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再生骨材とは?種類やメリット、建設業における事例を解説!

再生骨材とは?種類やメリット、建設業における事例を解説!

建設業界 では、環境負荷の低減とコスト削減を両立させる手段として、再生骨材の活用が注目されています。解体工事で発生するコンクリート廃材を有効活用することで、天然資源の保護と産業廃棄物の削減を実現できることがメリットです。

本記事では、再生骨材の基本的な定義や種類、普通骨材との違い、メリット・デメリットを解説します。また、大手建設会社における具体的な活用事例も紹介していますので、持続可能な建設事業を推進したい方や、循環型社会の形成に貢献したい建設関係者の方は参照してみてください。

再生骨材とは

再生骨材

再生骨材とは、建設工事で発生したコンクリート塊を破砕・処理して再利用した骨材です。骨材自体にはいくつかの種類があり、例えば普通骨材や再生砕石との品質基準や用途の違いなどを理解することで、適切な使用判断ができます。

ここでは、コンクリート塊を再利用した骨材の特徴、再生骨材と普通骨材の違い、再生砕石と再生骨材の違いについて解説します。

コンクリート塊を再利用した骨材

再生骨材は、建設現場や解体現場から排出されるコンクリート廃材を有効活用した資源循環型の材料です。解体工事などで発生したコンクリート塊には、木材や金属など異物が混入しているケースが一般的なため、まず不純物を丁寧に除去する工程が必要です。

その後、専用の破砕機で適切な粒度に粉砕することで、新しいコンクリートの原料として使用できる骨材へと生まれ変わります。再生骨材の活用により、天然骨材の採取量を削減できるだけでなく、産業廃棄物の埋立処分量も大幅に減少させられます。

環境負荷の低減と資源の有効利用を同時に実現できる再生骨材は、持続可能な建設業界において重要な役割を担う材料です。

出典:国土交通省/早期に取り組むべき具体の施策(案)

再生骨材と普通骨材の違い

普通骨材と再生骨材は、製造方法と品質の安定性において大きく異なります。骨材は絶乾比重によって分類されており、0.7~1.8の軽量骨材や3~5の重量骨材などの種類も存在します。普通骨材は、自然界の岩石が風化や浸食などの自然作用を受けて形成された砂や砂利、砕石などを指し、絶乾比重が2.4~2.6程度の範囲に収まるのが特徴です。

一方で再生骨材は、解体現場から回収されるコンクリート廃材を原料とするため、元のコンクリートの状態や破砕・加工の方法によって絶乾比重を始めとした品質にばらつきが生じやすい傾向があります。

普通骨材が自然のプロセスで均質化されているのに対し、再生骨材は人為的な処理工程に依存するため、品質管理がより重要です。

再生砕石と再生骨材の違い

再生砕石と再生骨材は、どちらも解体コンクリートを破砕したリサイクル材料ですが、品質基準と用途が明確に異なります。再生砕石と再生骨材の最も重要な違いは、元の天然骨材に付着するモルタルやセメントペーストの残存量です。

再生骨材は製造過程でモルタルやセメントペーストといった付着物を丁寧に除去する処理が施されているため、新しいコンクリートの原材料として十分な品質を担保できます。一方、再生砕石は付着物が多く残った状態であり、コンクリート用骨材としての品質基準を満たしません。

再生砕石は、道路の路盤材や建築物の基礎地盤材などの用途に限定されます。同じコンクリート廃材から作られる材料でも、加工の精度によって活用できる場面が大きく変わってくることが特徴です。適切な使い分けが、資源の有効活用と建設品質の担保につながります。

再生骨材の種類

再生骨材は、品質レベルに応じてM、L、Hの3つの区分に分類されており、それぞれ使用できる用途や求められる品質基準が異なります。適切な種類を選択することで、安全性とコストのバランスを最適化できます。

ここでは、再生骨材M、再生骨材L、再生骨材Hについて解説します。

出典:東京都環境局/再生骨材コンクリート利用工事事例集

再生骨材M

再生骨材Mは、コンクリート廃材を中程度の処理によって製造した中間品質の骨材です。破砕や磨砕といった加工を施しますが、高度な処理は行わないため骨材表面にモルタルやセメントペーストが比較的多く残存している特徴があります。

この品質レベルから使用箇所は限定的となり、主に乾燥収縮の影響を受けにくい基礎梁や、凍結融解作用の心配が少ない地中の杭などが対象です。再生骨材Mはさらに粒径によって細骨材と粗骨材の2種類に区分され、それぞれの用途に応じて使い分けが可能です。

製造方法は再生骨材Lに近いプロセスを採用していますが、処理工程の簡略化によってコストを抑えつつ、一定の品質を担保しています。構造物の部位特性を考慮した適切な選定が、経済性と安全性の両立につながります。

再生骨材L

再生骨材Lは、破砕処理のみで製造される最も経済的な再生骨材で、構造的な強度や耐久性をあまり必要としない部位での使用に適しています。簡易的な加工方法のため製造コストが低く抑えられる一方、品質面では他の再生骨材と比べて制約があるため注意が必要です。

基礎工事の際に使用する捨てコンクリートや、地盤を平らに整えるならしコンクリート、さらには建物背面の裏込コンクリートや土間コンクリートなど、高い強度を求められない用途が中心です。

捨てコンクリートやならしコンクリートは、構造体そのものではなく補助的な役割を果たす部分であるため、再生骨材Lの品質レベルでも十分に機能を発揮できます。コスト削減と環境配慮を両立させたい工事において、適材適所での活用が重要です。

再生骨材H

再生骨材Hは、再生骨材の中で最高品質を誇る骨材であり、鉄筋コンクリート建造物など構造体にも使用できる高い性能を備えています。製造工程では、破砕や分級などの基本処理に加えて、加熱すりもみなどの高度な処理技術が採用されており、骨材表面に付着したモルタルやセメントペーストを徹底的に除去することで、普通骨材に近い品質を実現していることが特徴です。

結果、強度と耐久性において優れた特性を発揮し、通常のコンクリートとほぼ同等の用途での活用が可能です。一方で、高度な処理工程を経るため製造コストが高くなる点が課題となっており、経済性の面で採用が限定される傾向があります。

環境負荷の低減と建設品質の担保を両立させたい場合に、再生骨材Hは有力な選択肢の一つです。

再生骨材のメリット

再生骨材

再生骨材の活用は、建設業界における経済性と環境配慮の両面で大きなメリットをもたらします。天然資源の採取抑制や廃棄物処理の負担軽減など、持続可能な社会の実現に貢献できる手法です。

ここでは、コスト削減、環境保全、産業廃棄物の削減について解説します。

コスト削減

再生骨材を活用することで、建設工事全体のコストを効果的に削減できます。最大のメリットは、M・L・Hの品質区分を使い分けられる柔軟性にあります。

次のような使い分けが可能です。

再生骨材の種類 使い分け
再生骨材H 構造体として高い強度が必要な部位
再生骨材M 基礎梁や杭などの中間的な箇所
再生骨材L 捨てコンクリートや土間など強度をあまり必要としない部分

すべての箇所に通常のコンクリートを使用する従来の方法と比べると、必要な品質レベルに応じた材料選定によって、無駄なコストを省けます。特に大規模な建設プロジェクトでは、使い分けによる経済効果が顕著に現れます。品質レベルに応じた再生骨材の適材適所での使用の判断が、品質を担保しながら予算の最適化を実現するポイントです。

環境保全

再生骨材の利用は、自然環境の保護と循環型社会の構築に貢献します。通常の骨材は山林から採取されるため、天然資源の枯渇や森林破壊など深刻な環境問題を引き起こしますが、再生骨材はコンクリート廃材を原料とするため、自然への負荷を回避できます。

さらに、建設廃棄物の発生量そのものを削減することで、最終処分場の容量が不足している社会的課題にも対応可能です。処分場の逼迫は不法投棄を誘発する要因となるため、再生骨材による廃棄物減量化は環境犯罪の抑止にもつながります。

資源の採取から廃棄までのライフサイクル全体において環境負荷を低減できる再生骨材は、持続可能な建設業界の実現に欠かせない材料として、循環型社会の形成を強力に推進する役割を担っています。

産業廃棄物の削減

再生骨材の活用は、産業廃棄物削減につながります。建設・解体工事から発生するコンクリート廃材は、そのまま処分すれば膨大な量の産業廃棄物となり、限られた国土面積しか持たない日本では深刻な問題となりかねません。

埋立地の担保が困難な状況において、廃棄物を増やし続けることは現実的に困難です。このような背景から、日本では再生骨材の製造技術と活用体制が積極的に整備されてきました。

結果、現在ではコンクリート廃材のおよそ99%がリサイクルされており、世界的に見ても非常に高い再利用率を達成しています。リサイクルの取り組みにより、最終処分場への負担を軽減しながら、資源の有効活用を実現できています。限られた国土を有効に使うための知恵として、再生骨材の普及は日本の建設業界における重要な戦略の一つです。

出典:環境省/令和3年度建設廃棄物の再資源化に関する調査・検討業務

再生骨材のデメリット

再生骨材には品質の安定性や製造技術において、いくつかの課題が残されています。最も大きな問題は、骨材表面に付着するモルタル分が多いことで吸水率が高くなり、コンクリートの性能に影響を与える可能性がある点です。

また、廃材に混入した釘や金属片などの異物を完全に除去することが難しく、品質のばらつきが生じやすい傾向があります。高品質な再生骨材を安定的に製造するためには、高度な処理技術と設備投資が必要となり、コスト面での負担も無視できません。

一方で、高度経済成長期に建設された建造物の老朽化が進む日本では、今後さらに解体工事が増加し、コンクリート廃材の発生量は飛躍的に増大することが予測されます。再生骨材の需給バランスを考えると、品質担保とコスト削減を両立させる技術革新が、建設業界にとって喫緊の課題です。

建設業における再生骨材の活用事例

再生骨材は、大手建設会社を中心に実際のプロジェクトで採用されており、環境配慮と品質担保を両立させた施工実績が蓄積されています。

ここでは、株式会社大林組、株式会社奥村組について紹介します。

株式会社大林組

吹付けコンクリートは、圧縮空気を用いて地山にコンクリートを吹き付けるため、リバウンドが多く発生する。リバウンドを低減するにはコンクリートの粘性を増加させ,

材料分離抵抗性を高めるのが効果的であり、細骨材の一部に石灰石微粉末やフライアッシュを混入し、リバウンドを低減する事例も報告されている。そこで,再生微粉を

細骨材の一部に適用した場合のリバウンド低減効果について検討した。

再生微粉を混入した場合には、落下フロー40cm以上の試料の割合が減少しており、その低減割合は石灰石微粉末やフライアッシュを等量混入した場合と同程度である。比較用コンクリート 再生微粉100kg/m3混入コンクリートPhoto 1 分離抵抗性試験状況以上の結果は、再生微粉が吹付けコンクリートのリバウンド低減策として十分に活用できることを示すものと考えられる。

出典:再生骨材コンクリートの品質および再生微粉の有効活用に関する研究|株式会社大林組

株式会社奥村組

株式会社奥村組は、アサノコンクリート株式会社浮間工場、関東宇部コンクリート工業株式会社神奈川工場、城北小野田レミコン株式会社、宮松エスオーシー株式会社川崎工場の4社とそれぞれ共同で、場所打ち杭を適用範囲とした「再生骨材コンクリート」について、このほど国土交通大臣認定を取得しました。これにより東京23 区、横浜市、川崎市、埼玉県南部を中心とした首都圏広域で「再生骨材コンクリート」の製造・供給が可能となりました。

再生骨材は廃コンクリートを破砕・分級して製造しますが、製造過程で骨材に付着しているモルタルをどの程度取り除くかによって再生骨材の品質(密度、吸水率)が異なり、H、M、Lにクラス分けされています。再生骨材Hは、加熱擦りもみ等の高度処理が施されて付着モルタル分がほとんどない骨材です。一方、再生骨材Lは破砕・分級しただけで付着モルタルの除去は行っていません。再生骨材Mはある程度付着モルタルを除去したもので、両者の中間の品質になります。再生骨材はその品質によって適用できる部位が決められています。再生骨材Hは建物のどの部位にも適用できますが、製造手間がかかりコストが高いことが普及のネックになっています。今回実用化した再生骨材コンクリートには再生骨材Mを使用しており、再生骨材Hに比べて手間がかからず多量に製造できるため、よりリサイクルしやすい再生骨材コンクリートです。

出典:Mクラス再生骨材コンクリートの国土交通大臣認定を取得~首都圏広域で再生骨材コンクリートの供給体制を構築~|株式会社奥村組

まとめ

再生骨材

本記事では、再生骨材の基本的な特徴から種類、メリット・デメリットまで幅広く解説しました。再生骨材は解体コンクリートを破砕・処理した環境配慮型の材料で、品質レベルに応じてH・M・Lの3種類に区分されます。

適用箇所に合わせた使い分けにより建設コストを削減でき、天然資源の保護や産業廃棄物の削減にも貢献します。現在、日本ではコンクリート廃材の約99%が再利用されており、循環型社会の実現に向けた重要な取り組みとなっている状況です。

一方で、品質の安定性や製造コストの課題も残されており、今後の技術革新が期待されます。建設業界では 老朽化した建造物の解体が増加する中、再生骨材の活用は環境負荷低減と経済性を両立させる有効な手段です。持続可能な建設事業を目指す方は参照してみてください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

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