環境配慮が企業経営の重要課題となる中、グリーン調達への注目が高まっています。建設業界でも、環境負荷の低い資材選定やサプライヤーとの連携強化が求められる ようになりました。
本記事では、グリーン調達の定義や必要性、取り組むメリット、サプライヤーの選定基準について解説します。また、ISO14001やエコアクション21といった活用できる規格も解説していますので、持続可能な建設事業を推進し、環境配慮型のサプライチェーンを構築したいとお考えの方は参照してみてください。
目次
グリーン調達とは

グリーン調達は、企業が環境負荷の低い製品や材料を優先的に調達する取り組みです。近年、サプライチェーン全体での環境配慮が求められる中、その定義や必要性を正しく理解することが求められています。
また、サプライヤーにとっての意義や、グリーン購入・CSR調達との違いを把握することで、より効果的な調達活動が可能です。ここでは、グリーン調達の基本的な考え方について解説します。
グリーン調達の定義
グリーン調達は、建設業にとって脱炭素社会の実現に向けて取り組むべき重要な手段です。グリーン調達は、事業活動で使用する原材料や部品、サービスを選定する際に、環境への影響を重視して調達先を決定する取り組みを指します。
グリーン調達ガイドラインでは次のように定義されています。
グリーン調達は、納入先企業が、サプライヤーから環境負荷の少ない製商品・サービスや環境配慮等に積極的に取り組んでいる企業から優先的に調達するものです。このグリーン調達は、納入先企業の環境配慮の取り組み方針や事業戦略に沿って実施されます。
製造段階でCO2排出量が少ない原材料の選択、環境配慮型の生産体制を整えたサプライヤーとの取引、再生可能な梱包材の採用、環境負荷の低い物流手段の活用など、調達プロセス全体において環境性能を判断基準とします。
自社だけでなくサプライチェーン全体での環境負荷削減が可能となり、持続可能な事業運営の基盤を構築できます。
グリーン調達の必要性
環境意識の高まりや法規制の強化により、企業は調達段階から環境配慮を実践することが求められています。このため、グリーン調達は現代のビジネス環境において、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
グリーン調達が必要とされる理由は、環境性能の高い製品を市場に提供することで新たなビジネスチャンスを獲得できるためです。消費者や取引先が環境配慮型製品を選好する傾向が強まる中、グリーン調達は製品の付加価値を高め、販路拡大につながります。
また、化学物質規制をはじめとする環境関連法令への適切な対応もグリーン調達が求められる理由の一つです。サプライチェーン全体で法令遵守を徹底することで、罰則や取引停止といったリスクを回避できます。
サプライヤーにとってのグリーン調達
サプライヤーが環境配慮型の製品や材料を提供し、取引先の環境戦略に積極的に応えることで、強固な信頼関係が築かれます。サプライヤーにとってのグリーン調達は、長期的な取引継続や新規受注の獲得といったビジネスチャンスにつなげられます。
また、環境規制への先行対応により、法令違反や取引中断などのリスクを未然に防げます。納入先企業の環境要求を理解し、それに応える姿勢は、持続可能なパートナーシップの基盤となる考え方です。
グリーン購入やCSR調達との違い
グリーン調達は、類似する概念と明確に区別して理解する必要があります。混同されやすい用語ですが、取り組む主体や対象範囲が異なるため、それぞれの特性を把握することが重要です。それぞれの違いは次の通りです。
| 概念 | 特徴 |
| グリーン調達 | 企業や生産者が事業活動において環境負荷の低い原材料や部品を選定 |
| グリーン購入 | 消費者が日常的に環境配慮型製品を選択 |
| CSR調達 | 人権尊重や法令遵守など、企業の社会的責任全般を調達基準に組み込む手法 |
まず、グリーン購入との違いは実施主体にあります。グリーン購入は消費者が日常的に環境配慮型製品を選択する行為を指すのに対し、グリーン調達は企業や生産者が事業活動において環境負荷の低い原材料や部品を選定する取り組みです。
一方、CSR調達はより広範な概念で、環境だけでなく人権尊重や法令遵守など、企業の社会的責任全般を調達基準に組み込む手法です。グリーン調達は環境面に焦点を絞った活動であるため、CSR調達の一部として位置づけられます。
グリーン調達におけるサプライヤーの選定基準
グリーン調達を実効性のあるものにするには、適切なサプライヤー選定基準の設定が不可欠です。環境配慮の取り組みを客観的に評価できる指標を用いることで、信頼性の高い調達先を見極められます。主な選定基準として次の要素が挙げられます。
- 環境管理体制
- 原材料の調達先とプロセス
- 廃棄物管理
ISO14001などの環境マネジメントシステム認証の取得は、組織的な環境対応能力を示す重要な指標です。また、原材料の調達プロセスの透明性も重視されます。森林破壊や生態系への悪影響がない資源を使用し、トレーサビリティが担保されているかが判断材料です。
さらに、リサイクル可能な素材の積極活用や廃棄物削減への具体的な取り組みが求められます。
グリーン調達に取り組むメリット

グリーン調達の実践は、企業にさまざまな利益をもたらします。なぜなら、環境へ配慮する社会的要請に応えるだけでなく、経営面でも具体的な成果が期待できるためです。
企業価値の向上、事業拡大の機会創出、法規制変更への柔軟な対応などの観点から、グリーン調達がもたらすメリットについて解説します。
企業価値の向上
グリーン調達への取り組みは、企業のブランド価値を高める効果があります。環境問題への真摯な姿勢が消費者や投資家から高く評価され、企業イメージの向上につながるためです。
実際に、環境配慮型の施策は市場で具体的な成果を生んでいます。海外の大手小売業では、廃棄されていた規格外の農産物をジュースに加工して販売したところ、来店客数が増加した事例があります。食品ロス削減に関心を持つ消費者の共感を得たことで、ブランドへの信頼が高まった事例です。
環境への取り組みは、SNSを通じて広く拡散される傾向があり、自然な形で企業や製品の認知度が向上します。グリーン調達は単なるコスト要因ではなく、ブランド価値を高め、顧客との信頼関係を構築する戦略的投資といえます。
事業拡大につながる
グリーン調達は、新たなビジネスチャンスを生み出す有力な手段の一つです。環境への取り組みが社会的信頼を獲得し、それが具体的な事業機会の拡大へと結びつきます。
近年、取引先選定においてグリーン調達の実施やISO認証の取得を重視する企業が増加しています。環境配慮の姿勢を明示することで、新規取引先の開拓や既存顧客との関係強化が可能です。また、サプライヤーとの協力関係が深まることで、環境性能を高めた新製品の共同開発やサービス提供の機会も生まれます。
取引先との密接な情報交換を通じて、製品の品質改善や環境負荷のさらなる削減が実現できます。
法規制変更への対応
グリーン調達は、企業のリスク管理体制を強化する重要な役割を果たします。環境関連の法規制が年々厳格化し、社会からの環境配慮への要請が高まる中、法令遵守を徹底することが経営の安定性を左右するのが現状です。
グリーン調達を通じて環境法規の最新動向を継続的に把握し、調達基準へ速やかに反映させることで、法令違反のリスクを低減できます。また、サプライチェーン全体で環境対応状況を管理することにより、取引先が抱える潜在的なリスクを早期に発見し、予防的な措置を講じることも可能です。
このように、環境法規の最新動向を把握することで罰則や取引停止など深刻な事態を回避できるだけでなく、法改正にも柔軟に対応できる体制が整います。グリーン調達は、変化する規制環境において企業の持続可能性を守る防御策の一つです。
グリーン調達に役立つ規格
グリーン調達を効果的に推進するには、客観的な評価基準となる第三者認証規格の活用が有効です。第三者認証規格は環境への取り組みを可視化し、サプライヤー選定の判断材料として機能します。
代表的な規格がISO14001で、環境マネジメントシステムの国際標準として広く認知されています。環境パフォーマンスの向上、法令遵守、環境目標の達成の視点から企業活動を評価し、PDCAサイクルによる継続的改善を求めます。ただし、二段階の審査プロセスや定期的な更新審査など、取得のハードルは高めです。
一方、エコアクション21は環境省が策定した日本独自の規格で、中小企業でも取り組みやすい設計が特徴です。CO2排出量など必須測定項目を明確化し、環境経営レポートでの情報公開を義務づけることで、実効性と透明性を両立させています。
グリーン調達における建設業の事例

グリーン調達における建設業の事例として、清水建設株式会社と大成建設株式会社の例を紹介します。自社のグリーン調達への取り組みの際に参照してみてください。
清水建設株式会社
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出典:カーボンネガティブ仕様の環境配慮型コンクリート「SUSMICS-C」を現場適用|2024.2.01|清水建設株式会社
大成建設株式会社
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まとめ

本記事では、グリーン調達の定義や必要性、サプライヤーにとっての意義、類似概念との違い、取り組むメリットについて解説しました。
建設業界においても、環境配慮型の資材調達は重要性を増しています 。再生材料を使用したコンクリートや低炭素型の鋼材の選定、環境認証を取得したサプライヤーとの取引など、グリーン調達の実践は企業価値の向上につながります。
また、建設現場での廃棄物削減やリサイクル促進は、法規制への対応としても不可欠です。ISO14001やエコアクション21といった環境規格の活用により、取引先からの信頼獲得や新規受注の機会拡大も期待できます。
持続可能な建設業を目指し、サプライチェーン全体で環境負荷を低減したいとお考えの方は、参照してみてください。
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この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。








