黄 SF6
三ふっ化硫黄 NF3

最も代表的なのがエネルギー起源二酸化炭素で、化石燃料の燃焼により発生するCO2を指します。建設業界では重機の稼働や暖房設備の使用が該当し、排出量全体の大部分を占めるため最優先の削減対象です。

一方、メタンは天然ガスの漏洩や廃棄物の分解過程で発生し、CO2の約28倍もの温室効果を持つため少量でも環境への影響が大きいガスです。各ガスは温室効果の強さや発生源が異なるため、企業は自社の事業特性に応じて適切な測定と管理を行う必要があります。

出典:環境省/温室効果ガス排出量及び吸収量等の算定と報告

GHG排出量に関する建設業界事例

建設業界では、GHG排出量削減に向けた先進的な取り組みが進んでいます。各企業は、それぞれ独自の戦略と技術で脱炭素を推進しているのが現状です。各社の具体的な削減目標や施策について紹介します。

鹿島建設株式会社

NEDO※1のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクト(以下、本事業)の一環として、鹿島建設株式会社(社長:天野裕正 以下、鹿島)は、デンカ株式会社、株式会社竹中工務店とともに、本事業を実施するコンソーシアムであるCUCO(クーコ)の幹事会社として、コンクリートの製造過程で排出される二酸化炭素(CO2)の排出量が実質ゼロ以下となるカーボンネガティブコンクリート※2の開発を進めています。

今般、鹿島は、技術研究所(東京都調布市)の隣接敷地において、鹿島保有の「KTドーム®」技術を活用し、躯体部分に低炭素型コンクリート「ECMコンクリート®※3」とカーボンネガティブコンクリート「CUCO-SUICOMショット」を活用した「CUCO-SUICOMドーム」の試験施工を完了しました。試験施工では、これら両コンクリート材料の吹き付け、ならびに「CUCO-SUICOMショット」の炭酸化養生※4を現場で行いました。KTドームの技術に両材料を用い、これらの工法で構築した環境配慮型コンクリートドームは世界で初めてです。これにより、従来の吹付けコンクリートと比較して、CO2排出量を70%削減することに成功しました。

この実績を踏まえ、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の会場に、本試験施工のものと同規模のCUCO-SUIICOMドームを本事業の一環として建設する予定です。

今後、NEDOとCUCOは、カーボンネガティブコンクリートや低炭素型コンクリートを活用した環境配慮型コンクリート構造物の建設技術の確立ならびに社会実装を実現することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

※1 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

※2 製造時のCO2排出量よりも、CO2削減・固定・吸収量の方が多いコンクリート

※3 ECMセメントを使用したNEDOプロジェクトにおいて1大学7社が共同開発したコンクリート

※4 高濃度のCO2環境でコンクリートを養生し、CO2を安定な形で吸収・固定する方法

出典:CO2排出量を70%削減した「CUCO®-SUICOMドーム」の試験施工を完了|2024.3.13|鹿島建設株式会社

清水建設株式会社

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、2050年のカーボンニュートラルに備え、大量にエネルギー消費する生産施設の環境性能をCO2排出量の観点から数値評価する独自の環境指標「F-CaS(エフキャス:Factory Carbon Score)」を制定しました。F-CaSの特徴は、従来のZEB認証評価の対象外になっていた生産エリアまで踏み込み、空調、照明、生産ユーティリティ、生産装置など各生産設備のエネルギー消費量からCO2排出量を求め、施設全体の環境性能をF-CaS値としてスコア化することです。

ZEB認証による建物の環境性能の評価が一般化する中、CO2排出量が異なる化石電源(SCOPE1)と非化石電源(SCOPE2)を区別なく一次エネルギーとして評価していること、生産施設においては大量のエネルギー消費を伴う生産エリアを対象外にしていることが課題となっています。2030年度をターゲットにする「第6次エネルギー基本計画」は、一次エネルギーに占めるSCOPE2の比率倍増によりCO2排出量の大幅削減を目指しており、その趣旨に照らしても評価方法の見直しが求められています。

こうした課題を踏まえ、今後、当社は生産施設の計画に際し、生産設備に使用する熱源、例えば電気・ガス・油などの使用量まで積算しSCOPE比率を明確にしたうえで施設全体のCO2排出量を求め、F-CaS値により施設計画の環境性能を評価します。F-CaS値とは、計画中の施設のCO2排出量とベンチマークを比較した値(新たな施設計画のCO2排出量/ベンチマークのCO2排出量)です。ベンチマークは、既存施設のエネルギーの使用実績、あるいは生産施設の一般的な仕様に基づき設定します。F-CaS値のレンジは0~1で、例えば、お客様がCO2排出量50%削減を目標に掲げている場合、F-CaS値0.5が最低限の目標値になります。

出典:大量のエネルギー消費を伴う生産施設のCO2排出量を見える化|2023.8.30|清水建設株式会社

株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、竹中グループCO2削減長期目標を達成するため、建設現場における建設機械のCO2排出量の自動モニタリングを開始しました。

CO2排出量の自動モニタリングは、当社と株式会社アルモ(社長:河田宣人)が共同開発した建設機械の稼働・停止を自動検知するIoTデバイス「どんだけ」と、当社とユアサ商事株式会社(社長:⽥村博之)が2023年1月に共同開発した「CO2排出量モニタリングシステム」を連携することで実現しました。

当社では、2023年2月1日以降着工した全新築工事に「CO2排出量モニタリングシステム」を導入しています。今後、機械保有会社、レンタル会社と「どんだけ」の運用体制を整備することで、建設現場への導入を推進し、「CO2排出量モニタリングシステム」との連携により、CO2排出量を自動モニタリングする適用範囲の拡大を図ります。

当社の建設現場から排出されるCO2のうち、スコープ1(重機などの稼働に使う軽油由来)が約75%、スコープ2(場内照明や仮設事務所などに使う電力由来)が約25%です。CO2削減長期目標の第一目標である2030年に、スコープ1+2の2019年比46.2%削減の達成に向け、本システム導入によって建設現場におけるCO2削減策の効果と検証、全社での状況の把握により、効果的な削減策の抽出・水平展開を図り、CO2排出量の目標管理をきめ細かく行います。

今後も、竹中グループCO2削減長期目標を達成すべく、工事で用いられるエネルギーのグリーン化をはじめ、さまざまな取り組みを推進し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

出典:建設現場における建設機械のCO2排出量自動モニタリングを開始|2023.6.27|株式会社竹中工務店

まとめ

ghg排出量

本記事ではGHG排出量の基本概念から計算方法、企業が取り組むメリットまで幅広く解説しました。GHGは温室効果ガスの総称であり、CO2だけでなくメタンや代替フロン類など複数のガスを含む包括的な指標です。

計算にあたってはScope1から3に基づく排出源の特定と活動量データの収集が重要で、近年ではScope4の新基準も登場しています。建設業界では、重機稼働や資材調達、施工プロセス全体でGHGが発生するため、排出量の正確な把握が環境負荷低減の第一歩です。GHG排出量の削減に取り組む建設業の方は、参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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