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建設業にとってのリサイクル取り組みとは?メリットや方法、事例も解説!

建設業にとってのリサイクル取り組みとは?メリットや方法、事例も解説!

建設業界 では大量の廃棄物が発生するため、適切なリサイクルへの取り組みが必要です。環境保全への貢献だけでなく、建材高騰への対応やコスト削減など、事業運営上のメリットも数多くあります。

本記事では、建設業におけるリサイクル取り組みの現状と課題、推進することで得られるメリット、現場での具体的な実践方法を解説します。また大手建設会社の先進的な取り組み事例も解説していますので、持続可能な建設業の実現を目指す方は参照してみてください。

建設業にとってのリサイクル取り組みとは

リサイクル 取り組み

建設業界では大量の廃棄物が発生するため、適切なリサイクル体制の整備が不可欠です。建設リサイクル法により、解体工事で発生する特定の建設資材については再資源化が義務付けられており、法令遵守は企業経営の基本要件です。

同時に、環境保全への積極的な取り組みは企業の社会的責任の観点からも欠かせません。建設業におけるリサイクルの重要性と実際の取り組みについて解説します。

建設リサイクル法とは

建設リサイクル法は、工事現場で発生する廃材の適正処理と再資源化を促進するために制定された法律です。正式名称を「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といい、2000年に制定され2002年5月30日から施行されています。建設リサイクル法により、建設業界全体で統一的なリサイクル体制が構築されることになりました。

特定の建築資材を使用する一定規模以上の工事を対象として、資材ごとの分別解体と再資源化が義務付けられています。対象となるのは新築工事だけでなく、増築や改修、解体工事も含まれるため、幅広い建設活動が規制の対象です。

事業者は工事着手前に適切な計画を立案し、指定された建設資材については確実に再利用できる処理を行わなければなりません。

出典:国土交通省/建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)の概要

企業の社会的責任「CSR」

建設業界においてリサイクルを推進する背景には、企業の社会的責任「CSR(Corporate Social Responsibility)」があります。CSRとは、企業が事業活動を通じて社会的公正や環境保全、次世代への配慮などに取り組み、従業員や株主、地域社会など利害関係者に対して責任ある行動を示す考え方です。単に利益を追求するだけでなく、活動内容を透明に説明する責任も含まれています。

近年、気候変動の深刻化や環境保護の必要性が高まる中、企業には法規制への対応だけでなく自主的な環境配慮が求められています。建設業においても、大量の資源を消費し廃棄物を排出する産業特性から、リサイクルへの積極的な取り組みは避けられません。

建設業にリサイクル取り組みが求められる背景

建設業界では環境負荷の低減と資源の有効活用が重要な経営課題です。大量の廃棄物を排出する産業特性から、適切なリサイクル体制の構築は社会的責任として欠かせません。

建設業におけるリサイクル取り組みの現状と課題を把握し、建設廃棄物のリサイクル率を確認すれば、業界全体の進捗状況を理解できます。建設業にリサイクル取り組みが求められる背景について解説します。

建設業におけるリサイクル取り組みの現状と課題

建設業界のリサイクルは、素材によって進捗の差が見られます。国土交通省が5年ごとに実施する建設副産物実態調査によれば、コンクリートや金属など単一素材の建材は高い再資源化率を達成しています。特に公共工事では建設リサイクル法に基づく管理体制が整備され、計画的な資源循環が実現できているのが現状です。

一方で、木材や異なる素材が組み合わさった混合廃棄物については、分別に多大な労力と費用を要するため、リサイクル率が低迷している状況です。課題を解決するには、廃材処理コストを削減できる革新的な技術の導入が欠かせません。

加えて、工事現場における分別ルールの徹底と作業員への教育強化により、排出段階から適切な処理を行う体制づくりが重要です。

出典:国土交通省/平成30年度建設副産物実態調査結果(確定値)概要

建設廃棄物のリサイクル率

建設業界は極めて高い資源循環率を実現しています。国土交通省が実施する建設副産物実態調査の確定値では、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率が約97.2%に達しているのが現状です。高水準な数値は、業界全体で環境負荷低減に真摯に取り組んできた成果といえます。

特に注目すべきは、工事現場から大量に発生するアスファルト・コンクリート塊とコンクリート塊です。主要廃棄物は99%以上と極めて高い再資源化率を維持しており、ほぼ完全な循環システムが構築されています。

排出される廃材の大部分が適切に再利用されることで、天然資源の消費抑制と環境保全が両立していることが特徴です。リサイクルの取り組みは、持続可能な建設業を支える重要な基盤として機能しています。

出典:国土交通省/平成30年度建設副産物実態調査結果(確定値)概要

建設業がリサイクル取り組みを推進するメリット

リサイクル 取り組み

建設業界のリサイクル取り組みは、法令遵守にとどまらず企業経営にさまざまなメリットをもたらします。廃棄物の適切な再資源化は環境問題への貢献として社会的評価を高め、企業イメージの向上につながります。

また、資源価格が上昇する中で建材の高騰・枯渇に対するソリューションとしても機能することもメリットの一つです。建設業がリサイクル取り組みを推進するメリットについて解説します。

環境問題への貢献

建設業界におけるリサイクルの取り組みは、地球環境保護において重要な役割を果たしています。廃材を適切に再資源化することは、限られた天然資源を効率的に活用でき、持続可能な産業活動の基盤となる活動です。

さらに、再生材を利用すれば新規製造時に必要となるエネルギー消費を削減できるため、CO2排出量の抑制にも直結します。

加えて、リサイクルの徹底により最終処分される廃棄物の総量が減少することも見逃せません。焼却処理ではCO2が発生し、埋め立て処分では貴重な土地が失われ土壌汚染のリスクも高まります。

環境負荷を最小限に抑えられることは、企業の社会的責任を果たす上で不可欠です。建設業のリサイクル取り組みは、単なるコスト管理ではなく環境保全への具体的な貢献として評価されています。

建材の高騰・枯渇に対するソリューション

リサイクルの取り組みは、建設業界が直面する資材調達リスクへの有効な対応策です。近年、新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワーク普及や各国の経済政策により、アメリカや中国で住宅建設需要が急激に増加しました。結果、世界規模で木材が不足するウッドショックが発生し、資材価格の高騰が深刻化しているのが現状です。

さらにロシアによるウクライナ侵攻も供給網の混乱を招き、建設業界に大きな打撃を与えています。このような状況下で、廃材の再資源化は新たな調達手段として重要性を増しています。

既存の建設廃棄物を適切に処理して再利用することで、海外からの輸入に過度に依存せず、安定的な資材確保が可能です。リサイクル取り組みの推進は価格変動への耐性を高め、持続可能な事業運営を実現する戦略的な選択肢となり得ます。

企業イメージの向上

リサイクルへの積極的な取り組みは、企業イメージの向上につながります。環境保全に配慮した事業活動を展開することで、消費者や取引先、投資家といった多様なステークホルダーから高い評価を得られることがメリットです。特に近年は環境問題への関心が高まっており、持続可能な経営姿勢を示す企業が選ばれる傾向が強まっています。

建設業界においても、適切な廃棄物処理と資源循環の実践は企業の信頼性を証明する指標です。透明性のあるリサイクル体制を構築し、成果を積極的に公表することで、顧客からの信頼獲得につながります。

結果として、新規案件の受注機会が増加し、優良な取引先との長期的な関係構築も可能です。

コスト削減

リサイクルの取り組みは、建設業の収益性向上に直結する経済的メリットをもたらします。廃材を適切に再資源化して活用することで、工事に必要な資源の投入量と消費量を大幅に削減できます。新規資材の購入費用が抑えられるだけでなく、廃棄物として処理する量も減少するため、処分費用の圧縮効果も期待できることがメリットの一つです。

さらに、世界情勢の不安定化により原材料価格が急騰する局面でも、再生資材を活用できる体制があれば調達コストの変動を抑制できます。リサイクルへの取り組みは短期的なコスト削減にとどまらず、持続可能な経営基盤の構築にとって欠かせない要素です。

建設現場でリサイクル取り組みをすすめる方法

建設現場で効果的なリサイクルへの取り組みを実現するには、計画段階からの綿密な準備と現場での徹底した管理が不可欠です。

次の要素を取り入れることがポイントです。

  • 分別計画図の作成
  • 視覚的な掲示物の設置
  • 定期的な管理状況の確認

まず工事計画の初期段階で発生が予想される廃棄物の種類を特定し、それぞれの分別方法と保管場所を明示した分別計画図を作成することが重要です。

次に、策定したルールを現場全体に浸透させる工夫が求められます。口頭での指示だけでは理解にばらつきが生じるため、イラストや写真を活用した視覚的な掲示物を設置する必要があります。「廃プラスチック類はココ」など具体的な表示により、作業員は直感的な判断が可能です。

さらに分別容器を適切に配置し、定期的な管理状況の確認も欠かせません。特に複数の素材が混在する混合廃棄物については、比重の違いやリサイクル適性を考慮して可能な限り分離排出する努力が必要です。

建設業のリサイクル取り組みに関する事例

建設業界では大手企業を中心に、独自性のある先進的なリサイクル施策が展開されています。建設業のリサイクル取り組みに関する事例について紹介します。

清水建設株式会社

当社は、環境負荷の少ない事業活動を環境基本方針として掲げ、これまで建設事業における環境汚染の防止を重要な管理項目とし、4R活動(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)を推進することで、省資源化や副産物の減量化・再資源化に取り組んできました。

2025年度に公表した資源循環のロードマップでは、2050年までに建設副産物の最終処分率0%を目指す「出口側」の目標に加え、新たな管理目標として「入口側の循環利用率」を掲げ、2030年に25%以上、2050年に50%以上という到達目標を設定しました。

この達成に向けた具体的な取り組みとして、再生材率を考慮した建材の調達や、将来のリユース・リサイクルを見据えた設計・施工を推進します。さらに、長期的には、天然資源投入量を最大限抑制した建設事例の創出など、少ない資源でより多くの価値を創出する「資源生産性」に着目した事業展開を通じて、持続可能な社会の実現と新たな事業価値の創出を目指していきます。

「4R活動」を計画・推進し、省資源化、副産物の減量化・再資源化に取り組んでいます。建設副産物発生量を予測し、効果的な削減計画を立案・実行するシステムも活用しています。

また、建設副産物適正処理eラーニングの実施や、工事長・工事主任を対象とした環境リスク管理教育の実施など、作業所における法令順守と建設副産物のより一層の発生抑制と再資源化に取り組んでいます。

これらの取り組みにより、環境への影響の軽減に寄与します。

出典:資源循環・環境汚染防止|清水建設株式会社

鹿島建設株式会社

資源循環ではこれまで、ゼロエミッション、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3Rを徹底することで最終的に廃棄物ゼロを目指していましたが、今後は、従来の3Rの取組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用して付加価値を生み出すサーキュラーエコノミーをめざします。

鹿島では、メーカーリサイクル(広域認定制度)の活用を推進しています。メーカー等が環境大臣の認定を受けて、自社製品である建材等の廃棄物(製品端材など)を回収し、リサイクルまで適正処理する制度のことで、同じ製品へのリサイクルが可能になることから、より質の高いリサイクルといえます。

たとえば石膏ボードの場合、鹿島の現場から回収され、メーカーの工場で紙と石膏粉に分離し、紙は段ボール等に、石膏粉は再び石膏ボードの原料へとリサイクルすることができます。このように廃棄物を元の資材に再生することを水平リサイクルといい、資源循環社会創出の鍵となる取組みです。

出典:資源循環|鹿島建設株式会社

株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)、巖本金属株式会社(社長:巖本 博)、岸和田製鋼株式会社(社長:鞠子 重孝)、共英製鋼株式会社(社長:廣冨 靖以)、東京製鐵株式会社(社長:奈良 暢明)は、竹中工務店が掲げる「サーキュラーデザインビルド」のコンセプトに基づき、5社が連携して、建築において電炉鋼材(鉄)を活用した鉄スクラップ循環サイクルの全体最適に向け始動します。

「サーキュラーデザインビルド」とは、サーキュラーエコノミーを実現するために竹中工務店が提唱している、建築物の設計及び施工段階でリユース・リサイクル建材の選択や、解体を考慮した設計手法検討などへとつなげる考え方と実践に関する取り組みを称するものです。

1.「サーキュラーデザインビルド」を実践すべく、鉄、非鉄金属その他スクラップの回収・加工を担う製鋼原料加工会社、電炉鉄鋼メーカー、ゼネコンによる協業体制を構築し、業界の垣根を超えた技術の開発、採用推進を図り、建築物の解体により発生する鉄スクラップを起点とした循環サイクルの最適化を推進していきます。

2.具体的には、解体プロジェクトから排出される鉄スクラップ等から電炉を利用した 製品の製造、新たなプロジェクトにおける設計・施工に至るまで、共通プラットフォームによる効果の可視化を実施し、トレーサビリティを確立することによって、鋼材の活用数量及びCO2排出量の全体最適化を推進していきます。

3.また、鉄スクラップ循環サイクルにおける脱炭素化も以下の取り組みを推進します。

①製鋼原料加工段階においては、加工・運搬時に使用するエネルギー及びCO2排出量の可視化と最小化

②製品製造段階においては、製品製造に使用するエネルギー及びCO2排出量の可視化と最小化

③設計段階においては、建築物を建築する際に使用する資材により発生するCO2の可視化と最小化

④施工段階においては、建築物を解体する際に使用するエネルギー及びCO2排出量の可視化と最小化

出典:業界の垣根を超えた「サーキュラーデザインビルド」を電炉鋼材から推進|2023.12.14|株式会社竹中工務店

まとめ

リサイクル 取り組み

本記事では、建設業における リサイクル取り組みの重要性と実践方法について解説しました。建設リサイクル法により特定建材の再資源化が義務付けられ、業界全体で約97%と高い再資源化率を達成しています。

リサイクルの推進は環境問題への貢献だけでなく、建材高騰への対応策やコスト削減、企業イメージの向上といった経営面でのメリットも生み出します。現場では工事計画段階からの分別計画策定や、視覚的な掲示物による周知徹底が効果的です。

ただし混合廃棄物の処理など課題も残されており、継続的な改善努力が求められます。持続可能な建設業を実現するためリサイクル取り組みの強化を検討している方は、参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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