株式会社安藤・間様
CO₂排出量算定クラウド活用で集計負担を大幅に軽減
サステナビリティ関連財務開示のスピードアップも実現
株式会社安藤・間(以下、安藤ハザマ)は、CO₂排出量算定クラウドサービスの「TansoMiru」を導入し、一部の現場で試行を進めてきました。CO₂排出量集計作業の事務負担を軽減し、集計から開示までのスピードアップを図ることが主な目的です。2026年度からは集計対象とする作業所を拡大し、全社での展開を目指しています。
導入前の課題
CO₂排出量集計の事務負担増加と
サステナビリティ関連財務開示への対応が急務に
旧安藤建設と旧間組の合併から14年目を迎える安藤ハザマ。近年では、サステナビリティへの取り組みを加速させており、2020年2月に策定した長期ビジョン「安藤ハザマ VISION2030」では、「お客様価値の創造」「株主価値の創造」「従業員価値の創造」と並んで「環境価値の創造」が掲げられています。VISION2030に先立って、2019年12月にはSBTの認定を取得、同年にRE100にも加盟しました。
こういった脱炭素関連の業務を主に担当しているのが、経営戦略本部 経営企画部 ESG戦略グループの前野 真吾氏です。
「サステナビリティは建設業界共通の課題でもあり、自社の企業価値向上のためにも重要な取り組みです。発注者側から環境負荷低減やライフサイクルアセスメントの実施を希望されるケースも出てきており、今後ますますニーズが高まっていくと考えています」(前野氏)
一方で、環境関連の実務は多くの手間と時間を要する作業でした。特にCO₂排出量の算定には、作業所でのデータ入力が欠かせません。作業所の環境関連データの取りまとめを担当する、安全品質環境本部 品質環境部長の平塚 恵氏は、これまでの集計・報告業務の煩雑さを説明しています。
「一般社団法人 日本建設業連合会が整備した集計・報告用のワークシートを使用していたのですが、ワークシートが届くのは年度後半なので、それまでのデータを遡って入力する必要があります。作業所がデータ入力したワークシートを支店で集約し、さらに本社で取りまとめて集計を行うことから、集計結果が出るまでに時間がかかり、タイムラグも発生していました」(平塚氏)
タイムラグの発生によって特に問題となるのは、財務諸表の開示に間に合わない点です。日本の上場企業は2027年3月期から順次、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)が定めた基準に沿ったサステナビリティ関連財務開示が義務づけられており、関連する財務諸表と同時に報告することが求められます。
「サステナビリティ関連財務開示が義務化となれば相当なプレッシャーがかかりますし、第三者検証も必要となるため、スピード感が求められます。これまでのワークシートによる集計では、とても間に合わせることができません」(前野氏)
導入の経緯
現場負担軽減と集計迅速化の両面で
ベータ版の段階からTansoMiruを検討
安藤ハザマは以前からe-reverse.comやBuildeeなど、リバスタの各種サービスを利用しています。その関係もあって、リバスタではTansoMiruに関する情報を早い段階から安藤ハザマに提供してきました。2022年頃に開発中のTansoMiruベータ版でのデモを見た平塚氏は、当時の感想を以下のように語っています。
「環境データ収集の効率化を検討している段階で、リバスタからデモを見せていただきました。入力から集計までの全体の流れを説明していただき、『ここまでできるようになるのか』と期待した記憶があります」(平塚氏)
安藤ハザマでは作業所での事務作業による負担を軽減するため、クラウド活用などを通じて支店などのバックオフィス側で業務を負担するDXの取り組みにも力を入れています。TansoMiruはDXの取り組みに効果的だと判断され、導入の決定に至りました。
導入効果
リアルタイム共有で集計作業を効率化し、
全体作業負担の半減とデータ精度向上を実現
こうして2023~2025年にかけてTansoMiru 管理・産廃・電力を順次採用し、一部の現場で試行を開始。導入後すぐ効果が表れたと言います。
「TansoMiruはクラウドサービスですから、データ共有はリアルタイムに行われ、作業所で入力したデータを支店や本社でもすぐに確認できます。ワークシートを作業所から支店へ、支店から本社へ送付する手間が不要となりました。また本社から支店、作業所へデータの作成、集約をお願いする心理的負担も不要となりました。現在、作業所の負担として残っているのは一部の建設機械の稼働データ入力、作業所で購入した燃料等ですが、それも日々の業務の中で入力していけるようになり、工事が終わってから振り返って入力する手間はなくなりました」(平塚氏)
作業所でのデータ入力の負担も、TansoMiruや関連サービスを活用することで大幅に軽減されました。
「TansoMiru 電力は電力会社からのデータを元にCO₂排出量を自動算定してくれます。TansoMiru 管理に契約電力の契約内容を登録しておけば、支店、作業所が契約内容や使用量をいちいち確認していた手間が不要になりました。TansoMiru 産廃はe-reverse.comの運搬データを元にCO₂排出量を自動算定してくれます。電子マニフェストの利用を基本としているため、日常業務の中で蓄積されるe-reverse.comのデータが、そのままCO₂排出量算定につながっています」(平塚氏)
さらに、支店や本社での集計作業も大幅に効率化されました。スコープ1,2,3を個別に換算・集計していたワークシートと異なり、TansoMiru 管理では必要な集計結果をすぐに把握できます。
「集計作業の作業量は年間約90%削減出来たと思います。しかもデータの精度も向上しました。ワークシートでは機材の稼働状況を日単位で入力していました。現場では、作業工程に併せて機材を稼働させるため、終日連続して稼働することは、ほとんどありません。TansoMiruなら時間単位で入力できるため、より稼働実態に近いデータになり、CO₂排出量の削減にもつながりました」(平塚氏)
今後の展望
TansoMiruを全社の脱炭素基盤へ
導入拡大で経営の可視化を推進
安藤ハザマでは今後、環境データの収集対象を拡大し、TansoMiruを使う作業所を増加させていく方針です。その判断を後押ししたのが、昨年度から利用を開始したBuildeeCO₂機能です。以前からBuildee3サービスで日々蓄積してきた機材の稼働状況データを活用することで、作業所がTansoMiruに直接入力しなければならないデータをさらに減らすことができます。
「これらのツール群によって、作業所では日常の業務を実施するだけでCO₂排出量算定のためのデータが蓄積できるようになります。そうした環境が整ってきたこともあって、導入対象を拡大しようという判断に至りました」(平塚氏)
とはいえ、より多くの現場にTansoMiruを定着させるためには現場へのサポートが欠かせません。展開拡大に向けて、平塚氏はリバスタと連携しながら準備を進めています。
「いきなり全現場展開となると対応が大変なので、規模の大きな工事や進捗が順調な現場から進めていました。今後は集計対象を拡大していきます。リバスタにはこれまでも説明会資料の作成や現場からの問い合わせ対応などさまざまな支援をいただいており、今後も引き続き期待しています」(平塚氏)
TansoMiruの導入拡大は、脱炭素経営をさらに進めていくためにも重要だと前野氏は言います。
「TansoMiru導入作業所を増やしていくことで、全社的なCO₂排出量の推移を把握できるようになっていくはずです。リバスタからは、燃料供給元から燃料使用データが自動収集できるTansoMiru 燃料の提案もいただき参画をさせていただいておりますが、さらなる利便性向上につながると期待しています」(前野氏)
